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アルプスの絶景と文化が織りなす物語。スイス、グラウビュンデン州への誘い

こんにちは、旅するライターのさくらえみです。世界中を旅する中で、私の心を最も強く掴んで離さない場所がいくつかあります。その一つが、スイス最大の州、グラウビュンデン。ここは、ただ美しいだけの場所ではありません。険しい山々に抱かれ、歴史の荒波を乗り越えてきた人々が育んだ、多様な文化と温かさが息づく特別な土地なのです。

天を突く名峰、エメラルドグリーンに輝く湖、そして世界遺産の線路を走る赤い列車。まるで絵本の中から飛び出してきたかのような風景が、訪れる者の心を洗い流してくれます。『アルプスの少女ハイジ』が駆け回った丘を実際に歩き、3つの公用語が響き合う街角で地元の人と微笑みを交わす。そんな体験は、きっとあなたの人生の忘れられない1ページになるはずです。

この記事では、グラウビュンデン州の魅力を余すところなくお伝えすると共に、あなたの旅が最高のものになるよう、チケットの予約方法から持ち物リスト、現地での過ごし方まで、具体的な情報とヒントをたっぷりと詰め込みました。さあ、一緒にグラウビュンデン州を巡る旅の計画を始めましょう。

グラウビュンデン州の旅の計画が進んだら、同じくアルプスの絶景が広がるスイス・ヴァレー州の旅も検討してみてはいかがでしょうか。

目次

なぜ今、グラウビュンデン州なのか?心惹かれる5つの理由

スイスには魅力的な観光地が数多くありますが、そのなかでも特にグラウビュンデン州は、旅慣れた人も初めて訪れる人も魅了してやまない特別な魅力を持っています。いったい何が私たちをこれほど惹きつけるのでしょうか。

圧倒的な自然美と息を呑む対話

グラウビュンデン州の最大の魅力は、何といってもその雄大な自然の美しさにあります。スイスで唯一の国立公園である「スイス国立公園」では、人の手が一切加えられていない純粋なアルプスの生態系が守られています。マーモットが姿を現し、アイベックスが岩場を軽やかに駆け抜ける姿に出会えるかもしれません。

また、ヨーロッパのグランドキャニオンとして知られる「ライン峡谷」の壮大な景観は、見る者の胸を打ちます。氷河によって削られた白い断崖絶壁の間を、エメラルドグリーンに輝くライン川が流れる光景は、まさに自然が生み出した芸術作品と言えるでしょう。さらに、サン・モリッツを抱くエンガディン地方の湖沼群は、鏡のように空と山々を映し出し、静けさに包まれたひとときをもたらします。ここでただ景色を眺めるだけで、心がゆっくりと満たされていくのを感じるでしょう。

世界遺産にも認定された絶景の列車旅

グラウビュンデン州の魅力は鉄道なしには語れません。州内を網羅する「レーティッシュ鉄道」のアルブラ線とベルニナ線は、その卓越した土木技術と周囲の自然との調和が評価され、ユネスコの世界遺産に登録されています。

この路線を走る代表的な列車が、世界的に有名な「ベルニナ急行」と「氷河急行」です。大きなパノラマウィンドウを備えた車両に揺られながら、ループ橋を登り、深い谷をまたぐ石造りの橋を渡り、氷河のそばを間近に通り過ぎていきます。その旅は単なる移動手段ではなく、一つの体験そのものです。車窓から望む風景はまるで一幅の絵画のようで、この感動的な鉄道旅はグラウビュンデン州でしか味わえません。

3言語が織り成す多彩な文化の宝庫

グラウビュンデン州の独自性は、スイスで唯一ドイツ語、イタリア語、ロマンシュ語の3つの言語を公用語としていることにあります。州都クールを中心とする北部はドイツ語圏の文化が色濃く、南部の渓谷地帯ではイタリア語圏の陽気な雰囲気が漂います。そして、山深い谷あいに根付くロマンシュ語は、ラテン語から派生した古い言葉がいまも大切に守られています。

