次の旅では、ただ美しい景色を眺めるだけではなく、その土地に息づく文化や人々の暮らしに、そっと触れてみるのはいかがでしょうか。きらびやかなリゾートの喧騒から少しだけ離れて、自分の手で何かを生み出す喜びや、言葉を超えた心の交流を体験する。そんな、いつもより一歩深い旅が、あなたの日常をより豊かなものにしてくれるかもしれません。
インドネシア、バリ島の東隣に浮かぶロンボク島。神々の島として知られるバリとはまた違う、素朴で力強い自然と、独自の文化が根付くこの島に、今回ご紹介したい小さな村があります。その名は「バニュムレク村」。島を代表する伝統工芸品、素朴で温かみのある陶器が生み出される場所として、世界中から旅人を惹きつけてやまない「陶器の村」です。
この記事では、バニュムレク村の魅力の核心である手作り陶器の制作風景から、村人との心温まる交流、そして旅の合間にほっと一息つける海辺のカフェ文化まで、五感で味わう旅のすべてをお伝えします。単なる観光ガイドではありません。この旅を通して、私たちがどうすればもっと地球に優しく、そして地域社会に貢献できる旅人になれるのか。そんなサステナブルな旅のヒントもちりばめながら、あなたをバニュムレク村の奥深くへとご案内します。
さあ、土の香りがする村へ、一緒に旅立ちましょう。
また、神々の島を超えるインドネシアの深い魅力を探る旅にも、ぜひ目を向けてみてください。
バニュムレク村への誘い:なぜ今、手仕事の村を訪れるのか

ロンボク島の州都マタラムから南へ車で約30分。賑わっていた街並みが次第に静かになり、ヤシの木がそよぐ穏やかな田園風景が広がり始めると、まもなくバニュムレク村に到着します。村の入り口には大きな陶器のオブジェがあり、旅人である私たちを温かく迎えてくれます。
サステナブルな旅先としての魅力
私が旅のテーマとして大切にしている「サステナブルな旅行」とは、環境への影響をできるだけ抑えるだけでなく、訪れる場所の文化や経済に敬意を示し、良い影響をもたらす旅行スタイルのことです。この観点から見れば、バニュムレク村はまさに理想的な目的地と言えるでしょう。
この村では、何世代にもわたり女性たちが中心となって陶器制作の技術を母から娘へと伝えてきました。陶器作りは電動ろくろを使わず、すべて手びねりで行われています。燃料には稲わらやココナッツの殻など、地元で手に入る自然素材が用いられています。これは、現代の大量生産とは対照的に、本当に持続可能なものづくりの姿です。
私たちが村を訪れて工房を見学し、気に入った陶器を購入したり、陶芸体験をしたりすること。それらの行動は伝統技術の継承を支えるとともに、村の人々の安定した収入にもつながります。お土産屋で買う「どこかで作られた」商品とは異なり、作り手の顔が見え、その土地ならではの物語が詰まった品を手に入れること。それこそが、旅人としてできるささやかで確かな地域貢献なのです。
村への行き方と訪れた際の第一印象
ロンボク国際空港からは車で約40分、スンギギのビーチリゾートからはおよそ1時間の場所に位置しています。一般的なアクセス方法は、タクシーをチャーターするかレンタカーを借りることです。料金は交渉制が多いため、事前に相場を調べておくと安心です。例えば、1日ドライバー付きで車をチャーターすると、おおよそ500,000〜700,000ルピア(日本円で約5,000〜7,000円)が目安となります。信頼できるメーター制のブルーバードタクシーなどのタクシーアプリを利用するのも良いでしょう。
村に一歩足を踏み入れると、時間の流れがふっと緩やかになるのを実感します。道の両側には大小様々な陶器がずらりと並び、村全体がひとつのギャラリーのようです。家の軒先では、土をこねながらおしゃべりに興じる女性たちの姿が見られ、子どもたちは無邪気な笑顔で走り回っています。空気には乾いた土の香りと、時折漂う燻された藁の芳ばしい香りが混ざり合い、機械の音が一切しない、人の手と自然が織り成す営みの心地よい空間が広がっています。
土の息吹を感じる、陶器工房めぐり
バニュムレク村の中心的な存在といえるのが、村のあちこちに点在する陶器工房です。大規模なショールームを備えた大きな工房から、家族だけで静かに営む小規模な工房まで、その形態はさまざまです。どの工房も基本的には見学を歓迎してくれます。
