「フランス旅行」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、きっとパリの華やかな街並みや美術館、エッフェル塔の輝きではないでしょうか。もちろん、それも素晴らしいフランスの一面。でも、もしあなたが「観光地を巡るだけじゃ物足りない!」「もっと身体を動かして、その土地の空気を肌で感じたい!」と思っているアクティブ派なら、ぜひ次の旅の目的地リストに「マルセイユ」を加えてみてください。
南フランス、プロヴァンス地方の中心都市であり、地中海に面したフランス最古にして最大の港町、マルセイユ。さんさんと降り注ぐ太陽、どこまでも青い海、活気あふれる市場、そして迷路のように入り組んだ旧市街。ここには、五感をフルに使って楽しめるアクティビティが無限に広がっています。パリのような洗練された雰囲気とはひと味違う、少し無骨で、エネルギッシュで、人間味あふれる魅力がマルセイユにはあるんです。
今回の記事では、私、大西みゆが実際に歩き、泳ぎ、味わい尽くしたマルセイユの魅力を、アクティビティ中心にご紹介します。予算は抑えめでも、体験は最高にリッチに!そんな欲張りな旅を計画しているあなたのための、実践的な情報もたっぷり詰め込みました。この記事を読み終える頃には、きっとマルセイユ行きの航空券を探し始めているはず。さあ、太陽と潮風が待つ冒険へ、一緒に出かけましょう!
まずは知っておきたい!マルセイユってどんな街?

本格的なアクティビティに入る前に、まずマルセイユという街の基礎知識と、旅をする上での心得を少しだけお伝えします。この街の特徴を理解しておくと、旅の見え方がぐっと鮮明になりますよ。
紀元前から続くフランス最古の港町
マルセイユの歴史は、紀元前600年にまでさかのぼります。古代ギリシャ人が築いたこの港は、まさに歴史の交差点として機能してきました。さまざまな文化や人々がここを行き交い、独自の文化が形成されてきたのです。旧港(ヴュー・ポール)を歩くと、歴史の重みと現役の活気が同時に感じられるでしょう。古さと新しさが入り混じったカオスな空気こそ、マルセイユの最大の魅力なのです。
太陽と海、そして少しの注意が必要
地中海性気候に分類されるマルセイユは、年間を通じて温暖で、特に夏は鮮やかな青空が続きます。アウトドアアクティビティには理想的な環境と言えるでしょう。ただし、一方で「治安がやや心配」という印象を持つ方もいるかもしれません。
率直に言えば、その印象は完全に間違っているわけではありません。特に駅周辺や観光客の少ない路地では、スリや置き引きといった軽犯罪に気をつける必要があります。しかしこれは、ヨーロッパの大都市共通の注意点です。基本的な用心さえあれば、過度に怖がる必要はありません。
- 貴重品は分散して持つ: 財布、スマートフォン、パスポートを一つのバッグにまとめないようにしましょう。
- バッグは前に抱える: 混雑した場所では特に意識してください。リュックは狙われやすいので要注意です。
- 夜は一人歩きを避ける: 特に女性は明るく人通りの多い道を選ぶことが大切です。
- 話しかける人には警戒心を持つ: 親切を装うスリのグループもいます。「No, thank you」とはっきり伝えて距離を取ってください。
これらを心得ておけば、安全に、そして楽しく旅を満喫できるでしょう。むしろ、こうした少しの緊張感が旅にスパイスを加えてくれることもありますよ。
絶対外せない!マルセイユの鉄板アクティビティ3選

いよいよ本題に入ります!マルセイユを訪れたらぜひ体験していただきたい、定番でありながら最高のアクティビティを3つ厳選してご紹介します。いずれも、マルセイユの自然美と歴史を心ゆくまで感じられるものばかりです。
カランク国立公園で絶景ハイキング&カヤック体験
マルセイユ観光のハイライトの一つが、「カランク国立公園(Parc national des Calanques)」です。カランクとは、石灰岩の岩盤が地中海の波によって浸食されて形成された、細長く深い入り江のことを指します。真っ白な断崖と、エメラルドグリーンからターコイズブルーへと変わる美しい海のグラデーションのコントラストは、まさに息をのむ絶景。ここは単なる観光スポットではなく、地球が生み出した自然の芸術と言えます。
地球の彫刻・カランクの魅力
マルセイユと隣接するカシスの間に連なるカランク群は、ヨーロッパ屈指の景勝地です。大小さまざまな入り江が点在し、それぞれが異なる表情を見せてくれます。特に有名なのは、カランク・ド・スジトン(Calanque de Sugiton)やカランク・ダン・ヴォー(Calanque d’En-Vau)など。展望台からの眺めも素晴らしいですが、カランクの真髄は自分の足で訪れ、水に触れたときに初めて味わえます。
ハイキングの終点に待つ小さなビーチはまさにご褒美。汗で熱くなった身体を冷ます冷たい地中海の海水は、格別の心地よさです。さらに、カヤックで海から断崖を見上げる迫力も格別。この全ての体験が、きっと忘れられない思い出になるでしょう。ショート動画を撮るなら、ドローンがなくてもまるでドローンで撮影したかのような、崖の上からの映像が狙えますよ!