街を歩くと、建築様式や食文化、さらには人々の性格に至るまで、地域ごとに異なる文化の豊かな層を感じることができます。一つの州でありながら、まるで国境を越えるかのような多様な文化体験ができるのです。この文化の多様性こそが、グラウビュンデン州の深みある魅力を生み出しています。

『アルプスの少女ハイジ』の世界を辿る旅

私たち日本人にとって、グラウビュンデン州は特別な意味を持つ場所でもあります。有名な物語『アルプスの少女ハイジ』の舞台となったのが、この州のマイエンフェルトです。物語で描かれたアルプスの牧草地や、おじいさんの山小屋を思い起こさせる風景が広がる「ハイジ村」を訪れれば、誰もが幼い頃に憧れたあの世界に迷い込んだかのような感動を覚えます。ハイジが駆け回った丘に立ち、爽やかな風を感じると、日常の騒がしさを忘れ、素朴で純粋な感動が心に満ちてきます。

季節ごとに異なる表情を持つアウトドアパラダイス

グラウビュンデン州は、年間を通じて訪れる人々に多彩な楽しみを提供します。夏は色とりどりの高山植物が咲き乱れるなかでのハイキングやマウンテンバイクが人気です。整備された無数のコースは、初心者から上級者まで、それぞれのレベルに合わせて大自然を満喫できます。

秋になると、エンガディン地方のカラマツ林が一斉に黄金色に染まり、その圧巻の絶景は訪れる人の心を奪います。そして冬は、サン・モリッツやダヴォスといった世界的なスキーリゾートが賑わい、極上のパウダースノーを求めて世界中から多くのスキーヤーやスノーボーダーが集まります。季節ごとに変わる最高の体験が、いつ訪れても待っている。それがグラウビュンデン州の大きな魅力です。

グラウビュンデン州への旅支度 – 完璧な準備で最高の体験を

グラウビュンデン州の魅力に心が弾んできたところで、ここからは具体的な旅行準備に取りかかりましょう。素晴らしい旅は綿密な計画から始まります。ここでは、いつ訪れるのが良いのか、何を持っていくべきか、そしてどのように移動するのが最適かを実践的にご紹介します。

ベストシーズンはいつ?目的別カレンダー

グラウビュンデン州は四季それぞれに魅力が際立っているため、「訪れる時期」は「何をしたいか」で決めるのがポイントです。

  • ハイキング・高山植物観賞(6月下旬〜9月中旬)

雪解けが進み、アルプスの山々が色とりどりの花々で彩られる絶好の季節です。日照時間も長く、多くのハイキングコースや山岳交通機関が運行を開始します。特に7月から8月が観光のピークで、世界中から多数の旅行者が訪れます。

  • スキー・雪上アクティビティ(12月〜3月)

非常に良質な雪が楽しめるウィンターシーズンの到来です。サン・モリッツ、ダヴォス、アローザといった有名スキーリゾートは賑わいを見せます。クリスマスマーケットや美しい雪景色も堪能できますが、防寒対策はしっかりと行いましょう。

  • 黄金の紅葉(9月下旬〜10月中旬)

エンガディン地方のカラマツの森が鮮やかな黄金色に染まる、息をのむ美しい季節です。夏に比べてハイカーも少なく、静かに自然を楽しみたい方に最適。ただし、朝晩は冷え込むため、防寒具は欠かせません。

  • 春の訪れ(4月〜5月)

谷間では新緑が芽吹き始めるものの、高い標高のエリアにはまだ雪が残っています。多くの山岳交通機関が運休していることもあり、ハイキングには少し早めの時期です。観光客が少なく、のんびりとした時間を過ごしたい方に向いています。