伝統が息づく制作の流れ
私が訪れたのは、特に伝統的な手法を今も守り続けている、家族経営の工房でした。案内役として迎えてくれたのは、三代目であり、この工房の女性職人であるイブ・ラトナさん。太陽のように輝く笑顔がとても印象的でした。
粘土の準備工程
「すべての始まりは、この土からです」。ラトナさんはそう語りながら、工房の裏手に積まれた粘土の山を指し示しました。バニュムレクの陶器に使われる粘土は、村の近くの丘で採掘される特別な土です。不純物を取り除き、水を加えた後、足で丹念に踏んで練り上げ、適度な柔らかさに仕上げます。この根気のいる作業こそが、丈夫で美しい陶器を作るための最重要な第一歩だと、彼女は誇らしげに話してくれました。
魂を込める成形作業
バニュムレク陶器の最大の特色は、電動ろくろを一切使わない「手びねり」の技術です。ラトナさんの巧みな手さばきにより、粘土の塊が目を見張るほど素早く壺の形になっていきます。土台を平らな石の上に置き、粘土の紐を少しずつ、しかしリズミカルに積み上げていく過程。時折、湿らせた布で表面を滑らかにし、竹のヘラで形を整えます。そのすべての動きは無駄なく、長い年月で培われた経験と自信に満ちあふれていました。まるで土と対話し、内なる形を導き出しているかのような印象を受けました。
自然の力を借りた乾燥
成形された陶器は、すぐに焼成されるわけではありません。まずは風通しの良い日陰で数日かけてゆっくりと自然乾燥を行います。急いで乾燥させると、焼成時にひび割れが発生しやすくなるのだそうです。工房の棚には、出番を待つ様々な形の陶器が静かに並び、その光景は壮観でした。
炎と向き合う焼成
いよいよ焼成の段階です。バニュムレクの伝統的な焼成方法は非常に原始的で、環境にも優しいものです。地面に掘られた浅い穴や、レンガで囲われた簡易窯に乾燥させた陶器を並べ、その周囲を稲わらやココナッツの殻、薪で覆い火をつけます。電気やガス窯とは異なり、温度管理は職人の長年の勘が頼り。炎の色や煙の匂いを読み取りながら、数時間かけてじっくりと焼き上げます。激しく燃える炎の中で土は堅く焼き締められ、独特の素朴で温かみのある風合いを帯びていきます。この焼成方法こそが、バニュムレク焼きに特徴的なテラコッタ色をもたらす秘訣なのです。
最後の仕上げと装飾
焼きあがった陶器には、さらに装飾が施されることがあります。卵の殻を細かく砕いて貼り付けるモザイク模様や、籐(ラタン)を編み込んだ装飾は、バニュムレク陶器のもうひとつの魅力です。これらの細工もすべて手作業で行われ、気の遠くなるような繊細な作業を経て、唯一無二の作品が完成します。
工房見学の心得:敬意を持つ旅人として
工房を見学する際には、以下のマナーを心がけることが大切です。これによって、旅がより豊かなものとなり、村の人々との良好な関係を築く助けとなります。
- 服装について: 工房内は土埃が舞うこともあるため、高価な服や汚れを気にする服は避けましょう。動きやすく、多少汚れても問題ないカジュアルな服装が望ましいです。足元はサンダルよりもスニーカーなど歩きやすい靴がおすすめです。日差しが強い場合は帽子やサングラスも忘れずに持参してください。
- 行動のマナー: 職人さんたちは真剣に仕事に取り組んでいます。作業の妨げにならないよう静かに見学し、展示品や乾燥中の陶器にはむやみに触れないよう注意しましょう。特に乾燥中の陶器は非常に繊細で、少し触れるだけで傷がついてしまうこともあります。
- 写真撮影: 美しい手仕事の様子はつい写真に収めたくなりますが、撮影の前には必ず「Boleh saya foto?(ボレ サヤ フォト? / 写真を撮ってもいいですか?)」と一言尋ねるのがマナーです。多くの場合、快く許可してもらえます。その一言でコミュニケーションが生まれ、双方にとって気持ちよく過ごせる時間となります。
- 感謝の気持ちを形に: 見学は無料が基本ですが、もし職人さんたちの仕事に感動したら、小さなものでもよいので何か一つ購入を検討してみてください。これは彼らの労働への正当な対価となり、伝統文化の継承への直接的な支援につながります。もちろん強制ではありませんが、心からの「Terima kasih(テリマカシ / ありがとう)」の言葉だけでも、きっと彼らの胸に響くでしょう。
