南米大陸の北西に位置する国、コロンビア。かつては危険なイメージが先行していたこの国も、今ではその豊かな自然と陽気な文化に魅せられた旅人たちが世界中から集まるデスティネーションへと変貌を遂げました。特に、第二の都市メデジン近郊に位置する小さな村「グアタペ(Guatapé)」は、一度訪れた者の心を掴んで離さない、まさに「色彩の宝石」と呼ぶにふさわしい場所です。
まるで子供の頃に夢中になったレゴブロックを、誰かが気まぐれに大地へばらまいたかのような、鮮やかな家々。壁一面に施された「ソカロ」と呼ばれる美しいレリーフ。そして、その全てを見守るかのようにそびえ立つ、巨大な一枚岩「ピエドラ・デル・ペニョール」。
食品商社に勤める傍ら、世界の食と文化の深層を探る旅を続ける私にとって、このグアタペは単なる観光地ではありませんでした。そこには、人々の生活の息吹が色彩となって溢れ出し、厳しい自然と共存してきた歴史が力強い岩となってそびえ立っている。そんな生きた物語を感じさせる場所だったのです。
この記事では、メデジンからのアクセス方法といった基本的な情報から、740段の階段を登りきった者だけが目にできるピエドラ・デル・ペニョールからの絶景、カラフルな街並みに隠された物語、そしてグルメライターの舌を唸らせた絶品ローカルフードまで、グアタペの魅力を余すことなくお伝えします。旅の計画に役立つ具体的な準備や注意点も盛り込みましたので、次の旅先の候補として、ぜひこの色彩の迷宮への扉を開いてみてください。
アンティオキアの色彩の心臓部、グアタペへ

旅の出発点は、常春の街メデジンです。グアタペは、メデジンが州都であるアンティオキア県に位置しています。緑豊かな山々に囲まれたメデジンの都会的な風景から、バスで約2時間揺られる間に、車窓の景色が徐々にのどかな田園風景へと変わっていく様子は、これから始まる非日常への序章として、心を高揚させるに十分な時間となります。
メデジンからのアクセス、旅の第一歩
グアタペへ行く最も一般的かつ経済的な方法は、メデジンの北バスターミナル(Terminal de Transporte del Norte)から長距離バスを利用することです。このターミナルはメトロA線の「Caribe」駅に直結しており、非常にアクセスしやすい場所にあります。
ターミナルに到着したら、1階のチケットカウンターが並ぶフロアへ向かいましょう。多くのバス会社のカウンターが並んでいますが、目指すのは「Sotrasanvicente & Guatape La Piedra」という会社のカウンターです。通常、14番あたりにありますが、変更されることもあるため、電光掲示板やカウンターの表示で「Guatapé」の文字を確認してください。
チケット購入はとても簡単です。窓口で「グアタペ、ウノ(Guatapé, uno)」(グアタペまで、1人)と伝えるだけで問題ありません。スペイン語に自信がなくても、行き先と人数を伝えれば係員がスムーズに発券してくれます。料金は片道およそ20,000コロンビア・ペソ(約800円)で、支払いは基本的に現金なので、適度なキャッシュを用意しておきましょう。
事前予約は基本的に不要ですが、金曜や週末、祝日になると避暑を目的に地元の人々が多く訪れ、バスは混雑します。特に午前中の早い便は満席になることがあるため、週末に訪れる場合は、少し早めにターミナルへ到着することをおすすめします。バスは30分に1本程度の頻度で運行しているため、乗り遅れても次の便を待てば問題ありません。
バスに乗り込んだら、指定席に座りましょう。コロンビアの長距離バスは比較的快適で、リクライニング機能もあります。道中は山間の道を走るため曲がりくねっていますが、舗装状態は良好です。車窓からはコーヒー農園や果樹園、牛が草をはむ牧歌的な風景が広がり、見ているだけで飽きることがありません。
