ざわめく日常を少しだけお休みして、まだ誰も知らない場所へ旅に出たい。そんな衝動に駆られたことはありませんか? アパレル企業で働く私の毎日は、トレンドの波に乗り、常に新しいデザインを追いかける刺激的な日々。でも、時々ふと、心が空っぽになるような感覚に襲われることがあるんです。そんな時、私の心と体を満たしてくれるのは、いつだって「旅」。
多くの旅人がダナンやニャチャンを目指す中、私が今回、心を奪われたのはベトナム中部にひっそりと佇む街、トゥイホア(Tuy Hòa)。フーイエン省の省都でありながら、その名前を知る人はまだ多くありません。だからこそ、ここには手つかずの自然と、素朴で温かいベトナムの日常が、そのままの姿で息づいているのです。
そこは、まるで地球が隠し持っていた秘密の宝石箱のような場所。紺碧の海に突き出す奇岩群、ベトナムで一番早い日の出、そして人々の優しい笑顔。私の旅は、このトゥイホアで、忘れられない感動と、心の奥底から震えるような発見に満ちたものになりました。
このページをめくるあなたも、きっと次の旅先を探しているはず。もし、ありきたりな観光地では物足りない、自分だけの特別な物語を見つけたいと願うなら、ぜひ私と一緒に、トゥイエンの魅力を巡る旅に出かけましょう。きっと、あなたの心の琴線に触れる何かが、ここで待っているはずだから。
なぜ今、トゥイホアなのか? 喧騒を離れ、本当のベトナムに出会う旅

ベトナム旅行と言えば、多くの人がダナンのリゾートやホイアンのランタン、ニャチャンの賑やかなビーチを思い描くことでしょう。もちろん、これらの都市も魅力にあふれています。しかし、私が旅に求めるのは、もう少し静かで個人的な時間。観光客向けに作られた表面的な顔ではなく、その土地が持つ本来の姿に触れたいのです。
トゥイホアは、まさにそんな私の願いを叶えてくれる場所でした。ダナンやニャチャンが最新の華やかなショーウインドウだとすれば、トゥイホアは上質な素材で丁寧に仕立てられた、知る人ぞ知るオートクチュールの一着のような存在。まだ観光化が進んでいないからこそ、ここには手つかずの宝石のような美しさが広がっています。
どこまでも続く海岸には、パラソルやビーチチェアは見当たりません。その代わりに、地元の漁師たちが使う小さな丸い舟「トゥン・チャイ」がゆったりと波に揺れている。そんな景色を一人占めできる贅沢感こそ、トゥイホアが届けてくれる最高のギフトなのです。
アクセスも以前と比べて大きく改善されました。トゥイホア空港(TBB)へはハノイやホーチミンから国内線が就航しており、少し足を伸ばせばクイニョン空港(UIH)からもアクセスできます。以前は「旅の上級者向け」とされていたこの地が、今まさに静かにその扉を開け始めています。世界がその魅力に気づく前に、この穏やかな美しさを体感しに行くなら、まさに「今」がそのタイミングだと、旅人としての直感が告げています。
この街では、時間がゆったりと流れていきます。バイクのクラクションの代わりに波の音を聞き、高層ビルのネオンの代わりに満天の星空を見上げる。そんな、人が本来持っていた豊かな時間を取り戻す旅が、ここトゥイホアでは叶うのです。
息を呑む絶景の連続!トゥイホアで絶対に見逃せない観光スポット

トゥイホアの魅力は、やはりその圧倒的な自然のドラマティックさにこそあります。まるで熟練の画家が地球というキャンバスに大胆かつ繊細な筆を走らせたかのような、力強くも繊細な景観の数々。私がこの地で体験した、心に深く刻まれた絶景スポットを、当時の感動とともにご紹介いたします。
地球が刻んだ彫刻、ガン・ダー・ディア(Ganh Da Dia)