あなただけの一品を。陶器作り体験のススメ

バニュムレク村の魅力を存分に味わうには、ただ見学するだけでなく、自らの手で土に触れる体験をぜひお勧めします。多くの工房では、観光客向けに陶器作りの体験プログラムが用意されています。
体験の流れと予約方法
陶器作りの体験は、旅の素晴らしい思い出になるだけでなく、ものづくりの難しさや喜びを直接感じられる貴重な機会です。
- 予約は必要?: 大きな工房であれば、予約なしで飛び込み参加が可能なこともありますが、小規模な工房や丁寧な指導を希望する場合は、事前予約をしておくのが安心です。宿泊先のホテルのコンシェルジュに相談したり、現地のツアー会社を利用して予約したりするとスムーズです。最近では、インドネシア共和国観光省の公式サイトなどで認定されたツアーオペレーターを探す方法もあります。
- 体験の流れ: 私が参加したプログラムでは、まず熟練した職人が手本を示してくれます。粘土のかたまりを手渡され、見よう見まねでこね始めると、思ったよりも土の性質は気まぐれで、なかなか思うように形がまとまりません。しかし、近くにいる先生が優しく手を添え、力の加減や指の角度を教えてくれるうちに、歪ではありますが少しずつ形ができあがっていきます。小さなカップや灰皿、あるいは自由な発想のオブジェを作るのも楽しいでしょう。形が整ったら、竹串などを使って好みの模様を彫り込みます。自分の名前や旅の日付を刻めば、特別な記念品になりますね。
- 料金と所要時間: 料金は工房によって異なりますが、粘土代と指導料込みでおよそ100,000~200,000ルピア(約1,000〜2,000円)が一般的です。所要時間は作るものによりますが、おおよそ1〜2時間程度。気軽に楽しめるアクティビティと言えるでしょう。
完成品はどうなる?旅の思い出を持ち帰る方法
ここでひとつ大切なポイントがあります。自分で作った作品は、その場で持ち帰ることができません。成形後に乾燥と焼成の工程が必要で、この過程には数日から一週間以上かかります。
- 受け取り方法: ロンボク島に長期間滞在している場合は、後日工房へ取りに行くことが可能です。しかし、多くの旅行者には難しいでしょう。そんなときは、多くの工房が国際発送サービスに対応しています。
- 国際発送の手続き: 発送を希望する際は、体験の最初にその旨を伝えておきましょう。送料は別途かかりますが、作品を丁寧に梱包してあなたの国の住所まで届けてくれます。料金は作品の大きさや重さ、送り先によって大きく変動するため、事前に必ず確認が必要です。発送手続きの際は、伝票の控えを受け取り、追跡番号なども控えておくことが重要です。
- トラブルを防ぐために: 万が一、作品が破損していたり届かなかったりするリスクも考えられます。発送を依頼するときは、工房の連絡先(電話番号やメールアドレス)を必ず確認しましょう。信頼できる工房かどうか見極めるために、事前に口コミなどをチェックするのも有効です。少し費用はかかりますが、この体験にはそれ以上の価値があると私は確信しています。数週間後、自宅にロンボクの土の香りをまとった自作の作品が届いたときの感動は、きっと忘れられないものでしょう。
この体験を通じて、私たちは消費者から創造者へと視点を変えることができます。お店で売られている一つのカップに、どれだけの時間と労力、そして愛情が注がれているかを実感することで、モノに対する価値観が少し変わるかもしれません。それは、使い捨て文化を見直し、一つのモノを大切に長く使うというサステナブルな暮らしへの第一歩にもつながるのです。
言葉を超えた心の交流、村人たちの温かな笑顔
バニュムレク村を訪れた旅の中で、陶器そのものに劣らず心に残るのは、村の人々との交流です。多くの住民は控えめながらも、とても親切で温かな心を持っています。
コミュニケーションのポイント
工房で仕事に励む職人、道端で遊ぶ子どもたち、井戸端会議を楽しむお母さんたち。まずは勇気を出して、簡単な挨拶から始めてみましょう。
- 使えるインドネシア語のフレーズ:
- 「Selamat pagi / siang / sore(スラマッ パギ / シアン / ソレ)」:おはよう / こんにちは / こんばんは
- 「Apa kabar?(アパ カバール?)」:ご機嫌いかがですか?