必携アイテムリストと服装のポイント

スイスの特に山岳地帯は天候が非常に変わりやすいため、しっかりとした準備が安全で快適な旅に繋がります。

服装の基本は「レイヤリング(重ね着)」

標高差や天候の急変に対応しやすいよう、着脱が簡単な服装が基本です。

  • アウター: 防水・防風性能の高いジャケット(ゴアテックス製など)は必須です。夏場でも山の天候は急変し、雨や風で体温が奪われる恐れがあります。
  • ミドルレイヤー: 保温性のあるフリースや薄手のダウンジャケットなど、中間着として活用します。
  • ベースレイヤー: 吸湿速乾性に優れた化学繊維製のTシャツや長袖シャツがおすすめ。汗をかいても体が冷えにくい素材を選びましょう。
  • ボトムス: 動きやすいトレッキングパンツが適しています。ジーンズは濡れると乾きにくく、体を冷やすので避けたほうが良いでしょう。
  • 靴: 最も重要な装備です。街歩き中心の場合でも石畳が多いため、スニーカーより厚底で歩きやすいウォーキングシューズが好ましいです。ハイキングを予定している場合は、足首を保護する防水トレッキングシューズを用意しましょう。新品の靴は靴擦れの原因になるので、必ず事前に履き慣らしてください。

必携&便利グッズリスト

  • 基本の持ち物:
  • パスポート(有効期限を必ず確認)
  • 航空券(eチケットの控え)
  • クレジットカード(複数枚持つと安心)
  • 現金(スイスフランを少量。場所によってはユーロも使えますが、レートやお釣りの通貨に注意)
  • 海外旅行保険の証書
  • スマートフォン、充電器、モバイルバッテリー
  • 電化製品:
  • 変換プラグ(スイスはCタイプまたはJタイプ。Jタイプはピンが3本でCタイプより細いですが、Cタイプで代用できることが多いです)
  • カメラ
  • 衣類・小物:
  • 先述の服装一式
  • 下着・靴下(速乾性が便利)
  • 帽子(日除けや防寒用に重宝します)
  • サングラス(標高が高い場所は紫外線が非常に強いため必須)
  • 手袋(夏でも朝晩や高所で役立ちます)
  • 折りたたみ傘またはレインウェア
  • 日用品:
  • 日焼け止め(紫外線対策は一年中必須です)
  • リップクリーム
  • 常備薬、絆創膏などの救急セット
  • 水筒(スイスの水道水は安全に飲めるため、環境に配慮してマイボトルを持参しましょう)
  • ティッシュ、ウェットティッシュ
  • その他:
  • ハイキングマップ(現地の観光案内所で入手可能)
  • 少量の日本食(お味噌汁の素などは疲れた時にほっとできて便利です)

スイスの移動を制覇!スイストラベルパスの賢い活用法

スイス、特にグラウビュンデン州の旅行では鉄道移動が欠かせません。そこでおすすめしたいのが「スイストラベルパス」。これ一枚で移動の自由度が格段に上がり、快適な旅が実現します。

スイストラベルパスとは?

スイスの公共交通機関が発行する外国人観光客向けの周遊パスで、主なメリットは次の通りです。

  • スイス国鉄(SBB)を始めとしたほぼ全私鉄、ポストバス、湖上船に乗り放題。
  • 約500箇所以上の美術館・博物館の入場料が無料。
  • リギ山やシュタンザーホルンなど、一部の山岳交通が無料で利用可能。
  • ユングフラウヨッホやマッターホルン・グレッシャー・パラダイスなど多くの山岳交通が半額(50%割引)、一部は25%割引が受けられます。