ここで旅の計画に役立つポイントを一つ。バスは最終的にグアタペの町に到着しますが、その手前にある巨大な岩、ピエドラ・デル・ペニョールの麓で停車します。多くの観光客はそこで一度下車し、岩に登った後、トゥクトゥク(三輪タクシー)などでグアタペの町へ向かいます。大きな荷物がある場合は、先にグアタペの町まで行きホテルに荷物を預けてから、身軽な状態で岩へ向かうのが賢明です。自身の旅のスタイルに合わせて、どの地点で降りるか考えておくと良いでしょう。
740段の先に待つ絶景。巨岩ピエドラ・デル・ペニョールに挑む
グアタペの風景を独特のものにしている象徴的な存在、それが「ラ・ピエドラ・デル・ペニョール(La Piedra del Peñol)」、通称「エル・ペニョール(El Peñol)」です。大地から突き出るようにそびえ立つこの巨大な一枚岩は、高さ約220メートルに達します。その頂上からは、息を飲むような360度の大パノラマが広がっています。ただし、その絶景を手に入れるためには、岩の裂け目に設置された740段の階段を自らの足で登り切る必要があります。
登頂に向けた準備と心構え
この挑戦を無事に成し遂げるためには、適切な準備が欠かせません。決して過酷な登山というわけではありませんが、油断は禁物です。快適かつ安全に登頂できるよう、以下の持ち物や服装のポイントを参考にしてください。
- 持ち物リスト
- 歩きやすい靴: サンダルやヒールは避け、スニーカーやウォーキングシューズを選びましょう。階段は急で、踏み外す恐れがあります。
- 水分: 登る間に汗をかくため、最低でも500mlのペットボトルを一本持参しましょう。頂上や麓でも販売されていますが、価格は高めです。
- 日焼け対策: 高地で強い日差しのため、日焼け止め、帽子、サングラスは必須アイテムです。
- 汗拭きタオル: 汗をかくのは間違いないので、一枚持っているだけで快適さが大きく違います。
- 現金: チケット購入や頂上での飲み物代、トイレ使用料(有料の場合あり)など、現金が必要な場面が多いです。クレジットカードは使えないことが多いと考えましょう。
- カメラ: 目の前に広がる絶景を記録するために、ぜひ忘れずに携帯してください。
- 禁止事項と注意点
- ドローンの持ち込み: 安全面の理由で、ピエドラ・デル・ペニョール周辺でのドローンの飛行や持ち込みは固く禁止されています。違反すると罰金を科されることもあるため、十分に注意しましょう。
- アルコールの持ち込み: 登る前の飲酒や持ち込みは危険です。頂上の売店で達成感とともに味わうビールを楽しみに、登る間は控えてください。
- 服装について
- 動きやすさを重視し、Tシャツにパンツやショートパンツといった軽装が基本です。
- グアタペの標高は約1,900メートルで、メデジンよりやや肌寒さを感じることがあります。また、頂上は風が強いことも多いため、汗が引いた後に体を冷やさないよう、薄手のウィンドブレーカーやパーカーなど羽織るものを一枚携帯しておくと安心です。
チケット購入から登頂までの実際の流れ
メデジンからバスで岩の麓に到着すると、その圧倒的な存在感を放つ巨岩が目の前にそびえ立っています。麓のバス停からチケット売り場までは、やや急な坂を歩いて5〜10分ほどかかります。歩くのがつらい場合は、客待ちしているトゥクトゥクを利用するのも賢明です。
チケット売り場に着いたら、窓口で入場券を購入します。料金は約25,000コロンビア・ペソ(約1,000円)で、支払いは現金のみ。チケットを手にしたら、いよいよ740段の登頂チャレンジが始まります。
階段の入り口を通ると、ジグザグに続くコンクリート製の階段が現れます。この階段は非常に良く設計されており、登り用と下り用に分かれているため、下山者とすれ違う際に気を遣わず、自分のペースで登ることに集中できます。
