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凍てつく大地の炎を探して。スパイスハンターが喰らうウランバートルのローカル飯紀行

「モンゴルに辛い料理はない」

旅立つ前に、誰もがそう口を揃えました。大草原を駆け巡る遊牧民の食卓。羊肉と乳製品が織りなす、素朴で力強い味わい。そこには唐辛子の燃えるような赤色は存在せず、塩と、時折香るハーブが味の主役なのだと。なるほど、想像するだけで胸が高鳴ります。しかし、この私、スパイスハンター・リョウの信条は「その国で最も辛い料理を食べる」こと。火を噴くような刺激の先にこそ、その土地の魂が宿ると信じて疑わないのです。常識という名の壁が高ければ高いほど、乗り越えたくなるのが冒険者の性というものでしょう。

凍てつく風が吹き荒れるという冬のウランバートル。その厳しい寒さの中で、人々は一体何を食べて体を温めているのか。私の舌と胃袋を燃え上がらせる一皿は、本当に存在しないのか。この身一つで確かめるべく、私はチンギス・ハーン国際空港に降り立ちました。大草原のグルメという未知なる荒野へ、いざ、突撃です。この記事では、私の壮絶な食の探求の記録とともに、読者の皆さんがウランバートルで最高のローカル飯体験をするための実践的な情報も、余すところなくお伝えしていきましょう。

このような食の冒険に限らず、旅先で作品の世界観に浸る『VIVANT』聖地巡礼も、旅を深める一つの方法です。

目次

まずは知りたい!モンゴル料理の基本の「き」

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モンゴルの食文化を理解しなければ、ローカルフードの真髄には近づけません。まずはその土台となる、揺るぎない基本をじっくり探っていきましょう。モンゴル料理は何千年にも及ぶ遊牧生活の中で、過酷な自然環境に対応するために洗練されてきました。それはまさに「生きるための知恵」の結晶といえます。

遊牧民の知恵が生み出した「白い食べ物」と「赤い食べ物」

モンゴルの食習慣は季節ごとに二つの大きなカテゴリーに分かれます。夏には「白い食べ物(ツァガーン・イデー)」が、冬には「赤い食べ物(オラーン・イデー)」が主役となります。

「白い食べ物」とは、家畜から得られる乳製品全般を指します。馬、牛、羊、ヤギ、ラクダなど、多種多様な家畜の乳が余すところなく利用されます。ヨーグルト状の「タラグ」、乾燥した「アーロール」、発酵させた馬乳酒「アイラグ」など、豊富な種類があります。夏の間は家畜が出産し、乳が豊かに得られる時季のため、これら乳製品が主な食事となります。保存に優れ、栄養価も高い乳製品は、夏期の遊牧民にとって重要なエネルギー源なのです。

対照的に「赤い食べ物」とは、主に家畜の肉、特に羊肉を指します。冬になると乳の出が減るため、人々は秋の間に栄養を蓄えた家畜を屠り、その肉を保存して厳冬に備えます。肉は塩茹でにするのが一般的で、「チャンサン・マフ」と呼ばれています。シンプルながらも、肉の旨味をストレートに味わえる料理です。この肉を摂取することで、マイナス30度以下になる極寒の冬を乗り越えるためのカロリーと熱量を確保しています。JICA(独立行政法人国際協力機構)の資料によれば、この伝統的な食習慣が、モンゴル人の逞しい身体を支える土台となっていることが示されています。

味付けは塩が主役!シンプルこそ最上の味わい

私が追い求めるスパイスは、伝統的なモンゴル料理ではあまり使われません。基本の味付けは「塩」です。時に、野生のネギやニンニク、ハーブ類がアクセントとして用いられますが、基本的には素材の味を最大限に引き出す調理法が重視されます。特に岩塩はモンゴルの食卓に欠かせないもので、そのミネラル豊富な塩味が肉や乳製品の味をキリッと引き締める役割を果たしています。

このシンプルな味付けは決して手抜きではありません。新鮮で質の高い肉や乳製品があるからこそ可能となる、究極の贅沢と言えます。雑味がなく清らかな旨味こそが、モンゴル料理の真髄なのです。

ウランバートルで絶対外せない!定番ローカル飯四天王

それでは、基本を押さえたところで、いよいよウランバートルの街に繰り出し、具体的な料理と向き合ってみましょう。まずは辛さの探求はひとまず脇に置き、誰もが愛してやまない定番中の定番から攻めることがマナーとも言えます。市内の「グアンズ」と呼ばれる大衆食堂やレストランで必ず出会うであろう4つの代表的な料理をご紹介します。