【Do情報】カランクを120%楽しむための実践ガイド
カランクは美しい自然を誇る一方、時に厳しい環境もあります。十分な準備をして、安全に楽しみましょう。
- アクセス方法
- バス: 最も手軽でコスパの良い移動手段です。マルセイユ市街からバスでアクセスできるカランクもあります。例として、カランク・ド・スジトンへは、カステラーヌ(Castellane)地区からB1番のバスに乗り、「Luminy PN des Calanques」で下車します。
- チケット購入: マルセイユの公共交通はRTM社が運営。券売機やタバコ屋(Tabac)でも購入可能ですが、公式アプリ「RTM – Transports Marseille」をスマホに入れておくのが最も便利。アプリでチケットを購入し、乗車時にQRコードを読み取るだけです。1回券や10回券、24時間券など滞在期間に応じたチケットを選べます。
- ボート: 旧港発の観光ボートツアーも人気です。ハイキングが苦手な方でも、海上からカランクの絶景を気軽に楽しめます。複数のカランクを巡るコースが多く、所要は約2〜3時間。チケットは旧港のチケット売り場で購入可能です。
- 準備と持ち物
- 水分: とにかく必須です。特に夏場は、1人最低1.5リットルの携帯を推奨。途中に売店や水道がありません。
- 歩きやすい靴: サンダルやヒールは避け、スニーカーかグリップの良いハイキングシューズがベスト。岩場は滑りやすい箇所があります。
- 日焼け対策: 帽子、サングラス、日焼け止めを忘れずに。マルセイユの日差しは強烈です。
- 軽食: ナッツやエナジーバーなど、素早いカロリー補給に適したものを用意しましょう。
- 水着とタオル: カランク内の小さなビーチで泳ぐ機会を逃さないために。
- ごみ袋: 公園内にゴミ箱はなく、出したゴミは必ず持ち帰ることがルールです。
- 禁止事項・安全ルール
- 夏季立ち入り制限: 森林火災のリスクが高まる夏(おおよそ6月〜9月)は、立ち入りが制限または禁止される場合があります。訪問前に公式サイトで最新の情報を必ずチェックしてください。情報は毎日更新されます。
- 火気厳禁: タバコを含め、火の使用は禁止されています。
- 動植物の採取禁止: 貴重な自然環境を守るため、植物の採取や動物の捕獲は禁止です。
- トラブル時の対処法
- 道に迷った場合: ハイキングコースには赤白や黄色などのマーキングがあります。マーキングを頼りに来た道を戻るのが基本です。スマートフォンの地図アプリは電波が届かないこともあるため、オフラインマップを事前にダウンロードしておくと安心です。
- 体調不良時: 無理をせず日陰で休み、水分補給を。緊急時はヨーロッパ共通の緊急番号「112」に連絡してください。
- 公式情報の活用
カランク国立公園の入場規制や地図、アクティビティの最新情報は公式サイトから確認するのが確実です。カランク国立公園公式サイト(フランス語)は、Google翻訳などを利用すれば十分理解できます。計画前のチェックを忘れずに。
イフ島へ渡り『岩窟王』の世界を体感する
マルセイユの旧港から沖合わずか数キロに浮かぶ小さな石灰岩の島、それがイフ島です。この島が世界的に知られるのは、文豪アレクサンドル・デュマの小説『モンテ・クリスト伯』(邦題『岩窟王』)の舞台となった監獄島だからです。主人公エドモン・ダンテスが投獄された場所として、多くのファンが訪れる聖地となっています。
牢獄の歴史と小説の舞台
イフ島に築かれたイフ城は、16世紀にマルセイユの防衛拠点として建造されました。しかし、防御施設としての利用は限られ、その後は政治犯などを収容する牢獄へと役割を変えます。脱出不可能と言われたこの海の孤島の監獄は、小説の中だけでなく、実際にも多くの囚人が自由を奪われた歴史の場です。
城内を見学すると、薄暗く湿った独房群が並び、当時の過酷な環境を肌で感じられます。主人公ダンテスや伝説の囚人「鉄仮面」が収監されたとされる独房も再現されており、物語の世界観にどっぷり浸れます。牢獄の窓からは、太陽に輝く地中海と自由の象徴であるマルセイユの街並みが望め、その対比が胸に迫ります。
【Do情報】イフ島へのアクセスと楽しみ方
イフ島へは、マルセイユ旧港から船で渡ります。旅の冒険心が一気に高まりますよ!
