英国政府は、国境管理のデジタル化とセキュリティ強化を目指す新たな取り組みとして、2024年2月1日から電子渡航認証(ETA)制度の対象国を拡大します。これにより、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、クウェート、オマーン、サウジアラビア、ヨルダンの国民が英国へ渡航する際には、事前のETA取得が必須となります。
ETA導入の背景と目的
今回のETA導入は、英国政府が掲げる「2025年までに国境を完全にデジタル化する」という広範な計画の一環です。主な目的は、渡航者を事前にスクリーニングすることで国家安全保障を強化し、同時に正規の旅行者の入国手続きを円滑化することにあります。
これまで、UAEを含む湾岸協力会議(GCC)諸国の国民は、電子ビザ免除(EVW)制度を利用して英国を訪問していました。EVWは1回の渡航につき30ポンドの費用がかかり、渡航ごとに申請が必要でした。
新しいETA制度は、これに代わるものであり、旅行者にとってより利便性が高く、経済的な選択肢となります。このシステムは、米国のESTAやカナダのeTAなど、他の主要国で既に導入されている電子渡航認証システムに倣ったものです。
ETA制度の主な特徴
新しいETA制度の具体的な内容は以下の通りです。
- 申請料金: 1人あたり10ポンド。
- 有効期間: 2年間(または申請に使用したパスポートの有効期限が切れるまで)。
- 利用範囲: 有効期間内であれば、観光、ビジネス、短期留学、親族訪問など、様々な目的で複数回の渡航が可能。
- 申請方法: 専用のモバイルアプリ「UK ETA app」または英国政府の公式ウェブサイト(GOV.UK)からオンラインで申請。
- 処理時間: ほとんどの申請は3営業日以内に処理されるとされていますが、早めの申請が推奨されます。
この制度は、2023年11月15日にカタール国民を対象に先行導入されており、今回の拡大はその第二段階となります。
旅行者への影響と今後の展望
ETA制度の導入は、対象国の旅行者にとって大きな変化をもたらします。
短期的な影響:利便性の向上とコスト削減
最も直接的なメリットは、コストと手間の削減です。従来のEVWが1回30ポンドだったのに対し、ETAは10ポンドで2年間有効となるため、頻繁に英国を訪れるビジネス客や観光客にとっては大幅な負担軽減となります。また、一度取得すれば2年間は再申請が不要になるため、渡航計画の柔軟性も向上します。
ただし、注意点として、渡航前にETAの申請・承認が必須となるため、直前の旅行計画には注意が必要です。航空会社は搭乗前に乗客のETA保有状況を確認する義務があるため、未取得の場合は搭乗を拒否されることになります。
長期的な展望:グローバルスタンダードへの移行
英国は、2024年末までに、現在ビザなしで英国を訪問できるすべての国(日本、欧州連合加盟国、米国、オーストラリアなどを含む)の国民にETAの取得を義務付ける計画です。
これは、国境管理が物理的なスタンプや書類から、デジタルデータへと完全に移行していく世界的な潮流を反映しています。将来的には、日本のパスポート保持者も英国へ渡航する際には、事前にオンラインでETAを申請・取得する手続きが必要となります。
日本の旅行者にとっては、まだ先の話ではありますが、この英国の動向は欧州連合(EU)が導入を予定しているETIAS(エティアス)とも連動する動きであり、今後の国際的な人の移動におけるスタンダードとなる可能性があります。simvoyageでは、引き続きこの新しい渡航制度に関する最新情報をお届けしていきます。

