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灼熱のグルメ紀行!アブダビで味わう本物のローカルフードと激辛料理の探求

「その国で最も辛い料理を食べる」 それが私、スパイスハンター・リョウに課せられた、甘美で過酷なミッション。今回の舞台は、アラビア半島の先端に輝く未来都市、アブダビ。黄金に輝く高層ビル、七つ星ホテル、F1サーキット。そんな絢爛豪華なイメージが先行するこの街に、果たして私の舌と胃を焦がすほどの灼熱のスパイスは眠っているのでしょうか。観光客向けの洗練されたレストランだけが、この街の食の全てではないはずです。路地裏に香り立つスパイス、ローカルの人々の胃袋を満たすソウルフード、そして移民たちが持ち込んだ故郷の味。その奥深く、熱い魂に触れるための旅が、今始まります。さあ、一緒にアブダビのディープな食の世界へ飛び込みましょう。

この旅でアブダビの魅力をさらに深く知りたい方は、未来と伝統が交差する砂漠の宝石、アブダビでの一生忘れられない体験についてもご覧ください。

目次

アブダビ到着!旅の始まりは計画から

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灼熱の太陽が照りつけるアブダビ国際空港に降り立つと、むっとする熱風が全身を包み込みます。しかし、この熱気こそが冒険の始まりを告げる合図なのです。期待に胸を膨らませつつ、まずはこの地での生活をしっかりと乗り切り、食を思う存分楽しむための準備についてお伝えしなければなりません。衝動的にレストランに飛び込む前に、知っておくべきポイントがいくつかあります。

アブダビに向かう前に押さえておきたい基本情報

まず、日本のパスポートを持っている場合、観光目的で30日以内の滞在ならビザなしで入国可能です。これは非常にありがたいことですね。入国手続きも比較的スムーズに進むはずです。

続いて通貨について。アラブ首長国連邦(UAE)の通貨はディルハム(AED)で、1ディルハムはおおよそ40円前後で推移していますが、渡航前には必ず最新の為替レートをチェックしてください。両替は空港でも可能ですが、市内のショッピングモール内にある両替所の方が一般的にレートが良い傾向があります。ただし、大きな差はないため、到着時に最低限の現金だけは空港で両替しておくと安心です。多くのレストランやホテル、大型の店舗ではクレジットカードが問題なく使えますが、地元の小さな食堂やスーク(市場)では現金のみ対応という場合もよくあります。小額紙幣を多めに用意しておくと、支払いがスムーズです。

続いて、気候について。アブダビは砂漠気候に属し、一年中暑くて乾燥しています。特に夏季(5月〜9月)は日中の気温が40℃を超えることも珍しくありません。この時期に訪れる際は、熱中症対策は必須となります。一方で、冬季(11月〜3月)は比較的過ごしやすく、日中はおよそ25℃前後、朝晩は肌寒く感じることもあり「ベストシーズン」といわれています。ただし、この街の建物内は一年中強力な冷房が効いているため、灼熱の外気から一歩中に入ると凍えるほど寒く感じることも。こうした温度差は想像以上に体力を奪うため、油断は禁物です。

服装のルールは最重要!敬意を持つ旅人であるために

アブダビでの滞在を心から楽しむため、最も重要なのが「服装」のマナーです。イスラム文化への敬意は旅人として最低限守るべき礼儀といえます。特に公共の場では、男女問わず肩と膝を隠す服装が基本です。男性はTシャツに長ズボン、女性は袖のあるトップスにロングスカートやパンツスタイルがふさわしいでしょう。タンクトップやショートパンツ、ミニスカートなど露出の多い服装は控えるべきです。

とりわけ、シェイク・ザイード・グランドモスクのような宗教施設を訪れる場合は、さらに厳格なドレスコードが適用されます。女性は髪をスカーフ(シェイラ)で覆い、手首や足首まで隠すゆったりとした服装が求められます。もし適した服を持参していなくても、モスクの入り口で「アバヤ」と呼ばれる伝統的な黒い衣装を無料で借りられるため安心です。男性も長ズボンが必須で、短パンは入場不可です。これはルールであり、敬意の表れでもあります。荘厳なモスクの雰囲気を存分に味わうために、心して準備しましょう。詳しくはアブダビ観光文化庁の公式サイトで確認することをおすすめします。事前にチェックすれば現地で慌てることがありません。

