太陽と情熱の国、スペイン。ガウディの独創的な建築が街を彩るバルセロナ、美食の都サン・セバスティアン、歴史と芸術が息づくマドリード。どこを切り取っても絵になるこの国は、多くの旅人を魅了してやみません。美味しい食事とワイン、陽気な人々との語らい。そんな素敵な時間のお供に、一服を愉しみたい、と考える愛煙家の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、ちょっと待ってください。かつては喫煙に寛容だったスペインも、今では健康志向の高まりと共に、喫煙に関するルールが年々厳格化されています。「どこでなら吸えるの?」「タバコはどこで買える?」「違反したらどうなるの?」そんな疑問や不安を抱えたままでは、せっかくの旅を心から楽しむことはできませんよね。
こんにちは、旅ライターの亜美です。アパレル企業で働きながら、長期休暇を見つけては世界の街角を旅しています。今回は、愛煙家の皆さんがスペイン旅行をスマートに、そして心置きなく満喫できるよう、最新の喫煙事情を徹底的にガイドします。基本的なルールから、タバコの購入方法、加熱式タバコの扱い、そして知っておくと便利なコミュニケーション術まで。この記事を読み終える頃には、あなたのスペイン旅行における喫煙の不安は、きっと青い地中海の空のように晴れ渡っているはずです。さあ、一緒にスペインの風を感じる旅の準備を始めましょう。
ルールを把握したら、次はスペインの歴史とアートが交差する街、サラゴサへの旅の計画を立ててみませんか。
スペインの喫煙文化と現状

スペインの喫煙事情を正しく理解するには、まずこの国の喫煙文化がどのように変遷してきたかを把握することが重要です。十数年前までは、スペインはヨーロッパでも特に喫煙に対して寛容な国として知られていました。バルやレストランには煙が立ち込めるのが当たり前の光景で、多くの人がその環境を当然のように受け入れていたのです。しかし、その状況は大きく様変わりしました。
昔と今の変化 – 強化される禁煙規制
大きな転機となったのは、2005年に施行された禁煙法です。この法律の施行により、職場や公共交通機関での喫煙が初めて規制されました。ただし、この時点では飲食店内の全面禁煙にまでは至らず、100平方メートル未満の小規模なバルなどは、店主の判断で喫煙が許可される場合もありました。結果として、多くのバルでは引き続き喫煙が可能であり、分煙も十分に徹底されているとは言えない状況でした。
その後、決定的な変化がもたらされたのは2011年1月2日の改正禁煙法の施行です。この法改正によって、スペインはヨーロッパでも最も厳しい禁煙規制を持つ国の一つとなりました。飲食店の店内やバー、ナイトクラブ、カジノを含む屋内すべての公共スペースで喫煙が例外なく禁止され、さらに病院敷地内や子供が遊ぶ公園の周辺も禁煙エリアに加えられました。この法律は国民の健康を守るという強い決意の表れであり、スペインの社会に大きなインパクトを与えました。
この背景には、EU全域で高まる健康意識の向上があります。受動喫煙による健康被害への関心が強まり、非喫煙者が安心して過ごせる環境整備が社会全体の課題として認識されるようになったのです。スペインもこの流れに沿い、国民の健康増進とクリーンな環境創出を目指して、法整備を進めてきました。
スペインの喫煙率と社会の意識
厳格な法律の施行は、スペイン人の喫煙行動にも確実に変化を与えています。スペイン保健省の発表によれば、喫煙率は年々低下傾向にあり、特に若年層を中心に「タバコは古くさいもので健康にも悪い」という価値観が浸透しつつあります。非喫煙が新たな常識として定着し始めているのです。実際、私がマドリードのカフェで隣に座った大学生は、「友人のほとんどが吸わないし、服にタバコの匂いがつくのも嫌だ」と話していました。かつての「タバコを吸う姿がカッコいい」というイメージは、もはや過去のものとなりつつあると言えそうです。
もちろん、現在でも一定の喫煙者は存在し、バルやカフェのテラス席ではコーヒーを片手に一服する人々の姿がよく見られます。しかし多くの喫煙者は非喫煙者への配慮を忘れず、風向きに気を遣ったり、人が多く集まる場所では喫煙を控えるなど、マナーに対する意識が根付いています。私たち旅行者も、こうした現地のマナーを尊重し、周囲への気配りを怠らずに喫煙を楽しむ姿勢が求められているのです。
【重要】スペインの喫煙ルール:どこで吸える?どこがNG?
