熱気あふれる東南アジアの中でも、ひとき्व個性を放つ国、ベトナム。美味しいグルメに心惹かれ、歴史的な街並みに魅了され、エネルギッシュな人々の活気に元気をもらう。そんなベトナム旅行の醍醐味の一つが、現地の人々と肩を並べて楽しむお酒の時間ではないでしょうか。
キンキンに冷えたローカルビール「ビアホイ」を片手に、賑やかな夜の街角で語らうひとときは、きっと忘れられない思い出になるはずです。しかし、文化や習慣が違えば、お酒のルールももちろん異なります。楽しいはずの時間が、知らなかったでは済まされないトラブルに繋がってしまうことも。
この記事では、ベトナムでお酒を心から満喫するために、旅行者が絶対に知っておくべき法律、現地のマナー、そして文化の背景までを、私の経験を交えながら徹底的に解説していきます。厳しい飲酒運転の罰則から、スマートな乾杯の作法、女性目線での安全対策まで、これさえ読めば準備は万端。さあ、ベトNAMのディープな夜へと繰り出す前に、一緒に知識を深めていきましょう。
また、ベトナムでの公共の場での喫煙に関する最新のルールやマナーについては、ベトナム旅行の喫煙ガイド完全版も合わせてご確認ください。
ベトナムのお酒事情の基本!まずはここから押さえよう

ベトナムの酒文化を語るうえで欠かせないのが、その圧倒的な存在感を放つビールです。まずは、ベトナムの人々がいかにビールを愛しているのか、そしてビール以外の伝統的な酒類にはどのようなものがあるのか、基本的なところから見ていきましょう。
世界でも有数のビール消費国、ベトナム
驚くかもしれませんが、ベトナムは世界的に見てもトップクラスのビール消費国です。街を歩くと、昼夜を問わずプラスチック製の低い椅子に腰掛け、ジョッキを手に笑顔で語り合う人々の姿をよく見かけます。そうした文化の中心にあるのが「ビアホイ(Bia Hơi)」と呼ばれるリーズナブルな生ビール文化です。
ビアホイとは、その日に醸造された非加熱の生ビールで、大きな樽から直接ジョッキに注がれます。驚くべきはその価格で、一杯数千ドン、日本円にして数十円という驚異的な安さで、新鮮で軽やかな味わいのビールを楽しめるのです。まさに「庶民のビール」と呼ぶにふさわしく、人々の交流を円滑にする欠かせない存在と言えるでしょう。
もちろん、ビアホイ以外にもベトナムには美味しいビールが豊富にあります。スーパーマーケットやコンビニエンスストアの棚には、多彩なブランドのビールがずらりと並んでいます。
ベトナムの代表的なビール銘柄
- 333(バーバーバー):南部を中心に親しまれている、ベトナムを代表するビールの一つです。少しコクのある味わいで、様々なベトナム料理とよく合います。
- Saigon Beer(サイゴンビール):ホーチミン市(旧サイゴン)発祥の銘柄で、緑のラベルの「サイゴンスペシャル」や輸出用の赤いラベル「サイゴンエクスポート」など、複数の種類があります。さっぱりとした飲み口で、暑い日にぴったりです。
- Hanoi Beer(ハノイビール):首都ハノイを拠点とするビールで、北部で高い人気を誇ります。キレのある爽快な喉ごしが特徴的で、ハノイを訪れた際にはぜひ味わってみたい一杯です。
- Huda(フダ):中部の古都フエで生産されているビール。デンマークのカールスバーグ社が技術協力をしており、ヨーロッパ風の洗練された味わいを楽しめます。
これらのビールはベトナムの気候に合わせてか、全体的に軽快でグイグイ飲めるタイプが主流です。氷を入れて飲む「ビア・ダー(Bia đá)」というスタイルも広く浸透しており、薄まることをあまり気にせず、とにかく冷たさを重視するのがベトナム流。現地の飲み方を真似て楽しんでみるのもおすすめです。
伝統的な酒「ルオウ(Rượu)」の世界
ビールのイメージが強いベトナムですが、古くから伝わる伝統的な蒸留酒も存在します。それが「ルオウ(Rượu)」と呼ばれる、米を原料にしたライスワイン(米焼酎)です。