準備は万全!私の旅の持ち物リスト

では、私のバックパックの中身を少しご紹介します。スパイスとの戦いに備えた、実用優先のアイテムです。

  • 日焼け対策グッズ: 絶対に欠かせないもの。SPF50+の日焼け止め、UVカット効果のあるサングラス、そして広いつばの帽子。日差しは肌を焼くだけでなく、確実に体力を奪います。
  • 保湿用品: とにかく乾燥が激しいため、リップクリームと保湿クリームは必須です。唇や肌がカサつくと食事の楽しみも半減してしまいます。
  • 羽織るもの: 前述の冷房対策として、薄手のカーディガンやショールは命綱です。特に女性は、露出が気になる時にさっと肩を覆えるのでとても重宝します。
  • 衛生用品: ウェットティッシュと携帯用の除菌ジェル。地元の小さな食堂では手洗い場が整っていないことも多いです。食事前の手清潔は、美食家の鉄則と言えます。
  • 電子機器関連: スマホ用のポータブル充電器。地図アプリや翻訳アプリ、配車アプリはバッテリーを大幅に消費します。いざというときに電源が切れると、道に迷うだけでなく美味しい店の情報も手に入れられません。
  • そして私の頼もしい相棒: 数種類の胃腸薬です。慣れないスパイスや油、環境の変化は胃腸に負担をかけます。消化を助けるもの、胃を保護するもの、緊急時用のものを揃えているからこそ、未知の味覚に挑戦できるのです。

アラブの食文化の入り口へ!まずは定番ローカルフードを制覇

準備が整ったら、いよいよアブダビの食の迷宮へと足を踏み入れます。激辛料理に挑戦する前に、まずはこの地の人々に愛され続ける定番料理を味わい、アブダビの味覚の基準を自分の舌に刻み込むことが必要です。言わば、これがウォーミングアップとなります。

朝の定番「シャクシューカ」で一日を始める

アブダビの朝は、活気あるカフェテリアから始まります。私が訪れたのは、観光客向けの豪華なカフェではなく、地元の労働者たちが絶え間なく出入りする小さな店。メニューはアラビア語と英語で表記されており、その中から「Shakshouka」の文字を見つけ出しました。

運ばれてきたのは、小さな鉄製フライパンでグツグツと音を立てる鮮やかな赤い一皿。トマト、タマネギ、パプリカをクミンやコリアンダーなどのスパイスとともに煮込み、中央に卵を落として半熟に仕上げた料理です。立ち上る湯気からは食欲をそそるスパイシーかつ優しい香りが鼻孔をくすぐります。添えられた平たいパン「ホブズ」をちぎり、熱々のシャクシューカをすくって口に運びます。トマトの酸味と甘み、スパイスの複雑な風味、そしてとろけるような卵黄が一体となって口中に広がります。これは実に美味しい。派手さはありませんが、体に染み渡るような深みのある味わいです。一日の始まりに活力を与えてくれる、理想的な朝食でした。こうした地元の店は、Googleマップで「Cafeteria」と検索すれば多数見つかります。勇気を持って飛び込むのが美味しい発見への近道です。

国民食「マクブース」の深みを味わう

UAEの国民食として知られる「マクブース(Machboos)」を抜きにしては、アブダビの食文化は語れません。これはスパイスで炊き込んだご飯の上に、じっくりと火を通したラムやチキン、あるいは魚をのせた豪快な料理です。見た目は日本の炊き込みご飯やピラフに似ていますが、その香りと味はまったく異なります。

私が訪れたのは、伝統的なエミラティ料理を提供するレストラン。店内はアラビア風の内装で、ゆったりとした時間が流れていました。注文したのは最もポピュラーなラムのマクブース。大皿に盛られて供されたそれは、まさに圧倒的な存在感を放っています。ふんわりと炊き上げられた長粒米の山の上に、骨からほろりと崩れ落ちそうなほど柔らかく煮込まれたラム肉が鎮座。シナモン、カルダモン、クローブ、ターメリック、そして乾燥ライム(ルーミ)が重なり合うスパイスの香りが、食べる前から期待を高めてくれます。