ボーズ (Бууз) – 国民食とも言える蒸し餃子

モンゴル料理を代表する存在として、まず挙げられるのが「ボーズ」です。小麦粉を練って作った皮で、細かく刻んだ羊肉と玉ねぎを包み、蒸しあげたモンゴル風の蒸し餃子とも言える料理。見た目は小籠包に似ていますが、味わいはまったく異なります。

食堂の扉を開けると、湯気とともに立ち上がる独特の羊肉の香りに包まれます。注文すると、熱々のボーズが銀色の皿に無造作に盛られて提供されます。一つ手に取るとずしりとした重量感。皮は厚めでモチモチしており、日本の餃子のように薄くはありません。まずは一口、皮を少しだけかじってください。すると中からジューッと熱々の肉汁が溢れ出てきます。この肉汁こそボーズの肝で、羊肉の旨みが凝縮されたスープは火傷しそうなほど熱いですが、一滴たりともこぼさずに最後まで味わうのが流儀です。羊肉特有の香りが鼻を抜け、玉ねぎの甘みがそれを追いかけます。味付けは塩と胡椒が基本でシンプルだからこそ、肉そのものの質がダイレクトに伝わってきます。脂の甘みと赤身の旨みが口の中で一体となり、多幸感に包まれること請け合いです。

ボーズは特に、モンゴルの旧正月「ツァガーン・サル」に欠かせない祝いの料理。各家庭で何百、時には何千個ものボーズを作り、親戚や友人たちと新年を祝います。まさにモンゴルの人々のソウルフードと言えます。

ホーショール (Хуушуур) – 屋台で大人気の揚げ餃子

蒸し餃子の代表がボーズなら、揚げ餃子の代表格が「ホーショール」です。ボーズと同様、羊肉の餡を小麦粉の皮で包みますが、こちらは平たい円盤状に成形し、たっぷりの油でキツネ色にカリッと揚げたもの。いわゆる揚げ餃子、あるいは揚げパンのような料理です。

特に夏の祭典「ナーダム」では、ホーショールを売る屋台が所狭しと並び、人々は片手にホーショールを持ちながら、相撲や競馬の観戦に興じます。ウランバートル市内でも市場周辺やバス停の近くに屋台が多く立ち並び、地元の人々にとっておやつ代わりや軽食として絶大な人気を誇っています。

揚げたてのホーショールは表面がカリッと香ばしく、食欲をそそる香りが漂います。一口かじるとボーズ同様、熱々の肉汁が飛び出してくるため要注意。皮がクリスピーな分、中の肉餡のジューシーさが一層際立っています。屋台によってはニンニクやスパイスをほんの少し効かせているところもあり、それぞれの店の個性を味わう楽しみもあります。油で揚げているためボリューム満点ですが、そのジャンキーなうまさに手が止まらず、気づけば2つ、3つと食べ進めてしまう不思議な魔力を持っています。ケチャップやソースをつける人もいますが、まずは何もつけずに肉と油、小麦粉が織りなす黄金のハーモニーを堪能してみてください。

ツォイバン (Цуйван) – モンゴル風の蒸し焼きそば

肉料理ばかりでは飽きるかも?そんな心配は無用です。モンゴルには「ツォイバン」という素晴らしい麺料理があります。これは、小麦粉を手でこねる自家製の麺を、羊肉や野菜(人参、じゃがいも、玉ねぎなど)と一緒に炒めた後、ごく少量の水を加えて蒸し焼きにする料理。日本の焼きそばと違い、一度麺を蒸す工程が特徴的です。

食堂で注文すると、大皿に山盛りで提供されるのが一般的。麺はきしめんのように太く、形が不揃いなのが手作りの味わいを感じさせてくれます。蒸し焼きにされているため麺はモチモチとした独特の食感で、肉や野菜の旨味をしっかり吸い込んでおり、どこを食べても深みのある味わいです。味付けは基本塩味ですが、炒めた素材の香ばしさが加わることで全く単調ではありません。羊肉の力強い風味と野菜のやさしい甘みが、無骨な麺と絶妙にマッチしています。テーブルに置かれたケチャップや醤油風の調味料で味わいの変化を楽しむのもおすすめです。まさにモンゴルの家庭の味、お母さんが作る昼食のような温もりが感じられ、心までほっこり温まる一皿です。

ゴリルタイ・ショル (Гурилтай шөл) – 体の芯まで温まる麺入りスープ

「ショル」はモンゴル語で「スープ」を意味します。ゴリルタイ・ショルは、自家製麺(ゴリル)が入った具だくさんのスープで、その名の通り麺がしっかり入っています。羊肉を煮込んで取った出汁をベースに、角切りの羊肉、麺、そして豊富な野菜がたっぷりと加えられています。

