夏のバカンスシーズンがピークを迎える中、スペインの主要空港で大規模なストライキが計画されており、旅行者に深刻な影響が及ぶ懸念が強まっています。航空サービス会社アバンティア(Avincis Aviation)に所属する地上職員が、2024年8月15日から21日までの7日間にわたり、ストライキを実施すると発表しました。
ストライキの概要と影響を受ける空港
今回のストライキは、スペインの主要な労働組合であるUSOとUGTが呼びかけているものです。手荷物のハンドリングやランプサービスなどを担う地上職員が一斉に業務を停止するため、フライトの遅延や欠航が大規模に発生する可能性があります。
特に影響が大きいと見られるのは、以下の国際的なハブ空港および観光客に人気の空港です。
- アドルフォ・スアレス・マドリード=バラハス空港 (MAD)
- バルセロナ・エル・プラット空港 (BCN)
- パルマ・デ・マヨルカ空港 (PMI)
- マラガ=コスタ・デル・ソル空港 (AGP)
- アリカンテ=エルチェ空港 (ALC)
- イビサ空港 (IBZ)
ストライキ期間はスペインの祝日(8月15日、聖母被昇天祭)と重なり、一年で最も旅行者が多い時期と直撃します。このため、影響は数十万人の旅行者に及ぶと予測されています。
なぜストライキは起きるのか?:背景にある労働問題
ストライキの直接的な原因は、アバンティア社との新たな労働協約に関する交渉の決裂です。労働組合側は、主に以下の2点を要求しています。
- 賃金の引き上げ: 近年のインフレに対応した正当な賃上げを求めています。
- 労働条件の改善: 特に、過剰な労働時間や不規則なシフト体系の是正を強く要求しています。
パンデミック後の航空需要の急回復に対し、航空業界全体でスタッフの増員や労働環境の改善が追いついていないのが現状です。多くの地上職員が厳しい条件下での労働を強いられており、その不満が今回のストライキ計画につながりました。これはスペインに限った話ではなく、ヨーロッパの航空業界全体が抱える構造的な問題でもあります。
予測される影響と旅行者が取るべき対策
航空会社への影響
今回のストライキで特に大きな影響を受けるのは、インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)傘下の航空会社です。具体的には、スペインのフラッグキャリアであるイベリア航空をはじめ、ブリティッシュ・エアウェイズ、エア・リンガス、ブエリング航空などの運航に大きな支障が出ることが予想されます。これらの航空会社を利用してスペインへの渡航や乗り継ぎを予定している方は、特に注意が必要です。
旅行者へのアドバイス
この期間にスペインへの旅行を計画している方は、以下の対策を講じることを強くお勧めします。
- 運航情報の確認: ご利用予定の航空会社の公式ウェブサイトやアプリ、空港の公式サイトで、フライト情報をこまめに確認してください。ストライキが正式に決行された場合、欠航や遅延の情報が随時更新されます。
- 航空会社への問い合わせ: フライトの変更やキャンセルに関するポリシーについて、早めに航空会社へ問い合わせておきましょう。代替便への振り替えや払い戻しのオプションを確認することが重要です。
- 旅行保険の確認: 加入している海外旅行保険の補償内容を見直しましょう。フライトの遅延・欠航や、それに伴う宿泊費の延長などがカバーされるかを確認しておくと安心です。
- 柔軟なスケジュール: 可能であれば、ストライキ期間を避けて旅行日程を調整することも検討してください。
現時点ではまだ交渉の余地が残されており、ストライキが回避される可能性もゼロではありません。しかし、夏の旅行シーズン真っ只中での大規模ストライキのリスクは非常に高く、今後の動向を注視する必要があります。最新情報を常にチェックし、不測の事態に備えた準備を進めてください。









