大手旅行会社の株式会社エイチ・アイ・エス(HIS)が、海外旅行者向けの新たな一手として「HIS海外Wi-Fiレンタル比較サイト」をオープンしました。このサービスは、海外渡航時のインターネット接続に不可欠なWi-Fiレンタルサービスを、複数の事業者から横断的に比較・検討できるプラットフォームです。回復基調にある海外旅行市場において、旅行者の多様化するニーズに応える重要な動きとして注目されます。
背景:なぜ今、Wi-Fi比較サイトなのか?
回復する海外旅行需要とデジタル化の波
新型コロナウイルス感染症の水際対策が緩和されて以降、海外旅行への需要は着実に回復しています。日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2023年の年間出国日本人数は962万人に達し、コロナ禍前の2019年比で約48%まで回復しました。直近の2024年4月には単月で94万人を超え、2019年同月比で62%を超える水準にまで持ち直しています。
このような市場回復の中で、旅行者のスタイルも大きく変化しました。特に個人旅行(FIT)が増加し、スマートフォンを片手に地図アプリや翻訳アプリ、SNSを駆使して旅を楽しむスタイルが主流となっています。海外での快適なインターネット接続は、もはや単なる利便性を超え、旅行体験の質を左右する必須インフラと言えるでしょう。
複雑化する通信サービスの選択肢
現在、海外での通信手段は多様化しています。従来のWi-Fiルーターレンタルに加え、スマートフォンのSIMカードを差し替えることなく利用できるeSIM、通信キャリアが提供する国際ローミングなど、選択肢は豊富です。
しかし、多くの選択肢は同時に「選ぶ手間」も生み出します。特にWi-Fiルーターは、複数人でのシェア利用や設定の簡便さから依然として根強い人気を誇りますが、多くの事業者が様々な料金プランやサービスを提供しており、旅行者にとっては最適なプランを見つけ出すのが困難でした。HISがこのタイミングで比較サイトを立ち上げた背景には、こうした旅行者の「見えないコスト(時間・手間)」を解消し、よりスムーズな旅行準備をサポートする狙いがあります。
予測される未来と業界への影響
旅行者の利便性向上と新たな旅行体験
この比較サイトの登場により、旅行者は料金、データ容量、通信速度、対応国、さらには空港での受取・返却方法といった条件を一覧で比較し、自身の旅行スタイルに最適なプランをワンストップで申し込めるようになります。これにより、これまで情報収集に費やしていた時間を短縮できるだけでなく、より納得感のある選択が可能になります。
将来的には、HISが提供する航空券やパッケージツアーとWi-Fiレンタルを組み合わせたセット割引や、会員向けの特典プログラムなども期待されます。旅行の計画から現地での体験まで、デジタルを介してシームレスに繋がるサービスは、顧客満足度を大きく向上させるでしょう。
Wi-Fiレンタル市場の競争激化とサービス向上
HISという強力なプラットフォームが参入することで、海外Wi-Fiレンタル市場の競争はさらに活性化することが予測されます。価格やサービスの透明性が高まることで、各事業者は他社との差別化を図る必要に迫られます。
結果として、単なる価格競争だけでなく、通信品質の向上、サポート体制の充実、ユニークな付加価値の提供といった、サービス全体の質的向上が期待できます。これは旅行者にとって大きなメリットとなり、業界全体の健全な発展にも繋がるでしょう。HISの新サービスは、回復途上にある海外旅行市場において、旅行者の体験価値を高め、業界のデジタル化をさらに一歩前進させる重要な試みと言えます。