それでは、旅行者が特に知りたいと考える具体的な喫煙規則について、詳しく解説していきます。スペインの禁煙法は非常に明瞭で、「屋内は基本的にすべて禁煙」と覚えておくのが最も重要です。このルールを知らずにいると、思わぬタイミングで罰金を科される恐れがあるため、しっかりと理解しておきましょう。
屋内は基本的に全面禁煙!罰金対象となる場所一覧
まず、絶対に喫煙してはいけない場所をまとめます。これらの場所で喫煙した場合、軽い違反でも30ユーロ前後の罰金、悪質または繰り返し注意された場合には数百から数千ユーロの高額な罰金が科されることもあります。旅行の楽しい思い出を壊さないためにも、以下の場所では決してたばこに火をつけないようにしましょう。
- レストランやバル、カフェの店内: これは最も基本的なルールです。小規模な個人経営のバルであっても、屋根と壁で囲まれた店内は完全禁煙です。「スペインのバルなら吸えたはず」と古い記憶を頼りにすると、すぐに注意されることがあります。
- 公共交通機関内: 電車(Renfe)、地下鉄(Metro)、バス、タクシーなど、あらゆる公共交通機関の車内は禁煙です。長距離列車のプラットフォームも禁煙区域に含まれることが多いので注意しましょう。
- 職場やオフィスビル: 旅行者にはあまり関係ないかもしれませんが、もちろんオフィス内もすべて禁煙です。
- ショッピングセンターやデパート、店舗内: アパレルショップや雑貨店、スーパーマーケットなど、屋内の買い物施設すべてが禁煙対象です。
- 空港ターミナルビル内: 空港に着いてすぐに一服したくなりますが、ターミナルビル内は指定の喫煙所を除き禁煙です。喫煙所はたいてい屋外に設けられているため、一度建物の外に出る必要があります。
- 病院や学校の敷地内: 病院や学校の敷地全体(屋外も含む)は禁煙とされています。特に子どもたちの健康を考慮し、非常に厳しく規制されています。
これらのルールはスペイン全土に共通しており、マドリードやバルセロナはもちろん、アンダルシア地方の小さな村でも屋内での喫煙は禁止されています。この点をしっかり認識しておきましょう。
屋外なら大丈夫?屋外喫煙時の注意点
「屋内がダメなら屋外ならどこでも大丈夫?」と思うかもしれませんが、実際はそう単純ではありません。屋外での喫煙にもいくつかのマナーや注意事項が存在します。快適に喫煙を楽しむためにも、以下のポイントを理解しておきましょう。
- テラス席(Terraza)のルール
スペインの街中には多くのカフェやバルがテラス席を設けています。太陽の光を浴びながらコーヒーやビールを楽しむ風景は、スペインの生活風景の象徴です。多くのテラス席では喫煙が認められており、愛煙家にとって貴重な憩いの場になっています。
しかし、ここにも規則があります。重要なのは、そのテラスがどの程度「屋外」とみなされるかです。完全にオープンなスペースであれば問題ありませんが、屋根があり、さらに複数の壁やビニールカーテン等で囲まれていると「屋内」と判断され、禁煙になることがあります。とくに冬季に設けられる風除けの囲いには注意が必要です。
【実践ポイント】 テラス席で喫煙したい場合は、まずテーブルに灰皿が置かれているか確認しましょう。なければ店員に「¿Se puede fumar aquí?」(ここで吸ってもいいですか?)と尋ねるのが安全です。この一言でトラブルを避けられますし、接客スタッフとの良いコミュニケーションにもなります。快く「Sí, claro」(はい、もちろん)と言って灰皿を持ってきてくれることが多いです。
- 路上喫煙
歩きながらの喫煙(歩きタバコ)は、法律で明確に禁止されているわけではありません。そのため地元の人が歩きタバコをしていることもあります。ただし推奨はされず、特に人通りが多い場所や建物の出入り口付近では、周囲への迷惑になります。煙が苦手な人や子ども連れの家族も多いです。
路上で喫煙するときは、必ず立ち止まり、人の少ない場所を選ぶようにしましょう。最も重要なのは、吸い殻を絶対にポイ捨てしないことです。スペインの多くの都市では、ポイ捨てに対して厳しい罰金が課せられています。これは環境美化だけでなく火災防止の観点からも非常に重要です。
【準備しておくもの】 スペイン旅行には、携帯灰皿(Cenicero portátil)を必ず携帯しましょう。愛煙家のマナーとして必須です。おしゃれなデザインのものを選べば旅の気分も上がります。万が一忘れた場合は、後で紹介するタバコ専門店「Estanco」などで購入可能です。自分の吸い殻は責任を持って処理する、それがスマートな旅人の心得です。
- 公園や広場
