「大西洋の真珠」と称されるポルトガルの人気リゾート地、マデイラ島が、英国からの観光客誘致をさらに強化する動きを見せています。マデイラ観光局は、2025/26年の冬季シーズンにおいて、英国からの航空便座席数を前年同期比で4.9%増加させることを発表しました。この計画には複数の新路線開設も含まれており、英国の旅行者はより手軽に、温暖なマデイラ島への冬の旅を楽しめるようになります。
20万席を超える供給、新路線も続々登場
2025年10月から2026年3月までの冬季シーズンに、英国からマデイラ島へ提供される航空便の総座席数は、合計で約20万5,000席に達する見込みです。この供給拡大は、複数の航空会社による積極的な路線展開によって支えられています。
Jet2.com、バーミンガム線を新規開設
特に注目されるのは、英国の大手レジャー航空会社Jet2.comによる新路線の開設です。同社は新たにバーミンガムからマデイラ島のフンシャルへの直行便を就航させ、英国中部地方からのアクセスを向上させます。
Norse Atlantic Airwaysがロンドン・ガトウィックから参入
長距離LCCとして知られるNorse Atlantic Airwaysも、ロンドン・ガトウィックからの新路線を開設し、マデイラ市場へ新規参入します。これにより、ロンドンからの選択肢がさらに多様化します。
既存路線の強化
新路線開設に加え、既存路線の増便も計画されています。Ryanairはロンドン・スタンステッドからの便を週4便から5便に増やし、easyJetもブリストル線とリバプール線をそれぞれ週2便から3便に増便するなど、各社がサービスを拡充します。
背景:英国市場の重要性と「ウィンターサン」需要の高まり
マデイラ島にとって、英国は歴史的にも経済的にも最も重要な観光市場の一つです。年間を通じて温暖な亜熱帯気候を誇るマデイラは、英国の寒く曇りがちな冬から逃れたい「ウィンターサン(冬の太陽)」を求める旅行者にとって、非常に魅力的なデスティネーションとしての地位を確立しています。
今回の増便は、パンデミック後の旅行需要の力強い回復と、英国市場からの途切れることのない旺盛な需要に応えるための戦略的な動きです。航空会社がこれだけ積極的に座席供給を増やすということは、マデイラ島の変わらぬ人気と、今後の需要に対する強い自信の表れと言えるでしょう。
今後の影響と展望:地域経済の活性化と旅行者の利便性向上へ
この大規模なフライト増便は、マデイラ島の観光産業に大きなプラスの影響をもたらすと予測されます。航空アクセスの向上は、より多くの観光客を島に呼び込み、ホテル、レストラン、ツアーオペレーターといった地域経済全体を潤す原動力となります。特に冬季のオフシーズンにおける観光客数の底上げは、年間を通じた安定的な経済活動に不可欠です。
一方、英国の旅行者にとってもメリットは大きいでしょう。路線の選択肢が増えることで利便性が大幅に向上し、特にバーミンガムやリバプールといった地方都市からの直行便が増えることは、ロンドン近郊以外の旅行者にとって朗報です。また、航空会社間の競争が活発になることで、航空券価格が安定することも期待されます。
この積極的な路線拡大は、マデイラ島がヨーロッパにおける主要なリゾート地としての地位をさらに強固なものにしていくという、明確な意志表示と言えるでしょう。