- チケット購入方法
- 窓口購入: マルセイユ旧港のベルジュ埠頭(Quai des Belges)沿いにフェリー会社の窓口が並び、当日ここでチケットを買うのが一般的です。
- オンライン予約: 事前に予定を立てたい方は、フェリー会社の公式サイト(Frioul If Expressなど)でオンライン予約も可能です。観光シーズンの週末は混雑するため、予約をおすすめします。
- 注意点: フェリーチケットとイフ城の入場券は別々で、フェリーは船会社から、入場券は島に着いてから城入口で購入します。
- 行動の流れ
- 旧港のチケットブースでイフ島往復のチケットを購入。
- 出航時間に合わせ指定の乗り場から乗船(所要約20分)。
- 島到着後、坂道を上りイフ城の入口へ。
- 券売所で入場券購入後、約1時間から1時間半かけて城内を見学。
- 見学後、帰りのフェリー時間に合わせて船着場へ。帰路は往路チケットで好きな便に乗れますが、最終便の時間は必ず確認を。
- 持ち物・準備
- 上着: 海上は風が強く夏でも肌寒く感じることがあるため、一枚羽織るものがあると便利。
- 酔い止め: 船に弱い方は事前に服用を。
- 現金: 入場券はカードも使えますが、売店などでは現金のみの場合があるため、少額を持参すると安心です。
- トラブル対策(欠航など)
- 天候による欠航: マルセイユ名物の強風「ミストラル」により海が荒れ、フェリーが欠航することがあります。安全確保のためで、欠航時はチケット売り場で払い戻し対応。オンライン購入者は各社の規定に従い返金手続きを行ってください。
- 代替プラン: 欠航の場合は、旧港周辺のサン・ジャン要塞やヨーロッパ・地中海文明博物館(MuCEM)など、天候に左右されない観光スポットを訪れるのがおすすめです。
旧港(ヴュー・ポール)から感じる地中海の風
マルセイユの中心地であり、旅のスタート地点とも言えるのが旧港(ヴュー・ポール)です。U字型に広がるこの港には多くのヨットや漁船が停泊し、その周囲をレストランやカフェが取り囲みます。早朝には新鮮な魚を扱う市場が開かれ、昼夜を問わず観光客や地元の人々で賑わう、まさにマルセイユの活気が凝縮されたエリアです。
活気と歴史の融合するスポット
旧港の魅力は景観の美しさだけに留まりません。毎朝開かれる魚市場では威勢の良い漁師たちの掛け声が響き、地中海ならではの魚が並びます。その場で魚を買い、滞在先で調理する体験も素敵です。
港の入口には、サン・ジャン要塞とサン・ニコラ要塞が向かい合うようにそびえ、長年にわたり港を守ってきた歴史を物語ります。特に近代的なMuCEMから伸びる橋を渡りサン・ジャン要塞を訪れると、古代から現代までのマルセイユの歴史を散歩しながら体感できます。
港中央にある鏡のような屋根をもつオブジェ「ロンブリエール(L’Ombrière)」は、新しいマルセイユのシンボル。地面を映し出す天井を見上げて面白い写真を撮るのが定番の楽しみ方です。
【Do情報】旧港をフルに楽しむコツ
旧港は徒歩散策だけでも十分楽しいですが、乗り物やアクティビティを取り入れるとさらに充実します。
- プチトラン(Le Petit Train)に乗ってみよう
- 旧港発の可愛らしい観光列車「プチトラン」。坂の多い街を楽に巡ることができます。
- ルート: 2つのコースがあり、旧市街パニエ地区を回るコースと、海沿いから丘の上のノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院へ向かうコースです。体力に自信があるなら寺院までは徒歩も良いですが、効率よく町巡りしたい方におすすめです。
- チケット: 旧港の乗り場周辺で購入可能。日本語音声ガイド付き。
- レンタルサイクル「le vélo」を活用
