アメリカ本土の乾いた大地を走り続けてきた俺、翔太。果てしなく続くハイウェイ、息を呑むような国立公園の絶景、ガソリンスタンドで交わす無骨な挨拶。そんな旅の途中で、ふと恋しくなったのは、肌を撫でる湿った空気と、どこまでも青い海の香りでした。
そこで相棒のハンドルを切って向かった先は、太平洋に浮かぶエメラルドの宝石、グアム。同じアメリカでありながら、そこには本土とはまったく違う、ゆったりとした時間が流れていました。照りつける太陽、陽気なチャモロ音楽、そして何より、人の心を解き放つ、あの海の青さ。
この記事では、元自動車整備士の知識を活かしたレンタカーでのドライブ術から、腹の底から満たされる絶品ローカルグルメ、そして魂が洗われるような美しいビーチでの過ごし方まで、俺が全身で浴びてきたグアムの魅力を、余すところなくお伝えします。ページをめくるごとに、あなたの心もきっと、南国の太陽と潮風に満たされていくはずです。さあ、一緒に楽園へのドライブに出かけましょう。
楽園の扉を開ける、グアムドライブの流儀
グアムの魅力を120%味わい尽くすなら、レンタカーは絶対に欠かせない相棒です。バスやタクシーももちろんありますが、気になった景色で車を停め、ふらりとローカルの店に立ち寄り、自分だけのビーチを探しに行く。そんな自由気ままな旅を可能にしてくれるのが、ドライブ旅の醍醐味ですから。
相棒選びと、グアムの道を走るということ
空港に降り立てば、たくさんのレンタカー会社のカウンターが迎えてくれます。コンパクトカーからファミリー向けのSUV、そしてオープンカーまで車種は様々。俺のおすすめは、やはり少し車高のあるSUVタイプ。なぜなら、グアムには「リティディアンビーチ」のような絶景スポットへ続く未舗装路も存在するからです。元整備士として言わせてもらうと、足回りがしっかりした車は、予期せぬ悪路でも安心感が違います。もちろん、タモン地区周辺をメインに過ごすならコンパクトカーで十分ですが、冒険心をくすぐるならSUVがベストパートナーになってくれるでしょう。
保険はフルカバーのものを選んでおくのが賢明です。慣れない土地での運転、万が一の事態に備えておくことで、心置きなくアクセルを踏み込めます。国際免許証は不要で、日本の免許証で運転できるのも嬉しいポイントですね。
さて、いよいよ公道へ。グアムはアメリカなので右側通行。最初は少し戸惑うかもしれませんが、すぐに慣れます。それよりも注意したいのが、中央車線(センターレーン)の存在。これは左折専用レーンで、対向車線との間に黄色い線で区切られています。左折したい先の店や道路の手前でこのレーンに入り、対向車が途切れるのを待って曲がる、という使い方です。最初は少しドキドキしますが、これをマスターすればグアムの道はほぼ攻略したと言っても過言ではありません。
スピードの出し過ぎにも注意が必要です。制限速度はマイル表示(1マイル=約1.6km)。景色に見とれていると、ついついスピードが出てしまいがち。ゆったりとした島の空気に合わせて、心にも余裕を持った運転を心がけましょう。
ドライブを彩る、アイランド・チューン
最高のドライブには、最高のBGMが欠かせません。窓を全開にして潮風を浴びながら聴きたい、俺的グアム・ドライブBGMリストを少しだけ。
- アイランド・レゲエ: The GreenやJ Boog、Fijiといったアーティストたちの、心地よいビートとメロディは、グアムの青い空と海に完璧に溶け込みます。太陽の光が優しく感じられるような、リラックスした気分にさせてくれます。
- サーフ・ロック: Donovan FrankenreiterやJack Johnsonの、アコースティックギターが心地よいサウンドは、ビーチへ向かう高揚感をさらに高めてくれます。特に夕暮れ時の海岸線を走るときには、最高の相棒です。
- チャモロ・ミュージック: ローカルのラジオ局にチューニングを合わせれば、陽気なチャモロの音楽が流れてきます。言葉はわからなくても、そのリズムとメロディからは、この島に暮らす人々の温かさや楽しさが伝わってきて、自然と笑顔になってしまいます。
カーステレオから流れる音楽と、エンジン音、そして風の音が混じり合う。これこそが、旅の臨場感を何倍にも増幅させてくれる最高のスパイスなのです。
