旅行勢力図に変化、米国パスポートの地位が揺らぐ
ビザなしでどれだけ多くの国へ渡航できるかを示す「世界で最も強力なパスポート」ランキング。長年トップクラスに君臨してきた米国パスポートが、その牙城を崩されつつあります。主要なパスポートランキングの一つである「ヘンリー・パスポート・インデックス」の近年の発表では、米国が一時的にトップ10圏外に迫る順位まで後退。これは、世界の人の移動や国際的な影響力のバランスが変化していることを示す、象徴的な出来事と言えるでしょう。
ランキング変動の背景にあるもの
このランキングは、国際航空運送協会(IATA)の独占的なデータに基づき、199種類のパスポートを対象に、ビザなしでアクセスできる渡航先の数でランク付けしたものです。
最新ランキングに見る世界の動向
2024年最新のランキングでは、日本、シンガポール、そしてフランス、ドイツ、イタリア、スペインの欧州4カ国が、史上最多となる194の国・地域へビザなしで渡航可能となり、同率で首位に立ちました。
一方、米国はカナダやハンガリーと並ぶ7位で、ビザなし渡航先は188カ国。これは依然として非常に強力な数字ですが、首位グループとは6カ国の差が開いています。約10年前の2014年には英国と共に1位だったことを考えると、その地位が相対的に低下していることは明らかです。
なぜ米国の順位は下がったのか?
この順位変動の主な要因は、米国のビザなし渡航先が劇的に減少したからではありません。むしろ、他国、特にアジアや中東の国々が、より積極的に外交努力を重ね、ビザ免除協定を次々と結んだ結果です。
特に近年目覚ましい躍進を遂げているのがアラブ首長国連邦(UAE)です。2014年以降、ビザなしで渡航できる国を106も増やし、ランキングを急上昇させています。このような他国の躍進が、米国の相対的な地位を押し下げる形となりました。
この変化が意味すること:旅行者と世界への影響
パスポートのランキングは、単なる旅行の利便性を示す指標にとどまりません。その国の外交関係、国際的な信頼性、そしてソフトパワーを映し出す鏡でもあります。
米国人旅行者への影響
短期的に見れば、ほとんどの米国人旅行者が人気の観光地へ訪れる際に、大きな不便を感じることはないでしょう。188カ国という数字は、世界中のほぼ全ての主要な目的地をカバーしています。
しかし、この傾向が長期的に続けば、これまでビザが不要だった国へ渡航する際に、新たにビザ申請が必要になるといったケースが出てくる可能性も否定できません。旅行計画を立てる際には、これまで以上に最新の渡航要件を確認する重要性が増すことになります。
グローバルなパワーシフトの象徴
アジア諸国や欧州諸国がランキング上位を固めている現状は、経済や文化における影響力が、もはや一国に集中するのではなく、多極化している現代社会を反映しています。パスポートの「強さ」が分散していくことは、人の流れがより多様で双方向になることを意味し、世界の観光産業にも影響を与えるでしょう。
将来的には、より強力なパスポートを持つ国からの観光客をターゲットにしたインフラ整備やサービスが、世界各地で加速する可能性があります。
まとめ:変化する世界とこれからの旅
米国パスポートのランキング変動は、国際社会のダイナミックな変化の一端を示すものです。私たちの旅は、常に世界の動きと密接に結びついています。
どの国のパスポートを持つ旅行者であっても、目的地を訪れる前には、必ず最新のビザ情報を公式機関で確認することが、安全でスムーズな旅を実現するための鍵となります。simvoyageは、これからも世界のリアルな旅行情報をお届けし、皆様の素晴らしい旅をサポートしていきます。