トゥイホアの旅において、絶対に外せないスポットがここ、ガン・ダー・ディアです。日本語では「切り石の崖」と訳されるこの地は、自然が生み出した驚異のアートそのものと言えます。
市街からバイクで約1時間。のどかな田園風景を抜けた先に、突如姿を現します。海岸線に沿って、まるで人の手で意図的に並べられたかのような六角形の石柱が無数に敷き詰められているのです。黒く光沢を放つこれらの石柱は、亀の甲羅のようにも巨大な蜂の巣のようにも見え、その規則的で幾何学的な美しさは人の手をはるかに超えるスケール感で、ただただ圧倒されます。
この独特な地形は、火山の溶岩流が海水に急激に冷やされて形成された柱状節理(ちゅうじょうせつり)という現象です。科学的な説明を聞いてもなお、目の前の景色が醸し出す神秘性には言葉を失いました。私は靴を脱ぎ、冷たい石柱の上に素足を乗せてみました。足裏から伝わる、数万年の時を経てここに息づく大地の感触。波が石の隙間で砕けて飛沫を上げ、その音はまるで地球の息遣いのように感じられました。
ここを訪れるなら、日の出か夕暮れ時を強くおすすめします。オレンジの光が石柱をドラマチックに照らし、光と影のコントラストが、この場所の立体感を一層際立たせるのです。カメラを構えればどこを切り取っても絵になりますが、ほんの数分でもファインダーを離して、この壮大な自然芸術を五感で味わってみてください。
旅のポイント:ガン・ダー・ディアを満喫するために
- アクセス方法:トゥイホア市からはタクシーやGrabが最も手軽です。料金は交渉制になることもありますが、片道約40万〜50万VND(約2,400〜3,000円)が目安。時間に縛られず自由に動きたい方はレンタルバイクも選択肢に。ただし、ベトナム特有の交通状況に慣れていることが前提です。
- 持ち物と準備:岩場は非常に滑りやすいため、グリップの効いたスニーカーやスポーツサンダルが必須。ヒールや滑りやすい靴は避けましょう。遮るものがほとんどないため、帽子、サングラス、日焼け止めを忘れずに。飲料水も必携です。
- 服装について:特別な服装規定はありませんが、動きやすく汚れてもいい服装が適しています。
- 注意点:美しい景観を守るためゴミは必ず持ち帰りましょう。岩の上を歩く際は足元に注意し、特に波打ち際は滑りやすいので無理はしないでください。自然への敬意を忘れずに訪れてください。
ベトナム最東端で見る朝日、ダイラン岬(Mui Dien)
「ベトナムで一番早く朝日が見られる場所だよ」──ホテルのスタッフが微笑みながらそう教えてくれたのが、このダイラン岬でした。その言葉に背中を押され、まだ暗い午前4時にアラームをかけました。眠い目をこすりつつ、予約したタクシーに乗って、漆黒の闇を切り裂くように岬へと向かいます。
岬のふもとに到着すると、空がほんのり白み始めています。灯台までは緩やかな坂道と階段が続きます。ひんやりとした朝の空気、鳥の囀り、徐々に輪郭を帯びる周囲の風景。灯台へ続く道はどこか聖地への巡礼のようで、息を切らしながら丘の上にたどり着くと、目の前の景色に思わず声を失いました。
果てしなく広がる水平線の彼方が、燃えるようなオレンジ色に染まり始めます。そしてその一点から、眩い光がゆっくりと、それでいて力強く姿を現しました。ベトナム本土の誰よりも早く、この太陽の恵みを浴びる──その特別な瞬間を感じずにはいられませんでした。
昇る太陽は海面に黄金の道を描き、身体と心をじんわりと温めていきます。日常の悩みや不安がこの神聖な光の中で溶けていくような、言葉にし難い清らかな感覚。静かに、新たな一日が始まる奇跡を見つめていると、自然と涙が込み上げてきました。この感動のためだけにトゥイホアを訪れる価値があると心から確信しました。