魂を揺さぶる!グアム・ガストロノミー探訪
グアムの旅は、その食文化に触れずして語ることはできません。古代から受け継がれるチャモロの伝統に、スペイン、アジア、そしてアメリカの食文化が見事に融合し、ここでしか味わえない独特のガストロノミーを形成しています。さあ、腹を空かせて、グアムの美食の世界へダイブしましょう。
チャモロの魂に触れる、伝統料理の世界
グアムの食の根幹をなすのが「チャモロ料理」。グアムの先住民であるチャモロ人の伝統的な食文化です。その特徴は、醤油や酢、レモン、唐辛子などを巧みに使った、甘酸っぱく、そしてピリリとスパイシーな味付けにあります。日本人の口にも非常によく合い、一度食べればその虜になること間違いなしです。
レッドライス – 島の食卓の主役
グアムのレストランで料理を頼むと、ほぼ必ずと言っていいほど添えられてくるのが、鮮やかなオレンジ色をした「レッドライス」です。これは、アチョーテ(アナトー)というベニノキの種子で色と香りをつけた炊き込みご飯。決して辛いわけではなく、ほんのりと香ばしい風味と、パラリとした食感が特徴です。
その歴史は古く、大航海時代にスペイン人が持ち込んだものと言われています。見た目のインパクトもさることながら、その味わいは驚くほど優しい。特に、後述するBBQのような味の濃い料理との相性は抜群で、肉の脂やソースの旨味をレッドライスがふわりと受け止め、口の中で完璧なハーモニーを奏でます。単体で食べるというよりは、おかずと一緒に食べることで真価を発揮する、まさに名脇役。グアムの食卓に欠かせない、島の魂ともいえる存在です。スーパーマーケットではレッドライス用のシーズニングパウダーも売っているので、お土産に買って帰れば、自宅でグアムの味を再現できますよ。
ケラグエン – 爽やかな酸味の饗宴
俺がグアムで最も心を奪われた料理、それが「ケラグエン」です。これは、鶏肉や牛肉、エビ、魚などのメイン食材を、レモン汁、刻み唐辛子、玉ねぎ、そしてココナッツなどと和えた、いわばチャモロ風のセビーチェ(魚介のマリネ)。
一口食べると、まずレモンの鮮烈な酸味が口いっぱいに広がり、続いて唐辛子のピリッとした辛さが追いかけてきます。そして、噛みしめるほどに主役である肉や魚介の旨味がじわりと滲み出し、最後にココナッツのまろやかな風味が全体を優しく包み込む。この味のレイヤーが、たまらないのです。
特に定番のチキンケラグエンは、細かく刻んだ鶏肉の食感と、爽やかな酸味のバランスが絶妙。キンキンに冷えたビールとの相性は、もはや説明不要でしょう。ドライブを終え、火照った体にこのケラグエンとビールを流し込む瞬間は、まさに至福のひととき。店によって酸味の強さや辛さ、ココナッツの量などが微妙に違うので、色々な店のケラグエンを食べ比べて、自分好みの一皿を見つけるのも楽しみの一つです。トルティーヤに包んでタコスのようにして食べるのも、ローカル流の楽しみ方です。
フィナデニソース – 魔法の万能調味料
チャモロ料理を語る上で、絶対に外せないのが「フィナデニソース」。醤油をベースに、酢(またはレモン汁)、刻み玉ねぎ、そして大量の唐辛子を加えた、グアム版の万能つけダレです。
どのレストランのテーブルにも、大抵このフィナデニソースが置かれています。BBQの肉につけるのはもちろん、レッドライスに少しかけて味変を楽しんだり、フライドチキンにディップしたりと、その使い道は無限大。醤油ベースなので日本人にも馴染み深く、そこに酢の酸味と唐辛子の刺激的な辛さが加わることで、どんな料理も一気にトロピカルな味わいに変えてしまう魔法のソースなのです。
特に、こってりとした肉料理にフィナデニソースをつけると、酸味が脂っぽさを中和し、いくらでも食べられてしまうから不思議です。辛さのレベルは店ごとに千差万別。中には、地元の人が「デナンシェ(donni’ sali)」と呼ぶ、唐辛子をペースト状にした激辛バージョンも存在します。辛いもの好きは、ぜひ挑戦してみてください。このフィナ-デニソースの味を覚えれば、あなたも立派なグアム通です。
豪快にかぶりつけ!アメリカンBBQの真髄