スプーンでご飯と肉を一緒に口に運ぶと、まずラムの濃厚な旨味が広がり、それに続いて様々なスパイスの風味が時間差で押し寄せます。特に乾燥ライムがもたらす爽やかでスモーキーな酸味が、味全体を引き締め、濃厚ながら飽きさせない絶妙なバランスを生み出しています。高級レストランのマクブースは上品で洗練された味わいですが、地元の食堂で味わうそれは、より家庭的で力強い味わいです。両方を試すことで、この料理の奥深さをより一層理解できるでしょう。

魅惑のストリートフード「シャワルマ」を頬張る

アブダビの街を歩いていると、あちこちで巨大な肉の塊が回転しながら焼かれている光景に出くわします。これこそが、中東を代表するストリートフードの王者、「シャワルマ」です。

美味しいシャワルマの店を見つけるコツは、肉の回転率の高さと行列の有無です。多くの人が訪れる店は、常に新鮮な肉が焼かれ、最高の状態で提供されている証し。私が選んだのも、地元の若者たちで賑わう小さなスタンドでした。

注文は非常にシンプル。まずチキンかビーフ(ラムの場合もあり)を選び、ピタパンに挟む具材を伝えます。定番はフライドポテト、ピクルス、そしてガーリックソース「トゥーム」。私はここで「Could you make it spicy?(辛くしてください)」と付け加えました。店主はにっこりと笑い、特製のチリソースをたっぷり塗ってくれました。

薄いピタパンに、そぎ落とされたジューシーな肉と具材がぎっしりと包まれ、アルミホイルで巻かれて手渡されます。熱々のそれをかじると、まず焼き上げられた肉の旨味が弾け、次にガーリックソースのパンチ、ピクルスの酸味、そして最後にチリソースのピリッとした辛さが追いかけてきます。これこそがB級グルメの醍醐味。複雑な味が口の中で絡み合い、夢中になって食べ進めてしまいます。およそ5ディルハム(約200円)で味わえる、最高にジャンクで美味しい幸せ。アブダビの夜には欠かせない一品です。

スパイスハンターの本領発揮!アブダビの「辛さ」を探求する旅

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さて、ウォーミングアップは十分に済ませました。アブダビ特有の味覚を体にインプットし、胃の準備もできています。ここからが、私の旅の本当のスタート。この街に潜む、魂を揺るがすほどの「辛さ」を求める時間の始まりです。

目標発見!挑むのはインド・パキスタン系の料理

アブダビの食文化をじっくり探ると、一つの事実が見えてきます。この街の食は、多数の外国人労働者が持ち込んだ食文化によって、豊かで多彩なものになっているのです。特に、インド・パキスタン・バングラデシュなど南アジアから来た人々がもたらしたスパイス文化は、アブダビのグルメシーンに強烈な存在感を放っています。

現地の人に聞き込みを続ける中で有力な情報を得ました。「本場の辛さを味わいたいなら、観光客が集まる場所では駄目だ。ハマダン・ストリートの裏手にある、パキスタン人が集う小さな食堂に行け」というのです。その言葉を頼りに、ネオンが輝くメインストリートから一本裏の薄暗い路地に足を踏み入れました。そこはまるで異国そのもの。飛び交う言語はウルドゥー語、スパイスの香りが漂っています。狩人としての直感が、獲物の存在を告げていました。

目指す店は地味ながら、地元の人で満席の食堂でした。メニューを開くと「マトン・カラヒ」の文字が見えます。カラヒとは、中華鍋のような鉄鍋で肉や野菜をスパイスと一緒に炒め煮にする、パキスタンを代表する料理です。これこそが私のターゲット、マトン・カラヒだと直感しました。

実食開始!燃え盛る「マトン・カラヒ」との壮絶バトル

席に着き、ふくよかな店主に決意を込めて注文しました。「マトン・カラヒを一皿。そして、この店で一番辛く、パキスタン人が泣いて逃げ出すような究極の辛さでお願い(Make it extra, extra, EXTRA spicy. As hot as you can possibly make it!)」と。店主は一瞬驚いた表情を見せましたが、すぐに不敵な笑顔を浮かべ、「You are crazy, my friend. OK.(君はクレイジーだな、友よ。わかった)」と言い残し、厨房へ戻っていきました。

15分ほどの待ち時間の後、ジュージューと音を立てて料理が運ばれてきました。熱々の鉄鍋の中で、真っ赤なグレイビーがまるでマグマのように煮えたぎっています。その表面には無数の赤唐辛子の種と刻んだ青唐辛子が浮かび、油とスパイスが分離した不気味な層が広がっていました。立ち上る蒸気はもはや香りというよりも「強烈な刺激物」。一度吸い込めば、むせるほどの辛さが喉や鼻を直撃します。