灯台のふもとにはモン・ビーチ(Bai Mon)という美しい砂浜が広がります。日の出を堪能したあとは、ぜひまだ誰もいない朝のビーチを裸足で歩いてみてください。その時間はかけがえのない贅沢なひとときとなるでしょう。
旅のポイント:最高の朝日を体験するために
- 事前準備とタイムスケジュール:日の出時刻は季節により異なるため、事前に必ず確認してください。トゥイホア中心部からダイラン岬までは車で約40分〜1時間。日の出に間に合うよう、前日までにタクシーを予約するのが安心です。往復料金は60万〜80万VND(約3,600〜4,800円)が相場。運転手には日の出を見て戻るまで待ってもらうようお願いしておきましょう。
- 必要な持ち物:日の出前は真っ暗なため、足元を照らす懐中電灯やスマホライトが必須。早朝は肌寒くなることもあるため薄手の羽織ものを用意しましょう。もちろん、感動の瞬間を写真に収めるカメラも忘れずに。
- 入場料について:灯台周辺のエリアには入場料が必要です。料金は約2万VND(約120円)で、チケット売り場にて現金で支払います。
- 最新情報の確認:季節ごとの日の出時間やイベント情報は、フーイエン省公式観光ポータルサイトでチェックすることをおすすめします。ベトナム語ですが翻訳機能でおおよその内容がわかります。
天に手を伸ばす祈りの塔、ニャンタワー(Thap Nhan)
トゥイホアの象徴として、ダーラン川沿いの小高い丘に佇むニャンタワーは、かつてこの地域を支配したチャンパ王国の遺跡で、11世紀ごろに造られました。赤レンガを積み上げた塔は、長い歳月を経てもなお、その優雅で力強い佇まいを保っています。
夕暮れ時、静かに丘を登って塔の前に立った私を迎えたのは、西日に照らされた彫刻の細やかな美しさが、神秘的な赤色に輝く光景でした。ヒンドゥー教の影響を受けた独特の建築様式は、ベトナム他地域ではなかなか見られない希少なもの。塔の周囲には穏やかな空気が漂い、地元の人たちが散歩や談笑を楽しむ憩いの場所となっています。
私が特に惹かれたのは、丘の上から見渡すトゥイホアの街並みです。眼下をゆったり流れるダーラン川、その向こうに広がる街。夕暮れが闇に変わる頃、ぽつりぽつりと街灯が灯る様は、まるで地上に現れた天の川のようでした。遠くのバイクの音や人々の暮らしの声が心地よいBGMとなって耳に届きます。
特別なアトラクションは何もありませんが、この丘の風を感じながら歴史の重みを噛み締め、人々の営みに思いを馳せるひとときこそが、旅の中で得られる貴重な宝物に思えました。過去と現在が重なり合うこの場所で、トゥイホアの穏やかで優しい魂に触れた気がしました。
旅のポイント:ニャンタワーで過ごす静かな時間
- アクセス:市街中心部から非常に近く、タクシーやGrabで数分。天気が良ければ散策がてら歩くのも気持ち良いでしょう。
- 服装マナー:ニャンタワーは聖なる場所とされます。訪問時はタンクトップやショートパンツなど過度な肌の露出は避け、肩や膝を覆う敬意ある服装を心がけてください。これはベトナムの寺院や遺跡訪問時の基本的マナーです。
- おすすめの時間帯:特に夕暮れ時から夜にかけてがおすすめです。夕日に染まる塔の美しさとともに、ライトアップされた幻想的な夜景も楽しめます。
隠れたエメラルドの宝石、バイセップ(Bai Xep)
「ここはあの映画のロケ地なんだ」。現地で出会った若者が興奮しながら教えてくれたのがバイセップ。話題の映画『草原に黄色い花を見つける(Tôi Thấy Hoa Vàng Trên Cỏ Xanh)』の象徴的なシーンの舞台として知られ、今やフーイエン省を代表する景勝地の一つになっています。