グアムはアメリカ。となれば、やはりBBQは外せません。しかし、グアムのBBQは単なるアメリカンスタイルとは一味違います。チャモロの伝統的な味付けが加わった、甘辛い醤油ベースのタレでマリネされた肉を、炭火で豪快に焼き上げるのがグアム流。ビーチパークのあちこちで、週末になるとローカルファミリーがBBQを楽しむ光景が見られ、この島の人々にとってBBQがいかに大切な文化であるかがわかります。
観光客がその味を手軽に楽しめるのが、数々のBBQレストランです。その中でも、俺が特におすすめしたい店をいくつか紹介しましょう。
Proa(プロア)- 予約必須の人気店
タモン地区の中心に位置し、常に多くの人で賑わう超人気店が「Proa(プロア)」です。モダンで洗練された雰囲気の店内で味わうBBQは、まさに絶品の一言。予約をしないと長時間待つことになるので、訪れる際は必ず事前に予約を入れましょう。
ここの看板メニューは「ヒバチスタイルBBQトリオ」。ショートリブ、スペアリブ、チキンの3種類がワンプレートになった、欲張りな一皿です。炭火の香ばしい香りをまとった肉は、驚くほど柔らかくジューシー。甘辛い特製のタレが肉の旨味を最大限に引き出しており、一口食べれば人気の理由がすぐに理解できます。添えられたレッドライスと、ピリ辛のフィナデニソースとの相性も完璧。洗練されていながらも、どこか懐かしいチャモロの魂を感じる味わいです。デザートのタロチーズケーキも有名なので、お腹に余裕があればぜひ。
Meskla Dos(メスクラ・ドス) – 豪快バーガーとローカルの熱気
もっとカジュアルに、ローカルな雰囲気でBBQを楽しみたいなら、Kマートの向かいにある「Meskla Dos(メスクラ・ドス)」がおすすめです。こちらはハンバーガーがメインの店ですが、そのパティがBBQスタイルで焼き上げられており、そのボリュームと旨さは圧巻です。
俺が注文したのは「ウハング・シュリンプバーガー」。炭火で焼かれた香ばしいビーフパティの上に、ガーリックバターでソテーされたプリプリのエビがこれでもかと乗っています。バンズから溢れんばかりの具材を、大きな口を開けて頬張る。肉汁とエビの旨味、ガーリックの風味が一体となって口の中に広がる瞬間は、まさに至福。サイドメニューのフライドポテトも、ケイジャンスパイスが効いていて手が止まらなくなります。店内に響く陽気な音楽と、地元の人たちの笑い声が、最高のスパイスになってくれます。
朝から夜まで!シーン別グアムグルメガイド
グアムの食の楽しみは、伝統料理やBBQだけではありません。朝食からディナー、そして夜食まで、一日中美味しいものに溢れています。
太陽と始める、至福のアイランド・ブレックファースト
一日の始まりは、美味しい朝食から。グアムには、アメリカンなパンケーキからローカルフードまで、魅力的な朝食スポットがたくさんあります。
タモン地区にある「The Kracked Egg(クラックド・エッグ)」は、朝早くから多くの人で賑わう人気の朝食レストラン。看板メニューは、チャモロソーセージと目玉焼きが乗った「チャモロソーセージ・フライドライス」。ピリ辛でジューシーなソーセージと、半熟の黄身を混ぜながら食べるフライドライスは、朝から食欲を全開にさせてくれます。もちろん、ふわふわのパンケーキやフレンチトーストといった甘いメニューも充実しています。
もう少し手軽に済ませたいなら、コンビニエンスストアやスーパーで売っている「スパムむすび」もおすすめです。甘辛いタレで焼かれたスパムとご飯の組み合わせは、日本人なら誰もが好きな味。ビーチでの朝食に、これをかじるのも最高です。
熱気渦巻くナイトマーケットで味わう、ストリートフードの熱狂
毎週水曜の夜に開催される「チャモロビレッジ・ナイトマーケット」は、グアムの食と文化を一度に体験できる最高の場所です。ハガニア地区にあるこの市場には、たくさんの屋台が軒を連ね、島中から人々が集まってきます。
会場に足を踏み入れると、まず鼻をくすぐるのはBBQの香ばしい煙。一本1ドルや2ドルで売られているBBQスティックは、チキンやポークなど種類も豊富で、食べ歩きにぴったり。フィナデニソースをたっぷりつけて頬張れば、祭りの高揚感も相まって格別の美味しさです。