ルオウは日本の焼酎や泡盛に似ていますが、種類は地域によってさまざま。北部ではもち米を使うことが多く、中部や南部では一般的な米を原料にして作られています。アルコール度数は30度から50度近いものまで幅広く、自家製のものも多く流通しています。
特に特徴的なのは、山岳民族に伝わる「ルオウ・カン(Rượu cần)」です。これは大きな壺に発酵した米と水を入れ、長い竹のストローで回し飲みをするという独特の飲み方で、儀式やお祝いの席でよく振る舞われます。もし機会があれば体験を通じてベトナムの深い文化に触れる貴重なチャンスとなるでしょう。
ただし、旅行者がルオウを試す際には多少の注意が必要です。市場などで売られている自家製のルオウは品質管理が行き届いていないこともあり、人体に有害なメタノールが含まれている粗悪品の存在も報告されています。安全に楽しむためには、信頼できるレストランや専門店で、きちんとラベル表示された製品を選ぶことを強くお勧めします。
ベトナムの飲酒に関する法律とルール【旅行者必読】
現地の文化に触れることは旅の楽しみの一つですが、その国の法律を遵守することは旅行者の最低限の義務です。ベトナムでの楽しい旅を実現するためにも、お酒に関する法律をしっかり理解しておきましょう。
飲酒可能な年齢は?
ベトナムでは、飲酒および酒類の購入が認められているのは18歳以上です。この規定は旅行者にも同様に適用されます。
ただし、実際にはレストランや店舗で年齢確認が求められることはあまりありません。見た目が明らかに未成年でなければ、パスポート提示を求められる場面はほとんどないでしょう。ただし、これはあくまで現地の慣習によるものであり、法律上は18歳未満の飲酒は禁止されています。未成年者が同行する場合は、大人も責任を持って注意することが必要です。
お酒はどこで買える?販売時間について
ベトナムでは、お酒の購入に困ることはほとんどありません。コンビニ、スーパーマーケット、個人経営の小さな店(タップホア)、そしてもちろんレストランやバー、ビアホイなど多様な場所で購入可能です。
さらに、日本のような深夜の販売制限は基本的に設けられておらず、24時間営業のコンビニであればいつでもお酒を買うことができます。ただし、都市部では騒音対策のため、バーやクラブの深夜営業に対する規制が強まる傾向があります。気になる店がある場合は、事前に営業時間を確認しておくと安心です。
公共の場で飲酒しても良い?
公園や路上など公共の場での飲酒は、やや慎重な対応が求められます。法律で明確に禁止はされていませんし、路上でビールを楽しむ人の様子もよく見かけます。特にビアホイでは、歩道に置かれたテーブルで飲むのが一般的な光景です。
とはいえ、どこで飲んでもよいわけではありません。寺院や教会などの宗教施設、ホーチミン廟など神聖視される場所、政府関連の建物周辺での飲酒は避けましょう。これは法的な問題だけでなく、文化や人々への敬意を欠く行為と捉えられます。
また、観光客が公園のベンチで騒ぎながら飲むような行動は、現地の人から敬遠される傾向にあります。トラブルを未然に防ぎ、気持ちよく過ごすためには、基本的にレストランやバー、ビアホイといった飲酒に適した場所で楽しむのが賢明で安全な選択です。
旅行者が公共の場で心がけたい行動
屋外でお酒を飲む場面があっても、節度ある振る舞いを意識しましょう。
- 大声を出さない: 周囲は日常生活を送る人々の空間です。特に夜間は静かに過ごすよう心がけましょう。
- ゴミは必ず持ち帰る: 空き缶やボトル、ゴミなどを放置することはマナー違反です。ベトナムの美しい街並みを汚さないよう、責任を持って処理しましょう。
- 周囲への配慮を忘れない: 地元の人々の生活圏にいることを意識し、不快感を与えないよう謙虚な態度で接することが大切です。
最大の注意点!飲酒運転の厳しい罰則

