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北京胡同で体験!路地裏に息づく激辛と伝統の絶品グルメ巡り

北京という巨大都市の心臓部に、血管のように張り巡らされた路地、それが胡同(フートン)です。近代的な高層ビルが立ち並ぶ大通りから一歩足を踏み入れれば、そこには何世紀も前から続く市民の息遣いと、その生活に根差した強烈な食文化が息づいています。こんにちは。世界中の「最も辛い料理」を求めて旅を続けるスパイスハンター・リョウです。今回の標的は、この迷宮のような胡同に潜む、舌を焼き、胃壁を震わせる激辛料理の数々。北京の夏は熱く、冬は凍てつきますが、胡同の食卓はいつだって灼熱のスパイスで満たされています。灰色のレンガ壁、四合院(しごういん)の重厚な門構え、そしてどこからともなく漂ってくる唐辛子の焦げた香ばしい匂い。その香りに誘われるように、私は再びこの迷路へと足を踏み入れました。

北京の厳しい気候を味方につけて旅を充実させるには、北京の四季と気候についてのガイドを参考にするのがおすすめです。

目次

迷宮の入り口、南鑼鼓巷で見つける灼熱の串

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胡同散策の定番といえば南鑼鼓巷ですが、観光客向けの華やかな表情の裏側には、本物の刺激が潜んでいます。メインストリートから少し入った細い路地には、地元の人が頻繁に訪れる串焼き店が点在しています。私が初めて出会ったのは、真っ赤な油がたっぷりと注がれた大きな鍋から取り出される「串串香(チュアンチュアンシャン)」でした。これは四川発祥の料理ですが、北京の胡同で味わうそれは独自の進化を遂げています。牛の胃袋、鴨の血を固めたもの、そして香菜でたっぷり巻かれた豚肉などが、山のように積まれた乾燥唐辛子や花椒(ホアジャオ)と共に煮込まれているのです。一口食べると、まず花椒の強烈な痺れが頭を突き抜け、そのすぐ後に唐辛子の激しい辛さが喉を焼き尽くします。しかし、その背後にある濃厚な牛脂の旨味が、食べる手を止めさせません。汗が滝のように流れ、視界がチカチカする感覚。これこそが私が求めていた胡同での洗礼でした。この街の歴史は深く、元、明、清の王朝の面影が今も息づいていますが、目の前に広がるのは赤一色の現代の情熱そのものです。

準備と心得。胡同の迷宮を攻略するための装備リスト

胡同の食文化を存分に楽しむためには、綿密な準備が欠かせません。まず、現代の中国では現金の利用がほとんど通用しません。スマートフォン決済アプリである「Alipay(アリペイ)」や「WeChat Pay(ウィーチャットペイ)」の設定は、日本にいる間に必ず済ませておく必要があります。これがなければ、路地裏の名店で一杯のスープを味わうことすら困難です。また、通信環境の確保も非常に重要です。現地のSIMカードを購入するか、中国のインターネット規制を回避できるVPN機能付きのWi-Fiルーターを準備しましょう。地図アプリが使えない胡同は、まさに迷宮のような存在になります。加えて、服装にも気を配る必要があります。胡同の道は石畳がガタガタしており、舗装が不十分な箇所も少なくありません。ファッション重視の靴よりも、歩き慣れたスニーカーを履くことをおすすめします。そして、激辛料理に挑戦する際には、水で流せるティッシュやウェットティッシュが欠かせません。辛さの刺激で鼻水や汗が止まらなくなることが多く、また多くのローカル店では紙が用意されていないこともあります。さらに、多くの胡同は住宅街でもあるため、他人の家(四合院)の敷地内に無断で侵入したり、大声で騒いだりするのは厳禁です。住民の暮らしを尊重することが、旅人として守るべき最低限のマナーです。

禁断のスパイス「朝天椒」の洗礼。北鑼鼓巷の秘密

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南側の喧騒を離れ、北側へ足を運ぶと、より静かで生活感あふれる北鑼鼓巷(ほくらここう)の風景が広がっています。そこで出会ったのは、小さな看板だけで営まれている「麻辣燙(マーラータン)」の店。店主は愛想が良いとは言えませんが、その腕前は確かです。私が「特辣(トゥーラー、特別に辛く)」と注文すると、彼は少し微笑みを浮かべ、自家製の真っ黒な辣油を瓶からたっぷりと注ぎ入れました。その辣油には、中国でもトップクラスの辛さを誇る「朝天椒(チョウテンショウ)」が惜しげもなく使われています。一口すすってみると、胃がまるで緊急事態を告げているかのようでした。熱く燃え上がるスープが食道を通過する際は、まるで溶岩を飲み込んでいるような錯覚に陥ります。しかし、その辛さの奥には、八角やクローブ、陳皮(チンピ)をはじめとした十数種類ものスパイスが複雑に絡み合い、豊かな香りが広がっていました。スパイスの渦の中で、私は自分が北京という巨大な生命体の一部となったかのような感覚にとらわれました。北京政府が運営する観光情報サイトでも、胡同の多様性が強調されていますが、この辛味の深さについては知ることができないでしょう。

北京政府公式サイト(日本語)