グラウビュンデン州内ではベルニナ急行や氷河急行の乗車費用もパスでカバーされますが、座席指定料金は別途必要です。

購入方法と利用手順

スイストラベルパスは日本の旅行会社やオンラインで簡単に購入できます。

  • オンライン購入の流れ:
  1. SBB(スイス国鉄)公式サイトやレイルヨーロッパなど認定代理店のウェブサイトを訪問。
  2. 「スイストラベルパス」を選び、使用開始日、利用期間(3、4、6、8、15日間)、クラス(1等または2等)を指定。
  3. パスポート記載の氏名や生年月日など個人情報を入力。
  4. クレジットカードで決済。
  5. 購入後にメールで送付されるeチケットを印刷するかスマートフォンに保存しておきます。QRコード付きで、検札時に提示します。
  • 注意点:
  • 以前は現地での「有効化(Validation)」が必要でしたが、現在は購入時に使用開始日を決めたeチケット方式が主流で、現地での追加手続きは不要です。購入時に詳細を必ず確認してください。
  • 重要事項: 氷河急行やベルニナ急行のような特別なパノラマ列車は、スイストラベルパスを所持していても「座席指定」が必須です。人気の列車なので座席を確保するための追加料金が発生します。予約方法については次のセクションで詳しく解説します。

絶景列車で巡るグラウビュンデン – 忘れられない鉄道の旅

グラウビュンデン州の旅行での最大の魅力は、間違いなく絶景を楽しめる鉄道の旅です。今回はその中でも特に人気の高い二つの列車を取り上げ、魅力や予約の具体的な方法、役立つポイントをわかりやすくご紹介します。

ベルニナ急行 — 赤い列車でアルプスを越える

鮮やかな赤い車体が、緑の谷や真っ白な雪景色によく映えるベルニナ急行。スイスのクールまたはサン・モリッツと、国境を越えたイタリアのティラーノを結ぶ路線です。この列車が通るルートは「鉄道技術の博物館」とも称されるほど、多彩な見どころが満載です。

魅力のポイントとルート概要

北から南へ、およそ1,800メートルもの標高差を駆け上がるドラマティックなコースです。

  • ランドヴァッサー橋: 谷底から65メートルの高さに架かる美しい石造アーチ橋。列車が橋を渡り終えると、すぐにトンネルへと進む光景は非常に有名です。
  • アルブラ線: 複数のループ状トンネルや橋を組み合わせて巧みに標高を上げていきます。自分が通ってきた線路が足元に見える、不思議な感覚を味わえます。
  • オスピツィオ・ベルニナ: 標高2,253メートルの路線最高地点。眼前には「白い湖」ラーゴ・ビアンコや氷河が広がり、壮大なアルプスのパノラマを堪能できます。
  • ブルージオのオープンループ橋: 360度のらせん状に回る石橋。急傾斜を克服するための鉄道技術と美しい造形が融合した名所です。

チケットの予約方法と座席指定

ベルニナ急行に乗車する際は、「乗車券」と「座席指定券」の両方が必要です。スイス・トラベルパスを持っている場合は乗車券が含まれているので、座席指定券のみの購入となります。

  • 予約手順:
  1. レーティッシュ鉄道の公式サイトにアクセスします。
  2. 出発地(例:Chur)、到着地(例:Tirano)、乗車日、人数を入力します。
  3. 乗客情報入力画面で割引項目から「Swiss Travel Pass」を選択すると、運賃が0円になり座席指定料のみ請求されます。
  4. 座席指定は自分で選ぶことが可能です。進行方向に対してどちらの席が良いか考えて選択しましょう。
  5. クレジットカードで支払い、予約確認書(電子チケット)を印刷、もしくはスマホに保存します。
  • 予約のポイントと注意点:
  • 予約受付開始時期: 一般的には乗車日の数ヶ月前から可能です。特に夏季の繁忙期はすぐに満席になるため、日程が決まり次第、早めに予約することが賢明です。
  • おすすめの座席位置:
  • クール/サン・モリッツ → ティラーノ(南行き):進行方向の右側がおすすめ。ランドヴァッサー橋を渡る際に全容がよく見え、ブルージオのループ橋も美しく鑑賞できます。
  • ティラーノ → クール/サン・モリッツ(北行き):進行方向の左側がよいでしょう。
  • 乗り遅れた場合: 予約したベルニナ急行に遅れてしまうと、座席指定料は原則返金されません。しかし、スイス・トラベルパスや乗車券があれば後続の普通列車を利用可能です。パノラマ車両ではないものの同じ絶景区間を走るので、駅窓口で相談してみる価値があります。

