2025年の夏、私たちの旅行スタイルは大きな転換点を迎えるかもしれません。株式会社エアトリが実施した「2025年夏の旅行トレンド全国調査」によると、海外旅行への意欲が顕著に回復し、コロナ禍以前の活気を取り戻しつつあることが明らかになりました。今回はこの調査結果を基に、最新の旅行トレンドの背景と今後の予測を深掘りします。
海外旅行、ついに本格的な復活の兆し
長らく続いたパンデミックによる停滞と、近年の円安や燃油サーチャージ高騰という逆風にもかかわらず、人々の海外への憧れはかつてないほど高まっています。
高まる海外渡航意欲と増加する旅行予算
今回の調査では、回答者のうち58.2%が「海外旅行に行きたい」と回答。これは昨年の48.5%から9.7ポイントもの大幅な増加であり、海外旅行への関心が急速に戻ってきていることを示しています。
注目すべきは、旅行にかける予算の変化です。海外旅行の予算として最も多かった回答は「20万円~30万円未満」(21.8%)で、昨年の最多回答だった「10万円~15万円未満」から大きく上昇しました。これは、単に旅行に行くだけでなく、より充実した体験や快適な滞在を求める傾向の表れと言えるでしょう。
この需要回復を受け、今後、航空会社は便数の増加や新規路線の開設を加速させることが予測されます。特に人気の観光地であるアジア、ハワイ、ヨーロッパへの予約は早期に埋まる可能性が高く、旅行を計画する際は早めの行動が鍵となりそうです。
旅行トレンドを牽引する若年層とシニア層
今回の調査で特に際立っていたのが、若年層とシニア層の強い旅行意欲です。
世代別に見る旅行への熱意
「旅行に行きたい」と回答した人の割合を世代別に見ると、10代・20代の若年層では72.6%、60代・70代のシニア層では69.6%に達し、全体の平均(66.8%)を大きく上回りました。この二つの世代が、今後の旅行市場の活性化を担う中心的な存在となることは間違いありません。
- 若年層の動向
SNSでの情報収集を駆使し、「体験価値」を重視する若年層。彼らにとっては、単なる観光地巡り以上に、現地でのユニークなアクティビティや写真映えするスポットが重要となります。今後は、若者の心をつかむような、アクティブでフォトジェニックなツアー商品の需要が高まると予測されます。
- シニア層の動向
時間と経済的な余裕を持つシニア層は、文化や歴史に深く触れる、ゆったりとした旅行を好む傾向にあります。体力に配慮したスケジュールや、質の高い食事・宿泊施設を組み合わせた付加価値の高いプランが、今後さらに人気を集めるでしょう。
国内では大阪・関西万博に熱視線
海外旅行の復調と並行して、国内旅行にも大きな動きが見られます。2025年夏に行きたい国内旅行先として、昨年3位だった「近畿」がトップに躍り出ました。これは、2025年4月に開幕する「大阪・関西万博」への期待感の表れです。
万博は、国内の旅行者だけでなく、世界中から多くの観光客を引き寄せることが予想されます。これにより、関西地方の宿泊施設や交通機関は大きな混雑が見込まれる一方、国際色豊かな雰囲気の中で旅行を楽しむ絶好の機会とも言えるでしょう。
2025年の夏は、海外旅行の本格的な復活と、特定の世代や巨大イベントが創り出す新たなトレンドが交差する、エキサイティングな季節になりそうです。円安などの課題は残りつつも、それを上回る人々の強い探求心が、旅行業界全体を新たなステージへと押し上げていくでしょう。次の旅行計画を立てる上で、今回の調査結果が貴重なヒントになるはずです。









