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WTMロンドン2025で日本の観光戦略が脚光、ポストコロナ時代の新たな成長戦略とは

世界最大級の旅行博「ワールド・トラベル・マーケット(WTM)ロンドン2025」が閉幕し、今年のイベントでは日本がひときわ大きな注目を集めました。日本政府観光局(JNTO)が発表した、訪日旅行の完全回復とさらなる拡大に向けた野心的な戦略は、各国の旅行業界関係者から高い関心を集めています。パンデミックを乗り越え、過去最高の訪日客数を記録した今、日本が次に目指す観光立国の未来像に迫ります。

目次

過去最高を更新、V字回復を遂げた日本の観光市場

今回の発表の背景には、日本のインバウンド市場の目覚ましい回復があります。パンデミック前の2019年には年間約3,188万人の訪日客数を記録しましたが、その後の渡航制限で市場は一時停滞。しかし、2023年の水際対策緩和以降、円安を追い風に急激な回復を遂げ、2024年には年間3,300万人を超える見込みとなり、過去最高記録を更新しました。

この力強い回復を土台に、日本政府は2030年までに訪日客数6,000万人という高い目標を改めて掲げています。WTMで示された戦略は、この目標達成に向けた具体的なロードマップであり、単なる「数の回復」から「質の向上と持続可能性」へと舵を切る日本の強い意志が示されました。

戦略の柱1:国際線ネットワークの大幅な拡充

戦略の核心となるのが、国際的なアクセスの抜本的な改善です。特にヨーロッパや北米からの直行便の少なさが課題とされてきましたが、今回の発表では複数の航空会社による新規就航・増便計画が明らかにされました。

注目される新規路線

  • ヨーロッパ路線: 英国航空による「ロンドン – 福岡」線の新規開設や、エールフランスによる「パリ – 札幌(新千歳)」線の季節運航などが計画されており、日本の地方都市へのゲートウェイが大きく広がります。
  • 北米路線: 既存の主要都市に加え、アメリカ中西部やカナダの都市と日本の地方空港を結ぶ路線の新設も検討されており、旅行者の選択肢を多様化させます。
  • 中東路線: 中東のハブ空港を経由した接続も強化され、カタール航空やエミレーツ航空が「ドーハ – 名古屋(中部)」線や「ドバイ – 大阪(関西)」線を増便する方針です。

これにより、これまでアクセスが不便だった地方への旅行が容易になり、旅行者は東京や大阪だけでなく、九州や北海道の豊かな自然や文化を直接体験できるようになります。

戦略の柱2:地方誘客と高付加価値ツーリズムの推進

新たな戦略では、「ゴールデンルート(東京・箱根・京都・大阪)」への集中を緩和し、地方への観光客誘致を最重要課題と位置付けています。

体験価値を高める新たなコンテンツ

  • アドベンチャーツーリズム: 北海道のニセコや長野の白馬といった世界的なスノーリゾートに加え、四国の遍路道ハイキングや沖縄の離島でのダイビングなど、手つかずの自然を活かしたアクティビティを積極的にプロモーションします。
  • ガストロノミーツーリズム: ミシュランガイドで星を獲得する都市が世界で最も多い日本の食文化をさらに深掘りします。地方の伝統料理や酒蔵、農家での収穫体験などを組み合わせたツアー造成を支援し、食を目的とした旅行者を呼び込みます。
  • サステナブルツーリズム: オーバーツーリズム対策として、入域料の導入検討や、公共交通機関の利用促進、環境に配慮した宿泊施設の認証制度などを推進。旅行者と地域住民の双方が豊かになれる持続可能な観光モデルの構築を目指します。

予測される未来:旅行者と業界への影響

今回の発表は、今後の日本旅行に大きな変化をもたらすでしょう。旅行者にとっては、航空券の選択肢が増え、よりパーソナルな旅行計画が立てやすくなります。特に、これまで時間や費用の面で訪れるのが難しかった地方都市が、新たな旅の目的地として現実的な選択肢となるはずです。

一方、観光業界にとっては、ビジネスチャンスの拡大を意味します。地方の宿泊施設や交通機関、体験提供事業者は、新たな顧客層を獲得する好機を迎えます。しかし同時に、多言語対応や人材確保、インフラ整備といった受け入れ体制の強化が急務となるでしょう。

WTMロンドン2025で示された日本の新たな観光戦略は、単なる回復宣言に留まらず、世界に向けて日本の多様な魅力を再定義するものでした。2026年以降、私たちはこれまで知らなかった日本の顔に出会う機会が、さらに増えることになりそうです。

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この記事を書いたトラベルライター

SimVoyage編集部は、世界を旅しながら現地の暮らしや食文化を体感し、スマホひとつで快適に旅する術を研究する旅のプロ集団です。今が旬の情報から穴場スポットまで、読者の「次の一歩」を後押しするリアルで役立つ記事をお届けします。

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