概要:国境地帯で高まる軍事的緊張
2025年7月24日、タイとカンボジアの国境地帯において、両国間の軍事的な衝突が激化しているとの報道がなされました。この事態を受け、英国政府(外務・英連邦・開発省、FCDO)は自国民に対し、該当地域への旅行に関する注意喚起(Travel Advisory)を更新しました。東南アジアへの旅行を計画している方は、今後の情勢に細心の注意を払う必要があります。
背景:長年にわたる領有権問題
タイとカンボジアの国境をめぐる対立は、今回が初めてではありません。両国の間には長年にわたる国境未画定地域が存在し、特にヒンドゥー教寺院「プレアヴィヒア寺院(Preah Vihear Temple)」の領有権をめぐる問題は、過去に何度も武力衝突の火種となってきました。
記憶に新しいのは、2008年に同寺院がカンボジア領としてユネスコ世界遺産に登録されたことをきっかけに緊張が高まり、2011年には大規模な軍事衝突へと発展した事例です。この衝突では、双方の兵士及び民間人に多数の死傷者が出る事態となりました。国際司法裁判所(ICJ)が2013年に寺院周辺地域の領有権についてカンボジアに有利な判断を下した後も、両国間の緊張は完全には解消されていませんでした。
今回の衝突は、こうした歴史的背景のもと、国境付近での偶発的な小競り合いがエスカレートした可能性が指摘されています。
現状と英国政府の対応
報道によると、今回の衝突はプレアヴィヒア州(カンボジア側)とシーサケート県(タイ側)にまたがる国境地帯で発生し、両軍の間で砲撃を含む交戦があったと伝えられています。現時点での正確な被害状況は不明ですが、予断を許さない状況が続いています。
この情勢を受け、英国政府は旅行注意喚起を更新。特に以下の地域への不要不急の渡航を控えるよう強く勧告しています。
- タイ側: スリン県のプレアヴィヒア寺院(タイ名:カオ・プラ・ウィハーン)周辺地域
- カンボジア側: プレアヴィヒア州及びウドーミアンチェイ州のタイとの国境から5km以内の地域
渡航中止勧告に加え、現地に滞在する自国民に対しては、常に身の回りの安全に注意し、最新の情報を入手し、現地当局の指示に従うよう呼びかけています。
予測される影響と旅行者へのアドバイス
陸路での国境越えへの影響
この衝突が最も直接的に影響を及ぼすのは、陸路での国境越えを計画している旅行者です。特に、バンコクからアンコールワットのあるシェムリアップへ陸路で向かうルートは、旅行者に人気がありますが、情勢次第では国境検問所が一時的に閉鎖される可能性があります。
実際に、過去の衝突時にも主要な国境検問所が閉鎖され、多くの旅行者や物流に影響が出ました。2024年のデータでは、タイ・カンボジア間の陸路国境を通過した旅行者は年間数十万人に上っており、検問所の閉鎖は観光業にも大きな打撃となります。
今後の見通し
事態が沈静化に向かうか、さらに悪化するかは現時点では不透明です。緊張が長期化すれば、英国に続き、日本を含む他国政府も同様の旅行注意喚起を発出する可能性が高いでしょう。
旅行者が取るべき行動
- 情報収集の徹底:
タイやカンボジアへの渡航を計画している方は、日本の外務省海外安全ホームページ、英国政府のウェブサイト、信頼できる国際ニュースなどを通じて、常に最新の情報を確認してください。
- 旅行計画の見直し:
該当地域やその周辺への訪問を計画している場合は、旅行の延期や、安全な代替ルートの検討を強く推奨します。航空便を利用する場合でも、現地の情勢が旅行全体の安全性に影響を及ぼす可能性があることを念頭に置いてください。
- 現地での安全確保:
すでに現地に滞在中の方は、デモや集会など人が多く集まる場所には決して近づかず、自身の安全を最優先に行動してください。万一に備え、滞在先の日本国大使館や総領事館の連絡先を確認し、家族や友人との連絡手段を確保しておくことが重要です。
simvoyageは、皆様の安全な旅行を心より願っております。引き続き、関連ニュースを注視し、最新情報をお届けしてまいります。

