東南アジアの中でも特に注目を集めるデスティネーション、ベトナム。その観光産業が力強い回復と成長を遂げていることが、最新の統計で明らかになりました。アフターコロナの国際旅行が本格化する中、ベトナムがなぜこれほどまでに旅行者を惹きつけているのか、その背景と今後の展望を探ります。
2025年上半期、訪問者数は約979万人に到達
ベトナム国家観光庁が発表したデータによると、2025年上半期(1〜6月)にベトナムを訪れた外国人旅行者数は、約979万人に達しました。これは前年の同じ時期と比較して20.7%増という驚異的な伸び率です。パンデミック前の2019年同期比でも11.2%増となり、ベトナム観光が完全に回復軌道に乗ったことを示しています。
特に6月単月では約161万人が訪問し、前月比で4.1%増加。この勢いは下半期に向けてさらに加速することが期待されています。
成長を支える背景:積極的な観光振興策
この目覚ましい成長の背景には、ベトナム政府による戦略的な観光振興策があります。
ビザ政策の大胆な緩和
最も大きな要因として挙げられるのが、ビザ政策の緩和です。2023年8月から、日本を含む主要な観光市場の国々に対するビザ免除での滞在期間が、従来の15日間から45日間に大幅延長されました。
さらに、電子ビザ(e-visa)の発給対象国を拡大し、滞在可能期間も90日間に延長。これにより、短期の観光客だけでなく、長期滞在を希望する旅行者や、周辺国と組み合わせた周遊旅行を計画する旅行者にとっても、ベトナムは格段にアクセスしやすい国となりました。
航空路線の回復と拡大
各国の航空会社がベトナムへの国際線を続々と再開・増便していることも、訪問者数増加を後押ししています。主要都市であるハノイやホーチミンだけでなく、ダナン、ニャチャン、フーコック島といった人気リゾート地への直行便も増え、多様な旅行ニーズに応えています。
主要市場からの力強い回復
国・地域別に見ると、韓国、中国、台湾、米国、そして日本が訪問者数の上位を占めています。特に、これまで回復が緩やかだった中国市場からの旅行者が大幅に増加しており、全体の数字を押し上げる大きな要因となっています。伝統的な友好国である韓国からの訪問者数も、引き続き高い水準を維持しています。
予測される未来と観光業界への影響
この好調なトレンドは、2025年下半期も続くと予測されています。ベトナム政府は2025年通年で2,000万人の外国人旅行者を受け入れるという高い目標を掲げており、上半期の実績はその達成に向けて順調な滑り出しと言えるでしょう。
経済への多大な貢献
観光客の増加は、ホテル、航空、飲食、小売といった関連産業に大きな経済効果をもたらします。地方都市においても新たな雇用が創出され、地域経済の活性化に大きく貢献することが期待されます。新しいホテルや観光施設の開発も進んでおり、旅行者にとっては選択肢の幅がさらに広がることになりそうです。
浮上する新たな課題
一方で、急速な観光客の増加は「オーバーツーリズム(観光公害)」という課題も生み出します。ハロン湾のような世界遺産や、ホイアンの旧市街といった人気観光地では、環境保全やインフラ整備が急務となります。
持続可能な観光(サステナブルツーリズム)を実現するため、ベトナム政府と観光業界は、旅行者の受け入れ体制の強化と、自然・文化遺産の保護を両立させるための取り組みを一層強化していく必要があります。
ベトナムは、その豊かな文化、美しい自然、そして人々の温かいもてなしで、世界中の旅行者を魅了し続けています。これからベトナムへの旅行を計画される方は、最新の情報をチェックしながら、この国の新たな魅力を発見する旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

