米国への旅行や出張を計画しているすべての方に重要なニュースです。トランプ政権は、米国の安全保障を一層強化するため、新たな渡航規則を発表しました。この規則により、永住権保持者(グリーンカードホルダー)を含むすべての外国人旅行者は、米国への入出国時に顔や指紋などの生体認証情報の提出が義務付けられます。これは、米国の入国審査における大きな転換点であり、今後の渡航スタイルに大きな影響を与える可能性があります。
なぜ今、生体認証が強化されるのか?
背景にある国家安全保障と不法滞在問題
この厳格な新規則の導入背景には、長年課題とされてきた国家安全保障の強化と、ビザのオーバーステイ(不法滞在)問題があります。2001年の同時多発テロ以降、米国は段階的に国境管理を強化してきましたが、出入国する人物をより正確に特定する技術が求められていました。
米国税関・国境警備局(CBP)は、これまでも「バイオメトリック・イグジット(Biometric Exit)」プログラムとして、一部の主要国際空港で顔認証技術を用いた出国管理の試験運用を進めてきました。今回の発表は、この取り組みを「入国時」にも拡大し、対象者を全外国人に広げ、本格的に全土で展開することを目指すものです。
数字で見る生体認証技術の現状
CBPの報告によれば、現在試験導入されている顔認証システムの本人識別精度は99%以上に達しており、偽造パスポートなどを使用した不正入国を水際で防ぐ高い効果が期待されています。すでにアトランタ、オーランド、ラスベガスといった数十の主要国際空港では、特定の国際線でこのシステムが稼働しており、今後数年以内にすべての国際空港への導入が計画されています。
新規則で何が変わるのか?
対象者と手続きの具体的な変更点
今回の新規則で最も注目すべき点は、これまで比較的スムーズな入国が認められていた永住権保持者(グリーンカードホルダー)も義務化の対象に含まれることです。
旅行者は、米国の空港に到着後、入国審査ブースや専用のキオスク(端末)で顔写真を撮影されます。この写真は、パスポートやビザ申請時に提出された顔写真データと瞬時に照合され、本人確認が行われます。これにより、従来の審査官による目視確認や指紋認証(一部対象者)から、より高度で迅速な認証プロセスへと移行します。
旅行者への影響と未来の展望
セキュリティ向上とプライバシーのジレンマ
このシステムの本格導入は、旅行者に二つの側面をもたらします。
一つは、セキュリティ向上による安心感と、将来的な利便性の向上です。将来的には、顔認証だけでチェックイン、手荷物預け、保安検査、そして搭乗までが可能になる「シームレスな渡航体験」が実現するかもしれません。これにより、空港での煩雑な手続きが大幅に簡素化され、待ち時間の短縮につながる可能性があります。
一方で、個人の生体情報という極めて機微なデータを政府機関が収集・管理することに対し、プライバシーに関する懸念も高まっています。データの保管方法、第三者への提供の有無、そしてシステムの誤認識によって入国が不当に拒否されるリスクなど、解決すべき課題は少なくありません。
今後の米国旅行で注意すべきこと
これから米国への渡航を計画している方は、この新しい変化に対応するために以下の点を心に留めておくと良いでしょう。
最新情報の確認を怠らない
渡航前には、必ず在日米国大使館やCBPの公式サイトを確認し、最新の入国審査手続きについて情報を得てください。規則は予告なく変更される可能性があります。
空港には時間に余裕を持って到着する
特にシステムの導入初期や移行期間中は、手続きに想定以上の時間がかかったり、一時的な混乱が生じたりする可能性があります。フライトの時間から逆算し、通常よりも時間に余裕を持って空港に到着することを強くお勧めします。
この新しい渡航規則は、米国の安全と国境管理のあり方を大きく変えるものです。私たち旅行者は、利便性とプライバシーのバランスを意識しながら、これらの変化に適応していく必要があります。simvoyageでは、今後も関連する最新情報をお届けし、皆様の安全で快適な旅をサポートしていきます。