- より自由に街を移動したいなら、マルセイユ市のレンタル自転車「le vélo」が便利。市内各所にステーションがあり、クレジットカードがあれば誰でも簡単に利用できます。
- 使い方: 公式サイトやアプリでアカウント登録し、7日間有効のパス(1ユーロ前後)を購入。ステーションで自転車を選びコード入力でロック解除。最初の30分間は無料なので、短距離移動に最適です。
- ボートツアーで海へ出よう
- イフ島行きの他にも旧港からはさまざまなボートツアーがあります。カランク巡りはもちろん、マルセイユ沖のフリウル島でのビーチ散策や、夕暮れ時のサンセットクルーズも人気です。各社のブースでパンフレットを比較し、好みのツアーを選んでみてください。
マルセイユの街を五感で感じる!ローカル体験アクティビティ

ただ定番の観光地を巡るだけでは味わいきれない!マルセイユの真の魅力は、細い路地や市場、そして地元の人々の日常生活の中にこそ潜んでいます。ここでは、マルセイユの文化により深く触れることができるローカルな体験アクティビティを紹介します。
パニエ地区をあえて迷い歩く。アートと歴史が交差する迷宮へ
旧港の北側、丘の上に広がる「パニエ地区(Le Panier)」は、マルセイユで最も歴史深いエリア。細く入り組んだ路地が迷路のように広がっており、独特の魅力を放っています。かつては移民や労働者たちの住宅街でしたが、現在は再開発が進み、おしゃれなブティックやアトリエ、カフェが点在するアートな街へと生まれ変わりました。
カラフルな日々とストリートアートの世界
パニエ地区の最大の魅力は、まさにその空気感。パステル調の壁、窓辺に干された洗濯物、階段の途中で会話を楽しむお年寄りたち。まるで映画のセットのような、どの瞬間を切り取っても絵になる風景が広がっています。
さらに、町のあちこちに描かれたストリートアートがこの地区の面白さを一層引き立てています。大胆なグラフィティからクスッと笑える小さなイラストまで、歩くたびに新たな発見があり、ショート動画のネタ探しにも困りません。気に入ったアートを写真に収めるのもおすすめです。
【Do情報】パニエ地区を歩くときのポイント
計画を詰めすぎず、気の向くままに歩くのがパニエ地区の楽しみ方。ただし、知っておくと便利なポイントもあります。
- 散策の出発地点:旧港から市庁舎(Hôtel de Ville)の裏手あたりを目指し、坂を上がり始めると自然にパニエ地区へ入れます。中心には17世紀の美しい建物「ヴィエイユ・シャリテ(旧施療院)」があり、ここを目印にするのも良いでしょう。
- 注意点:
- スリ対策:細く入り組んだ路地はスリが狙いやすい場所です。バッグは必ず体の前で持ち、貴重品には常に気を配りましょう。
- 夜間の単独行動:日中は多くの観光客で賑わいますが、夜になると人通りが減り、雰囲気が変わります。夜の散策は複数で行うか、大通り近くにとどめるのが安全です。
- おすすめスポット:
- ヴィエイユ・シャリテ(La Vieille Charité):17世紀に建てられた元施療院で、美しい中庭と礼拝堂を持ち、現在は美術館や博物館として活用されています。建築物としても一見の価値あり。
- La Grande Savonnerie:マルセイユ名物のサボン(石鹸)を販売する店で、工房が併設されていることもあり、芳しい香りに包まれます。
- Place de Lenche:港を見下ろす眺望が素晴らしい広場。テラス席のあるカフェで一息つくのにぴったりです。
マルセイユの名物!サボン・ド・マルセイユを手作りしよう
マルセイユの定番土産でおなじみの「サボン・ド・マルセイユ」は、オリーブオイルを主成分とし、伝統的な製法で作られる肌に優しい石鹸。かつては王侯貴族からも愛された逸品です。街中にはサボンを扱う店が多くありますが、ぜひ自分の手で作る体験もしてみませんか?
