香港を襲った観測史上最大級の豪雨により、アジアの主要ハブである香港国際空港（HKG）の機能が大幅に制限されています。香港のフラッグキャリアであるキャセイパシフィック航空は、少なくとも22便の欠航を決定し、日本路線を含むアジア広域のフライトスケジュールに深刻な影響が出ています。
「黒色暴雨警告」発令—都市機能が麻痺
今回の運航混乱の直接的な原因は、香港天文台が発令した最も深刻なレベルの豪雨警報「黒色暴雨警告（Black Rainstorm Warning）」です。この警報は、1時間あたり70ミリを超える非常に激しい雨が広範囲で観測された、または予測される場合に発令されるものです。
報道によると、香港の一部地域では24時間降水量が600ミリを超え、これは香港の年間平均降水量の約4分の1に相当する記録的な豪雨となりました。この影響で、市内の道路は広範囲で冠水し、公共交通機関は麻痺状態に陥りました。空港と市内を結ぶ主要な交通手段である鉄道やバスの運行も大幅に制限され、乗客だけでなく、空港スタッフや航空会社のクルーも空港へアクセスすることが困難な状況となりました。
キャセイパシフィック航空、22便の欠航を決定
この未曾有の事態を受け、キャセイパシフィック航空は、香港国際空港を発着する22便のフライトキャンセルを余儀なくされました。欠航が決定されたのは、東京、台北、高雄、マニラ、上海、北京、シンガポール、バンコクといったアジアの主要都市を結ぶ路線が含まれており、多くの旅行者に影響が及んでいます。
同社は、乗客と乗員の安全を最優先するための措置であると説明しており、影響を受けた乗客に対しては、フライトの再予約や払い戻しに関する案内を公式ウェブサイトやアプリを通じて行っています。しかし、天候の回復後も機材繰りや乗員のスケジュール調整に時間を要するため、今後数日間は遅延や追加の欠航が発生する可能性があります。
香港国際空港全体の混乱と今後の見通し
混乱はキャセイパシフィック航空に留まりません。空港へのアクセスが絶たれたことで、他の航空会社も同様に遅延や欠航を決定しており、空港ターミナル内では多くの旅行者が足止めされています。
香港当局は全力でインフラの復旧作業を進めていますが、運航スケジュールが完全に正常化するには時間がかかると予測されます。現在、香港への渡航や香港経由での乗り継ぎを予定している旅行者は、以下の点に注意が必要です。
- 最新情報の確認: ご利用の航空会社の公式ウェブサイトやSNS、フライト追跡アプリなどで、最新の運航情報を必ず確認してください。
- 交通状況の把握: 空港へ向かう前に、鉄道やバス、道路の運行状況を確認し、時間に十分な余裕を持って行動することが推奨されます。
- 旅行保険の確認: フライトの遅延やキャンセル、宿泊施設の追加手配などに関する補償内容を、ご自身の海外旅行保険で確認しておくことをお勧めします。
気候変動がもたらす航空業界への新たなリスク
今回のような記録的な豪雨は、もはや単なる「異常気象」として片付けられるものではありません。地球温暖化に伴う気候変動により、台風の巨大化や集中豪雨の頻発は世界的な傾向となっており、航空業界にとって無視できないリスクとなっています。
空港という巨大なインフラは、気象現象の影響を直接的に受けます。今後は、航空会社や空港運営会社が、こうした極端な気象イベントに備えた事業継続計画（BCP）を一層強化していくことが求められるでしょう。旅行者自身も、気候変動が旅行計画に与える影響を念頭に置き、柔軟な対応ができる準備をしておくことが重要になります。
simvoyageは、引き続き現地の最新情報に注視し、旅行者の皆様に役立つ情報を提供してまいります。