氷河急行 — 世界で最もゆったり走る特急列車

「世界で最も遅い特急列車」として知られる氷河急行は、マッターホルンの麓、ツェルマットと高級リゾートのサン・モリッツを結び、約8時間かけてスイスアルプスを横断します。大きな窓から見渡せる雄大な山々や渓谷、絵のような村々の景色をゆったり楽しめる贅沢な旅の象徴です。

見どころとルートの特徴

西から東へ、スイスアルプスの中心部を通り抜けるルートです。

  • オーバーアルプ峠: 標高2,033メートルの線路最高地点。冬は雪深く、夏は牧草地が広がる美しい景観が楽しめます。
  • ライン峡谷: 「スイスのグランドキャニオン」とも呼ばれる迫力ある渓谷で、列車は谷底をゆっくり走行します。
  • ランドヴァッサー橋: ベルニナ急行と一部ルートが重なっており、この有名な橋を氷河急行でも渡ります。

予約方法と食事サービス

氷河急行も全席指定制で、スイス・トラベルパス所持者も座席指定券を別途購入しなければなりません。

  • 予約の流れ:
  1. 氷河急行公式サイトにアクセスします。
  2. 乗車区間(例:St. Moritz – Zermatt)、乗車日時、人数を選びます。
  3. スイス・トラベルパスの割引欄で忘れず申告してください。
  4. 食事の予約: 車内で提供されるランチの予約もここで可能です。座席でコース料理を楽しめるのは氷河急行ならではの魅力。事前予約を強くおすすめします。メニューはサイトで確認できます。食事を頼まない場合、持ち込みやバー車両での軽食購入も可能です。
  5. 座席指定をして支払いを完了します。
  • クラスの特徴とおすすめポイント:
  • 2等車: 十分に快適で大きな窓から絶景を満喫できます。
  • 1等車: 座席配置がゆったり(1列+2列)で、より落ち着いた空間が提供されます。
  • エクセレンスクラス: 一生に一度味わいたい最高級体験向け。豪華ラウンジスタイルの座席、シャンパンやアミューズブーシュ付きコース料理、専属コンシェルジュのサービスが受けられる、まさに走る高級レストランです。料金は高額ですが、忘れられない旅の思い出になるでしょう。

グラウビュンデンの珠玉の街と村を訪ねて

絶景列車に乗って移動するだけでなく、途中下車して魅力的な街や村に滞在するのもグラウビュンデン州旅行の大きな魅力の一つです。ここでは、特におすすめしたい4つのスポットをご紹介します。

サン・モリッツ – アルプスを照らす煌めきのリゾート

エンガディン地域の中心地に位置するサン・モリッツは、世界中の著名人が訪れる高級リゾートとして人気を博しています。これまでに二度冬季オリンピックの開催地となったことからも、その格式の高さがうかがえます。煌びやかなブランドショップやラグジュアリーなホテルだけでなく、雄大な自然もこの街の大きな見どころです。

  • 具体的な体験例:
  • サン・モリッツ湖畔の散策: 街の目の前に広がる美しい湖の周囲には遊歩道が整備されており、約1時間で気軽に一周できます。夏はヨットが浮かび、冬は完全に氷結した湖上で「ホワイトターフ」というポロの大会が開催されるなど、四季折々で異なる景色を楽しめます。
  • セガンティーニ美術館の訪問: アルプスの自然を描き続けた画家ジョヴァンニ・セガンティーニの作品を収蔵する美術館で、彼の代表作「生・自然・死」の三部作は必見です。
  • ケーブルカーで展望台へ: コルヴィリアやディアヴォレッツァなどの展望台までケーブルカーで登ると、ベルニナアルプスの壮麗な山々や氷河の絶景を一望できます。