本物の知識を得て作る楽しみ
実は「サボン・ド・マルセイユ」と名乗るには厳密な条件があり、植物性オイル72%以上使用、釜炊き鹸化法という伝統的な製造法で作られていることなどが求められます。観光土産店でよく見かけるカラフルで香り豊かな石鹸の多くは「マルセイユ風石鹸」であって、本物とは異なります。本物の歴史や製法を学び、実際に自分の手で作る体験は旅の貴重な思い出となるでしょう。
工房では職人が丁寧に作り方を指導。石鹸の生地をこねて好きな形に型抜きし、スタンプを押すシンプルな過程ですが、自作の石鹸への愛着は格別です。
【Do情報】サボン作りワークショップ参加のポイント
- 工房の探し方と予約:パニエ地区や旧港周辺にはワークショップを開く工房が複数あります。「Savon de Marseille workshop」や「atelier savon Marseille」などのキーワードで検索したり、観光案内所で情報収集するのがおすすめ。人気の工房は事前予約が必要な場合が多く、公式サイトからオンライン予約が可能なところもあります。
- 体験の流れ:
- 工房に着いたら、まず歴史や製法について簡単な解説を受けます。
- 石鹸の生地を受け取り、手でこねて柔らかくします。
- 木製の型やクッキー型を使い、お好みの形に整えます。
- 「72% EXTRA PUR」の刻印など、専用のスタンプを押して完成。
- 自分で作った石鹸は当日に持ち帰り可能です。
- お土産の選び方:ワークショップに参加できなくても、本物のサボンを買いたいなら、見分けるポイントはキューブ型で緑色かベージュ色、「72%」の刻印があること。老舗の専門店での購入が安心です。
ノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院から絶景をひとり占め
マルセイユのどこからでも望める小高い丘の上に建つ「ノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院」。頂上に輝く黄金色のマリア像は街と海を見守り、地元民から「ラ・ボンヌ・メール(優しき母)」の愛称で親しまれています。航海の安全を祈る船乗りたちの信仰の場として、マルセイユ市民の精神的支柱となっています。
360度のパノラマビューを堪能
この寺院を訪れる最大の見どころは、頂上からの眺望です。展望テラスからは、オレンジ屋根の街並み、青く広がる地中海、旧港、イフ島まで、360度の大パノラマが広がります。特に日没の時間帯は絶景で、刻々と変わる空の色と灯りがともり始める街の様子に目を奪われます。
寺院内も見どころ豊富。ビザンチン様式の装飾や、天井から吊るされた船の模型は、船乗りの信仰心を表しています。壁のモザイク画も見事で、厳かでありながら温かみのある空間が広がっています。
【Do情報】寺院へのアクセス方法と見学マナー
丘の上に位置しているため、訪問には少し工夫が必要です。
- アクセス手段:
- プチトラン(観光列車):旧港から出ており、寺院前まで楽に連れて行ってくれます。最も便利な手段です。
- 市バス:旧港近くから60番のバスに乗れば、寺院の麓まで到達可能。RTMのチケット利用で経済的です。
- 徒歩:体力に自信があるなら徒歩も挑戦してみてください。旧港から約30分の上り坂でやや急ですが、途中の街の風景も楽しめます。登りきった後の絶景と達成感は格別です。
- 服装について:
- 宗教施設であるため、訪問時は礼儀正しい服装を心掛けましょう。特に夏はタンクトップやショートパンツなど露出の多い服装は避け、肩や膝を隠す装いが望ましいです。あまり厳格ではありませんが、不安な場合はショールを持参すると安心です。
- 見学マナー:
- 寺院内では静かに過ごし、大声での会話や走り回る行為は控えましょう。
- ミサが行われている時間帯は、信者の方の邪魔にならないよう特に静かに見学してください。
- 写真撮影は可能ですが、フラッシュの使用は避けましょう。
旅の胃袋を満たす!マルセイユの食アクティビティ

旅の醍醐味といえば、やはり「食」でしょう。港町マルセイユでは、新鮮なシーフードをはじめ、ここでしか味わえない名物料理が豊富に揃っています。食事そのものが最高の体験となり、マルセイユの豊かな食文化に存分に浸ることができます。
魂を感じる本場のブイヤベース体験。ここが本物の違い!