最初の100段や200段は景色も新鮮で体力にも余裕があるため、「案外楽かも」と感じるかもしれません。しかし、300段を超えるころから徐々に足に乳酸が溜まり、呼吸も荒くなってくるでしょう。汗が額から流れ落ち、Tシャツが肌に貼り付く感覚も覚えます。
けれども、苦しいのはあなただけではありません。周囲を見回せば、同じように息を切らし、手すりを掴みながら一息つく世界中の旅人たちがいます。励まし合ったり、片言の言葉を交わしたりするのも、旅の醍醐味の一つです。
階段の踊り場で一息つき、ふと振り返れば、登るごとに視界が開け、眼下に広がる人造湖の景色が徐々に姿を変えていく様子を楽しめます。複雑に入り組んだ湖岸線や点在する小さな島々、そしてエメラルドグリーンに輝く湖水。この壮麗な景色が、疲れた足に再び力を与えてくれます。
500段や600段と数えながら進み、ついに最後の階段が見えた時の高揚感は格別です。最後の力を振り絞って登り切ると、そこには360度を見渡せる壮大な絶景が待ち受けています。
頂上で味わう達成感とコロンビアの風
740段の階段を制覇した者のみが踏み入れることを許される頂上。展望台と土産物店、小さな売店があるのみのシンプルな空間ですが、最大の魅力はここからの眺めです。
眼下に広がるのは、グアタペ・ダムによって生まれた人造湖。まるで緑色のベルベットの大地に、誰かがターコイズブルーのインクをこぼしたかのような幻想的な風景が広がります。無数に伸びる半島や湖に浮かぶ緑の小島が織りなす地形は、水墨画のようでもあり、まさに地球の芸術作品と呼ぶにふさわしいものでした。このダムは1970年代に電力供給を目的に建設され、その過程で古いエル・ペニョールの町は湖の底に沈みました。今目にしている美しい風景は、そうした近代化の歴史の産物なのです。
展望台の頂上に立てば、遮るもののない風が全身を撫でていきます。740段の階段を登り切って火照った体に、この風は何とも心地よいものです。
そして、グルメライターとして見逃せないのが、頂上の売店で販売されている「マンゴー・ミチェラーダ(Mango Michelada)」です。これは、フローズンマンゴーにビールを注ぎ、塩とライムで味付けしたコロンビアらしいカクテル。汗をかいた身体に、マンゴーの甘みとビールのほろ苦さ、塩気が絶妙に染みわたり、至福のひとときを味わえます。もちろん、冷えたビールやソフトドリンクも用意されています。この頂上での一杯を楽しむためにここまで登ってきたと言っても過言ではありません。
写真撮影のベストスポットは展望台の各角度から。湖の入り組んだ地形を広く写したい場合は広角レンズがおすすめです。また、展望台の塔自体を背景に、達成感あふれる記念写真を撮るのも素敵です。
充分に景色を楽しんだ後は、下りの階段へ。登りとは別ルートなので、違った角度からの景色を楽しめます。膝に負担をかけないよう、ゆっくりと一歩一歩降りつつ、余韻に浸りながら麓を目指しましょう。
色彩の迷宮、グアタペの街を歩く

ピエドラ・デル・ペニョールでの感動的な体験を終えた後は、ついに鮮やかな色彩が広がる町、グアタペの中心地へと向かいます。麓からはトゥクトゥクに乗っておよそ10分。料金は交渉制ですが、一般的には10,000〜15,000コロンビア・ペソ程度が目安です。風を感じながらカラフルな街へ向かうその移動時間も、また格別の思い出となるでしょう。
グアタペの町は、まるでテーマパークのように隅から隅まで色で彩られています。しかし、それは単なる人工の飾りではありません。そこには人々の生活や歴史、誇りが根付いています。単に「インスタ映え」する写真を撮るだけでなく、その鮮やかな色彩に秘められた物語を感じ取りながら歩くことで、この町の真の魅力に触れることができるでしょう。