それでも、バイセップはなお静かで、素朴な美しさを失ってはいません。駐車場から細い小道を抜けると目の前に広がる景色は夢のよう。左側にはサボテンの生い茂る緑の丘が海へと突き出し、右側には白砂のビーチとエメラルド色の海。両者の鮮やかなコントラストは、まるでひと幅の完璧な絵画のようでした。
私はまず丘へと続く小径を登りました。足元には可憐な野花が咲き、潮風が心地よく頬をなでます。頂上から見渡す景色はまさに圧巻。波が白いレース模様を描き、遠くに漁船が浮かぶ光景は、映画の少年たちがここで駆け回り未来を夢見た情景が目に浮かぶようでした。ノスタルジックで優美、ロマンチックな空間です。
丘を降りてビーチを歩くと、きめ細かな砂が素足に心地よく、訪れる観光客も少ないため、ほぼプライベートビーチの感覚。しばし波打ち際に座り、ただ海を眺めるだけで心が洗われるようでした。華やかさはないけれど、心にじんわりと染みわたる、温かみのある美しさがここにはあります。
旅のポイント:映画の主人公気分を味わうために
- アクセス:トゥイホア市内から南へ約13km。タクシーやGrabで20〜30分。ガン・ダー・ディアやダイラン岬とは方向が異なるため、1日で複数巡る場合はルートをよく計画してください。
- 持ち物:ビーチ遊びなら水着、タオル、日焼け止めは必須。丘の上は日陰が少ないので帽子も忘れずに。周辺の飲食店や売店は限られるので、飲み物や軽食は持参すると安心です。
- 注意点:この貴重な自然を守るため、ゴミは必ず持ち帰りましょう。サボテンには鋭い棘があるため、丘を歩く際は十分気をつけてください。
トゥイホアの魂を味わう!絶品ローカルグルメ紀行

旅の楽しみは単なる風景だけに留まりません。その土地の空気を感じ、地元の味覚を味わうことで、旅の体験はより深く、豊かなものになるのです。トゥイホアには、この地特有の、力強くも優しい味わいの料理が数多く存在していました。見た目のインパクトに驚き、その素朴な美味しさに心が和み、私の胃袋と心を一気に掴んだ絶品ローカルフードをご紹介します。
海の恵みがぎゅっと詰まった一杯!マグロの目玉スープ(Mat ca ngu dai duong)
トゥイホアの食文化を語る上で絶対に外せない料理が、「マグロの目玉スープ」です。名前だけで少し戸惑う方もいるかもしれませんが、私も初めは正直なところ、少し躊躇しました。しかし、旅の醍醐味は未知との出会い。勇気を持って注文したその一杯は、私の食の常識を大きく覆す衝撃と感動をもたらしてくれました。
小さな土鍋でグツグツと煮えたぎる状態で運ばれてくるスープの中には、こぶし大ほどもある巨大なマグロの目玉がどんと鎮座しています。その迫力ある見た目は圧巻としか言いようがありません。しかし、恐る恐るスプーンですくってスープを口に含むと、奥深い旨みが広がります。漢方の生薬や野菜と共にじっくり煮込まれたスープは、魚の生臭さが微塵もなく、滋味あふれる味わい。体の隅々に染み渡るような優しさを感じさせてくれます。
主役の目玉は、ゼラチン質の部分がぷるぷるで、まさにコラーゲンたっぷり!美容にも良いと聞くと、試さずにはいられませんよね。目の周りの筋肉は歯ごたえがしっかりしていて、これもまた美味しい。添えられたハーブやライムを加えながら味わうと、風味が変化して最後まで飽きずに楽しめます。
この料理は、フーイエン省がベトナム有数のマグロ漁獲地であることから生まれた郷土料理。見た目のインパクトのみならず、海の恵みを余すことなく味わう、漁師町ならではの知恵と愛情が詰まった一皿なのです。
旅のヒント:マグロの目玉スープにチャレンジ!