- 「Baik-baik saja(バイクバイク サジャ)」:元気です
- 「Terima kasih(テリマカシ)」:ありがとう
- 「Sama-sama(サマサマ)」:どういたしまして
たとえ片言でも現地の言葉で話しかけると、相手の顔がぱっと明るくなり、心の距離が一気に縮まるのを感じられるでしょう。仮に言葉が通じなくても心配はいりません。笑顔は万国共通のコミュニケーションツールです。身振りや手振りと組み合わせることで、伝えたいことの多くが伝わります。例えば、工房の女性が「こちらへどうぞ」と手招きして涼しいお茶を振る舞ってくれたり、自分の手作りの不格好なカップを見て皆で大笑いしたり。そうしたささやかなやり取りが、この旅のかけがえのない思い出となりました。
村を歩くときの注意点と持ち物リスト
村の散策はバニュムレクの日常の空気を直に感じる絶好の機会ですが、いくつか気をつけるべきポイントがあります。
- 服装と文化への配慮: ロンボク島はイスラム教徒が多数を占める地域です。特に村のようなローカルな環境では、宗教や文化を尊重した服装を心がけましょう。ビーチリゾートのように、タンクトップやショートパンツなど肌の露出が多い服装は控えるほうが無難です。女性は肩や膝を覆うゆったりとしたTシャツやブラウス、ロングスカートやパンツが適しています。男性も膝上の短パンより、膝丈以上のパンツが好ましいです。これは規則ではなく、相手に敬意を示すためのマナーです。
- プライバシーの尊重: 村は観光地でもありますが、人々の生活の場でもあります。許可なく家の敷地に立ち入ったり、家の中をのぞき込んだりするのは避けましょう。また、写真撮影の際は特に子どもを撮る場合に本人や保護者の承諾を必ず得てください。
- 持ち物リスト:
- 歩きやすい靴: 村内は未舗装の道が多いため、サンダルよりも足をしっかり支える靴がおすすめです。
- 日よけアイテム: 帽子、サングラス、日焼け止めが必需品です。赤道に近いロンボクの太陽はとても強烈です。
- 飲料水: 熱中症予防のため、こまめな水分補給を心がけましょう。環境保護の観点からは、できるだけマイボトルを持参し、ホテルなどで給水するとプラスチックの廃棄を減らせます。
- 少額の現金: 工房でのちょっとした買い物や飲み物の購入時にクレジットカードが使えないことが多いため、少額のルピア紙幣を準備しておくと便利です。
- ウェットティッシュや手指消毒ジェル: 土に触れた後や食事前に手を清潔に保つのに役立ちます。
- 虫よけスプレー: 夕方になると蚊が出ることがあるため、予防として持っておくと安心です。
海風とコーヒーの香り。海辺の小さなカフェでひと休み

工房巡りや陶器作りで充実した時間を過ごした後は、少し足を伸ばしてロンボクの美しい海岸線でゆったりと過ごすのもおすすめです。バニュムレク村から車で約30分のスンギギ・ビーチ周辺には、魅力的なカフェが点在しています。
バニュムレクの器で味わうロンボクコーヒー
特におすすめしたいのは、地元の文化を大切にしているカフェを訪れることです。なかにはバニュムレク村で作られた温もりあふれる陶器のカップで、香り高いロンボクコーヒーを提供してくれるお店もあります。自分で作ったものではないけれど、あの村の土と炎から生まれたカップで味わうコーヒーは格別です。両手でカップを包み込むと、作り手である女性たちの温もりまで伝わってくるかのように感じられます。
ロンボクコーヒーは、コクの深さとフルーティーな酸味の絶妙なバランスが魅力です。インドネシア流に、粗挽きの豆をカップに直接入れてお湯を注ぎ、上澄みを楽しむ「コピ・トゥブルック」に挑戦してみるのも貴重な体験です。合わせて、ココナッツや黒糖を使った伝統菓子「ジャジャン」を注文すれば、まさにロンボク流の完璧なカフェタイムが完成します。
夕暮れ時には、インド洋に沈む壮大な夕日を見つめながら今日一日の思い出を振り返ってみてください。土に触れた感触、職人たちの真剣な眼差し、村人たちの無邪気な笑顔――そんな記憶を胸に味わう一杯のコーヒーは、あなたの旅の中で忘れがたいハイライトのひとつになるはずです。
旅をより深く、賢く。実践的な旅のヒント
