突然の災害、カリブの楽園を襲う
2025年11月3日、カリブ海の人気観光地ジャマイカが大規模な自然災害に見舞われました。記録的な豪雨とそれに伴う洪水、地滑りが国内の広範囲で発生し、交通網や通信インフラに深刻な被害が出ています。この事態を受け、在ジャマイカ米国大使館は、国内に滞在する米国市民の安全を確保するため、首都キングストンへの緊急バスを運行すると発表しました。
背景:ハリケーン通過による甚大な被害
今回の災害は、カリブ海を通過した大型ハリケーン「レオ」がもたらした豪雨が直接的な原因と見られています。ジャマイカ気象局によると、特に東部のポートランド教区やセント・トーマス教区では、48時間で500ミリを超える降水量を記録。この雨量はこの地域の年間平均降水量の約4分の1に相当し、各地で河川の氾濫や大規模な地滑りを引き起こしました。
現地からの報告によると、主要幹線道路であるA4号線が複数箇所で寸断され、沿岸部のリゾート地であるオーチョ・リオスやモンテゴベイと首都キングストンを結ぶ交通が麻痺状態にあります。また、ジャマイカの電力会社JPSによると、11月4日時点で全世帯の約30%にあたる25万世帯以上で停電が続いており、復旧の目処は立っていません。携帯電話の通信網も不安定で、安否確認が困難な状況が続いています。
米国大使館の対応と緊急バスの詳細
このような状況を受け、在ジャマイカ米国大使館は米国市民の保護を最優先事項とし、迅速な対応を開始しました。大使館が発表した緊急バス運行の詳細は以下の通りです。
- 目的: 交通網が寸断された地域に滞在する米国市民を、国際空港があり比較的安全な首都キングストンへ移送するため。
- 対象: 米国のパスポートを所持する米国市民およびその近親者。
- 運行ルート: 被害の大きいモンテゴベイおよびオーチョ・リオスの指定された集合場所から、キングストンのノーマン・マンレー国際空港へ向かうルートが設定されています。
- 注意事項: 乗車には事前登録が必要で、荷物は一人あたりスーツケース1つと手荷物1つに制限されています。
大使館は、現地に滞在するすべての米国市民に対し、速やかに自身の安全を確保し、可能であれば大使館のウェブサイトやSNSを通じて最新情報を入手するよう呼びかけています。また、渡航者登録プログラム(STEP)への登録を強く推奨しています。
予測される影響と今後の見通し
短期的な影響
今回の災害により、ジャマイカの観光業は深刻な打撃を受けることが避けられません。ノーマン・マンレー国際空港およびサングスター国際空港では、すでに多くのフライトで遅延や欠航が発生しており、今後数日間はこの混乱が続くと予想されます。多くのリゾートホテルや観光施設も、インフラの寸断や従業員の確保が困難なことから、一時的な営業停止を余儀なくされています。
長期的な影響
インフラの復旧には数週間から数ヶ月を要する可能性があり、ジャマイカ経済の柱である観光業の回復にはさらなる時間が必要となるでしょう。特に、これから始まる冬のハイシーズン(12月〜4月)への影響は計り知れず、旅行者の客足が遠のくことが懸念されます。ジャマイカ政府は国家非常事態を宣言し、国際社会へ支援を要請する構えです。
旅行者へのアドバイス
現在ジャマイカに滞在中の方へ
ご自身の安全を最優先に行動してください。洪水や地滑りの危険がある地域からは速やかに避難し、大使館や現地当局の指示に従ってください。通信手段が限られる中ですが、定期的に家族や知人へ安否を連絡するよう努めましょう。
これからジャマイカへの渡航を予定している方へ
出発前に必ず航空会社の運航状況を確認してください。また、現地の状況が安定するまでは、旅行計画の延期や目的地の変更を強く推奨します。加入している海外旅行保険の契約内容を確認し、自然災害によるキャンセルや旅程変更が補償対象となるかどうかも把握しておくことが重要です。
simvoyageは、引き続き現地の最新情報に注視し、旅行者の皆様へ正確な情報をお届けしてまいります。ジャマイカの一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。