- おすすめ店:市内には専門店がいくつかありますが、地元客に人気の「Bà Tám」が特に有名です。店頭に「Mắt cá ngừ đại dương」と書かれた看板を探してみてください。
- 注文方法:メニューが読めなくても、この料理は看板メニューなので、指差しで簡単に注文可能。価格は一杯あたり7万VND(約420円)前後です。
- 食べ方のポイント:はじめにスープそのものの味を味わい、その後でライムを絞ったり、香草をたっぷり加えて味の変化を楽しみましょう。辛いものが好きな方は唐辛子を入れても美味しいです。
朝食の定番!鶏飯(Com Ga Phu Yen)
ベトナム全国で親しまれているコムガー(鶏飯)ですが、ここフーイエンのコムガーは一味違った特別な美味しさがありました。一見すると茹で鶏とご飯というシンプルな組み合わせですが、その一口一口に丁寧な仕事とこだわりが感じられます。
フーイエン風コムガーの特徴は何よりまずご飯。鶏一羽を丸ごと煮出した出汁で炊き上げられたご飯は、美しい黄金色に輝き、鶏の旨みが一粒一粒にしっかりと染み渡っています。粒はパラパラしつつも、口に含むとしっとり。これだけでいくらでも食べられそうな美味しさです。
そして主役の鶏肉は、地鶏を使っているためか身が引き締まり、噛めば噛むほど深い味わいが広がります。鶏肉を、ヌックマム(魚醤)ベースの甘酸っぱい特製タレにつけて、ご飯とともに頬張る組み合わせはまさに絶品。シャキシャキの玉ねぎスライスや香草が良いアクセントとなり、さっぱりといただけます。多くの店では鶏出汁が効いた透き通る優しいスープも付いてきて、食の合間に飲むと心がほっと安らぎます。
朝、地元の人々に混じってこのコムガーを味わうひと時は、トゥイホアの生活に溶け込めたような、至福の体験でした。
旅のヒント:絶品コムガーを味わうために
- 店選びのポイント:朝の時間帯に地元の人で賑わう店は間違いなし。店先で鶏をさばく活気あるお店を探すと良いでしょう。「Cơm Gà Tuyết Nhung」などが地元でよく知られた人気店です。
- 注文のコツ:鶏の部位(もも肉か胸肉かなど)を選べる店もありますが、特に指定しなくても大丈夫です。
- 価格の目安:一皿4万~6万VND(約240~360円)と手頃。朝食や昼食にぴったりの価格帯です。
もちもち食感が魅力の!バインベオ(Banh Beo Chen)
ベトナム中部の古都フエの名物としても知られるバインベオですが、トゥイホアでいただくバインベオもまた格別です。米粉を水で溶いて蒸したお餅のような料理で、トゥイホアでは「チェン(Chen)」と呼ばれる小さな醤油皿のような器に一つずつ入って提供されるスタイルが主流です。
テーブルにずらりと並ぶ小さな器の数々はその見た目の愛らしさにまず心が躍ります。真っ白でなめらかな蒸し生地の上に、エビのふりかけやカリカリに揚げた豚皮やパン、さらにネギ油が色鮮やかにトッピングされています。
食べ方はとてもシンプル。各器にヌックマムベースの甘辛いタレを直接かけ、小さなスプーンですくっていただきます。口に入れるとまずもちもち、ぷるんとした食感が広がり、そこにエビの香ばしさ、揚げ物のサクサク感、ネギ油の香り、甘辛いタレが絶妙に絡み合い、幸せな味わいが口いっぱいに広がります。
一つひとつが小ぶりなので、ついつい次々に手が伸びる魔法のようなスナック。小腹が空いた時のおやつや、食事の前の前菜としてもぴったりです。道端の屋台で地元の人と一緒に小さな椅子に腰掛けて味わうバインベオは、トゥイホア旅行の忘れがたい思い出のひとつになりました。
旅のヒント:バインベオを気軽に味わうために
- 食べ方のポイント:卓上にあるタレを自分の好みの量でかけて食べましょう。辛味の効いたタレもあるので入れすぎに注意です。
- 注文単位:通常10個や20個単位で注文し、食べ終わった器の数を数えて会計するシステムが多いです。
- 価格の目安:10個で2万~3万VND(約120~180円)と非常にリーズナブル。気軽に挑戦しやすいのも魅力です。