厳しい冬の寒さの中で、この熱々のスープをすすれば、まさに至福のひととき。羊の旨味がしっかり染みたスープは滋味深く、体の隅々にまでしみわたるかのようです。余計な味付けはせず、塩と肉の持つ旨味だけで勝負した素朴で完成度の高い味わい。麺はツォイバン同様もちもちと弾力があり、食べごたえがあります。肉はとろけるように柔らかく煮込まれていて、スープとともに口に運ぶと、その優しさが心をほどいてくれるようです。ただの食事ではなく、冷えた体を内側から温め、明日への力を養う“薬”のような存在とも言えます。モンゴルの人々がいかに過酷な自然環境と共に暮らし、生命力を育んできたのか。その一端が、この一杯のスープにぎゅっと詰まっているような気がします。

スパイスハンターの挑戦!ウランバートル激辛探訪記

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定番料理で胃袋を温め、モンゴル料理の基礎体力を整えたところで、いよいよ核心に迫ります。私の使命は、この地に秘められた「辛さ」を探し出すこと。果たして、ウランバートルには私の舌を満足させる激しさが存在するのか、見極めたいと思います。

聞き込み調査と最初の壁

まずは情報収集から始めました。ホテルのスタッフに、タクシーの運転手、市場の商人まで、会う人会う人に「辛い料理はありますか?」と次々に尋ねて回ったのです。しかし、返ってくる答えはほぼ一様で、「モンゴル人は辛いものをあまり食べない」「辛いのが好きなら韓国料理か中華料理を試してみて」といったものでした。やはり、事前の情報と同じか…。同じ言葉を何度も聞くうちに、心のどこかで諦めが芽生え始めます。しかし、ここで折れてはなりません。

諦めきれず、さらにディープな場所へと足を踏み入れます。地元の人々で賑わうナラントールザハ市場の奥深くへ。肉売り場で厳つい顔をした店主に、身振り手振りで「唐辛子!辛い!スープ!」と伝えると、少し考えた後、彼は「ハル・ショル」という言葉を教えてくれました。

黒いスープ「ハル・ショル」との遭遇

「ハル」は黒、「ショル」はスープを意味します。その名の通り、黒みがかったスープで、牛の内臓や骨、血などをじっくり煮込んで作られ、非常に滋養強壮に効果的な料理とのこと。体を温めるために、たっぷりの黒胡椒や他のスパイスが加えられることもあるそうです。唐辛子のような辛さとは異なりますが、有力な手がかりです。早速、市場近くの小さな食堂で「ハル・ショル」を注文してみました。

運ばれてきたのは、決して美しいとは言えない黒く濁ったスープ。レバーやハツといった内臓肉がごろごろと入り、独特の香りが漂ってきます。恐る恐る一口口に含むと…ガツン!と黒胡椒の強烈な刺激が舌に走りました。唐辛子のような持続的な辛味ではなく、一瞬で鼻を抜けるシャープでスパイシーな刺激です。その後から、内臓の濃厚な旨味とコクが波のように押し寄せてきます。これは…美味い!見た目のワイルドさとは裏腹に、非常に奥深く複雑な味わいです。食べ進めるごとに体の芯からじわじわと汗が滲み出てきました。これこそが、モンゴル流の「体を温める辛さ」なのです。唐辛子文化がなくとも、人々は別の形でスパイスの力を借り、厳しい寒さに立ち向かってきた―その事実に私は深く感銘を受けました。

現代ウランバートルが生み出した「融合系スパイシー料理」

伝統的な辛さに触れた後、私は視点を変えてみることにしました。急速に発展する現代都市ウランバートルでは、外国文化の影響が色濃く感じられます。ならば、伝統モンゴル料理と外来の「辛さ」を融合させた新たな料理が誕生しているのではないかと考えたのです。

その仮説のもと、若者が集まるエリアのモダンなレストランを探索。そしてついに発見しました。メニューに「Spicy」の文字が踊る一皿、それは「シャルサン・ハビルガ」という羊のスペアリブを焼いた料理の激辛版。伝統料理に唐辛子やチリソースを大胆に取り入れた、まさに融合系モンゴル料理です。

運ばれてきたスペアリブは、見るからに危険な赤黒いソースに覆われていました。ひとかじりすると、まず羊肉の香ばしい旨味が広がり、その直後に舌を焼き尽くすかのような激烈な辛さが襲ってきます。これはハバネロ系の鋭い辛さで、ハル・ショルの胡椒の刺激とはまったく異なる、持続的かつ痛みさえ感じられる辛みです。しかし不思議なことに、箸は止まりません。この辛さの奥には、しっかりとモンゴル料理の魂である羊肉の旨味が息づいているからです。辛味と旨味が絶妙に共存し、汗だくになりながら骨の髄までしゃぶり尽くしました。伝統と革新が交錯する都市ウランバートルだからこそ生まれた、奇跡の一皿と言えるでしょう。