周囲のテーブルで食事中のパキスタン人たちが、好奇心と恐れが入り混じった視線を私に向けていました。これはただの食事ではなく、異文化交流に加え、フードファイターとしての誇りをかけた戦いなのです。

焼きたてのロティ(全粒粉使用の無発酵パン)を手でちぎり、勇気を振り絞って熱々のグレイビーに浸して口に運びます。すると、私の味覚は一瞬理解を拒みました。最初に襲ってきたのは、鋭利な刃物で切りつけられるような唐辛子のストレートな辛さ。続いてジンジャーとガーリックの強烈な風味が猛然と押し寄せます。そして飲み込もうとした瞬間、喉の奥に灼熱の鉄球が転がり落ちるような激しい熱波が襲いかかりました。

額から汗が滝のように流れ出し、視界がかすみ、耳鳴りが起きます。これが真の辛さ。私が探し求めていた、容赦ないスパイスの猛攻撃です。ただし不思議なことに、その激烈な辛味の奥には確かな「旨味」が宿っています。じっくり煮込まれたマトンの濃厚なコク、トマトの程よい酸味、複雑に絡み合うスパイスの深い香り。辛くて痛い、それでも美味い。この感覚にとりつかれるからこそ、スパイスハンターはやめられないのです。

塩味のヨーグルトドリンクであるラバンを救いの手のように飲み干し舌をリセットし、再度ひと口、またひと口と攻め続けました。周囲の客からはいつしか「頑張れ!」と応援するような温かな視線が注がれているように感じました。30分に及ぶ激闘の末、ついに鉄鍋は空になり、店主は親指を立てて最高の笑みを見せてくれました。言葉が通じなくとも、スパイスを通じて心が通じ合った瞬間でした。

激辛チャレンジ後のトラブルと対処法

もちろん、こうした過酷な挑戦には見返りもあります。店を出て数時間後、胃から抗議の声が聞こえ始めました。灼熱のグレイビーが胃壁をじわじわと刺激しているのがはっきりとわかります。ここで登場するのが、旅の守護神とも言える持参の胃腸薬。荒れた胃の粘膜を保護し、修復を助ける薬を飲み、ひたすら安静を心がけました。

もし皆さんが海外で激しい腹痛や下痢、嘔吐などの症状に見舞われた場合、それは食あたりの可能性があります。慌てずにまずはこまめに水分補給を行いましょう。経口補水液が手に入ればベストです。無理に食事をせず、胃腸を休ませることが重要です。症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、躊躇せず医療機関を受診してください。アブダビには観光客にも対応可能な近代的な病院が複数あります。万が一に備え、必ず海外旅行保険に加入しておきましょう。緊急連絡先(警察999、救急998)をスマートフォンのメモなどに登録しておくことも、自身を守るための大切な準備です。

食事だけじゃない!アブダビの食文化を深く知るための体験

レストランで食事をするだけがグルメ旅とは限りません。食材が生産され、流通する現場を訪れることで、その地域の食文化をより深く多角的に知ることができます。

デーツの聖地「デーツ・マーケット」を散策する

アブダビの食文化を語るうえで欠かせない存在が、デーツ(ナツメヤシの実)です。砂漠の厳しい環境で育つ生命力の象徴であり、栄養価も豊富なことから「神が授けた食べ物」とも称されています。ミナ・ザイード地区に位置するデーツ・マーケットは、まさにデーツの楽園です。

市場に一歩踏み入れると、数えきれないほどの種類のデーツが目の前に山積みされています。黒くて大ぶりでしっとりとした甘さの「マジュール」、キャラメルのような風味が特徴の「ハラウィ」、繊細な甘みが魅力の高級品種「アジュワ」などが並びます。店員さんが気前よく試食を勧めてくれるので、遠慮せずにさまざまな種類を味わってみてください。その違いにきっと驚くことでしょう。

価格は基本的に交渉制ですが、度を超えた値切りはマナー違反とされています。いくつかの店を回り相場を把握してから、納得できる価格で交渉してください。笑顔で「シュクラン(ありがとう)」という簡単なアラビア語を使うと、コミュニケーションが円滑になり、少し割引してもらえることもあります。お土産には定番の乾燥デーツはもちろん、ナッツやオレンジピールを詰めたものや、濃厚なデーツシロップもおすすめです。