ベトナム旅行で最も注意すべきお酒に関連するポイントは、飲酒運転です。ベトナムでは2020年1月1日より、飲酒運転に対する罰則が世界でもトップクラスの厳しさに引き上げられました。この規則を知らなければ、思わぬ重大なトラブルに巻き込まれる危険があります。
血中アルコール濃度「ゼロ」が絶対条件
新法(政令100号/2019/ND-CP)の最大の特徴は、運転者に対する「ゼロ・トレランス(許容ゼロ)」の姿勢です。
これは自動車、バイク、電動自転車、さらには自転車を含むすべての車両の運転者に対し、わずかでもアルコールが体内に検出された場合、即座に違反と見なされる非常に厳格な規定です。たとえ「一杯だけだから」「少し時間が経てば問題ない」と考えても、言い逃れは一切認められません。呼気や血液中のアルコール濃度が0.01mgを超えた時点で、法律違反となります。
この厳しい措置の背景には、飲酒運転が引き起こす悲惨な交通事故の多発という社会問題があります。政府はこの問題に真剣に取り組み、今回の厳しい法律の制定に至りました。在ベトナム日本国大使館も交通安全に関する注意喚起で、この飲酒運転に対する厳罰化について詳しく触れています。
知らなければ済まされない!罰金の詳細
違反した際の罰則も非常に重く設定されています。旅行者が最も利用することが多いバイクと自動車のケースを例に挙げます。
- バイクの場合:
- 罰金額: 200万~800万VND(約12,000円~48,000円)
- 免許停止期間: 10ヶ月~24ヶ月
- 自動車の場合:
- 罰金額: 600万~4000万VND(約36,000円~240,000円)
- 免許停止期間: 10ヶ月~24ヶ月
ご覧のとおり、ベトナムの物価水準から見て非常に高額な罰金となっています。特に自動車の最高罰金は、現地の新卒初任給数か月分に相当する額です。これは飲酒運転を徹底的に撲滅したい政府の強い姿勢を示しています。
トラブルを避けるためにできる具体的な対策
では、このリスクを完全に回避するにはどうすればよいのでしょうか。答えは一つです。
「お酒を一口でも飲んだら、いかなる車両の運転も絶対に控える」
この点を徹底することが最も重要です。旅行者として、以下の行動をぜひ習慣づけてください。
- 配車アプリを最大限に活用する: ベトナムでは「Grab」や「Gojek」などの配車アプリが広く普及しています。スマートフォンさえあれば、いつでもどこでも気軽にバイクタクシーや自動車を呼べます。料金も事前に明確であり、ぼったくりの心配なく安心して利用可能です。飲酒の予定がある日は、往復ともに配車アプリ利用を前提に行動計画を立てましょう。
- 信頼のおけるタクシー会社を選ぶ: アプリ操作が難しい場合は、タクシー利用も有効です。ただし、街中の流しのタクシーにはメーターを使わない悪質なドライバーもいるため、「VINASUN(ビナサン)」や「MAI LINH(マイリン)」などの評判の良い大手タクシー会社を選ぶようにしましょう。
- グループ行動で「ハンドルキーパー」を決める: 友人同士でバイクをレンタルして遠出する場合は、必ずお酒を飲まない「ハンドルキーパー」を決め、安全に配慮したルールを作ると効果的です。
「ちょっとそこまで」と軽く考えることが、高額な罰金や免許停止、さらには重大事故へと直結する恐れがあります。ベトナムの交通状況は日本と大きく異なり、非常に複雑でリスクも高いのが実情です。自身と周囲の安全を守るためにも、飲酒運転は決して許されない行為であることを強く心に留めてください。
ベトナムのお酒の持ち込み・持ち出しルール(関税)
お気に入りのお酒をベトナムに持ち込んだり、あるいはベトナムの珍しいお酒を日本へのお土産にしたいと考えている方もいるでしょう。ここでは、その際に押さえておきたい関税に関するルールについてご説明します。
日本からベトナムへのお酒の持ち込みについて
ベトナムに入国する際、18歳以上の旅行者は以下の範囲内であれば、免税でお酒を持ち込むことが認められています。