広々とした公園や広場は、一息ついて一服したくなるスポットかもしれません。基本的には屋外なので喫煙可能ですが、注意すべきポイントがあります。それは、子ども用遊び場(Parque infantil)の周辺です。滑り台やブランコなどのある子どもエリアには法律で禁煙が定められており、子どもたちの健康を守るための大切なルールです。必ず距離を置いて喫煙してください。
- ビーチ(Playa)での喫煙
美しい海と輝く太陽が魅力のスペインのビーチですが、近年ではこの自然環境を守るため禁煙条例が急速に広がっています。特に有名なのがバルセロナです。2022年夏よりバルセロナ市内の全ビーチが全面禁煙となっています。これは吸い殻による海洋汚染防止と、誰もが快適に過ごせる環境づくりのための先進的な取り組みです。違反すると罰金が科されるため、バルセロナのビーチでは絶対に喫煙しないでください。
この禁煙の波はバルセロナだけでなく、カナリア諸島、バレアレス諸島、アンダルシア地方のビーチにも広がりつつあります。全てのビーチが禁煙ではありませんが、年々禁煙ビーチの数は増えています。
【事前にできること】 訪れるビーチの喫煙可否を事前に調べることが非常に大切です。各自治体の公式観光サイトや、ビーチ入口の案内看板を必ずチェックしましょう。「Playa sin humo」(禁煙ビーチ)と表示されている場所では喫煙禁止です。美しい自然環境を守るために、必ずルールを守る意識を持ってください。
旅行者が知っておくべきタバコの購入と持ち込み

スペインの喫煙ルールを理解したら、次に気になるのは「タバコはどこで購入できるのか」という点でしょう。日本のようには簡単に手に入りませんので、購入方法と持ち込みのルールをしっかり把握しておきましょう。
タバコはどこで買える?「タバコス(Tabacos)」の見つけ方
日本ではコンビニやスーパー、駅の売店など至るところでタバコを買えますが、スペインは事情が全く異なります。スペインでは、タバコの販売は政府の許可を受けた専門店に限定されています。この専門店は「Estanco」(エスタンコ)と呼ばれ、茶色地に黄色で「Tabacos」と書かれた特徴的な看板が目印です。この看板を覚えておけば、街中で比較的簡単に見つけることができるでしょう。
【読者が実際にできること:行動の手順】 タバコが必要になったら、まずはGoogleマップなどで「Estanco」や「Tabacos」と検索してみてください。主要な通りや広場の近くには、ほぼ必ずあります。ただし、いくつか注意点があります。
- 営業時間: Estancoは個人経営が多く、営業時間は日本のコンビニのように年中無休で24時間営業ではありません。一般的には午前9時頃から午後2時頃まで営業し、シエスタ(昼休み)を挟んで夕方5時頃から夜8時頃まで開いている店が多いです。また、日曜や祝日は休業する店が多いため、特に週末にタバコが切れそうな場合は、土曜日のうちに購入しておくことをおすすめします。
- スーパーやコンビニでは販売していない: これも重要なポイントです。たとえ大規模なスーパーマーケット(MercadonaやCarrefourなど)であっても、タバコの販売は行っていません。無駄に探さず、早めにEstancoを見つけましょう。
- 自動販売機: 一部のバルやレストラン、ガソリンスタンドには、タバコの自販機が設置されていることがあります。ただし、未成年者の購入を防ぐため通常はロックがかかっています。購入時はバルの店員に声をかけてリモコンでロックを解除してもらう必要があり、やや手間がかかります。品揃えも限られているため、基本的にはEstancoでの購入がおすすめです。
スペインのタバコの価格と種類
スペインのタバコの価格は銘柄によりますが、一般的に1箱あたり5ユーロ前後が主流です。日本円に換算すると、日本で販売されているタバコより少し高い程度でしょう。MarlboroやWinston、Camelといった国際的なブランドは、ほとんどのEstancoで購入可能です。一方、日本のメビウス(旧マイルドセブン)などはあまり見かけませんので、特定の銘柄にこだわりがある方は、後述の免税範囲内で日本から持ち込むのがよいでしょう。
さらに、スペインでは手巻きタバコ(Tabaco de liar)が非常に人気です。刻みタバコ(シャグ)とフィルター、ペーパーを別々に購入して自分で巻いて吸う方法で、コストを抑えられるため若者を中心に支持されています。Estancoのカウンターには多様なシャグが並んでいる光景がよく見られ、これもスペインの喫煙文化の一端として興味深いポイントです。
日本からのタバコ持ち込みルール(免税範囲)
