現在、アメリカ全土の空港でフライトの遅延や欠航が相次ぎ、旅行者に深刻な影響が広がっています。感謝祭の大型連休を前にしたこの混乱の背景には、連邦政府機関の一部閉鎖があります。これにより、空の安全と円滑な運航を支える航空管制官や運輸保安庁(TSA)の職員が不足し、アメリカの航空システムが麻痺状態に陥りつつあります。
なぜ空港の混乱は起きているのか?
今回の混乱の直接的な原因は、連邦政府の予算案が議会で可決されず、政府機関が一部閉鎖に追い込まれたことです。これにより、国家の安全保障に不可欠とされる職員は無給での勤務を強いられています。航空業界において、特に影響を受けているのが以下の二つの職種です。
航空管制官(ATC)の不足とフライト制限
航空管制官は、連邦航空局(FAA)に所属する連邦職員です。彼らは政府機関閉鎖中も「必要不可欠な職員」として勤務を続けますが、給与の支払いは停止されます。この無給労働が長引くにつれて、職員の士気は低下し、ストレスによる病欠が増加しています。
人手不足が深刻化すると、安全を確保するために一度に管理できる航空機の数を減らさざるを得ません。結果として、主要空港では離着陸する便数に制限がかけられ、フライトの遅延やキャンセルが避けられない状況となっています。過去の政府機関閉鎖(2018-2019年)の際にも、ニューヨークのラガーディア空港などで人員不足を理由に大規模な遅延が発生した事例があります。
運輸保安庁(TSA)職員の不足と長蛇の列
空港の保安検査を担当するTSA職員も同様に、無給での勤務を強いられています。生活への不安から他の仕事を探すために退職したり、抗議のために病欠を申請したりする職員が急増しており、全米の空港で保安検査場の人員が不足しています。
過去の事例では、TSA職員の病欠率が通常の2倍以上である10%近くに達したことも報告されています。人員が不足すれば、稼働できる保安検査レーンが減り、旅行者は手荷物検査を通過するまでに何時間も待たされることになります。乗り遅れのリスクが高まるだけでなく、空港ターミナル内は旅行者で溢れかえり、混乱に拍車をかけています。
予測される今後の影響
政府機関の閉鎖が長引けば、状況はさらに悪化することが予測されます。
- 感謝祭旅行シーズンの大混乱
一年で最も交通量が多くなる感謝祭の時期にこの事態が重なれば、空港の混乱はピークに達するでしょう。家族や友人との再会を楽しみにしている何百万人もの旅行計画が台無しになる可能性があります。
- 経済への打撃
航空便の減少や旅行者の減少は、航空会社だけでなく、ホテル、レンタカー、観光地など、旅行業界全体に深刻な経済的打撃を与えます。ビジネス出張にも支障をきたし、アメリカ経済全体への悪影響も懸念されます。
- 安全への懸念
FAAやTSAは、人員が不足する中でも安全基準を維持するとしていますが、過重労働や士気の低下が長期間続けば、ヒューマンエラーのリスクが高まる可能性も否定できません。
旅行者が今できること
この状況下でアメリカへの渡航や国内の移動を予定している方は、以下の点に注意してください。
- 運航状況の確認を徹底する
出発の直前まで、利用する航空会社の公式ウェブサイトやアプリで最新の運航情報を頻繁に確認してください。
- 時間に十分な余裕を持つ
空港には通常よりも大幅に早く到着することをお勧めします。保安検査に数時間かかることも想定しておきましょう。
- 旅行計画の柔軟な見直し
可能であれば、旅行の延期や代替交通手段の検討も視野に入れましょう。また、万が一に備え、旅行保険の補償内容(遅延・キャンセルに関する項目)を再確認しておくことが重要です。
政治的な対立が、国民の生活や安全に直接的な影響を及ぼしているこの事態。一刻も早い政府機能の正常化が待たれます。simvoyageでは、引き続き現地の最新情報をお届けしていきます。