マルセイユ料理の代表格である「ブイヤベース」は、かつて漁師たちが売れ残った雑多な魚を煮込んで食べていた庶民の味。現在では世界的に知られる高級料理となりましたが、その真髄は今もなおマルセイユの港で生き続けています。
伝統の味を守る憲章の存在
本場のブイヤベースは、日本で一般的に知られるシーフードスープとは全く異なります。正式なスタイルでは、スープと魚介は別々の皿で提供されます。スープはサフランの香りが際立ち、濃厚な魚介の出汁がしっかりと凝縮されています。また、「ルイユ」と呼ばれるニンニクと唐辛子を効かせたマヨネーズソースを塗ったクルトンをスープに浸して食べるのがこの料理の特徴です。魚介は地中海の岩礁に生息するカサゴやホウボウなど、数種類が豪快に盛り付けられます。
観光客向けの質の低いブイヤベースが増えたため、マルセイユの一部のレストランでは「ブイヤベース憲章」を設けています。使用魚種や調理法など細かく規定し、伝統の味を厳守。真の味を求めるなら、この憲章加盟店を選ぶのが確実です。価格は一人前50ユーロ以上とやや高額ですが、それに見合う価値ある体験です。
【実用情報】最高のブイヤベースに出会うためのポイント
- レストランの選び方
- 「ブイヤベース憲章(Charte de la Bouillabaisse)」に加盟している店舗は、マルセイユ観光局の公式サイトでリストを確認可能。加盟店は入口に憲章のプレートを掲げていることが多いです。
- 予算面の選択肢:憲章加盟店は高級店が中心ですが、旧港周辺にはもう少しカジュアルにブイヤベースやそれに近い魚のスープ(Soupe de Poissons)を楽しめる店が多数あります。予算に合わせて選択しましょう。
- 予約の必要性
- 人気店や憲章加盟店でディナーを楽しみたい場合、事前予約はほぼ必須です。多くの店がオンライン予約に対応しています。
- 食べ方のマナー
- まずスープとルイユを塗ったクルトンを味わいます。
- 次にギャルソンが大皿に盛られた魚をテーブルまで持ってきて見せてくれ、その場で取り分けてくれます。
- 魚を食べながらスープをおかわりすることも可能です。
- 多くの店では、ブイヤベースは2人前以上からの注文となるため、一人旅の際は注意が必要です。
マルシェで地元の味覚をじっくり探る!
レストランも素敵ですが、マルセイユの食文化を肌で感じたいなら、ぜひマルシェ(市場)を訪れてみてください。地元の人々に混ざりながら色鮮やかな野菜や果物、新鮮な魚介類、香り高いチーズやスパイスを見て歩くだけで、その魅力に引き込まれます。
活気に満ちた食の楽園
マルセイユには数多くのマルシェがありますが、中でも「ノアイユ市場(Marché de Noailles)」は特にエキゾチックで活気にあふれています。アフリカや中東からの移民が多く暮らすこのエリアでは、スパイスの芳しい香りや慣れない言語が飛び交い、まるで別の国に来たかのような感覚に包まれます。日本ではなかなか見かけない珍しい食材も多く、眺めているだけで楽しい時間を過ごせます。
マルシェの魅力は、やはり食べ歩きにあります。マルセイユのB級グルメ「パニス(Panisse)」の揚げたて、ひよこ豆の粉から作られたこの軽食をつまみながら、焼きたてのパンや地元のお菓子を頬張れば、五感をフルに使って味覚の冒険ができます。
【実用情報】マルシェをもっと楽しむためのコツ
- 簡単なフランス語フレーズ
マルシェでは英語が通じないことも多いですが、心配いりません。基本の挨拶「Bonjour(こんにちは)」「Merci(ありがとう)」を使い、欲しいものを指差して「Ça, s’il vous plaît(サ、シルヴプレ / これをください)」と言えば大丈夫。笑顔やジェスチャーを交え、コミュニケーションを楽しんでみましょう。
- おすすめの食材
- オリーブ:プロヴァンスならではの多彩な種類のオリーブを量り売りで味わえます。
- チーズ:ヤギのチーズ(シェーブル)など南仏特有のチーズも手に入ります。
- パニス:揚げたてが絶品。軽く塩を振ってアツアツをどうぞ。
- ナヴェット:オレンジの花の香り漂う、船の形をしたマルセイユ伝統の固いビスケット。お土産にも最適です。
- 注意点(スリ対策)
活気にあふれるマルシェはスリにとっても格好のターゲット。買い物に夢中になる時ほど警戒が必要です。財布を取り出す際は周囲に気を配り、バッグは常に体の前に持つよう心がけましょう。