- アルコール度数20度以上の酒類:1.5リットルまで
- アルコール度数20度未満の酒類:2.0リットルまで
- ビール:3.0リットルまで
(※これらのいずれか一種、または合計で規定の量まで)
例えば、日本のウイスキー(アルコール度数40%)700mlボトルを2本(合計1.4リットル)持ち込む場合は問題ありません。しかし、そこに加えて日本酒(アルコール度数15%)720mlを1本持ち込むと、別カテゴリーであっても上限を超える恐れがあるため注意が必要です。基本的には、各カテゴリーで上限を守ることが無難です。これらの情報は航空会社の公式サイトなどでも確認可能ですので、渡航前に最新情報をチェックすることをおすすめします。
もし免税範囲を超えて持ち込む場合は、税関で申告し、所定の関税を支払わなければなりません。申告しないと罰金や没収の対象となる可能性があるため、正しく申告しましょう。
ベトナムから日本へのお酒の持ち帰りについて
逆に、ベトナムから日本にお酒を持ち帰る際のルールについてです。ベトナム出国時の制限はそれほど厳しくない一方で、日本の税関で定められた免税範囲を順守する必要があります。
日本の酒類免税枠は、1本あたり760ml程度のものを3本までとなっています。
ベトナムには、ダラットワインや先述の多様な種類のルオウなど、お土産として喜ばれるお酒が豊富にあります。しかし、購入しすぎると日本の空港で高額な関税を支払うことになるため、お土産選びの際はこの3本以内の規定を意識しておくことが大切です。
持ち込み・持ち出し時の注意点と手続き
- 荷造りは丁寧に:お酒は割れ物です。預ける荷物に入れる際は、衣類やタオルでしっかり包むか専用の緩衝材を使って破損を防ぎましょう。ボトルが割れてしまうと、他のお土産まで台無しになる恐れがあります。
- 申告の準備を忘れずに:免税範囲を超えた場合は、日本の税関で「携帯品・別送品申告書」を正確に記入し、関税を支払います。支払いは現金またはクレジットカードが利用可能です。
- 成分不明なお酒に注意:市場などで購入した自家製ルオウなど、ラベルがなく成分表示が不明なお酒は税関で質問されることがあります。トラブルを避けるためにも、お土産は成分表示が明確な市販品を選ぶのが賢明です。
ベトナム流!お酒の席でのマナーと文化

法律やルールを身につけたら、次はいよいよ実践の段階です。ベトナムの人々とお酒を交わす際に知っておくと、より深いコミュニケーションが図れる現地のマナーや文化をご紹介します。
乾杯は何度も繰り返す!「モッ、ハイ、バー、ヨー!」
ベトナムの飲みの席で特に印象的なのが、明るく元気な乾杯の掛け声です。誰かがグラスを上げると、周囲の全員も一斉にグラスを持ち上げ、活気あふれる声が場を盛り上げます。
「Một, hai, ba, dô!」(モッ、ハイ、バー、ヨー!)」
これはベトナム語で「1、2、3、乾杯!(飲もう!)」という意味。この掛け声とともに、一斉にビールを飲み干したり、一口飲んだりします。日本の「とりあえず一杯」とは違い、ベトナムでは宴の最中にこの乾杯が何度も繰り返されます。最初は戸惑うかもしれませんが、すぐに慣れて思わず声を合わせたくなる不思議な魅力があります。
乾杯の際に気をつけたいマナーもいくつかあります。
- 目上の人には敬意を込めて: 年上や役職が上の方と乾杯する際は、自分のグラスの縁を相手のグラスより少し低い位置で合わせるのが礼儀です。これは敬意を表すための行動です。
- 両手でグラスを持つ: 特に目上の方からお酒を注いでもらう時や乾杯の場面では、両手でグラスを支えると、より丁寧で好印象になります。
お酌の文化とコミュニケーション
ジョッキで飲むビアホイのような場合は別ですが、瓶ビールを頼みグラスに注ぐスタイルの時は、日本と同様にお酌の文化があります。