ソカロが紡ぐ街の物語
グアタペの建物の特徴となっているのが、「ソカロ(Zócalos)」と呼ばれる、建物の腰壁部分に施された色鮮やかなレリーフです。これは単なる装飾に留まらず、一つひとつのソカロにその家に住む人の職業や家族の歴史、地域の動植物、あるいは幾何学模様などが描かれています。まさに「家の看板」であり、「物語の語り部」と言えるでしょう。
例えば、羊のレリーフがあれば、かつてその家には羊飼いが暮らしていたかもしれません。パンの絵があればパン屋さん、音楽をテーマにしたものなら音楽家の家を示しています。花や鳥、太陽といった自然をモチーフにしたものも多く、人々の自然への敬意が感じられます。
このソカロ文化は20世紀初頭に始まったとされ、元々は湿気から家の土台を守る実用的な役割がありましたが、住民の一人が装飾を施したことで町中に急速に広がりました。そして、前述のダム建設によって古い街が水没した後、新しい町をより魅力的にしようとする住民たちの思いがこの文化をさらに花開かせました。この美しい街並みは、コロンビア政府観光局も「魔法の町」と称し、国の誇りとなっています。
街を歩く際は、一軒一軒のソカロに目を向けてみてください。「この家にはどんな人が住んでいるのだろう?」「この絵が表す意味は何だろう?」と想像を膨らませながら歩けば、ただの散策がまるで野外美術館でのアート鑑賞のような知的な冒険へと変わることでしょう。
傘の通りと記憶の通り
グアタペには、特に写真好きの心を掴む象徴的な通りがいくつか存在します。
そのひとつが「傘の通り(Calle de los Paraguas)」です。石畳の細い路地の頭上には赤、青、黄色、緑といった色とりどりの傘がぎっしりと吊るされており、傘の間から差し込む光が地面に幻想的な影を落とし、まるで万華鏡の中に迷い込んだかのような空間を生み出しています。通りの両側にはカフェやお土産屋が軒を連ね、活気にあふれています。誰もが思わずカメラを向けたくなる、グアタペで最も人気のフォトスポットのひとつです。
もうひとつ、ぜひ訪れてほしいのが「記憶の通り(Calle del Recuerdo)」です。ここは、ダム建設で水没したかつての古い町の姿を再現した通りで、やや色あせたパステルカラーの家々や伝統的な石畳の道、そして通りの突き当りに小さな教会が構えています。傘の通りのような華やかさはありませんが、どこかノスタルジックな雰囲気が漂い、人々の故郷への思いが静かに伝わってきます。ここで少し足を止め、失われた街へ想いを馳せるのも、深い旅の一部となるでしょう。
グアタペの暮らしの息吹に触れる
グアタペの魅力は、観光客で賑わうメインストリートだけにとどまりません。そこから一歩脇道へ入ると、観光地化されていない、ありのままのグアタペの日常風景が広がっています。
バルコニーには洗濯物がはためき、路地では子どもたちがサッカーに興じている。軒先では老人たちが井戸端会議に花を咲かせる。そんな何気ない光景の中に、この町の真の温かみが感じられます。
私自身も脇道を歩いていると、小さな扉が開け放たれた食料品店を見つけました。店主のご老人は常連と思われる女性と楽しげに談笑しています。観光客の私に気づくと、「オラ!(やあ!)」と笑顔で声をかけてくれ、その言葉が通じなくても心が通じ合ったように感じられました。
こうした地元の人々が営む小さな店やカフェに、ふらりと立ち寄るのもおすすめです。観光客向けではない素朴で誠実な味わいやサービスに出会えるかもしれません。観光地としての顔と、そこで暮らす人々の日常生活。その二つが絶妙なバランスで共存しているからこそ、グアタペは多くの旅人を惹きつけるのでしょう。
グルメライターが唸る、グアタペの味覚探訪