予算重視でも大満足!賢く楽しむマルセイユ滞在術

アクティビティを心ゆくまで楽しむためには、宿泊費や交通費をうまく節約したいものです。ここでは、予算重視の若者に向けて、マルセイユをお得に満喫する具体的な方法をご紹介します。
交通費を上手に節約!RTM乗り放題パスを活用しよう
マルセイユ市内の移動は、メトロ・バス・トラムを運行するRTM(Régie des Transports Métropolitains)を賢く使うのがポイントです。その都度チケットを買うよりも、滞在期間に合わせたパスを購入するほうが断然お得になります。
- パスの種類:
- 24時間券 / 72時間券:購入後24時間または72時間、有効範囲のRTM全線が乗り放題に。カランクやノートルダム寺院など少し遠いスポットに出かける日には特に元が取れます。
- 10回券(Carte 10 voyages):10回分の回数券で、1回ごとに買うより割安。複数人で共有も可能です。滞在期間が長く、移動回数が中程度の場合に便利です。
【Do情報】RTMパスの購入方法と使い方
- 購入場所:
- メトロ駅の券売機:クレジットカードや現金で購入でき、英語表示にも切り替え可能です。
- 公式アプリ「RTM」:最もおすすめの方法はこのアプリです。スマホにダウンロードしクレジットカードを登録すれば、いつでもチケット購入が可能。乗車時はバス・トラム内の読み取り機やメトロ改札でスマホのQRコードをかざすだけなので、カードを紛失する心配がありません。
- バスの乗降方法:
- マルセイユのバスは前方から乗り、後方から降ります。
- 乗車時は運転席横の読み取り機にチケット(またはスマホ)をかざしてください。
- 降車希望のバス停が近づいた際は、車内の赤いボタンを押し運転手に伝えましょう。
- 賢い利用法:Googleマップの経路検索を使えば、目的地までの最適な公共交通ルートやバス番号、出発時刻などを正確に把握可能。RTMアプリと組み合わせれば、マルセイユを自由自在に巡ることができます。
1万円以下で泊まれる!おすすめの宿泊エリア
マルセイユはパリに比べ宿泊費が比較的手頃なのも嬉しい点。工夫次第で、1泊1万円以下はもちろん、ホステルならさらに安く泊まることが十分に可能です。
- おすすめエリア:
- 旧港(ヴュー・ポール)周辺:観光の拠点として一番便利なエリア。飲食店やショップが豊富で夜も賑やかです。多少値段は張りますが、利便性は抜群です。
- サン・シャルル駅(Gare de Saint-Charles)周辺:マルセイユの玄関口である駅付近には、比較的リーズナブルなホテルやホステルが集まっています。空港や他都市へのアクセスも良好。ただし、駅の北側は治安がやや不安な場所もあるため、宿泊先の立地はよく確認しましょう。
- パニエ地区:おしゃれなブティックホテルやB&Bが見つかりやすいエリア。石畳の狭い路地にある隠れ家的な宿は雰囲気満点です。
- カステラーヌ広場(Place Castellane)周辺:地元の生活エリアで観光スポットから少し離れる分、落ち着いており物価も控えめ。メトロの駅もあるので中心部への移動も問題ありません。
- 宿探しのコツ:
- 予約サイトを活用する:Booking.comやHostelworldなどで「価格の安い順」に並べ替え、レビューをしっかり読むことが基本。特に清潔さ、安全面、立地に関する口コミは念入りにチェックしましょう。
- ホステルのドミトリーを利用する:宿泊費を極限まで抑えたいなら、相部屋のドミトリーが最もコスパ抜群。世界中の旅人と交流できるメリットもあります。貴重品管理用に南京錠を持参するのがおすすめです。
マルセイユ・アクティビティ旅のプランニングガイド

マルセイユでやりたいことがたくさん見つかったのではないでしょうか。最後に、ここまでの情報をもとに具体的な旅のプランを立てるためのポイントをお伝えします。
モデルプランのご提案:アクティブ派のための1泊2日旅
週末の短い旅でマルセイユを訪れるなら、こんなスケジュールはいかがでしょうか?効率的に、しかし充実した時間を過ごしながら、マルセイユの魅力をしっかり味わえます。
- 1日目:地中海の自然と旧市街を満喫する一日
- 午前(9:00〜): 朝早くにカステラーヌ駅からバスに乗り、カランク国立公園へ向かいます。初心者でも歩きやすいカランク・ド・スジトンまでハイキングスタート!