活気に満ちた「フィッシュ・マーケット」で海の恵みに感動

デーツ・マーケットの隣には、生き生きとした雰囲気のフィッシュ・マーケットがあります。海に面するアブダビは、新鮮なシーフードの宝庫でもあります。この市場では、漁獲されたばかりの魚介類がずらりと並び、活気ある声が飛び交っています。

特に注目してほしいのが、地元で高級魚とされる「ハムール」。ハタ科の白身魚で、日本ではあまり見かけません。そのほかにも、巨大なエビやカニ、イカなど多彩な海産物が揃い、見ているだけで飽きません。

この市場の最大の魅力は、購入した魚をその場で料理してもらえることです。手順は簡単。まずは市場で好みの魚を選び、重量を測って代金を支払います。次に、魚の下処理を行うコーナーでウロコや内臓を取り除いてもらいます(有料)。きれいに処理された魚を持って、市場内の併設レストランへ向かい、「グリル(焼き)」か「フライ(揚げ)」の調理方法を伝えます。あとは席で待つだけ。約30分後、自分が選んだばかりの新鮮な魚が、スパイスで味付けされた絶品料理として提供されます。この体験は、どんな高級レストランにも勝る贅沢なひとときと言えるでしょう。

ラマダン期間中の食文化と旅行者に向けた注意点

イスラム教の断食月「ラマダン」期間中にアブダビを訪れる場合は、特別な配慮が必要です。ラマダン中、イスラム教徒は日の出から日没まで飲食を控えます。訪問者もその習慣を尊重しなければなりません。日中に公共の場(屋外やショッピングモールなど)で飲食したり、水を飲んだりガムを噛むことは禁じられており、違反すると罰金の対象となる場合がありますので、十分に注意してください。

とはいえ、旅行者が食事に困ることはありません。多くのホテルのレストランでは、外部から見えないよう仕切りを設けるなどの配慮をしつつ、通常営業を続けています。日没の合図と共に始まる断食明けの食事「イフタール」は、街全体がお祝いムードに包まれ、家族や友人が共に食事を楽しむ特別な時間です。多くのホテルやレストランで豪華な「イフタール・ビュッフェ」が開催されるため、この時期ならではの食文化を体験する絶好の機会となるでしょう。ラマダンに関する詳細は、在日アラブ首長国連邦大使館の公式サイトなどで事前に確認しておくと、理解が深まります。

旅の移動とコミュニケーション術

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美味しい食べ物にたどり着くためには、効率的な移動手段と少しのコミュニケーションが重要なポイントとなります。

タクシーを賢く活用する

アブダビでの主な移動手段はタクシーです。市内を走るシルバーのタクシーは政府の認可を受けており、料金はメーター制で安心して利用できます。乗車時には、必ずメーターが作動しているか確認するのが大切です。もしメーターを使わずに不当な料金を請求するドライバーに遭遇した場合は、はっきりと断り、別のタクシーを探しましょう。

さらに便利なのは、配車アプリ「Careem(カリーム)」や「Uber(ウーバー)」の利用です。事前に目的地を入力でき、料金も確定されるため、言葉の壁や料金交渉の心配がありません。アプリ上で支払いも完了するので、現金を持っていなくても安心です。空港やホテルでは無料Wi-Fiが利用できるため、到着後にアプリをインストールしておくと、その後の移動が非常にスムーズになります。

簡単なアラビア語で心を通わせる

アブダビでは英語が広く通じますが、少しでもアラビア語を知っていると地元の方との距離が一気に縮まります。

  • アッサラーム・アライクム: こんにちは(非常に丁寧な挨拶)
  • マルハバ: こんにちは(よりカジュアルな挨拶)
  • シュクラン: ありがとう
  • アッフワン: どういたしまして/すみません
  • ナアム: はい
  • ラー: いいえ

完璧に発音する必要はありません。感謝の気持ちを伝える際に「シュクラン」と言うだけで、相手の表情がほぐれるのを何度も見てきました。言葉は文化への敬意を示す最もシンプルな手段と言えるでしょう。UAEの文化に関しては、エティハド航空のカルチャー紹介ページも非常に参考になります。

