ベトナムのナショナルフラッグキャリアであるベトナム航空と、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビを拠点とするエティハド航空が、コードシェア提携を開始することを発表しました。この提携により、ベトナムの主要都市であるハノイ、ホーチミンと中東のハブであるアブダビを結ぶ路線での協力が深まり、両社のネットワークが大幅に拡大されます。旅行者にとっては、乗り継ぎの利便性向上や航空券の選択肢増加など、多くのメリットが期待されます。
提携の背景 – なぜ今、この協力が実現したのか
今回の提携は、単なる新しい協力関係の始まりではありません。両社は2011年から航空機のメンテナンス分野で協力関係にあり、長年の信頼を土台とした戦略的なステップアップと位置づけられています。その背景には、急速に変化する世界の航空市場の動向があります。
急成長するベトナムの航空需要
パンデミック後の旅行需要の回復は世界的な傾向ですが、特にベトナムの成長は著しいものがあります。ベトナム政府観光総局によると、2023年にベトナムを訪れた外国人観光客は約1,260万人に達し、目標を大幅に上回りました。これは、力強い経済成長に伴うビジネス渡航の増加と、豊かな文化や自然を求める観光客の増加が両輪となっていることを示しています。ベトナム航空は、この旺盛な需要を取り込み、東南アジアのハブとしての地位を強化するため、グローバルなネットワークの拡充を急務としていました。
中東をハブとするエティハド航空の戦略
一方、エティハド航空は、アブダビを拠点にヨーロッパ、中東、アフリカ、北米へと広がる約70都市以上の強力なネットワークを持っています。同社は近年、成長著しいアジア太平洋地域との連携を強化する戦略を推進しており、今回のベトナム航空との提携はその重要な一環です。東南アジアの活気ある市場へのアクセスを深めることで、アブダビ経由での旅客流動をさらに活性化させる狙いがあります。
コードシェア提携で何が変わるのか?
今回のコードシェア提携は、2024年10月以降に開始される予定です。具体的には、ベトナム航空が運航するハノイ(HAN)-アブダビ(AUH)間、およびホーチミンシティ(SGN)-アブダビ(AUH)間の路線に、エティハド航空の便名「EY」が付与されます。
旅行者にもたらされる具体的なメリット
この提携によって、旅行者は以下のようなメリットを享受できるようになります。
- シームレスな乗り継ぎ体験
エティハド航空の広範なネットワークを利用し、アブダビ経由でヨーロッパの主要都市や中東、アフリカ各地へスムーズに乗り継ぐことが可能になります。これまで別々に予約する必要があった旅程も、通しで予約・発券できるようになり、手荷物のスルーチェックインなども可能になるため、乗り継ぎの際の煩わしさが大幅に軽減されます。
- 予約・購入の利便性向上
旅行者はベトナム航空、エティハド航空、どちらの公式サイトや旅行代理店からでも、コードシェア便を含む旅程を一括で購入できるようになります。これにより、最適なフライトスケジュールを簡単に探し、比較検討することが容易になります。
- マイレージプログラムの連携強化
将来的には、両社のマイレージプログラム間でのマイル積算や特典利用の連携が強化される可能性があります。頻繁に両地域を行き来する旅行者にとっては、マイルが貯めやすく、使いやすくなるという大きなメリットにつながるでしょう。
今後の予測と業界への影響
この戦略的提携は、旅行者だけでなく、航空業界全体にも少なくない影響を与えそうです。
航空券の選択肢拡大と新たな旅行ルートの誕生
ベトナムと中東・ヨーロッパを結ぶ路線の選択肢が増えることで、航空会社間の健全な競争が促進され、消費者にとってはより魅力的な運賃が期待できるかもしれません。また、これまでアクセスしにくかった都市への乗り継ぎが便利になることで、「ベトナム観光とヨーロッパ周遊」といった新しい組み合わせの旅行プランが生まれやすくなるでしょう。
アジア・中東間の航空競争の行方
東南アジアと中東を結ぶ路線は、エミレーツ航空やカタール航空といった巨大エアラインがしのぎを削る激戦区です。今回の提携は、この競争環境に新たな動きをもたらす可能性があります。特に、スカイチームに加盟するベトナム航空と、独自のアライアンス戦略をとるエティハド航空の組み合わせは、既存のアライアンスの枠組みを超えた協力関係として注目されます。
まとめ – 新たな空の架け橋に期待
ベトナム航空とエティハド航空のコードシェア提携は、単に2社間のビジネスを強化するだけでなく、東南アジアと世界の主要地域を結ぶ新たな架け橋となるものです。旅行者にとっては利便性が向上し、旅の可能性が大きく広がります。今後、両社がこの提携をどのように深化させ、私たちにどのような新しい空の旅を提供してくれるのか、大いに期待が寄せられます。