旅をもっと快適に!トゥイホア滞在 実用ガイド

未知の土地への旅は、期待に胸が躍る一方で、少しの不安も感じるものです。しかし、しっかりと事前準備を行えば、トゥイホアの旅はより快適で充実したものになるでしょう。ここでは、アクセス方法から市内の移動手段、安全対策に至るまで、旅の計画に役立つ実践的な情報をお届けします。
アクセス方法:トゥイホアへ羽ばたく道
トゥイホアにはまだ国際線が就航していないため、日本から訪れる際はベトナムの主要都市で乗り換えるのが一般的です。
- 航空でのアクセス: 通常、日本の主要空港からハノイやホーチミンへ飛び、そこから国内線に乗り換えてトゥイホア空港(TBB)へ向かいます。ベトナム航空やベトジェットエアがハノイ・ホーチミンからトゥイホアへの便を毎日運航しており、所要時間は約1時間30分から2時間です。航空券は早めに予約すれば往復1万円以下で手に入ることもあります。
- Do情報(航空券の手配): 航空券の予約は、ベトナム航空をはじめとする公式サイトや、スカイスキャナーやGoogleフライトなどの比較サイトを活用すると、お得なチケットを見つけやすくなります。
- 空港から市内へのアクセス: トゥイホア空港は市内中心部から約10kmの距離にあり、出口にはタクシーが常駐しています。料金はメーター制で、市内まではおよそ15万VND(約900円)が目安です。配車アプリのGrabも利用可能ですが、空港での乗車場所に指定がある場合が多いため、アプリの案内に従いましょう。
- 陸路でのアクセス: 時間に余裕がある場合は、近隣都市からの列車やバスの旅もおすすめです。特にニャチャン、クイニョン、ダナンからは、統一鉄道(南北線)や長距離バスが利用可能で、車窓に広がるベトナムの田園風景や美しい海岸線を楽しめるのが魅力です。
市内の交通手段:自由にトゥイホアを満喫しよう
トゥイホアの市内は比較的コンパクトですが、郊外にあるガン・ダー・ディアやダイラン岬などの観光スポットへ行くには、何らかの移動手段が必要です。
- Grab(配車アプリ): ベトナムの都市部で欠かせない配車サービスGrabは、トゥイホアでも車(GrabCar)やバイク(GrabBike)が利用でき、とても便利です。アプリで目的地を指定すれば料金が事前に確定し、言語の壁や料金交渉の心配がなく安心して利用できます。特に女性の一人旅には、ドライバー情報が記録されるため安全面で安心感があります。
- Do情報(Grabの準備): 日本出発前にスマートフォンにGrabアプリをインストールし、クレジットカード情報を登録しておくと、現地到着後スムーズに使えます。さらに、ベトナム用のSIMカードやWi-Fiルーターを準備することも忘れないでください。
- タクシー: Grabがつかまりにくかったり、スマートフォンが使えない場合はタクシーを利用しましょう。トゥイホアでは、緑色の車体のマイリン(Mai Linh)タクシーや白色のビナサン(Vinasun)タクシーが信頼性が高くおすすめです。乗車時には必ずメーターが作動しているか確認してください。
- レンタルバイク: 自由度を求めるなら、レンタルバイクが頼もしい相棒になります。1日あたり10万〜15万VND(約600〜900円)ほどで借りられ、自分のペースで好きな場所へ立ち寄れます。ただし、ベトナムの交通ルールは日本と大きく異なり、交通量も多いため、運転には十分な注意が必要です。運転に不安がある方や海外での運転経験が乏しい方には、あまりおすすめできません。
- Do情報(レンタルバイクの注意点): バイクレンタル時は、ヘルメットの着用が法律で義務付けられています。バイクの状態(ブレーキ、タイヤ、ライトなど)を入念にチェックし、契約書の内容をしっかり理解した上でサインしましょう。また、国際運転免許証を携帯することも忘れずに。
宿泊施設の選び方:旅の拠点となる場所はどこに?