いつも愛用している銘柄を吸いたい、あるいは現地での購入の手間を減らしたい場合は、日本からタバコを持ち込むことになるかもしれません。その際には、免税で持ち込める量が決まっているので注意が必要です。日本はEU圏外に位置するため、以下の制限を守らなければなりません。
- 紙巻きタバコ: 200本(1カートン)まで
- 細葉巻(シガリロ): 100本まで
- 葉巻(シガー): 50本まで
- 刻みタバコ: 250gまで
これらは1人あたりの上限です。これ以上の量を持ち込む際は、スペインの空港で申告し関税を支払う必要があります。申告しないと密輸と見なされ、タバコ没収や高額の罰金が科されるリスクがあります。必ず規則を守って持ち込みましょう。
【読者が実際にできること:公式情報の確認】 これらの免税制限は、国際的なルールや各国の法令によって変更される可能性があります。渡航直前には、在スペイン日本国大使館の公式サイトや日本の税関のホームページで最新情報をチェックすることを強くお勧めします。正確な情報を基に準備することが、安全で安心な旅を実現する秘訣です。
加熱式タバコ・電子タバコ(VAPE)の扱いはどうなる?
近年、日本でも急速に普及してきたIQOS(アイコス)などの加熱式タバコや、VAPE(ベイプ)と呼ばれる電子タバコですが、これらの新しい種類のタバコはスペインではどのように扱われているのでしょうか。
IQOS(アイコス)やglo(グロー)は使えるのか?
結論として、IQOSやgloといった主要な加熱式タバコはスペイン国内で販売されており、使用も可能です。マドリードやバルセロナといった大都市にはIQOSの専門店も存在しています。また、現地のEstanco(タバコ販売所)でも、専用のタバコスティック(HEETSやneoなど)を購入できますが、日本に比べると品揃えがやや限られている場合もあります。
重要なのは、加熱式タバコも従来の紙巻きタバコと同様の喫煙規制が適用される点です。「煙が出ないから」「臭いが少ないから」という理由で、禁煙指定のレストランやカフェの店内での使用は明確なルール違反となります。屋外で喫煙が許可されている場所のみで使用してください。このルールを誤解すると、思わぬトラブルを招く恐れがあります。
機内持ち込みに関しては、加熱式タバコのデバイス本体はリチウムイオンバッテリーを内蔵しているため、必ず機内持ち込み手荷物にしてください。受託手荷物への収納は禁止されています。専用スティックは紙巻きタバコと同じく「タバコ製品」として扱われ、免税対象は200本までとなります。
VAPE(ベイプ)に関する規制について
リキッドを加熱して蒸気を吸うVAPEもスペインでの使用が可能です。都市部には専門店もあり、さまざまなフレーバーのリキッドが販売されています。ただし、ニコチン入りのリキッドは販売に関して一定の規制が設けられています。
使用場所に関しては加熱式タバコと同じルールが適用されます。紙巻きタバコが禁止されている場所ではVAPEの使用も禁じられているため、公共の場では周囲に配慮し、喫煙可能なエリアでのみ使用するよう心掛けてください。
日本からリキッドを持ち込む際には、液体物の機内持ち込み制限に注意が必要です。100ml以下の容器に入れ、それらを1リットル以下容量のジッパー付き透明プラスチック袋にまとめる必要があります。このルールを守らないと保安検査場で没収される可能性があるため、パッキングの際には十分ご注意ください。
愛煙家がスマートに旅するための実践的アドバイス

ルールを理解した上で、さらにスペインでの喫煙タイムをより快適に過ごすための実践的なアドバイスをいくつかご紹介します。ほんの少しの準備と気配りが、旅の満足度を大きく向上させてくれます。
携帯灰皿は必携アイテム!ポイ捨ては絶対に避けるべき
先にも述べましたが、これは何度強調してもしすぎることはない最重要のマナーです。スペインの街並みには歴史的建造物が多く、石畳の道も非常に美しいです。その景観を壊す吸い殻のポイ捨ては、断じて許される行為ではありません。高額な罰金が科されるだけでなく、美しい街への敬意としても、携帯灰皿を必ず持ち歩くことが求められます。
私がグラナダのアルバイシン地区を散策した際、路地の隅に置かれたゴミ箱のそばで、地元の男性が携帯灰皿に吸い殻をきちんと収めている姿を見かけました。その自然な所作がとてもスマートで格好良く感じたのを今でも覚えています。私たち旅人も、そのような美しい振る舞いを心がけたいものです。携帯灰皿はEstanco(たばこ屋)やお土産店などでも購入可能ですが、お気に入りのものを日本から持参すると、より愛着が湧くでしょう。
喫煙可能なホテル選びのポイント