行動の手順。胡同へのアクセスと楽しみ方

胡同に行く際は、地下鉄の利用が最も便利です。主に地下鉄6号線や8号線の「南鑼鼓巷駅」が主要な入口となりますが、あえて隣接する「什刹海駅」や「安定門駅」から徒歩で散策を始めるのも趣があります。切符の購入は、スマートフォン用アプリ「北京地鉄」をインストールしておくと、QRコードで改札を簡単に通過できます。手続きも非常にシンプルで、WeChat PayやAlipayと連携するだけで完了します。胡同に着いたら、最初は大通りを歩き、そこから少しずつ「分支(ブンシ)」と呼ばれる小道へ入っていくのがおすすめです。そこには観光案内には載っていない小さな点心店や、おばあちゃんが営む伝統的なヨーグルト(酸奶)のお店が見つかることでしょう。もし道に迷ったら、近くの「公共トイレ」を探してください。胡同内には多数の公衆トイレが設置されており、それらが目印として役立ちます。何かトラブルが起きたとき、例えばアプリが作動しなくなったり支払いができなくなった場合は、遠慮せず近くの若者に声をかけて助けを求めてください。北京の若者は非常に親切で、英語が通じることも多いです。タクシー(滴滴出行、DiDi)を使う場合は、事前にアプリ内で目的地を正確に入力すれば、言葉の壁を気にせず利用できます。

鼓楼の下で味わう、爆発的な刺激の炸醤麺

北京のソウルフードと言えば「炸醤麺(ジャージャンミェン)」が真っ先に思い浮かびます。しかし、スパイスハンターである私にとっては、普通の炸醤麺では満たされません。鼓楼(ころう)の影にひっそりと佇む老舗で、私は「四川風の激辛アレンジ炸醤麺」を選びました。ベースは一般的な甘辛い豆板醤ですが、そこに大量の青唐辛子と乾燥唐辛子の粉が惜しみなく振りかけられています。麺をかき混ぜるたびに、目に染みるほどの辛い香りが漂います。一口すすれば、もちもちとした麺の食感の後に、衝撃的な辛さが身体を貫きます。しかし、千切りのキュウリや茹でた豆といった具材が、瞬間的な安らぎをもたらしてくれるのです。この「激辛の衝撃とほっとする瞬間」の繰り返しこそが、激辛料理の真髄と言えます。胡同の古い町並みを眺めながら、額の汗をぬぐい、無心に麺を啜る時間は、何物にも代え難い至福のひとときです。なお、歴史的景観を保護するため、胡同内ではドローンの使用が厳しく制限されていることが多いのでご注意ください。美しい風景を記録するのは、自分のカメラと、この舌に刻まれる記憶だけで充分です。

Visit Beijing Official Website

万が一のトラブル対応。食あたりや体調不良に備えて

海外での食レポート、特に激辛料理に挑戦する際に避けられないのが体調不良のリスクです。もし激しい腹痛や下痢などの症状が出た場合は、無理に観光を続けるのは控えましょう。北京には外国人対応可能な「国際病院」が複数あり、例えば北京和睦家医院(United Family Hospital)では日本語や英語での診療が受けられます。受診時には、パスポートと海外旅行保険の証明書を必ず持参してください。多くの保険はキャッシュレス診療に対応していますが、事前に電話で確認することをおすすめします。また、注文した料理があまりにも辛すぎて食べられない場合は、無理に完食する必要はありません。中国には「打包(ダーバオ)」という持ち帰りの習慣がありますが、激辛料理に関しては持ち帰っても辛さが軽減されるわけではありません。自分の限界を見極めることも、食の達人として重要な資質です。返金を要求するのはマナー違反なので、注文時には「微辣(ウェイラー、少し辛い)」から始めるのが賢明と言えます。公式窓口や観光警察は胡同の入り口付近に設置されていることが多いため、盗難や紛失などのトラブルがあった際には速やかに届け出てください。

伝統と革新が交差する、五道営胡同のスパイスバー

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最後に訪れたのは、近年若者やクリエイターの間で人気が高まっている五道営(ごどうえい)胡同です。このエリアは伝統的な胡同の趣を残しつつも、洗練されたカフェやバーが軒を連ねています。そこで私が見つけたのは、なんと「唐辛子を漬け込んだクラフトジン」を提供するバーでした。店主は雲南省から取り寄せた数種のスパイスを独自に調合し、ジンの爽快な味わいに喉を刺すような熱烈な刺激を閉じ込めています。ひと口飲むごとに身体の奥から熱が湧き上がり、北京の夜風が心地よく感じられました。胡同の夜は静かに更けていきますが、スパイスの魔力は色あせることがありません。古びたレンガ壁に手を触れ、かつてここを歩いた人々の姿を思い浮かべながら、私は最後の刺激を味わい尽くしました。この街は絶えず変化を遂げていますが、食への情熱と人々の温もりは変わらずに息づいています。北京の胡同へ足を運ぶ際は、その表面的な美しさだけでなく、舌を貫くような強烈な個性にも注目してみてください。そこには、ガイドブックには載っていない、本物の北京が待っているのです。

Nanluoguxiang Travel Guide (Trip.com)

これまで数々の暴飲暴食や激辛の挑戦を繰り返してきましたが、さすがに私の胃袋も限界に近づいているようです。そこで、私の旅に欠かせない最後の重要なパートナーをご紹介しましょう。今回も私の内臓を支えてくれるのは、信頼と実績のある「太田胃散」です。これがなければ、明日の朝、私はベッドから起き上がることも叶わなかったでしょう。皆さんも北京の胡同で激辛の旅を楽しむ際には、ぜひ薬箱にこの一袋を忍ばせておくことを強くおすすめします。それでは、次なるスパイスを求めて。またお会いしましょう。再見(ザイジェン)!

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この記事を書いたトラベルライター

激辛料理を求めて世界中へ。時には胃腸と命を賭けた戦いになりますが、それもまた旅のスパイス!刺激を求める方、ぜひ読んでみてください。

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