実践!ウランバートル・グルメ旅パーフェクトガイド

私の食レポを読んで、ウランバートルに行ってみたくなった方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、皆さんが安心してスムーズに現地のローカルフードを味わうための具体的なポイントをご紹介します。この記事があれば、もう迷うことはありません。

レストラン・食堂の見分け方と入店のコツ

ウランバートルの飲食店は、大きく分けて観光客向けの「レストラン」と、地元の人が普段から利用する「グアンズ(食堂)」に分類されます。真のローカルフードを味わいたいなら、間違いなく「グアンズ」を選びましょう。

  • 見分け方: 看板に「Хоолны газар(ホールニー・ガザル)」と書かれている店は食堂です。一方、「Ресторан(レストラン)」と表記されているのがレストランです。キリル文字は一見難しそうですが、この二つを覚えておけば問題ありません。
  • メニューの読み方: グアンズのメニューはほぼモンゴル語(キリル文字)のみですが、心配はいりません。多くの店では、料理の写真が壁に貼られていたり、メニューに載っていたりします。指差して「Энийг өгөөч(エニーグ・ウグーチ)=これください」と言えば、ほぼ確実に伝わります。事前にボーズやホーショールなどの料理写真をスマートフォンに保存しておき、それを見せるのも非常に有効です。
  • 衛生面のチェック: ローカル食堂利用に不安がある方は、「地元の利用客で賑わっているかどうか」を目安にしましょう。客の回転が早い店は食材が新鮮なことが多いです。また、ウェットティッシュや携帯用アルコール消毒ジェルを持参すると、より安心して食事を楽しめます。

注文から会計までの流れと注意事項

  • 注文の仕方: 席に着いたら、店員が注文を取りに来るのを待ちます。セルフサービスの店ではカウンターで先に注文・支払いを済ませるタイプもあるので、周囲の様子を観察して流れをつかむのが大切です。
  • ドリンクについて: 食事を注文すると、たいてい「スーテイ・ツァイ(塩味のミルクティー)」が無料で提供されます。不要な場合や別の飲み物が欲しい際は、その旨を伝えましょう。ペットボトル入りのジュースや水も多くの店で販売されています。
  • 支払い方法: 支払いはテーブルで行うか、レジにて行うことが多いです。一般的なレストラン以外ではクレジットカードが使えないことが多いので、特にグアンズや市場では現金(モンゴル・トゥグルグ)が必要です。細かいお金を用意しておくとスムーズです。大きな紙幣だけだとお釣りが用意できず困る場合もあります。
  • チップ文化について: モンゴルでは基本的にチップの習慣はありません。ただし、特に良いサービスを受けたと感じたときは、感謝の気持ちとしてお釣りの小銭を少額残すのがスマートです。
  • 持ち込み禁止: ほとんどの食堂やレストランで、飲食物の持ち込みは禁止されています。マナーとして必ず守りましょう。

市場でディープな食文化を体験する

ウランバートル最大規模の市場「ナラントールザハ」は、まさに食の冒険地。精肉コーナーには羊や牛のあらゆる部位が並び、乳製品コーナーには多種多様なアーロールやチーズが山積みです。地元の人の買い物風景を見るだけでも、その食文化が垣間見えます。

  • 準備と持ち物: 市場は非常に混雑し、スリも多いことで知られています。リュックは前に抱える、貴重品は内ポケットに入れるなど、防犯対策を徹底しましょう。必要最低限の現金だけをポケットに入れて、大きな財布は持ち歩かないのが賢明です。また、買い物用にエコバッグを持っていくと便利です。アーロールなどの乳製品をお土産にするのもおすすめです。
  • 市場での行動: 広い市場内では、まず肉、乳製品、野菜など目的のエリアを決めてから回ると効率的です。値段交渉が可能ですが、観光客値段を吹っかけられることもあるため、相場がわからなければそのまま購入するのが無難です。地元民の買い物の価格を観察してみるのも参考になります。