ダヴォス – 会議だけでなく自然と文化を満喫できる街

毎年1月に世界経済フォーラム(ダヴォス会議)が開催されることで国際的に知られるダヴォスですが、それだけでなく夏はハイキング、冬は広大なスキー場が広がる自然豊かなリゾート地としても人気です。

  • 具体的な体験例:
  • ヴァイサフリューヨッホ展望台: パルゼン鉄道を使って標高2,844mの展望台へ一気にアクセス。ここから始まるトレイルやコースは、スキーヤーやマウンテンバイカーにとって憧れとなっています。
  • キルヒナー美術館の見学: ドイツ表現主義の巨匠エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナーが晩年を過ごした街で、彼の作品を多く収蔵する美術館は現代的な建築も魅力です。
  • ダヴォス湖でのウォータースポーツ: 夏場は街の中心にあるダヴォス湖でセーリングやウィンドサーフィンを楽しむ風景が見られます。

クール – スイス最古の街で歴史の息吹を感じる

グラウビュンデン州の州都であるクールは、約5000年前から人が暮らしてきたとされるスイス最古の街です。ベルニナ急行や氷河急行の始発駅として交通の要所でもありますが、駅周辺だけでなく、ぜひ街の中に足を踏み入れてその歴史を体感してみてください。

  • 具体的な体験例:
  • 旧市街の散策: 車の乗り入れが制限された旧市街は、石畳の路地と色とりどりの建物が迷路のように入り組んでいます。地図を見ずに自由気ままに歩けば、隠れ家的なカフェやブティック、壁画など素敵な発見が待っています。
  • クール大聖堂の見学: 800年以上の歴史を誇るロマネスク・ゴシック様式の大聖堂で、内部のステンドグラスや彫刻は必見の価値があります。
  • 地元マーケットの訪問: 週末には旧市街でマーケットが開催されることがあり、地元産のチーズやハム、パンなどを眺めながら散策するのも楽しい体験です。

マイエンフェルト – 『アルプスの少女ハイジ』の物語の舞台へ

日本でも広く知られる『アルプスの少女ハイジ』の物語の舞台は、クールから電車でわずか15分ほどの小さな町、マイエンフェルトにあります。

  • ハイジ村(Heididorf)のアクセスと楽しみ方:
  • アクセス方法: マイエンフェルト駅から案内看板に従って徒歩約30分。または駅前から運行される「ハイジバス(ポストバス)」を利用するのも便利です。緑豊かなブドウ畑を抜ける道のりは爽やかで気持ちが良いでしょう。
  • 楽しめること: 村内には物語に登場するハイジの冬の家(現在は博物館)やおじいさんの山小屋が忠実に再現されています。博物館では当時の暮らしぶりを垣間見られ、山小屋の周辺では人懐っこいヤギと触れ合うこともできます。ハイジの泉で水を汲んだり、スイス最大規模のハイジグッズが揃うショップでお土産探しも楽しめます。
  • 服装と注意点: ハイジ村は丘の上に位置し、坂道や未舗装の道が多いため、ヒールのある靴は避け、歩きやすいスニーカーやウォーキングシューズでの訪問がおすすめです。特別な服装規定はありませんが、自然の中を歩くことを想定した準備が必要です。

アクティブに楽しむ!グラウビュンデンの大自然

グラウビュンデン州の魅力は、やはり手つかずの広大な自然にこそあります。展望台からの眺めを楽しむだけでなく、自らの足で歩き、肌に風を感じることで、その雄大さをより深く味わうことができるでしょう。

スイス国立公園 – アルプスの大自然を歩む

1914年に開設されたアルプス地域で最も歴史ある国立公園です。ここでは「自然をそのままに守る」という理念が徹底されており、倒れた木はそのままにされ、動物たちも人の干渉を受けずに保護される、ありのままの生態系が保たれています。

