AP報道によると、カナダ最大の航空会社であるエア・カナダの客室乗務員が所属する労働組合が、賃金と労働条件の改善を求め、ストライキに突入しました。このストライキには1万人以上の組合員が参加しており、カナダ国内線および国際線の運航に深刻な影響が出始めています。北米全体の航空網にも混乱が波及する懸念が広がっており、旅行者は最新情報に注意が必要です。
ストライキの背景にある深刻な労働環境
今回のストライキの背景には、パンデミック後の航空業界が抱える構造的な問題があります。
急回復する需要と人手不足
新型コロナウイルスのパンデミック後、世界の旅行需要は予測を上回るペースで回復しました。しかし、多くの航空会社はパンデミック中に人員を削減しており、急増する需要に対応できる体制が整っていません。エア・カナダも例外ではなく、客室乗務員は慢性的な人手不足の中で、フライトスケジュールの過密化や長時間労働といった厳しい環境に置かれています。組合側は、安全な運航と質の高いサービスを維持するためには、適切な人員配置と労働環境の改善が不可欠だと主張しています。
インフレと賃金交渉の難航
世界的なインフレによる生活費の高騰も、交渉を難航させた大きな要因です。組合は、現在の賃金では実質的な生活水準が低下しているとして、大幅な賃上げを要求。一方、会社側は燃料費の高騰や競争激化を理由に慎重な姿勢を崩さず、両者の溝は埋まりませんでした。北米ではアメリカン航空やユナイテッド航空など他の大手航空会社でも同様の労働交渉が続いており、今回のストライキは業界全体の課題を象徴する動きと言えます。
今後の影響と予測される未来
このストライキは、旅行者や経済に広範囲な影響を与える可能性があります。
旅行者への直接的な影響
エア・カナダは、系列会社を含めると1日に平均1,500便以上を運航しており、カナダの航空輸送の根幹を担っています。ストライキの長期化により、今後数日から数週間にわたって大規模なフライトの欠航や遅延が発生することは避けられないでしょう。
特に、トロント、バンクーバー、モントリオールといった主要ハブ空港では深刻な混乱が予想されます。また、エア・カナダはスターアライアンスに加盟しているため、提携するユナイテッド航空やANA(全日本空輸)などが運航するコードシェア便の利用者にも影響が及ぶ可能性があります。アメリカを経由する国際線の乗り継ぎなど、北米全体の航空ネットワークに混乱が広がる恐れがあります。
カナダ経済と観光業への打撃
夏の旅行シーズンの終盤と重なるこの時期のストライキは、カナダの観光業にとって大きな打撃となります。航空便の混乱は国内外からの観光客の足を遠のかせ、ホテルやレストラン、観光施設などの関連産業にも深刻な経済的損失をもたらすでしょう。
今後の見通し
労使双方の交渉が再開される見通しは立っておらず、ストライキが長期化する可能性も否定できません。事態が深刻化すれば、カナダ政府が介入し、強制的な仲裁や職場復帰命令を出すことも考えられます。
エア・カナダを利用予定の旅行者は、航空会社の公式ウェブサイトやアプリで運航状況をこまめに確認し、必要に応じてフライトの変更や代替交通手段の確保を検討することが強く推奨されます。