ホテルの部屋で一服を楽しみにしている方も多いでしょう。しかし、スペインでも禁煙化が進んでおり、喫煙可能な部屋は年々減少傾向にあります。快適な滞在先を確保するためには、予約時の確認が必須です。
【読者が実際にできる行動手順】
- 予約サイトのフィルター機能を活用する
Booking.comやExpediaといった予約サイトには、「喫煙ルーム」や「喫煙可」といった絞り込み検索が用意されています。まずはこの機能を使い、喫煙可能なホテルをリストアップしましょう。
- 「バルコニー付き」ルームも視野に入れる
喫煙可能な部屋が見つけられない場合、代替案として「バルコニー付き(Con balcón)」の部屋を検討するのも一手です。ただし、バルコニーがあっても必ず喫煙できるとは限りません。ホテルによってはバルコニーでの喫煙も禁止している場合がありますので注意が必要です。
- ホテルへ直接問い合わせる
最も確実なのは、予約前または予約後にホテルへ直接メールなどで問い合わせることです。例文としては「I would like to know if smoking is permitted on the balcony of the room.(部屋のバルコニーでの喫煙は可能でしょうか?)」など、簡単な英文で問題ありません。事前に確認しておくことで、チェックイン後の残念な思いを避けることができます。
バルやレストランでの上手なコミュニケーション術
テラス席は喫煙者にとっての憩いの場ですが、一方で非喫煙者も利用する公共の空間です。気持ちよく過ごすためには、さりげないコミュニケーションが円滑の鍵となります。
- 便利なスペイン語フレーズ
基本的な一言を覚えておくとスムーズです。
- ¿Se puede fumar aquí?(セ・プエデ・フマール・アキ?)– ここで喫煙してもよろしいですか?
- ¿Tiene un cenicero, por favor?(ティエネ・ウン・セニセロ、ポル・ファボール?)– 灰皿をいただけますか?(より丁寧な表現)
- 周囲への気配りを大切に
隣のテーブルに子連れの家族や食事中の方がいる場合は、喫煙を始める前に「吸っても大丈夫ですか?」と一声かけるか、せめて軽く会釈をするだけで印象が大きく変わります。また、風向きを考慮し、煙が他の人に直接かからないように座る位置を調整するなどの心配りも、世界共通の美しいマナーといえるでしょう。
トラブル回避!知っておきたい罰金と万が一の対応
どれだけ注意を払っていても、うっかりルールを破ってしまったり、トラブルに巻き込まれたりすることは完全には避けられません。万が一の際に慌てず対応できるよう、冷静な対処法を知っておきましょう。
禁煙エリアで喫煙してしまった場合は?
禁煙エリアでタバコを吸い、警察官や施設管理者から注意を受けたときに最も大切なのは、素直に認めて速やかに行動を改めることです。「知らなかった」「ほかの人も吸っていた」といった言い逃れは通用しませんし、反抗的な態度を示すと状況がさらに悪化します。
【実際にできるトラブル時の対処法】
- 即座に謝罪して火を消す: 「Lo siento」(ロ・シエント/ごめんなさい)と言い、すぐにタバコを消しましょう。
- 指示に従う: 罰金が科される場合、その場での支払いを求められたり、後日支払うための書類を受け取ったりします。案内に素直に従いましょう。拒否したり逃げたりすると、より深刻な問題につながる恐れがあります。
- 冷静さを保つ: 言葉が通じにくい状況ではパニックになりやすいですが、落ち着いて対応することが重要です。相手の身分(警察官かどうか)を確認し、必要に応じて翻訳アプリを活用してコミュニケーションを試みましょう。
罰金額は違反内容や場所によって大きく異なりますが、軽度の違反なら30ユーロから100ユーロ程度、悪質な場合や病院敷地など特定の禁煙区では600ユーロ以上に達することもあります。楽しい旅行の予算を罰金で失わないよう、ルールはしっかり守りましょう。
喫煙に関する誤解と注意すべきポイント
- 「みんな吸っているから大丈夫」との油断: 特に路上喫煙に関して、現地の人が吸っているからといって旅行者に同じ許容があるとは限りません。残念ながら、旅行者は対象になりやすい場合もあります。「外国人だから大丈夫」という考えは捨て、周囲の誰よりもマナーを守ろうという意識を持つことが安全です。
- ルールは常に変わりうる: 本記事は2024年時点の情報に基づいていますが、スペインでは禁煙エリアの拡大が議論されています。例えば、バルのテラス席の完全禁煙化や、自家用車内での喫煙禁止案なども検討中です。旅行前には必ず最新情報を確認する習慣をつけましょう。
スペイン各都市の喫煙事情 – 地域による違いはある?