- 昼(12:00〜): 目的の入り江に到着したら、持参したサンドイッチでランチタイム。歩いたあとは、美しいターコイズブルーの海でリフレッシュを。
- 午後(15:00〜): 市街地に戻り、旧市街パニエ地区を散策。アートあふれる路地裏で写真を撮ったり、個性的な雑貨店を覗いたり。
- 夕方(18:00〜): 丘の上にあるノートルダム・ド・ラ・ガルド寺院へ。夕日に染まるマルセイユの絶景を目に焼き付けましょう。
- 夜(20:00〜): 旧港周辺のレストランでディナー。贅沢に本格的なブイヤベースを味わうも良し、カジュアルなビストロでシーフードプラッターを楽しむのもおすすめです。
- 2日目:島巡りと港、市場散策の一日
- 午前(9:00〜): 旧港からフェリーに乗り込み、イフ島へ。『岩窟王』の舞台となった牢獄を見学し、歴史のロマンに浸ってみましょう。
- 昼(12:00〜): マルセイユに戻ったらノアイユ市場へ。エキゾチックな雰囲気の中で、パニスやケバブサンドなど地元の味を楽しみます。
- 午後(14:00〜): 旧港周辺をのんびりと散歩。MuCEMやサン・ジャン要塞を訪れたり、マルセイユ石鹸のお店でお土産を探すのもおすすめ。
- 夕方(16:00〜): サン・シャルル駅へ向かい、駅のテラスから最後に街並みを楽しみながら帰路につきましょう。
知っておきたい!マルセイユ旅のQ&A
- 治安は本当に悪いの?
前述の通り、注意は必要ですが過度に心配する必要はありません。特に駅の北側や市内北部など、危険と言われるエリアには近づかず、夜間の一人歩きを避け、貴重品はしっかり管理するなど基本的な対策を取れば問題ありません。旧港やパニエ地区など観光客が多い場所の日中は比較的安全です。
- ベストシーズンは?
アクティビティを楽しむなら、気候が安定して過ごしやすい5月から6月、または9月から10月がおすすめです。真夏(7月〜8月)は日差しが強く、場合によってはカランクが閉鎖されることもあります。冬は温暖ですが、強風「ミストラル」が頻繁に吹きます。
- フランス語が話せなくても大丈夫?
観光地のホテルやレストラン、主要駅では英語が通じる場合が多いです。しかし、地元の市場や個人商店、バスの運転手さんなどはフランス語のみということもあります。簡単な挨拶「Bonjour(ボンジュール)」「Merci(メルシー)」「Excusez-moi(エクスキューゼ・モワ)」を覚えておくと、コミュニケーションがぐっと円滑に。笑顔と翻訳アプリも心強い味方になります。
- トラブルに遭ったらどこに連絡すればいい?
- 警察・消防・救急: 共通の緊急番号は「112」です。
- 盗難: パスポートを盗まれた場合は、まず最寄りの警察署で盗難証明書(Déclaration de vol)を取得しましょう。その後、在マルセイユ日本国総領事館に連絡し、再発行や帰国に必要な渡航書の手続きを相談してください。連絡先や営業時間は事前にメモしておくことを強くおすすめします。
マルセイユは、あなたが思い描く「美しいフランス」のイメージを、良い意味で覆す街かもしれません。荒々しく、エネルギッシュで、飾り気のない魅力に満ちています。だからこそ、ここでの体験はより深く鮮やかに心に残るはずです。
さあ、冒険心と少しの注意をリュックに詰めて、太陽が輝く南仏の港町へ旅立ちましょう。あなたの知らないフランスが、ここであなたを待っています。