トゥイホアでは、旅のスタイルや予算に合わせて多彩な宿泊施設から選べます。
- ビーチフロントのリゾート: 海辺にはプライベートビーチやプールを備えたリゾートホテルが点在しています。中でも「Stelia Beach Resort」や「VietStar Resort & Spa」は、美しい景観と充実した施設で優雅な滞在を希望する方にぴったりです。波の音で目覚め、日中はプールサイドでゆったりと読書を楽しむ贅沢な時間を味わえます。
- 市内のシティホテル: 市の中心部には、清潔かつ機能的なシティホテルが多く、レストランやカフェ、市場へのアクセスも良好です。街歩きを満喫したい方に適しており、料金も1泊3,000円〜7,000円程度と手頃で、予算を抑えたい旅に最適です。
- 予約のポイント: 宿泊予約は、Booking.comやAgodaなど大手の予約サイトの利用が一般的です。口コミや写真を参考に、自分の旅のイメージに合ったホテルを探しましょう。特に観光シーズンは混雑しやすいため、早めの予約がおすすめです。
安心の女性一人旅を叶える安全対策と心構え
トゥイホアはベトナムの他都市に比べて治安が良く、人々も温和です。私自身も滞在中に危険を感じたことは一度もありませんでした。ただし、海外であることには変わりないため、基本的な安全対策を心掛けることで、より安心して旅が楽しめます。
- 貴重品管理(スリ・置き引き対策): 世界のどこへ行っても共通することですが、貴重品は常に厳重に管理しましょう。バッグは体の前に抱え、人混みでは特に気を付けてください。パスポートや大量の現金はホテルのセーフティボックスに預け、持ち歩く現金は必要最小限に抑え、複数の場所に分散しておくとリスクを減らせます。
- 夜間の行動: 治安は良好ですが、夜に一人で暗い路地を歩くのは避けましょう。夜の移動はGrabや信頼できるタクシーを利用するのが賢明です。
- 服装への配慮: ビーチリゾートでは開放的な服装も楽しめますが、寺院や遺跡、ローカル市場を訪れる際は、現地文化への敬意を示し過度な露出は控えましょう。薄手のカーディガンやストールを持っていると、体温調節はもちろん、急な肌隠しにも便利です。
- トラブル時の対応:
- パスポート紛失: 万が一紛失や盗難に遭った場合は、最寄りの警察署で紛失証明書を取得し、その後ハノイまたはホーチミンにある日本国総領事館・大使館で再発行の手続きを行ってください。
- クレジットカード紛失: すぐにカード会社の緊急窓口へ連絡し、カードの利用停止を依頼しましょう。海外旅行前にカード番号や緊急連絡先を控えておくことが大切です。
- 海外旅行保険: 病気やケガ、盗難など不測の事態に備え、必ず海外旅行保険に加入してください。キャッシュレス診療に対応した医療機関と提携している保険を選ぶと、さらに安心です。
- 公式情報の活用: 緊急連絡先や最新の安全情報は、在ベトナム日本国大使館の公式ウェブサイトをブックマークしておくと役立ちます。
トゥイホアの旅が教えてくれた、本当の豊かさ

トゥイホアでの時間を終え、帰りの飛行機から徐々に遠ざかる海岸線を眺めていると、出発前とは比べものにならないほど心が豊かに満たされていることに気づきました。
その感覚は、高級ブランドのバッグを手に入れたときの高揚感や、仕事で成功を収めたときの達成感とは異なる種類の豊かさでした。ベトナム最東端の岬で浴びた、すべてを清めるかのような朝日の光。何万年もかけて形作られた奇岩の上に立ち、地球の鼓動を感じた瞬間。地元の人々と肩を並べて味わった、飾り気はないけれど心のこもった一皿のコムガー。
トゥイホアの旅は、「何を所有するか」ではなく、「何を感じ取るか」が人生をどれほど豊かにするかを教えてくれました。
観光客で賑わう有名なビーチではなく、地元の子供たちが無邪気に遊ぶ静かな砂浜こそが、本当の贅沢なのだと知りました。言葉が通じなくても、笑顔と優しいまなざしだけで人と人は心を通わせることができること。そして、慌ただしい日常から少し離れて、ただ自然のなかに身を委ねるだけで、心がこれほど穏やかになるのだということ。
この旅は、私の価値観にほんの少し変化をもたらしたように思います。次に私がデザインする服は、もしかするとトゥイホアの海の色や夕焼けの空の色から着想を得るかもしれません。
もしあなたが、日々の喧騒に少し疲れを感じているなら。もし、まだ誰も知らない自分だけの特別な場所を探しているなら。次の休暇には、ベトナム中部のこの隠れた宝石、トゥイホアを目指してみてはいかがでしょうか。
ガイドブックには載っていない、あなた自身の感動の物語がきっとそこで待っています。旅の準備はすでに始まっています。さあ、次はあなたの番です。