グラスが空になりそうになると周囲の人が気づいて注いでくれることが多いです。特に年下が年上に、または男性が女性に(逆も同様に)お酌するのは自然なコミュニケーションの一環です。お酌してもらったら、「Cảm ơn(カムオン)」(ありがとう)と笑顔でお礼を伝えましょう。
また、自分から率先して周りのグラスに注ぐことも、親睦を深める良い機会となります。氷が溶けて味が薄ければ新しい氷を足すなどの細やかな気遣いは、相手に喜ばれることでしょう。
飲めない時の気まずくない断り方
ベトナムではお酒をすすめられたら飲むのが礼儀という考えが根強い部分もありますが、無理に飲む必要はまったくありません。飲めない場合やもう飲みたくない場合に、スマートに断る方法を知っておくと便利です。
- 簡単なベトナム語で伝える:
- 「Tôi không uống được rượu.」(トイ・コン・ウオン・ドゥック・ルオウ)→ お酒は飲めません。
- 「Tôi đủ rồi, cảm ơn.」(トイ・ドゥー・ロイ、カムオン)→ もう十分です、ありがとう。
- 理由を添える: 例えば「体調が良くない」「薬を服用している」といった具体的な理由を伝えると理解されやすいです。スマホの翻訳アプリを活用しても構いません。
- 乾杯には参加する: お酒を飲めなくても、乾杯の輪には積極的に加わりましょう。ソフトドリンクやお茶の入ったグラスを掲げ、「モッ、ハイ、バー、ヨー!」の掛け声に合わせることで、場の雰囲気を壊すことなく楽しめます。大切なのは「飲むこと」ではなく「コミュニケーションを楽しむ心」です。
旅行者が注意すべきお酒にまつわるトラブルと対策
楽しいお酒の時間ですが、旅行者を狙ったトラブルが起こりやすい場面でもあるため、注意が必要です。特に気をつけるポイントとその予防策を事前に把握しておくことで、リスクを大きく軽減できます。
ぼったくりに注意!料金が明確な店を選びましょう
観光客が多いエリアのバーやレストランでは、会計時のぼったくりが発生しやすいです。席に座ったら、まずメニューに料金が明示されているかどうかを確認しましょう。口頭で料金を伝えられたり、「時価」と記載されている店は避けるのが無難です。
注文時には、自分が頼んだ品の価格をしっかり覚えておくことが大切です。会計の際は必ずレシート(伝票)を受け取り、一品ずつ内容を確認する習慣をつけましょう。見覚えのないチャージ料(席料やサービス料など)が加算されていないか、注文した品数と合っているかをチェックし、誤りがあればその場で毅然と指摘してください。
【具体的な対策】
- 店選びを慎重に:入店前にGoogleマップや旅行情報サイトで口コミや評判を確認する。
- 料金表の確認:写真付きで料金が明示されたメニューがある店を選ぶ。
- 会計時の確認:レシートの明細を丁寧に見て、不審な点があれば支払う前に店員に確認する。
偽造酒や自家製酒の危険性
ベトナムでは、残念ながら偽物のお酒が流通していることがあります。特に高級輸入ウイスキーやワインを謳い、著しく安価で提供されているものには注意が必要です。粗悪なアルコールにすり替えられているケースもあり、健康被害のリスクがあります。
また、伝統酒「ルオウ」についても、市場などで売られているプラスチック容器に入った自家製品は衛生状態や品質に不安があります。メタノール中毒は重篤で、失明や死亡に至ることもあるため、好奇心で安易に試すのは避けましょう。
【具体的な対策】
- 異常に安い酒は警戒:相場とかけ離れた格安の高級酒は手を出さない。
- 信頼できる店舗で購入・飲酒:スーパーマーケットや評判の良いリカーストア、レストラン、バーを利用する。
- 自家製酒は避ける:安全性が不明な自家製酒は断るのが賢明。
女性が一人で飲む際の安全対策
私自身、一人旅でバーのカウンターで過ごす時間が好きですが、女性の一人飲みは特に注意が必要です。ベトナムは比較的治安が良いものの油断は禁物で、自身の安全を第一に考えましょう。外務省の海外安全ホームページで最新の治安情報が提供されているため、渡航前に一読することをおすすめします。
