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    吉祥航空、スターアライアンス正会員へ意欲表明―世界の空の勢力図に変化の兆し

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    中国の翼、世界最大の航空連合を目指す

    中国・上海を拠点とする主要航空会社の一つ、吉祥航空(Juneyao Air)が、世界最大の航空アライアンスである「スターアライアンス」への正会員としての加盟を目指す意向を公式に表明しました。この動きは、旅行者の利便性を飛躍的に向上させるだけでなく、巨大な中国市場をめぐる航空業界の勢力図を大きく塗り替える可能性を秘めています。

    背景:コネクティングパートナーから正会員へ

    吉祥航空は、これまでもスターアライアンスと無関係ではありませんでした。2017年、同社はスターアライアンスが新たに導入した「コネクティングパートナー」モデルの最初の航空会社として提携を開始しました。

    コネクティングパートナーとは?

    コネクティングパートナーは、正会員ではないものの、特定のスターアライアンス加盟航空会社との乗り継ぎにおいて、手荷物のスルーチェックインや一部の特典を提供する提携形態です。吉祥航空の場合は、全日本空輸(ANA)、ユナイテッド航空、シンガポール航空などと提携し、上海をハブとした乗り継ぎ客の利便性を高めてきました。

    しかし、この提携はあくまで限定的なものであり、マイルの相互利用やラウンジへのアクセスといった上級会員特典は、全ての加盟航空会社で共有されるわけではありませんでした。今回の正会員加盟への意欲表明は、この限定的な関係から一歩踏み出し、完全なパートナーシップを築こうとする明確な意思表示と言えます。

    加盟がもたらす未来と影響

    吉祥航空のスターアライアンス正会員入りが実現すれば、旅行者と航空業界の双方に大きな影響が及ぶと予測されます。

    旅行者へのメリット:中国への旅がよりシームレスに

    • ネットワークの拡大: 吉祥航空は、2024年現在で約90機の航空機を保有し、中国国内80都市以上、アジアやヨーロッパ(ヘルシンキ、アテネなど)へも翼を広げています。これらの路線がスターアライアンスのネットワークに加わることで、ANAやユナイテッド航空などを利用する旅行者は、上海経由で中国の地方都市へ極めてスムーズにアクセスできるようになります。
    • マイル・特典の完全相互利用: 加盟が実現すれば、吉祥航空のフライトでスターアライアンス加盟各社のマイルが貯まり、また、貯めたマイルを吉祥航空の特典航空券に交換することが可能になります。ANAマイレージクラブやユナイテッド航空マイレージプラスの上級会員は、吉祥航空利用時にも優先チェックインやラウンジ利用といった恩恵を受けられるようになり、旅の快適性が格段に向上します。

    航空業界への影響:中国市場での競争激化

    • スターアライアンスの上海ハブ強化: スターアライアンスには、既に北京を拠点とする中国国際航空(エアチャイナ)が加盟しています。ここに上海を主要ハブとする吉祥航空が加わることで、中国の二大経済都市である北京と上海の両方で強力な拠点を確保することになります。特に、アジア最大級のハブ空港である上海浦東国際空港での存在感は飛躍的に高まるでしょう。
    • アライアンス間の勢力変化: 上海は、スターアライアンスのライバルである「スカイチーム」に所属する中国東方航空の牙城です。吉祥航空がスターアライアンスに加盟すれば、この上海市場で真っ向から競争することになり、アライアンス間の顧客獲得競争は一層激しくなることが予想されます。

    今後の展望

    スターアライアンスへの正会員加盟は、航空会社の安全性、運航品質、ITシステム統合など、多岐にわたる厳しい審査基準をクリアする必要があります。通常、加盟プロセスには1年から2年程度の期間がかかると言われています。

    吉祥航空がこのプロセスを順調に進め、正式に加盟を果たせば、それは単に一つの航空会社がアライアンスに加わる以上の意味を持ちます。コロナ禍を経て再び力強く成長する中国航空市場において、スターアライアンスが他をリードする大きな一手となるでしょう。私たち旅行者にとっても、中国、そしてアジアへの旅の選択肢と利便性が大きく広がる、注目のニュースと言えます。

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    この記事を書いたトラベルライター

    SimVoyage編集部は、世界を旅しながら現地の暮らしや食文化を体感し、スマホひとつで快適に旅する術を研究する旅のプロ集団です。今が旬の情報から穴場スポットまで、読者の「次の一歩」を後押しするリアルで役立つ記事をお届けします。

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