スペインの禁煙法は全国的に統一されていますが、自治体ごとに独自の追加規制や、地域ごとの文化的な特色に若干の違いが見られます。主要都市の傾向を把握しておくことで、現地の雰囲気によりスムーズに溶け込むことができるでしょう。
バルセロナ – 禁煙ビーチを象徴とする先進的な取り組み
カタルーニャ州の州都バルセロナは、スペイン国内でもとりわけ健康や環境意識が高い都市として評価されています。先に述べた全面禁煙ビーチの導入は、その象徴的な取り組みの一つです。市内では公共の場における規制のさらなる強化が進み、他都市と比べて喫煙に対して厳しい目が向けられているのが特徴です。バルセロナを訪れる際には、特に公共のマナーを重視する姿勢が求められます。
マドリード – テラス文化と喫煙の共存
スペインの首都マドリードは、活気あふれるバル文化が根付いています。街の至るところにテラス席(Terraza)が広がっており、屋外で喫煙できる場所を見つけることが比較的容易です。ただし、それは自由に喫煙できる無法地帯というわけではありません。グラン・ビアなどの中心部の繁華街では、路上での吸い殻のポイ捨てなどに対しても厳しい取り締まりが行われています。テラスで一服を楽しむ文化と、清潔な街を保つための規律が共存しているのがマドリードの大きな特徴と言えるでしょう。
アンダルシア地方(セビリアなど) – 比較的寛容な環境?
太陽が燦々と降り注ぐ南部のアンダルシア地方には、セビリアやグラナダ、マラガなど魅力的な都市が点在しています。この地域にはどこかゆったりとした大らかな空気が漂い、他の地域と比べて喫煙に対して寛容な印象を受けるかもしれません。オープンスペースが多く、バルの店先で立ち飲みしながらタバコを楽しむ人の姿がよく見られます。しかし、これはあくまで地域の雰囲気の話であり、基本的な禁煙法はスペイン全土で統一されています。世界遺産のアルハンブラ宮殿敷地内など、観光名所では厳格な規則が適用されていることも忘れてはなりません。開放的な気分に流されてマナー違反をしないよう、節度ある行動を心がけましょう。
これからのスペイン旅行とタバコの付き合い方
ここまで、スペインにおける喫煙の実情について詳しくご紹介してきました。多くの規則やマナーが存在するため、やや窮屈に感じた方もいるかもしれません。しかし、それがスペイン旅行を喫煙者が楽しめない理由になるわけでは決してありません。
重要なのは、変わった現地のルールや文化を正しく理解し、尊重することです。屋内は禁煙、屋外では周囲に配慮すること。吸い殻は携帯灰皿に入れること。この基本的なポイントを守れば、スペインの魅力的なバル文化や、陽光の下での開放的な時間を心ゆくまで楽しむことができるでしょう。
むしろ、こうしたルールがあるからこそ、喫煙者も非喫煙者もお互いに快適な空間を共有できるのだとも言えます。テラス席でスタッフに「¿Se puede fumar aquí?(ここで吸ってもいいですか?)」と尋ねてみてください。その一言が、あなたを単なる観光客から、現地の文化を尊重する旅人へと変えてくれます。周囲への気配りというスパイスは、きっとあなたの旅をより深く味わいあるものにしてくれることでしょう。
情熱の国スペインで、ルールとマナーを守りつつ、最高の一服とともに忘れがたい思い出を作ってください。あなたの旅が素敵なものになることを心よりお祈りしています。

