ポストコロナ時代を迎え、世界中で国際旅行が再び活発化しています。中でも、台湾の人々の海外旅行への情熱は目覚ましく、旅行予約サイトKlookの調査によれば、特にZ世代は1年間に平均2.45回もの海外旅行を計画していることが明らかになりました。そして、その膨大な旅行需要の最大の受け皿となっているのが、私たちの隣国、日本です。
台湾交通部観光署の統計によると、2023年の台湾からの出国者数は延べ1,179万人を超え、コロナ禍前の水準に急速に回復しつつあります。多くの台湾人旅行者がパスポートを手に空港へ向かう中、その行き先として圧倒的な一番人気を誇るのが日本なのです。
なぜこれほどまでに日本が選ばれるのか?
台湾の人々が繰り返し日本を訪れるのには、複数の理由が絡み合っています。
魅力的な円安と地理的近さ
最大の要因の一つが、現在の歴史的な円安です。台湾ドルに対して日本円の価値が下がっているため、ショッピングや食事、宿泊にかかる費用が以前よりも格段に割安になっています。同じ予算でより多くの体験ができることが、旅行者にとって大きな魅力となっています。
また、台湾から日本までは飛行機でわずか数時間という地理的な近さも強みです。多くの航空会社、特にLCC(格安航空会社)が主要都市だけでなく地方空港へも多数の直行便を運航しており、手軽に週末旅行を計画することも可能です。
文化的な魅力と多様な観光資源
日本の食文化、アニメや漫画といったポップカルチャーは台湾で深く浸透しており、現地を訪れて本場の味や文化に触れたいと考える人が後を絶ちません。また、清潔な街並みや治安の良さ、礼儀正しい国民性も、安心して旅行できる国として高く評価されています。
さらに、日本の魅力は東京や大阪といった大都市だけにとどまりません。北海道の雄大な自然、京都の歴史的な寺社仏閣、沖縄の美しいビーチ、そして各地の温泉郷など、季節ごとに異なる顔を見せる多様な観光資源が揃っています。これにより、一度訪れたリピーターも飽きることなく、次の旅行では違う地方へ足を運ぶという楽しみ方が生まれています。
データが示す日本の圧倒的な人気
日本政府観光局(JNTO)が発表したデータは、日本の人気を明確に裏付けています。
- 訪日客数: 2023年に日本を訪れた台湾人旅行者は約420万人に達し、韓国に次いで国・地域別で第2位を記録しました。これはコロナ禍前の2019年と比較しても約86%という高い回復率です。
- 旅行消費額: さらに驚くべきは、その消費額です。2023年の訪日台湾人による旅行消費総額は7,786億円にのぼり、全ての国・地域の中で堂々の第1位となりました。一人当たりの旅行支出も高く、日本経済に大きなインパクトを与えています。
今後の予測と日本への影響
この台湾からの旅行ブームは、今後も継続すると予測されます。円安が続く限り、日本は台湾人にとって最も魅力的な海外旅行先であり続けるでしょう。
旅行スタイルの変化と地方への波及効果
リピーターが増加するにつれて、旅行のスタイルも変化しています。従来のゴールデンルート(東京・箱根・京都・大阪)だけでなく、まだ知られていない地方都市や自然豊かな地域への関心が高まっています。これは、インバウンド需要の恩恵を地方へも広げ、地域経済の活性化に繋がる大きなチャンスです。個人旅行(FIT)の割合が増え、サイクリング、スキー、農泊といった体験型コンテンツの需要もさらに伸びることが予想されます。
日本が向き合うべき課題と機会
一方で、この人気は日本側に新たな課題ももたらしています。人気観光地における「オーバーツーリズム(観光公害)」は、地域住民の生活や環境への影響が懸念されており、旅行者の分散化が急務です。
これからの日本には、地方空港への国際線誘致や、多言語(特に繁体字中国語)対応のさらなる強化、キャッシュレス決済の普及といった受け入れ環境の整備が求められます。台湾人旅行者の多様化するニーズに応え、地方の隠れた魅力を効果的に発信していくことが、持続可能な観光立国への鍵となるでしょう。
日台間の交流は、観光を通じて新たなフェーズに入っています。この強い結びつきが、両国の文化理解と経済にさらなる好影響をもたらすことは間違いありません。

