simvoyage 国際旅行ニュースデスク
英国、米国、カナダの3カ国は、パキスタンに対する渡航情報を相次いで更新し、警戒レベルを引き上げました。今回の措置は、特に首都イスラマバードの高級ホテルを含む、外国人が利用する可能性の高い施設に対する具体的なテロ攻撃の脅威が高まっていることを受けたものです。パキスタンへの渡航を計画している方は、最新の情報を必ず確認してください。
各国が発表した渡航勧告の詳細
英国:特定のホテルへの脅威に言及
英国の外務・英連邦・開発省(FCDO)は、パキスタン全土でテロ攻撃の脅威が非常に高いと警告。特に、イスラマバードの高級ホテルに対する脅威情報を得たとして、警戒を呼びかけています。 FCDOは、アフガニスタンとの国境から10km以内の地域や、カイバル・パクトゥンクワ州の大部分、バロチスタン州など、広範な地域への「全ての渡航」を中止するよう勧告。イスラマバード、ラホール、カラチといった主要都市を含むその他の地域へは「必要不可欠な渡航」に限定するよう求めています。
米国:テロと市民騒乱のリスクを警告
米国務省は、パキスタンに対する渡航警戒レベルを4段階中の「レベル3:渡航の再検討(Reconsider Travel)」に維持しつつ、テロや宗派間暴力のリスクを強調しています。 勧告では、テロリストグループが公共の場所、交通機関、市場、ショッピングモール、政府施設などを標的に、ほとんど、あるいは全く警告なしに攻撃を計画していると指摘。特に、旧連邦直轄部族地域(FATA)やバロチスタン州、アフガニスタンとの国境地帯は「レベル4:渡航中止(Do Not Travel)」に指定されています。
カナダ:誘拐のリスクにも注意喚起
カナダ政府も同様に、パキスタン全土で予測不可能な治安状況が続いているとして、高いレベルの注意を促しています。カラチを除くパキスタン全土への「不要不急の渡航は避ける」よう勧告し、カラチについては「全ての渡航を避ける」よう呼びかけています。 カナダ政府はテロや市民騒乱に加え、外国人に対する誘拐のリスクが特に高いことにも言及しており、渡航者に対して極度の警戒を求めています。
勧告強化の背景にあるパキスタンの治安情勢
今回の渡航情報更新の背景には、パキスタン・タリバン運動(TTP)をはじめとする武装勢力の活動再燃があります。特にアフガニスタンとの国境地帯を拠点とするこれらのグループは、治安部隊や政府関係者だけでなく、外国人を標的とした攻撃を繰り返してきました。
過去には、外国人が頻繁に利用する施設が標的となった大規模なテロ事件が発生しています。
- 2008年 イスラマバード・マリオット・ホテル爆破テロ: 首都の中心部にあった高級ホテルがトラック爆弾による攻撃を受け、少なくとも54人が死亡、260人以上が負傷しました。
- 2021年 クエッタ・セレナ・ホテル爆破テロ: バロチスタン州の州都クエッタにある高級ホテルの駐車場で爆弾が爆発し、5人が死亡。当時、中国大使が同ホテルに滞在していたと報じられました。
これらの事件は、武装勢力が外国の権益や外国人が集まる場所を意図的に狙っていることを示しており、今回の「高級ホテルへの脅威」という具体的な警告は、こうした過去の事例を踏まえたものと考えられます。
予測される影響と今後の見通し
パキスタン観光業への打撃
パキスタンは近年、北部のギルギット・バルティスタン州などを中心に、その壮大な自然景観を活かしたアドベンチャー・ツーリズムの振興に力を入れてきました。しかし、欧米主要国による渡航警戒レベルの引き上げは、こうした観光客誘致の取り組みに大きな打撃を与える可能性があります。特に個人旅行者や小規模なツアーグループは、安全上の懸念から渡航を断念するケースが増えるでしょう。
ビジネス渡航への影響
首都イスラマバードの高級ホテルが名指しで警告されたことは、ビジネスや外交目的での渡航にも深刻な影響を及ぼします。多くの国際企業や外交団は、安全対策が整った高級ホテルを活動の拠点としていますが、今回の勧告により、出張の延期や駐在員の活動制限といった措置が取られる可能性があります。これは、パキスタンの国際的なビジネス環境や外交関係にも影を落としかねません。
今後の見通し
パキスタン政府は治安対策の強化を継続していますが、広大な国土と複雑な地政学的状況から、テロの脅威を完全に払拭することは極めて困難です。今後も、武装勢力の動向次第では、同様の渡航勧告が断続的に発出される可能性があります。
パキスタンへの渡航を検討されている方は、どのような目的であっても、自国の外務省などが発表する最新の渡航情報を常に入手し、現地での安全対策を怠らないようにしてください。特に、人が多く集まる場所や外国人が利用する施設では、常に周囲への警戒を怠らないことが重要です。