【具体的な安全対策】
- ドリンクから目を離さない:席を離れる際は飲み物を必ず持っていく、あるいは飲み干してからにしましょう。わずかな隙に睡眠薬などを混入される危険があります。
- 見知らぬ人からの酒には注意:親切に誘われても、知らない人からの飲み物はむやみに受け取らないのが安全です。断りにくい場合は飲まずに受け取るなどの対応を。
- 飲み過ぎに注意する:自分の限界を知り、判断力が鈍らない範囲で楽しむこと。冷静さを保つことがトラブル回避に繋がります。
- 帰宅手段を確保しておく:飲み始める前にホテルまでの帰り方を決め、スマートフォンの充電状態や配車アプリの使用準備を整えておきましょう。終電やホテルの門限も把握しておくこと。
- 危険を感じたら即座に離れる:不審に思ったり信用できないと感じたら、躊躇せずその場を離れましょう。直感を信じることがトラブルを未然に防ぐ鍵です。
【実践編】ベトナムでお酒を楽しむためのモデルプラン

知識を得たあとは、次にどこでどうやって楽しむかという具体的なプランを考えてみましょう。ここでは、ベトナムの二大都市であるハノイとホーチミンでのおすすめの飲酒スタイルをご紹介します。
ハノイ旧市街でビアホイ巡りを楽しむ
北部の首都ハノイに足を運んだら、ぜひ体験してほしいのがビアホイです。特に旧市街のターヒエン通り(Tạ Hiện)は、夜になると「ビアホイ通り」と呼ばれるほど多くのビアホイ店や観光客、地元の人々で賑わいます。
【行動の流れ】
- 店を探す:ターヒエン通りを歩けば、すぐに「BIA HƠI」と書かれた看板を見つけられます。店はどこも似た雰囲気ですが、地元の方々で混み合っているお店を選ぶのがコツです。
- 席に着く:空いているプラスチックの低い椅子に腰かけましょう。混雑時は相席になることもありますが、それもまた楽しみのひとつです。
- ビールを注文:店員さんがすぐ気づいて注文を取りに来てくれます。指を一本立てて「Bia Hơi」と伝えれば、一杯の生ビールが運ばれてきます。
- おつまみを頼む:ビールに合うおつまみも豊富です。定番の揚げ春巻き(Nem rán)、発酵ソーセージの素揚げ(Nem chua rán)、茹でピーナッツ(Lạc luộc)などが人気。メニューを指差して注文しましょう。
- 乾杯と交流:周囲のベトナム人から「ヨー!」と乾杯を求められることもしばしば。恥ずかしがらず、笑顔でグラスを合わせましょう。ここから国際交流が始まるかもしれません。
- 会計:帰る際には店員さんを呼んで「Tính tiền(ティン・ティエン)」と伝えます。飲んだジョッキや注文したおつまみを数えてすぐに計算してくれます。支払いは現金が一般的です。
ホーチミンのルーフトップバーで夜景を楽しむ
南部に位置する経済都市ホーチミンでは、ハノイとは異なり、洗練されたおしゃれな夜のひとときを過ごすのがおすすめです。高層ビルの屋上にあるルーフトップバーからは、煌めく夜景が一望でき、旅行の特別な思い出になること間違いありません。
【準備と楽しみ方】
- お店選び:「チル・スカイバー(Chill Skybar)」や「サイゴン・サイゴン・ルーフトップ・バー(Saigon Saigon Rooftop Bar)」など、名高いバーが多数あります。予算や好みに合わせて、事前にネットで調べておきましょう。
- 服装のポイント(ドレスコード):これらのスタイリッシュなバーにはドレスコードが設定されていることが多いです。ビーチサンダルやショートパンツ、タンクトップなどのカジュアル過ぎる服装では入れない場合もあります。女性は少し華やかなワンピース、男性は襟付きシャツと長ズボンの「スマートカジュアル」を意識すると安心です。旅先の荷物に一着、きれいめの服を用意しておくと役立ちます。