アブダビの夜と甘美な誘惑

灼熱の太陽が沈み、涼やかな風が吹き始めると、アブダビはまったく異なる表情を見せます。それは、ゆったりとした会話と、とろけるような甘美な誘惑の時間です。

水タバコ「シーシャ」で心身をほぐす

夜のカフェやレストランのテラス席では、多くの人々が水タバコ「シーシャ」を楽しんでいます。フルーツやミントなど多彩なフレーバーをまとったタバコの葉を炭で熱し、その煙を水に通して吸う嗜好品です。独特の甘い香りと、ポコポコと響く水音が、非常にリラックスした空気を作り出します。

初めての場合は、定番のアップルやミントのフレーバーから試すのがおすすめです。深く吸い込みすぎず、ゆったりと煙の味わいを楽しむのがポイント。シーシャを囲んで友人とお茶を片手に語らう――これがアブダビの夜の至福の過ごし方です。ただし、過度の喫煙は健康に影響があるため、ほどほどに楽しみましょう。

アラブスイーツの代表「クナーファ」と「バクラヴァ」

辛いものを食べた後は、濃厚な甘さが恋しくなるのは人の常です。アラブのスイーツはまさにその期待に応えてくれます。

まず試していただきたいのは「クナーファ」。細い麺のような生地でとろけるチーズを包み、オーブンでじっくり焼き上げた後、たっぷりの甘いシロップをかけた温かいデザートです。カリッと香ばしい生地、とろりと伸びるチーズ、そして甘いシロップの三拍子が織りなす味わいは、まるで脳を直接震わせるかのような強烈なインパクトを持っています。塩気のあるチーズが甘さの無限ループへと誘い込みます。

もう一つの代表格「バクラヴァ」は、薄いパイ生地を何層にも重ね、砕いたピスタチオやクルミを挟んで焼き上げ、甘いシロップにたっぷりと浸したお菓子です。サクサクとした食感にナッツの芳ばしさ、滴るほどのシロップの甘さが絶妙に調和しています。どちらも、カルダモンが香る濃厚なアラビックコーヒーと共に味わうのが至福の組み合わせ。この苦味と甘味のコントラストがたまらない魅力を放っているのです。

スパイスハンターの旅の終わり、そして新たなる挑戦へ

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未来都市としての印象が強かったアブダビ。しかし、その奥深くに足を踏み入れると、多様な文化が入り混じり、人々の暮らしに根ざした熱くて美味しい食の世界が広がっているのを実感しました。豪華なホテルのレストランも魅力的ですが、街角の小さな食堂で味わうシャワルマや、汗だくになりながら挑んだパキスタンの激辛カレー、市場で購入した魚をその場で焼いてもらう体験など、等身大の食との出会いこそが旅の記憶を一層鮮やかに彩るのだと改めて感じました。

今回挑戦した激辛チャレンジ、マトン・カラヒは間違いなく僕の食経験の中でもトップクラスの強敵でした。しかし、その辛さの奥にあったのは単なる痛みではありませんでした。それは、スパイスを巧みに使いこなす料理人の技、故郷の味を愛する人々の情熱、そして未知の味に挑戦する私を温かく見守ってくれた周囲の優しさそのものでした。

もしアブダビを訪れる機会があれば、ぜひ勇気を出してローカルな食堂の扉を叩いてみてください。メニューが読めなくても、指差しと笑顔で乗り切れます。そこにはガイドブックには載っていない、本物のアブダビの味と、人々の温かな日常が待っています。

さて、灼熱のマトン・カラヒとの激闘で酷使した私の胃腸も、今回の旅を無事に乗り切るための頼もしい相棒でした。みなさんも海外での食の冒険には、信頼できる胃腸薬をぜひお忘れなく。私のおすすめは、生薬成分が荒れた胃粘膜を優しく修復し、さらに脂肪やタンパク質の消化を強力に助けてくれるタイプの総合胃腸薬です。食べることへの攻めと、いたわることへの守り、これが揃ってこそ真のフードファイターと言えるでしょう。備えあれば憂いなし。それでは、次の灼熱の地でまたお会いしましょう!

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この記事を書いたトラベルライター

激辛料理を求めて世界中へ。時には胃腸と命を賭けた戦いになりますが、それもまた旅のスパイス!刺激を求める方、ぜひ読んでみてください。

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