米国での国際線の乗り継ぎが、より迅速で快適になるかもしれません。米国運輸保安庁(TSA)は、特定の国際線から国内線へ乗り継ぐ乗客を対象に、米国到着後の保安検査を免除する新しいパイロットプログラム「One Stop Security」を開始しました。これにより、乗り継ぎにかかる時間と手間が大幅に削減されることが期待されます。
新プログラム「One Stop Security」とは?
「One Stop Security」は、TSAが保安基準を同等と認めた特定の外国の空港から出発した乗客が、米国到着後に再度保安検査を受けることなく、国内線の乗り継ぎゲートへ直接向かうことを可能にするプログラムです。
これまでのプロセスでは、国際線で米国に到着した乗客は全員、一度手荷物を受け取って税関を通過した後、預け直して再度保安検査場を通過する必要がありました。この煩雑な手続きが、乗り継ぎ時間の長時間化やストレスの大きな原因となっていました。
新プログラムでは、出発地の空港で実施された厳格な保安検査を信頼することで、この「二度手間」を解消し、乗り継ぎプロセス全体の効率化を図ります。
パイロットプログラムの背景と現状
このプログラムは、増加する国際旅行者の利便性向上と、空港の混雑緩和を目的として導入されました。特にヨーロッパなどでは同様の国際協力に基づくセキュリティシステムが既に運用されており、米国も国際基準に合わせたシームレスな旅行体験の提供を目指しています。
2024年6月14日から開始されたこのパイロットプログラムの詳細は以下の通りです。
- 対象出発空港: ローマ・フィウミチーノ空港(FCO)
- 対象到着空港: シカゴ・オヘア国際空港(ORD)、ボストン・ローガン国際空港(BOS)
- 対象航空会社: ITAエアウェイズ、アメリカン航空、デルタ航空
現時点では、イタリアのローマから出発し、シカゴまたはボストンで乗り継ぐ特定のフライトの乗客のみが対象となります。TSAは、この試験的な運用を通じてプログラムの有効性と安全性を評価します。
旅行客への影響と予測される未来
このプログラムは、旅行客にとって多くのメリットをもたらします。
旅行客へのメリット
- 時間の大幅な短縮: 再度の保安検査が不要になることで、乗り継ぎ時間が数十分から1時間以上短縮される可能性があります。これにより、タイトなスケジュールの乗り継ぎでも安心感が増します。
- ストレスの軽減: 重い手荷物を持って再び保安検査の列に並ぶ必要がなくなるため、身体的・精神的な負担が大きく軽減されます。乗り継ぎ便を逃すリスクも低くなります。
予測される未来
このパイロットプログラムが成功すれば、対象となる国や空港が拡大していくことが大いに期待されます。TSAは今後、他の国々の保安基準を評価し、同様の協定を結ぶ国を増やしていく可能性があります。
将来的には、日本や韓国、ヨーロッパの主要国など、多くの国からの旅行者がこの「One Stop Security」の恩恵を受けられるようになるかもしれません。これは、米国をハブ空港として利用する旅行の魅力を高め、航空業界全体の競争力にも影響を与える重要な一歩と言えるでしょう。
米国旅行の新たなスタンダードへ
「One Stop Security」は、まだ始まったばかりの試験的な取り組みですが、米国の国際線乗り継ぎにおける大きな変革の始まりとなる可能性を秘めています。今後のプログラムの拡大に関する発表は、海外旅行を計画する上で非常に重要な情報となります。simvoyageでは、引き続き最新情報をお届けしていきますので、ぜひご注目ください。