旅の楽しみの大きな一部は、その土地独自の食文化にあります。これが私の信念です。色鮮やかなグアタペは、視覚的な魅力だけでなく、味覚でも旅人を満足させる潜在力を持っています。アンティオキア地方の力強い伝統料理から、湖の恵みによる新鮮な魚料理まで、グアタペで堪能すべき美食をご紹介いたします。
アンティオキア地方の象徴、バンデハ・パイサ
コロンビア、特にアンティオキア地方を訪れたなら、ぜひ味わってほしい料理があります。それが「バンデハ・パイサ(Bandeja Paisa)」です。
「バンデハ」は盆や皿、「パイサ」はこの地域の住民を指す言葉で、直訳すれば「パイサ人の皿」となります。名前の通り、一皿に地元の名物が豪快に盛り込まれた迫力満点の一品です。
基本の内容は、フリホーレス(インゲン豆の煮込み)、白ご飯、カルネ・モリーダ(牛ひき肉の炒め物)、チョリソー(スパイシーなソーセージ)、チチャロン(カリカリに揚げた豚皮)、目玉焼き、アボカド、そしてタハーダス(甘い調理用バナナのフライ)です。これらが大きな大皿に盛られ、運ばれてくる姿は圧巻です。
一見すると単なる炭水化物と蛋白質の盛り合わせに見えますが、実際には絶妙なバランスが取れています。豆のやさしい甘み、肉の濃厚な旨味、チチャロンの香ばしい塩味、アボカドのなめらかさ、そしてタハーダスのほのかな甘みが絡み合い、複雑で奥行きのある味わいを生み出しています。
もともとは、農場で重労働を担う労働者が、一日のエネルギーを補給するために食べていた料理だと伝えられています。その背景を知ると、この一皿に込められた力強さと温かみに、より深い感銘を受けることでしょう。
グアタペの町には、このバンデハ・パイサを自慢のメニューに掲げるレストランが多数あります。湖畔で景色を楽しみながら味わうのも素敵ですし、街の中心部にあるローカルな食堂で地元の人々と共に食事をするのも趣深い経験です。ただし、そのボリュームは予想以上に大きいので、注文の際はしっかりと空腹で臨むことをおすすめします。
湖畔で味わう名物、トゥルチャ
ピエドラ・デル・ペニョールの頂上から見渡すあの広大な人造湖は、美しい風景を楽しませてくれるだけでなく、グアタペの食卓にも豊かな恵みをもたらしています。その代表的な食材が「トゥルチャ(Trucha)」、つまりマスです。
この湖で養殖されている新鮮なマスは、グアタペの多くのレストランで提供されている名物料理です。調理法はさまざまですが、最も一般的なのは一尾まるごとを素揚げにした「トゥルチャ・フリタ(Trucha Frita)」です。外はパリッと、中は驚くほどふっくらとジューシー。レモンをきゅっと絞っていただくと、マスの淡白でありながら豊かな風味が口いっぱいに広がります。
もう一つのおすすめは、たっぷりのにんにくとバターでソテーした「トゥルチャ・アル・アヒージョ(Trucha al Ajillo)」です。にんにくの香ばしい香りとバターのコクが食欲をそそり、付け合わせのパタコン(調理用バナナをつぶして揚げたもの)との相性も抜群です。
何よりの贅沢は、湖に面したレストランのテラス席で、穏やかな湖面を眺めながらこのトゥルチャを味わうことです。美しい景色という最高のスパイスが料理の美味しさを何倍にも引き立ててくれます。視覚と味覚でグアタペの自然をまるごと堪能できる、至福の味覚体験が待っています。
街角の甘い誘惑と本場コロンビアコーヒー
食後のデザートや街歩きの合間のひと息には、コロンビアならではの甘味とコーヒーが欠かせません。
街角の屋台や菓子店でよく見かけるのが「オブレアス(Obleas)」です。これは薄いワッフル状のウエハース生地に、「アレキペ(Arequipe)」と呼ばれる濃厚なミルクキャラメルやジャム、チーズなどを挟んだお菓子で、素朴ながらもクセになる味わい。食べ歩きにぴったりのスイーツです。