最後に、バニュムレク村への旅を前に、より安全で充実したものにするための実用的な情報をお伝えします。
万が一のトラブルに備えるための対処法
楽しい旅であっても、予期しないトラブルが起こることは否定できません。事前に準備しておくことで、冷静に対応できます。
- 体調を崩した場合: 不慣れな気候や食事が原因で体調不良になることもあります。マタラム市内には、外国人旅行者対応可能な病院やクリニックがあります。あらかじめその場所や連絡先を調べて控えておくと安心です。また、出発前には必ず海外旅行保険に加入しておきましょう。緊急時の医療費は高額になることがあるため、保険は何よりの安心材料となります。
- 陶器の購入や発送で問題が起きた場合: 陶器を持ち帰る際は割れないよう丁寧に梱包してもらいましょう。自分で衣類やタオルなどを詰めて補強するのも効果的です。国際発送を頼んだ場合、もし破損や未着があれば、まず工房及び運送会社に伝票の控えを手掛かりに連絡を取ります。返金や代替品の対応は文化や商習慣の違いで難航することもあるため、発送を依頼する際には補償の有無を必ず確認しておくことが肝要です。
- 金銭トラブルの回避: ロンボク島の人々は基本的に親切ですが、観光地の一部で観光客を対象とした軽度のトラブルが報告されています。タクシー利用時はメーターの有無を確認するか、乗車前に料金を明確に交渉してください。市場や土産物店での値段交渉は旅の醍醐味ですが、相手への敬意を忘れず、お互いに笑顔になる範囲で楽しむのがコツです。あまりに不当な価格を提示された場合には、断る勇気を持つことも大切です。
環境に配慮する旅人としての心がけ
私たちの旅が、この美しい島の自然や文化を損なわないように、ひとりひとりが少し意識を変えることが不可欠です。この考え方は、国連世界観光機関(UNWTO)が推進する持続可能な観光の理念と合致しています。
- ゴミの削減: マイボトルやマイバッグを持参し、ペットボトル飲料やレジ袋の利用を控えましょう。ホテルの使い捨てアメニティもなるべく使わず、自分で持参したものを活用することで、さらにゴミを減らせます。
- 資源の節約: ホテルでは電気の消し忘れや蛇口の閉め忘れに気を付けましょう。タオルやシーツの交換も毎日でなくて良い場合は、その旨をホテルに伝え、水や洗剤の使用を抑えることができます。
- 地元産品の利用: 食事は地元の食材を使ったワルン(食堂)を選び、お土産はバニュムレク村の陶器など、その土地で作られた手工芸品を購入しましょう。これにより、あなたの消費が地域経済を活性化させ、文化の保護につながります。
こうした小さな積み重ねが、ロンボク島の美しい自然と豊かな文化を未来へ受け継ぐ大切な力となるのです。
バニュムレクの土が、あなたの旅と日常を繋ぐ

バニュムレク村で過ごした一日は、単なる観光以上の価値を私に与えてくれました。そこでは、土や火、水、そして人の手が織りなす生命の根源に触れるかのような貴重な体験がありました。効率や速さが求められる現代社会の中で、私たちが見失いかけていた大切な何かを、この村は静かに、しかし力強く教えてくれます。
ここでの時間は、文化の継承や地域経済への貢献といったサステナブルな旅の理念を自然に感じさせてくれるだけでなく、私たち自身の生き方やモノとの関わり方を改めて見つめ直す機会にもなります。
旅の思い出として持ち帰った一枚の皿。それは単なるお土産ではありません。あの村の土の香り、ろくろを使わずに丁寧に粘土を積み上げる女性の真剣なまなざし、稲わらを燻す煙の匂い、そして「テリマカシ」と微笑んでくれた彼女の笑顔。そのすべてがその一枚に込められているのです。食卓でその皿を使うたび、私はロンボク島の村での温かい記憶を思い出し、日常が少しずつ愛おしく、豊かに感じられるのです。
もしロンボク島を訪れる機会があれば、ぜひバニュムレク村にも足を延ばしてみてください。心に深く刻まれる、温かい手仕事の物語に出会えることでしょう。さらにロンボク島の観光情報については、地元の観光協会のウェブサイトも参考にしてください。あなたの次の旅が、忘れられない素晴らしい体験となることを願っています。