ハイキングの準備と厳守すべき規則

この神聖な自然を訪れるには、十分な準備と敬意が求められます。

  • 準備と持ち物:
  • 詳細な地図: 公園内のビジターセンターで必ず入手しましょう。
  • 充分な飲料と食糧: 園内に飲食施設はありません。行動時間に応じた量を必ず携帯してください。
  • 適切な装備: トレッキングシューズ、レインウェア、防寒着は必須です。天候は急変しやすいため準備が重要です。
  • 応急処置セット: 絆創膏や消毒液など、基本的な救急用品を準備しましょう。
  • 守るべき規則(禁止事項):
  • 指定コースから外れない: 植物や動物を保護するため、指定されたハイキングコース以外を歩くことは固く禁じられています。
  • 動植物の採取禁止: 花を摘んだり石を持ち帰ったりすることはできません。
  • ペットの同行禁止: 犬をはじめとするペットの立ち入りは許可されていません。
  • 焚き火およびキャンプ禁止: 園内での火気使用および宿泊は禁止されています。
  • ドローンの飛行禁止: 静寂と野生動物の保護のため、ドローンの使用は認められていません。

これらの規則はスイス国立公園公式サイトで事前に必ず確認してください。違反した場合、罰金が科されることもあります。

  • トラブルが起きた場合の対処:

道に迷ったり負傷した場合は、慌てずに冷静に行動しましょう。スイスの山岳救助隊「Rega」の緊急連絡先は1414です。通信環境が悪い場合は、電波の届く場所まで移動するか、他のハイカーに助けを求めることが大切です。

ライン峡谷(スイスのグランドキャニオン)

約1万年前の巨大な山体崩壊によって形成されたこの壮大な渓谷は、地元では「ルイーナウルタ」と呼ばれています。その圧倒的な景観は、さまざまな楽しみ方が可能です。

  • 列車からの眺望: 氷河急行やレーティッシュ鉄道の普通列車が谷底を貫きます。車窓から見上げる白い断崖は圧巻です。
  • 展望台からの展望: フレムス(Flims)近郊にある「イル・スピアウ(Il Spir)」展望台からは、蛇行するライン川が作り出す峡谷の美しい光景を一望できます。フレムス・ヴァルトハウスから森の小道を歩いてアクセスする、心地よいハイキングコースです。
  • 川下りのアクティビティ: 夏季にはラフティングやカヌーツアーが催されます。川の上から峡谷を仰ぎ見る景観は、また格別の感動をもたらします。

エンガディン地方の湖畔エリア巡り

サン・モリッツ周辺には、サン・モリッツ湖、シルヴァプラーナ湖、シルス湖など美しい湖が点在しています。これらの湖畔を巡るハイキングやサイクリングは、エンガディンでの滞在をより豊かにしてくれるでしょう。

  • 訪問者におすすめの体験:
  • 湖畔の散策: シルス湖の周囲は比較的平坦で歩きやすく、初心者にも適したコースです。哲学者ニーチェが愛した散策路としても知られています。
  • 馬車による遊覧: 特に冬場は、凍った湖や雪道を走る馬車がロマンティックな雰囲気を醸し出します。
  • ウィンドサーフィン観覧: シルヴァプラーナ湖は、安定した風「マローヤの風」で知られ、ウィンドサーフィンやカイトサーフィンの聖地です。色とりどりのセイルが湖面を舞う様子は、見ているだけでも楽しめます。

旅のヒントと注意点 – スマートな旅人のための豆知識

最後に、グラウビュンデン州での滞在をいっそう快適かつ安全に過ごすためのポイントをご紹介します。

言語とコミュニケーション

この州の公用語はドイツ語、イタリア語、ロマンシュ語ですが、サン・モリッツやダヴォスといった主要な観光地やホテル、駅などでは英語が広く通じます。ただし、地元の小さな村にあるレストランや店舗では英語が通じにくい場合もあります。そんなときでも、笑顔で挨拶すれば温かく迎えてもらえるでしょう。