その他にも、新鮮なフルーツを使ったスムージーや、バナナを揚げた「バナナランプia」、ココナッツの果汁を使ったデザートなど、ローカルなストリートフードが目白押し。ステージではチャモロダンスのショーも行われ、五感すべてでグアムの熱気を感じることができます。ドライブがてら、ぜひこの熱狂を体験しに行ってみてください。
地元民に愛される、隠れた名店を探して
観光客向けのレストランも良いですが、旅の醍醐味はやはりローカルに愛される店との出会いです。デデド地区にある「King’s Restaurant(キングス・レストラン)」は、24時間営業のファミリーレストラン。観光客の姿はまばらで、ほとんどが地元の人々です。ここでは、チャモロ料理からアメリカンなダイナーメニューまで、幅広い料理を手頃な価格で楽しめます。深夜に小腹が空いたとき、ここのロコモコを食べた時の満足感は忘れられません。
また、島内に複数店舗を構える「Pay-Less Supermarkets(ペイレス・スーパーマーケット)」のデリコーナーも侮れません。ショーケースには、ケラグエンやBBQリブ、ローストチキンなど、手作りのチャモロ料理がずらりと並びます。好きなものを好きなだけパックに詰めてもらい、ホテルの部屋やビーチで食べる。これぞ究極のローカル体験かもしれません。特にここのポキ(マグロの醤油漬け)は絶品で、俺は滞在中何度も通ってしまいました。
紺碧のキャンバスに描く、至高のビーチタイム
グアムの魅力を語る上で、やはりその主役は「海」です。どこまでも続く水平線、透明度の高いエメラルドグリーンのラグーン、そして真っ白な砂浜。グアムには、訪れる人の数だけ、異なる表情を見せる美しいビーチが存在します。
定番から穴場まで!目的別ビーチセレクション
一口にビーチと言っても、その個性は様々。ここでは、俺が実際に車を走らせて訪れた、目的別のおすすめビーチを紹介します。
タモンビーチ – 楽園の代名詞で過ごす優雅な一日
グアムと聞いて多くの人が思い浮かべるのが、この「タモンビーチ」でしょう。高級ホテルが立ち並ぶタモン湾沿いに広がる、約3kmに及ぶロングビーチです。遠浅で波が非常に穏やかなため、小さなお子様連れのファミリーでも安心して海水浴を楽しめます。
砂はパウダーのようにきめ細かく、裸足で歩くとキュッキュッと音が鳴るほど。海に足を踏み入れると、その驚異的な透明度に息を呑みます。少し沖へ行くだけで、足元を泳ぐ小さな魚たちの姿を見ることができるのです。
タモンビーチの魅力は、そのアクセスの良さと利便性。ビーチ沿いにはレストランやカフェ、マリンスポーツのレンタルショップが充実しており、手ぶらで訪れても一日中楽しむことが可能です。パラソルの下で読書をしたり、カヤックやSUPに挑戦したり、ただただ美しい海を眺めて過ごしたり。思い思いの時間を過ごせる、まさに楽園の王道です。そして、何と言っても素晴らしいのがサンセット。ホテル街のシルエットを背景に、空と海がオレンジ、ピンク、紫と刻一刻と色を変えていく様は、言葉を失うほどの美しさです。
イパオビーチ – シュノーケラーの聖地
タモン湾の最も南側に位置するのが「イパオビーチ・パーク」です。ここは海洋保護区に指定されており、グアム随一のシュノーケリングスポットとして知られています。タモンビーチの賑わいとは少し離れ、より落ち着いた雰囲気でのんびりと過ごしたい人におすすめです。
ビーチからほんの数メートル泳ぐだけで、そこはもう天然の水族館。色とりどりのサンゴ礁が広がり、その周りをチョウチョウウオやツノダシ、クマノミといった熱帯魚たちが乱舞しています。タモンビーチよりも魚の種類、数ともに圧倒的に多く、時間を忘れて海の中の世界に没頭してしまいます。シュノーケルセットは持参するか、近くのショップでレンタルしましょう。
ビーチパークには、広い芝生エリアやシャワー、トイレ、BBQピットも完備されているため、一日中過ごすのに最適。ローカルファミリーがピクニックやBBQを楽しんでいる光景も、のどかで心が和みます。透明度の高い海で魚たちと戯れた後、木陰で冷たいドリンクを飲む。これ以上の贅沢はありません。
リティディアンビーチ – 手つかずの自然が残る秘境
