オーストラリアのカンタス航空は、同社が保有する格安航空会社(LCC)ジェットスター・ジャパンの株式を売却する意向を明らかにしました。この決定は、日本のLCC市場の勢力図を大きく塗り替える可能性を秘めており、旅行者にとっても大きな関心事となりそうです。
突然の発表、その背景とは
今回の発表によると、カンタス航空はジェットスター・ジャパンの株式を、もう一方の主要株主である日本航空(JAL)との最終合意などを条件に売却する計画です。合意は2026年7月、そして移行とブランドの変更完了は2027年6月までを見込んでいます。
カンタス航空がこの決断に至った背景には、経営資源の「選択と集中」があります。パンデミック後の航空需要の急回復を受け、同社は自国のオーストラリア国内線および国際線事業の強化に注力する戦略を鮮明にしています。
一方、ジェットスター・ジャパンは日本の航空市場で独自の地位を築いてきました。現在の株主構成は、JALグループが50%、カンタスグループが33.3%を保有しています。コロナ禍で厳しい経営環境が続きましたが、2023年6月期の決算では売上高687億円、営業利益55億円を記録し、4期ぶりの黒字転換を達成。回復基調にある中での今回の発表は、ジェットスター・ジャパンが次の成長ステージへ移行するための布石と見られています。
予測される未来:JALグループのLCC戦略が加速
この株式売却が完了すれば、ジェットスター・ジャパンは名実ともにJALの傘下に入ることになります。これにより、いくつかの大きな変化が予測されます。
意思決定の迅速化とJALとの連携強化
これまで二大株主のもとで運営されてきましたが、JAL主導となることで、より迅速な経営判断が可能になります。JALグループが展開するフルサービスキャリア(JAL)や中長距離LCC(ZIPAIR Tokyo)との連携がこれまで以上に強化されることは確実です。具体的には、JALのマイルプログラムとの連携拡大や、乗り継ぎ利便性の向上などが期待されます。
「ジェットスター」ブランドの行方
ニュースサマリでは「ブランド変更が完了する」と明記されており、長年親しまれてきた「ジェットスター」の名称が日本国内から消える可能性が高いことを示唆しています。JALグループの新たなLCCブランドとして生まれ変わるのか、あるいは既存のブランド戦略の中で新たな役割を担うのか、その詳細は今後の発表が待たれます。
旅行者への影響は?
気になるのは、私たち旅行者への影響です。
カンタス航空は、移行期間中のフライト運航に影響はないと明言しており、当面の予約や搭乗に心配は不要です。
長期的には、JALグループとしてのサービス統合が進むことで、利便性が向上する可能性があります。例えば、JAL便との乗り継ぎがスムーズになったり、マイルを使った特典航空券の選択肢が増えたりといったメリットが考えられます。
一方で、日本の国内LCC市場は、ANA傘下のPeach Aviationと、JAL傘下となる新生ジェットスター・ジャパンの二大勢力に集約される流れが加速します。健全な競争が維持され、利用しやすい価格設定が継続されるかどうかが、今後の焦点となるでしょう。
まとめ:日本のLCC市場は新たな局面へ
カンタス航空のジェットスター・ジャパン株式売却は、単なる一企業の経営判断にとどまらず、日本の航空業界全体の再編を象徴する動きです。JALグループのLCC戦略がどのように展開され、ANAグループのPeachとどのような競争を繰り広げていくのか。そして、その変化が旅行者にどのような新しい価値をもたらしてくれるのか。今後の正式な発表から目が離せません。