  • 役立つ挨拶の例:
  • ドイツ語圏: こんにちはは「Grüezi(グリュエッツィ)」、ありがとうは「Danke(ダンケ)」
  • イタリア語圏: こんにちはは「Buongiorno(ブオンジョルノ)」、ありがとうは「Grazie(グラーツィエ)」

現地の言葉で簡単に挨拶するだけで、コミュニケーションがぐっとスムーズになります。

食文化とおすすめの郷土料理

グラウビュンデン州には、厳しい自然環境の中で育まれた素朴で味わい深い地元料理が多くあります。

  • ピッツォッケリ(Pizzoccheri): そば粉で作るショートパスタにキャベツやジャガイモ、チーズを合わせてオーブンで焼く一品。栄養豊富で体を温めてくれます。
  • カプンス(Capuns): 小さな肉団子をフダンソウの葉で包み、ブイヨンでじっくり煮込んだ料理。素朴ながら奥深い味わいが魅力です。
  • エンガディナー・ヌストルテ(Engadiner Nusstorte): エンガディン地方発祥の、キャラメルでコーティングされたクルミがぎっしり詰まったタルト。ハイキング後のスイーツやお土産にも最適です。

レストランでのチップは、通常料金にサービス料が含まれているため基本的には不要ですが、特にサービスが素晴らしかった場合は、会計時に金額の小銭分を切り上げるか、5~10%程度の小銭をテーブルに置いておくと好印象です。

安全面と緊急時の対応

スイスは世界的にも治安が良い国ですが、油断は禁物です。

  • 治安面: 駅や観光地では置き引きやスリが発生する可能性があるため、荷物から目を離さず、貴重品は体の前で持つなどの基本的な注意を心がけてください。
  • 医療体制: 海外旅行保険への加入は必須です。スイスの医療費は非常に高額なので、保険証書や緊急連絡先はすぐに取り出せる場所に保管しておきましょう。
  • 緊急連絡先: 救急車は144、警察は117、消防は118
  • 高山病について: ベルニナ急行や氷河急行が通る峠道や展望台など、標高2,000メートル以上の場所へ行くことが多いです。高地に到着した日は無理をせず、ゆったりと過ごしましょう。こまめに水分を摂り、深呼吸を意識することで予防につながります。頭痛や吐き気といった症状が表れた場合は、無理をせず標高の低い場所へ移動してください。

あなただけのグラウビュンデンを見つける旅へ

壮大なアルプスの山々、輝く湖、そして歴史と文化が息づく小さな村々。グラウビュンデン州の魅力は、一つの記事だけでは到底伝えきれません。世界遺産の列車に揺られながら息を呑む絶景に出会う日もあれば、静かな森を散策しながら自分自身と向き合う時間を過ごす日もあるでしょう。ハイジが愛したアルプスの丘で深呼吸し、地元の素朴な味わいに舌鼓を打つ。そうした一つひとつの体験が、あなたにしか紡げない特別な物語となっていきます。

完璧に練られた旅の計画も素敵ですが、ときには予定を変えて、心惹かれた小道へ足を踏み入れてみるのも良いでしょう。そこで巡り会う偶然の風景や人と人との交流こそが、旅を一生の思い出に変えてくれるのです。

この記事が、あなたのグラウビュンデン州への旅の道しるべとなり、新たな一歩を踏み出す後押しとなれば、この上ない喜びです。さあ、準備は整いました。アルプスの懐に抱かれたこの美しい地で、あなただけの宝物を探しに出かけてみませんか。きっと、想像を超える感動があなたを待っています。

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この記事を書いたトラベルライター

旅行代理店で数千人の旅をお手伝いしてきました!今はライターとして、初めての海外に挑戦する方に向けたわかりやすい旅ガイドを発信しています。

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