冒険心のあるドライバーに、俺が最も強くおすすめしたいのが、島の最北端に位置する「リティディアンビーチ」です。ここはアメリカ魚類野生生物局が管理する国立野生生物保護区内にあり、手つかずの自然がそのまま残されています。
たどり着くまでの道は、覚悟が必要です。途中から道は舗装されていない赤土のデコボコ道に変わり、雨が降った後などは深い水たまりができていることも。ここでSUVを選んだことが活きてきます。車をガタガタと揺らしながらジャングルの中を進んでいくと、突然視界が開け、信じられないような光景が目の前に広がります。
真っ白な砂浜、そしてどこまでも透明なターコイズブルーの海。人の手が入っていない、ありのままの自然の力強さと美しさに、ただただ圧倒されます。観光客の姿もまばらで、聞こえるのは波の音と風の音だけ。まるで地球の果てに来たかのような、プライベートな感覚を味わえます。
ただし、美しさには危険も伴います。リティディアンビーチは潮の流れが非常に速く、遊泳は推奨されていません。特に離岸流には注意が必要です。海に入る際は、必ず足のつく範囲で、細心の注意を払ってください。また、保護区なので開園時間が決まっており、悪天候時には閉鎖されることもあります。訪れる前には、必ず最新の情報を確認しましょう。不便さやリスクを乗り越えてでも見る価値のある、グアム究極の絶景がここにあります。
ココパーム・ガーデン・ビーチ – プライベート感あふれる贅沢空間
喧騒から離れ、完全にプライベートな空間でリゾート気分を味わいたいなら、有料の「ココパーム・ガーデン・ビーチ」という選択肢もあります。島の北西部に位置し、入場料を払うことで様々なサービスを受けられるプライベートビーチです。
入場料には、ランチやドリンク、ビーチチェアやパラソル、カヤックやシュノーケルセットのレンタルなどが含まれており、まさに至れり尽くせり。スタッフはフレンドリーで、施設は清潔に保たれています。入場者数が制限されているため、混雑とは無縁の静かな時間を過ごせるのが最大の魅力です。
ビーチの美しさはもちろんのこと、ハンモックに揺られて昼寝をしたり、カヤックで沖まで出てみたりと、優雅なアクティビティが揃っています。特にここの海の透明度は素晴らしく、カヤックの上からでも海底のサンゴが見えるほど。家族やパートナーと、誰にも邪魔されずに特別な一日を過ごしたい、そんな時にぴったりの場所です。
海だけじゃない!潮風と遊ぶアクティビティ
グアムの海の楽しみは、ビーチで過ごすだけではありません。海と一体になれる、様々なアクティビティに挑戦してみましょう。
ドルフィンウォッチング – 野生のイルカとの邂逅
グアムの沖合には、野生のハシナガイルカが多数生息しています。アガットマリーナなどから出発するドルフィンウォッチングツアーに参加すれば、高い確率で彼らの群れに出会うことができます。
ボートが沖へ進むと、イルカたちがボートと並走したり、目の前でスピンジャンプを披露してくれたり。その愛らしく、ダイナミックな姿には、大人も子供も大興奮間違いなしです。エンジンを止め、静かな海にイルカたちの鳴き声だけが響く瞬間は、自然との一体感を感じられる感動的な体験です。ツアーによっては、シュノーケリングやバナナボートなどのアクティビティがセットになっているものもあります。
スタンドアップパドル(SUP)で水上散歩
波の穏やかなタモン湾は、スタンドアップパドル(SUP)に挑戦するのに最適な場所です。ボードの上に立ち、パドルを漕いで水面を進んでいくこのアクティビティは、まるで水の上を歩いているかのような不思議な感覚を味わえます。
最初はバランスを取るのが難しいかもしれませんが、慣れてくるとすぐにスイスイと進めるようになります。海上から眺めるホテル街の景色や、ボードの下を泳ぐ魚たちの姿は、ビーチから見るのとはまた違った格別の趣があります。体幹も鍛えられ、エクササイズ効果も抜群。夕暮れ時にサンセットを眺めながら行う「サンセットSUP」は、忘れられない思い出になるでしょう。
サンセットを追いかける、黄昏のドライブ
ドライブ好きの俺にとって、最高のエンターテイメントの一つが、夕日を追いかけるドライブです。グアムには、息を呑むようなサンセットスポットが点在しています。