そして、コロンビアは言わずと知れたコーヒーの名産地。ここに来たからには、本格的なコーヒーをぜひ味わってください。グアタペにはセンスの良いカフェが多数あり、それぞれがこだわりのコーヒー豆を提供しています。アンティオキア産の豆を使ったスペシャルティコーヒーは、豊かな香りとフルーティーな酸味、深いコクが特徴で、スーパーで購入する一般的なコーヒーとは一線を画す本物の味です。きっと感動を覚えるはずです。
カラフルなソカロ装飾が施された建物の窓際の席に腰掛け、香り高いコーヒーを手に街ゆく人々や賑やかな街並みをぼんやり眺める。そんな何気ないひとときこそ、旅の思い出に深く刻まれるかけがえのない瞬間となるでしょう。
旅の記憶を持ち帰る、グアタペのお土産選び

旅の楽しい思い出を形にして持ち帰るお土産選びは、旅の大きな醍醐味のひとつです。グアタペには、この街独特の豊かな色彩や温かみを感じられる魅力的なアイテムが数多く揃っています。ありふれたものではなく、大切な人や自分自身のために、心に長く残る一品をじっくり探してみましょう。
- ソカロを模したミニチュアタイル
グアタペの象徴であるソカロを手のひらサイズに縮小したセラミックタイルは、ぜひ手に入れたいお土産のひとつです。熟練の職人がひとつひとつ丁寧に手作りしており、その鮮やかな色彩とデザインは見ているだけでも心が弾みます。家の壁に飾ったり、コースターに使ったりと、日常生活にグアタペの彩りを添えることができます。町の中心にある土産物店にはさまざまなデザインのタイルがずらりと並んでいるため、自分だけのお気に入りを見つける楽しみも味わえます。
- コロンビアレザー製品
実はコロンビアは、高品質なレザー製品をリーズナブルな価格で購入できる国としても知られています。グアタペにも、手作りのバッグや財布、ベルトなどを扱うお店が点在しています。特にコロンビアの伝統的なショルダーバッグ「モチラ(Mochila)」のデザインを取り入れたレザーバッグは、個性的でファッションのアクセントにぴったりです。使い込むほどに味わい深くなるレザー製品は、旅の思い出とともに長く愛される逸品となるでしょう。
- ルアナ(Ruana)
アンデス地方の伝統的な防寒着である「ルアナ」は、ポンチョに似たウール製の上着です。標高の高いグアタペでは、朝晩の冷え込みが厳しいため、地元の人にも実用的な衣類として親しまれています。色や柄のバリエーションが豊富で、デザイン性にも優れているため、おしゃれな羽織物として日本でも活躍しそうです。やや嵩張るものの、他ではなかなか手に入らない特別なお土産として喜ばれるでしょう。
- 特産コーヒー豆
グルメな方への贈り物には、やはりコロンビア産のコーヒー豆が最適です。グアタペのカフェや専門店では、周辺の農園で丁寧に栽培された高品質なコーヒー豆を取り扱っています。どの豆を選べば良いか迷った際は、店員さんに好みを伝えて相談してみてください。「酸味が控えめでコクがあるものが好き」「フルーティーな香りが好み」といった希望を伝えれば、おすすめの商品を案内してくれます。焙煎したての豆の香りは、そのまま最高のお土産になります。
コロンビアでは、お土産の価格交渉はあまり一般的ではありません。表示された価格での購入が基本となりますが、複数購入するときには少しだけ割引をお願いしてみるのも良いでしょう。何より大切なのは、作り手や売り手への敬意を忘れず、笑顔で気持ちよくコミュニケーションを楽しむことです。
グアタペ滞在を快適にするための実践的アドバイス
最後に、グアタペでの滞在をより安全かつ快適に過ごすための実践的な情報とアドバイスをお伝えします。素敵な旅の思い出がささいなトラブルで台無しにならないよう、出発前にしっかりと確認しておきましょう。
宿泊について