- 予約:人気の店や週末は混雑しやすいため、確実に席を確保したい場合はウェブサイトや電話で事前に予約しておくのが得策です。
- 注文:カクテルの種類は豊富で、ベトナム産のフルーツを使ったオリジナルカクテルを試すのも楽しみのひとつです。価格はビアホイに比べると高めですが、その空間と夜景の価値は十分にあります。
持ち物と準備リスト
ベトナムで夜のお酒を楽しむ際にあると便利なアイテムをまとめました。
- 現金:ビアホイやローカルな食堂ではクレジットカードが使えないことが多いため、小額紙幣を多めに準備しておくと支払いがスムーズです。
- スマートフォン&モバイルバッテリー:地図アプリによる場所の確認や翻訳アプリでのコミュニケーション、配車アプリでの安全な帰宅手段の確保に必須です。充電切れはトラブルのもとになります。
- ウェットティッシュ:ローカルなお店ではおしぼりが出ない場合もあるため、衛生面を考え持ち歩くと便利です。
- 二日酔い対策の薬:慣れないお酒や楽しい雰囲気でつい飲みすぎることもありますので、日本から飲み慣れた薬を持参すると安心です。
- 少しおしゃれな服:上述の通り、ルーフトップバーなど格式の高い場所に行く際のため、一着用意しておくと便利です。
- クレジットカード:高級レストランやバーで使えるケースが多く、多額の現金を持ち歩く必要がなくなります。
お酒のトラブルに遭ってしまったら?緊急連絡先と対処法
万全の備えをしていても、予期しないトラブルに巻き込まれる可能性はゼロではありません。万一の事態に備え、冷静に対応できるよう緊急連絡先や対処法をしっかり頭に入れておきましょう。
まずは落ち着いて状況を確認
慌ててしまっても状況が良くなることはありません。まずは深呼吸をして、自分の安全を最優先に確保しましょう。盗難に遭ったのか、不当な料金を請求されているのか、あるいは急に体調が悪くなったのか、冷静に現状を見極めてください。
緊急連絡先一覧
緊急時にすぐ連絡が取れるよう、以下の番号をスマートフォンに登録するか、メモをとって常に携帯することをおすすめします。
- 警察: 113
- 救急車: 115
- 消防署: 114
さらに、パスポートの紛失や盗難など、深刻なトラブルに直面した際は、日本の在外公館が頼りになります。
- 在ベトナム日本国大使館(ハノイ)
- 電話番号: 024-3846-3000
- 在ホーチミン日本国総領事館
- 電話番号: 028-3933-3510
これらの番号はあくまで緊急用です。日常的な相談などで不用意に利用することは控えましょう。
海外旅行保険の活用方法
海外旅行の際は、必ず海外旅行保険に加入しておくことが重要です。クレジットカード付帯の保険もありますが、補償内容が十分かどうかを事前にしっかり確認してください。
- 盗難・紛失時: 盗難に遭った場合、保険で補償を受けるには現地警察の発行する盗難証明書(ポリスレポート)が必須です。手続きは面倒ですが、必ず警察へ届け出て証明書を取得しましょう。
- 病気・ケガ: 急な体調不良や事故で病院を受診する際、ベトナムの医療費は外国人旅行者には高額になることもあります。保険に加入していれば、キャッシュレスでの治療が可能な提携病院を紹介してもらえる場合もあります。まずは保険会社の24時間対応日本語アシスタンスに連絡し、指示を受けましょう。
保険会社の連絡先や証券番号は、スマートフォンに写真を撮っておくか、紙に控えて別に保管しておくなど、すぐに取り出せる状態にしておくと、いざというときに迅速に対応できます。
ベトナムでのお酒の時間は、この国の文化や人々の温かさを身近に感じられる貴重な機会です。注意すべき点や厳しいルールも多く紹介しましたが、これらはすべて、安全にそして心から旅行を楽しむための大切な知識です。しっかり準備し、現地のマナーを尊重すれば、ベトナムの夜はきっとあなたの旅に彩り豊かな思い出を添えてくれます。どうぞ素敵なベトナムの夜を、モッ、ハイ、バー、ヨー!

