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ベトナム、Eビザでの入国地点を83ヶ所に倍増 インドからの観光客やMICE旅行の選択肢拡大へ

ベトナム政府は、外国人観光客の誘致を加速させるため、Eビザ(電子ビザ)で入国可能な地点を大幅に拡大する新たな政策を発表しました。この措置により、入国可能な空港、港、国境ゲートは従来の約2倍となる合計83ヶ所となり、旅行者の利便性が飛躍的に向上します。特に、急成長するインド市場からの観光客や、経済効果の大きいMICE旅行の誘致において、大きな追い風となることが期待されています。

目次

Eビザ制度の抜本的な利便性向上

2023年8月15日に施行された政府決議127/NQ-CPに基づき、ベトナムのEビザ制度は大きく変更されました。主な変更点は以下の通りです。

入国可能地点の大幅な拡大

これまで限定されていたEビザでの入国地点が、合計83ヶ所に拡大されました。

  • 空路: ハノイのノイバイ国際空港やホーチミンのタンソンニャット国際空港など、主要な13の国際空港。
  • 陸路: 中国、ラオス、カンボジアと接する16の国境ゲート。
  • 海路: ダナン港やニャチャン港など、クルーズ船の寄港も多い13の港。

この拡大により、旅行者はより柔軟な旅程を組むことが可能となり、主要都市だけでなく地方へのアクセスも容易になります。

ビザ有効期間の延長と数次入国

Eビザの有効期間は、従来の30日間(シングルエントリー)から最大90日間へと延長され、期間内であれば複数回の出入国が可能なマルチプルエントリー(数次ビザ)となりました。これにより、長期滞在や近隣諸国への周遊旅行が格段にしやすくなります。

背景:コロナ禍からの回復と新たな市場開拓

今回のビザ緩和策の背景には、ベトナム政府の強力な観光復興への意志があります。

観光業の完全回復を目指す国家戦略

ベトナムはコロナ禍で大きな打撃を受けた観光業の回復を最重要課題の一つと位置づけています。2023年には当初800万人としていた外国人観光客数の目標を1250〜1300万人に上方修正し、最終的に1260万人を達成しました。今回のEビザ制度の拡充は、この勢いをさらに加速させ、観光大国としての地位を確固たるものにするための戦略的な一手です。

ターゲットは急成長するインド市場

世界最大の人口を抱えるインドは、ベトナムが最も注目する市場の一つです。中間層の拡大に伴い海外旅行への関心が高まっており、ベトナムへのインド人観光客数は2019年の約16万9000人から、2023年には約39万2000人へと倍増以上を記録しました。 ベトジェットエアやベトナム航空、インドのインディゴなどが両国間の直行便を次々と就航させており、物理的な距離が縮まった今、ビザという制度的な障壁を取り除くことで、さらなる需要の掘り起こしを狙っています。

予測される未来と影響

この大胆なビザ緩和策は、ベトナムの観光業界に多岐にわたる好影響をもたらすと予測されます。

インドからのMICE・ウェディング需要の獲得

利便性の向上は、一般的な観光客だけでなく、大規模な団体旅行にも恩恵をもたらします。特にインド市場では、数百人規模の企業報奨旅行(インセンティブ旅行)や、豪華なデスティネーション・ウェディングの需要が旺盛です。ダナンやフーコック島といったリゾート地は、これらのMICE(Meeting, Incentive, Convention, Exhibition)やイベントの開催地として、タイのプーケットやインドネシアのバリ島と競合する存在へと成長する可能性があります。

観光客の地方分散と新たな魅力の発見

これまでは入国地点が限られていたため、観光客はハノイやホーチミンなどの大都市に集中しがちでした。しかし、陸路や海路での入国地点が増えたことで、カンボジアやラオスからの周遊旅行者が国境の町を訪れたり、クルーズ船の乗客が地方の港町を散策したりと、観光の多様化が進むでしょう。これにより、地方経済の活性化や、まだ知られていないベトナムの魅力が世界に発信されるきっかけとなります。

ASEAN域内での競争力強化

タイやマレーシアといった近隣の観光大国との競争は激化しています。特にタイはインド人観光客向けにビザ免除措置を導入するなど、積極的な誘致策を講じています。ベトナムがEビザの利便性を向上させたことは、ASEAN域内におけるデスティネーションとしての競争力を高め、より多くの旅行者を惹きつける上で極めて重要な意味を持ちます。

今回のEビザ制度拡充は、ベトナムがポストコロナ時代の観光戦略を本格化させた証と言えるでしょう。利便性を武器に、インド市場をはじめとする世界中の旅行者を迎え入れ、アジアを代表する観光ハブとしての地位を確立していくのか、今後の動向から目が離せません。

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この記事を書いたトラベルライター

SimVoyage編集部は、世界を旅しながら現地の暮らしや食文化を体感し、スマホひとつで快適に旅する術を研究する旅のプロ集団です。今が旬の情報から穴場スポットまで、読者の「次の一歩」を後押しするリアルで役立つ記事をお届けします。

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