トラブルが起きたときの対処法

旅にはトラブルがつきものです。万が一の事態に備え、対処法を覚えておきましょう。

  • 食あたり・体調不良: 慣れない料理や環境で体調を崩すこともあります。日本から普段使い慣れた胃腸薬や整腸剤を持参してください。症状が重い場合は無理をせず、ホテルのフロントに相談して医療機関の紹介を受けましょう。海外旅行保険への加入も必須です。市内の薬局は「Аптек」という緑色の看板が目印です。
  • 注文間違いや会計のトラブル: 注文と違う料理が届いたり、会計がおかしい場合は、遠慮せず店員に伝えましょう。スマートフォンの翻訳アプリや指差し会話帳を使い、「Би үүнийг захиалаагүй(ビ・ウーニーグ・ザヒアラーグイ)=これは注文していません」というフレーズを見せると、まず丁寧に対応してくれます。
  • 緊急時の連絡先: 深刻なトラブルやパスポート紛失時は、すぐに在モンゴル日本国大使館へ連絡してください。渡航前には外務省の海外安全ホームページで最新情報をチェックし、大使館の連絡先を控えておくことを強くおすすめします。

モンゴルの大地を味わう飲み物たち

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食事を彩る、個性豊かな飲み物もモンゴル料理の魅力のひとつです。これらを味わわずして、モンゴルの食文化を語ることはできません。

スーテイ・ツァイ (Сүүтэй цай) – 遊牧民の生命の水

モンゴルの人々が日常的に水の代わりに飲むのが、「スーテイ・ツァイ」です。レンガ状に固められた茶葉を削り取り、水と牛乳(または羊乳)、そして塩を加えて煮出した飲み物です。日本人には「塩味のミルクティー」という組み合わせが珍しく感じられますが、実際に飲んでみると意外にもなじみます。まろやかなミルクの風味の奥に、ほのかな塩味が広がり、不思議と心が落ち着く味わいです。遊牧生活で汗とともに失われる塩分を補うために生まれた、理にかなった飲料なのです。食堂では大きなポットに入っており、おかわり自由のことも多いので、ぜひモンゴル流に、お椀に注いで両手で包みながら、ふーふーと冷まして味わってみてください。

アイラグ (Айраг) – 大草原の恵み、馬乳酒

夏のモンゴルを訪れる際に、ぜひ試してほしいのが馬の乳を発酵させたお酒「アイラグ」です。アルコール度数は1〜3%と低めですが、独特の酸味とシュワシュワとした微炭酸が特徴的です。ヨーグルトドリンクのような爽やかな酸っぱさがありながら、後味にはかすかな獣臭が残ります。好みがはっきり分かれる味ですが、モンゴルの夏の風物詩として知られています。特に地方のゲルを訪れると、歓迎の印としてアイラグを勧められることが多いです。差し出された銀の盃は、断らずに少しでも口をつけるのが礼儀とされています。飲み過ぎるとお腹がゆるくなることもあるため、自分の体調を考慮しながら楽しんでください。モンゴル政府観光局の公式サイトでも、このユニークな飲み物が文化体験の一環として紹介されています。

スパイスの向こう側に見えた景色

今回のウランバートル旅行は、「辛い料理を探し求める」という私自身の小さな使命からスタートしました。正直なところ、最初の目標であった「舌がしびれるほどの唐辛子料理」は、伝統的なモンゴル料理の中には見当たりませんでした。しかし、その旅の過程で、私はもっと大切なものに出会ったように感じています。

ハル・ショルに込められた、胡椒の力で体を温める遊牧民の知恵。シンプルな塩味の中に凝縮された、食材そのものの力強い生命力。そして、伝統を守りながらも外国文化を柔軟に取り入れ、進化を続ける現代ウランバートルの食の躍動感。これらすべてが、私にとって新鮮な驚きであり、心からの喜びとなりました。

辛さという一つの視点を通して見つめたモンゴルの食文化は、私が予想していた以上に深く、温かく、そして多様性に富んでいました。凍てつく大地の中で人々が生き抜くためのたくましさと、厳しい自然に育まれた素朴で優しい心。それらが絶妙に混ざり合った味こそ、モンゴル料理の真髄なのかもしれません。

さて、今回もさまざまな料理に果敢に挑戦し、私の胃袋はかなりのダメージを受けています。特に、ハル・ショルの濃厚な内臓と激辛スペアリブのダブルパンチは相当堪えました。そんな私の旅の終わりを支えてくれるのは、いつも日本が誇る総合胃腸薬です。特に、生薬成分が弱った胃の働きを助け、消化を促進してくれるタイプは手放せません。モンゴルを訪れる皆さんも、信頼できる胃腸薬をスーツケースに忍ばせることを、スパイスハンターとして心からおすすめします。

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この記事を書いたトラベルライター

激辛料理を求めて世界中へ。時には胃腸と命を賭けた戦いになりますが、それもまた旅のスパイス!刺激を求める方、ぜひ読んでみてください。

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