最も有名なのは「恋人岬(Two Lovers Point)」。タモン湾の北端に突き出た断崖絶壁で、展望台からはタモン湾全体と、水平線に沈む夕日を一望できます。悲恋の伝説が残るこの場所で見る夕日は、ロマンチックでドラマチック。
しかし、俺のお気に入りは、もっと南部の海岸線を走るドライブです。メリッソ村のあたりからウマタック村へ向かうルートは、ヤシの木が揺れる海岸線と、美しい夕日のコントラストが楽しめます。車を停められるスペースを見つけて、お気に入りの音楽をかけながら、空の色が刻一刻と変わっていくのをただ眺める。そんな贅沢な時間の使い方ができるのも、ドライブ旅ならではの特権です。空が燃えるようなオレンジ色から、深い紫色へとグラデーションを描く光景は、旅の疲れを優しく癒してくれます。
旅の解像度を上げる、翔太的グアムの楽しみ方
グルメを味わい、ビーチで遊び、道を走る。それだけでもグアムの旅は十分に楽しいものです。でも、もう少しだけ深く、この島のカルチャーに触れることで、旅の解像度はぐっと上がります。最後に、俺が旅の中で感じた、グアムをより楽しむためのヒントをいくつかお伝えします。
ローカルとの交流が旅を豊かにする
グアムを旅していると、至る所で「Hafa Adai!(ハファデイ!)」という言葉を耳にします。これはチャモロ語で「こんにちは」を意味する挨拶。しかし、単なる挨拶以上の、温かい歓迎の気持ちが込められた言葉です。
店のレジで、ホテルの廊下で、ビーチですれ違う時に、恥ずかしがらずに笑顔で「Hafa Adai!」と返してみてください。それだけで、相手の表情がパッと明るくなり、そこから会話が生まれることもあります。おすすめのレストランを教えてくれたり、秘密のビュースポットを教えてくれたり。そんな何気ないローカルとの交流こそが、ガイドブックには載っていない、旅の最高の思い出を作ってくれます。この魔法の言葉が、あなたの旅を何倍も豊かなものにしてくれるはずです。
トラブルも旅のスパイス?元整備士の備えあれば憂いなし
楽園グアムといえども、旅にトラブルはつきもの。特に天候は変わりやすく、晴れていたかと思えば、突然激しいスコールに見舞われることもあります。車には常に折り畳み傘やタオルを積んでおくと安心です。雨上がりの虹が見られたらラッキー、くらいの気持ちでいるのが良いでしょう。
ドライブ中のトラブルにも備えが必要です。リティディアンビーチのような悪路を走る際は、パンクのリスクもゼロではありません。レンタカーを借りる際に、スペアタイヤの有無やジャッキの場所を確認しておくのは、元整備士としての習慣です。まあ、滅多にあることではありませんが、心の準備をしておくだけで、余裕が生まれます。
そして、何より注意したいのが日焼け。グアムの日差しは日本の比ではありません。油断していると、あっという間に火傷のような状態になってしまいます。SPF値の高い日焼け止めをこまめに塗り直し、帽子やサングラス、ラッシュガードなどで物理的に肌を守ることが重要です。楽しい思い出が、痛い思い出に変わってしまわないように。
この島が教えてくれたこと
アメリカ本土の、地平線まで続くような広大なスケールとは対照的に、グアムは車で数時間もあれば一周できてしまう小さな島です。しかし、その小さな島には、驚くほど豊かで多様な自然と文化が凝縮されていました。
コバルトブルーの海、深い緑のジャングル、そしてそこに暮らす人々の陽気な笑顔と温かい心。人と自然、そして人と人との距離が、とても近い。都会の喧騒の中で忘れかけていた、シンプルで大切な何かを、この島の潮風が思い出させてくれたような気がします。
エンジンを切り、静かなビーチで波の音を聞いていると、日々の悩みや焦りが、大きな自然の中に溶けていくのを感じます。車を走らせれば、また新しい絶景と美味しい出会いが待っている。
もしあなたが日常に少し疲れたなら、次の休みは、ぜひグアムの太陽と潮風に抱かれに行ってみてください。相棒のレンタカーの窓を全開にして、お気に入りの音楽をかけて。きっとそこには、あなたの心を解き放つ、最高の時間が待っているはずです。







