東南アジア観光の勢力図に変化の兆し
経済調査会社BMIの最新レポートが、世界の旅行業界に大きな衝撃を与えています。レポートによると、急成長を続けるベトナムの観光産業が、2026年までに長年この地域のトップに君臨してきたタイを上回る可能性があると予測されているのです。これは、東南アジアの観光地図が大きく塗り替えられる可能性を示唆しており、旅行者にとっても注目のニュースと言えるでしょう。
なぜ今、ベトナムが注目されるのか?
この驚異的な成長の背景には、いくつかの重要な要因が絡み合っています。
政府主導の積極的な観光振興策
ベトナム政府は観光を国家の基幹産業と位置づけ、大胆な改革を進めています。特に大きな影響を与えているのが、ビザ要件の大幅な緩和です。
2023年8月には、これまで一部の国に限られていた電子ビザ(e-visa)の発給対象を全世界に拡大。さらに、日本を含む13カ国を対象としたビザなしでの滞在可能期間を、従来の15日間から45日間へと3倍に延長しました。この措置により、旅行者はより手軽に、そして長期的にベトナム滞在を計画できるようになり、観光客誘致の大きな追い風となっています。
急ピッチで進むインフラ整備
快適な旅行体験に不可欠なインフラも急速に進化しています。ホーチミン市近郊では、2026年の開港を目指して「ロンタイン新国際空港」の建設が進行中であり、完成すれば東南アジア最大級のハブ空港となる見込みです。また、国内の主要都市を結ぶ高速道路網の整備や、新たな高級ホテル・リゾートの開業も相次いでおり、旅行者の受け入れ体制は着実に強化されています。
安定した治安とコストパフォーマンスの高さ
ベトナムが旅行先として選ばれる大きな理由の一つに、その魅力的なコストパフォーマンスと良好な治安が挙げられます。近隣の観光大国と比較しても宿泊費や食費が安価でありながら、質の高いサービスを受けられる点が世界中の旅行者から高く評価されています。加えて、比較的治安が安定していることも、家族旅行や一人旅の旅行者にとって安心材料となっています。
データで見るベトナムの成長力
BMIの予測を裏付けるように、ベトナムの観光客数は力強い回復と成長を見せています。2023年には約1,260万人の外国人観光客を受け入れ、これは政府目標を大きく上回る数字でした。そして2024年の目標は、コロナ禍以前の2019年(約1,800万人)に匹敵する1,800万人に設定されており、その勢いはとどまるところを知りません。
一方、タイは2023年に約2,800万人の観光客を受け入れており、依然として大きな差はあります。しかし、ベトナムの驚異的な成長率を考慮すると、数年内にその差が逆転するというBMIの予測は、決して非現実的なものではないのです。
予測される未来と旅行者への影響
もしベトナムが東南アジアの新たな観光ハブとなれば、私たち旅行者にも様々な影響が考えられます。
- 旅行の選択肢の多様化: これまでタイやシンガポールが中心だった東南アジア旅行のハブとしてベトナムが加わることで、周遊ルートの選択肢が格段に増えるでしょう。
- 新たな観光地の開拓: 観光客の増加に伴い、ダナンやニャチャンといった有名リゾートだけでなく、これまであまり知られていなかった地方都市の魅力も発掘され、新たなデスティネーションが次々と登場することが期待されます。
- 混雑と物価上昇の可能性: 人気の急上昇は、一方で人気観光地の混雑やホテル料金、航空券価格の上昇につながる可能性があります。旅行を計画する際は、早めの予約やオフシーズンの検討がより重要になるかもしれません。
ベトナムが秘めるポテンシャルは計り知れず、その躍進は始まったばかりです。歴史的な文化遺産、壮大な自然、そして活気あふれる都市が融合するこの国の未来から、今後も目が離せません。simvoyageは、引き続きベトナム観光の最新情報をお届けしていきます。