グアタペはメデジンから日帰りでも十分満喫できますが、時間に余裕があればぜひ一泊することをおすすめします。観光客が引いた静かな夜の街並みや、朝霧に包まれた湖の幻想的な風景は、宿泊した方だけが味わえる特別な体験です。
宿泊施設のバリエーションも豊富です。湖畔にはプライベート桟橋付きのリゾートホテルや豪華なグランピング施設があり、特別なひとときを楽しめます。一方、町の中心部にはカラフルな建物をリノベーションしたおしゃれなブティックホテルや低価格のホステルが点在し、散策にも便利な立地が魅力的です。
特に週末やコロンビアの祝祭日には、国内からの観光客でホテルが満室になることも珍しくありません。旅程が決まったら、Booking.comなどの宿泊予約サイトを使って、早めに宿を確保しておくと安心です。
知っておきたい基本情報とトラブル対策
- 通貨と支払い
コロンビアの通貨はコロンビア・ペソ(COP)です。グアタペのレストランやホテルではクレジットカードが利用できる場所も増えていますが、小規模な商店や屋台、トゥクトゥク代、ピエドラ・デル・ペニョールの入場料などは現金のみの支払いが基本です。町の中心にはATMもありますが、手数料が高かったり故障していたりする場合もあるため、ある程度の現金はメデジンなどの大都市で準備しておくと安心です。
- 治安
グアタペはコロンビア国内でも特に治安が良いとされる観光地で、日中は多くの観光客で賑わい、比較的安心して街歩きを楽しめます。ただし、海外にいることを念頭に置き、夜間に人気のない路地を一人で歩かない、貴重品は体の前で管理する、レストランで席を離れる際に荷物を置きっぱなしにしないなど、スリや置き引き対策は常に心がけましょう。最新の治安情報については、渡航前に外務省の海外安全ホームページでの確認をおすすめします。
- 言語
公用語はスペイン語です。観光地のホテルや飲食店では簡単な英語が通じる場合もありますが、基本的にはスペイン語が主流です。ですが心配はいりません。「Hola(こんにちは)」「Gracias(ありがとう)」「Por favor(お願いします)」「Cuánto cuesta?(いくらですか?)」などの基本的なフレーズを覚えておくと、現地の人たちとのコミュニケーションがぐっとスムーズになり、旅の楽しさも増します。コロンビアの人々は非常に親切でフレンドリーですから、言葉の壁を恐れず笑顔で話しかけてみてください。
- 体調管理
グアタペの標高は約1,900メートルで、富士山五合目とほぼ同じ高さです。高山病のリスクは低いものの、個人差で頭痛や息切れが出ることがあります。到着初日は無理な行動を避け、ゆっくりと体を慣らしましょう。ピエドラ・デル・ペニョール登頂の際も、自分のペースを大切にしてください。また、日差しが強いため、こまめな水分補給を心がけ、熱中症や脱水症状に十分注意しましょう。
- トラブル時の対応
もしメデジン行きのバスチケットを紛失した場合は、グアタペのバス乗り場窓口で事情を説明しましょう。購入記録があれば再発行してもらえることもありますが、基本的には再購入が必要になることを想定してください。体調を崩した場合、町には小規模な診療所(Centro de Salud)がありますが、対応可能な範囲は限られています。重篤な場合は迷わずメデジンの大病院を受診しましょう。万が一に備えて、海外旅行保険には必ず加入しておくことが大切です。
グアタペは、単にカラフルで美しいだけの町ではありません。そこには自然の造形美と人の創造力が融合した奇跡のような景観が広がり、困難な歴史を乗り越えてきた人々の明るさと力強さが満ちています。一歩足を踏み入れれば、その色彩の渦に包まれ、誰もが自然と笑顔になってしまう魔法のような場所です。この旅の記事があなたの心を揺さぶり、未知なる色彩の世界への扉を開くきっかけとなれば幸いです。

