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香港の魔窟から癒やしの庭園へ 九龍寨城公園の歴史と魅力を巡る完全ガイド

かつて「東洋の魔窟」と呼ばれ、世界で最も人口密度が高い場所として知られた九龍城砦(きゅうりゅうじょうさい)。その混沌とエネルギーに満ちたスラム街が、今では香港市民の憩いの場である美しい中国式庭園に姿を変えたことをご存知でしょうか。こんにちは、世界30カ国を旅した経験から、皆さんの旅がもっと楽しくなる情報をお届けする、さくらえみです。今回は、香港の歴史の光と影を静かに物語る「九龍寨城公園(カオルーン・ウォールド・シティ・パーク)」の魅力を、余すところなくご紹介します。この記事を読めば、ただの公園ではない、その奥深い歴史背景から、具体的なアクセス方法、見どころ、そして周辺の楽しみ方まで、すべてがわかります。さあ、時を超えた香港の物語を巡る旅に出かけましょう。

公園を訪れた後は、香港の自然を満喫できる鶴咀(ケープ・ダギラー)への絶景ハイキングもおすすめです。

目次

九龍寨城公園とは? – 「東洋の魔窟」と呼ばれた過去

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現在の穏やかな公園の風景からは到底想像できないかもしれませんが、この地には歴史の激流が刻まれてきました。その背景を知ることで、公園を歩くときの感慨も一段と深まることでしょう。

九龍城砦の激動の歴史

九龍寨城公園の物語は、単なる都市の発展史に留まりません。そこには、政治的なはざまで翻弄されながらもたくましく生き抜いた人々の姿が刻まれています。その起源は19世紀にさかのぼり、清朝が香港沿岸の防御のために築いた小規模な砦から始まります。しかし、アヘン戦争を経て香港島がイギリスに割譲され、その後九龍半島も租借地となる中、この砦だけが中国の飛び地として残されました。この特異な状況こそが後の「無法地帯」を生み出す遠因となったのです。

イギリスの法律も中国の法律も及びにくい法のすき間地帯へと、人々が次第に集まりだしました。特に第二次世界大戦後には中国本土から多数の難民が押し寄せ、わずか2.7ヘクタール(東京ドームの約半分)という狭小な土地に居住の場を求めました。そして無秩序に、しかし生命力あふれる建物群が上へ上へと積み重なっていったのです。これが「九龍城砦」の始まりでした。

全盛期には5万人以上もの人々が暮らし、その人口密度は世界一とも言われました。建物同士は肩を寄せ合い、支え合いながらどんどん増築されていきました。狭い通路はまるで迷路のように入り組み、昼間でも太陽の光が届かない箇所は「暗黒街」と呼ばれました。電気は盗電、水は井戸や違法に引かれた配管に頼り、衛生環境は劣悪を極めていました。それでも確かに、ここには人々の「生活」が息づいていました。城砦内には小さな店舗、歯科医院、理髪店、麺製造所、さらには学校や幼稚園まで存在し、独自のコミュニティがしっかり形成されていたのです。外の世界とは隔絶された、まるで一つの巨大な有機体のような街。この独特の景観や空気感は、多くのクリエイターに影響を与え、映画『ブレードランナー』や『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』、ゲーム『クーロンズ・ゲート』など、サイバーパンク作品の世界観に大きなインスピレーションをもたらしました。この驚くべき生活環境については、サウスチャイナ・モーニング・ポストの特集記事で詳しく紹介されています。

取り壊しから公園への転換

しかし、この無秩序な状況は永続するものではありませんでした。衛生面の問題や犯罪の温床としての危険性が深刻視された香港政庁は、1987年に城砦の取り壊しを正式に決定。住民への補償や移転が進む中、多くの議論や抵抗を経て、1993年にその作業が完了しました。混沌の象徴であった巨大なコンクリート構造物は、ついに姿を消したのです。

その跡地は、人々の心の傷を癒し、過去の記憶を未来へ伝える場として新たに計画されました。テーマは、中国伝統の江南様式の庭園。城砦の暗く湿った印象とは対照的に、光と水と緑が溢れる穏やかで美しい空間がデザインされました。1995年12月に「九龍寨城公園」として開園し、かつての混沌の象徴は、市民が憩い歴史を学ぶための平和なオアシスへと劇的に生まれ変わったのです。

公園の設計は単なる美しい庭園づくりにとどまらず、九龍城砦の歴史を記憶し、未来へ継承する工夫が随所に施されています。かつての建物の礎石や城壁の石材、そして唯一残る清朝時代の建造物「衙府」などが保存され、訪れる人々にこの地の歴史を静かに語りかけています。

九龍寨城公園へのアクセス完全ガイド

香港の中心地からはやや離れていますが、交通網が充実しているためアクセスは非常に簡単です。ここでは、主要な交通手段ごとに初心者にもわかりやすくアクセス方法を詳しく説明します。

MTRを利用する場合 – 最寄り駅からの徒歩ルート

香港観光で最も便利な交通手段であるMTR(地下鉄)を使うのが、最もシンプルで確実な方法です。九龍寨城公園の最寄り駅は、2021年に開業した屯馬線(Tuen Ma Line)の「宋皇臺駅(Sung Wong Toi Station)」です。比較的新しい駅のため、清潔感があり案内表示も非常に見やすいのが特徴です。

宋皇臺駅 B3出口から徒歩ルート:

  • まず屯馬線の宋皇臺駅を目指しましょう。尖沙咀(Tsim Sha Tsui)エリアからは、尖東駅(East Tsim Sha Tsui Station)で屯馬線に乗り換えるのが便利です。香港島側の中環(Central)や銅鑼湾(Causeway Bay)からもMTRを乗り継ぎ、屯馬線にアクセスできます。
  • 宋皇臺駅に着いたら改札を出て、「B出口(Exit B)」方面に進みます。案内標示に「Kowloon Walled City Park 九龍寨城公園」と書かれているので、それに従ってください。
  • B出口にはB1、B2、B3と複数ありますが、公園に最も近く便利なのは「B3出口」です。エスカレーターかエレベーターで地上へ上がります。
  • 地上に出ると大通りである馬頭涌道(Ma Tau Chung Road)が目の前に広がります。そこを渡らずに左方向へ進んでください。
  • 1分ほど歩くと、公園の入り口がすぐ見えてきます。駅から公園までは徒歩でおよそ3〜5分で、非常にアクセスしやすい距離です。

このルートは道も平坦でわかりやすいため、誰でも迷わずに着けるでしょう。

バスを利用する場合 – 複数の路線を使いこなす

香港の街並みを楽しみながら移動したい方には、2階建てバスもおすすめです。多くのバス路線が公園近くを経由しています。

  • 主なバス停: 最寄りのバス停は「富豪東方酒店(Regal Oriental Hotel)」や「賈炳達道(Carpenter Road)」などです。
  • 主な路線:
  • 1番: 尖沙咀フェリーターミナルを起点とし、ネイザンロード(彌敦道)を通って運行されている路線。観光の主要通りから直接アクセス可能です。
  • 11K番: MTR観塘線(Kwun Tong Line)の楽富駅(Lok Fu Station)や東鐵線(East Rail Line)の九龍塘駅(Kowloon Tong Station)などの主要乗換駅を経由します。
  • 85番: MTR荃湾線(Tsuen Wan Line)の太子駅(Prince Edward Station)や旺角駅(Mong Kok Station)付近からも乗れます。

香港のバスはオクトパスカード(交通系ICカード)での支払いか、現金のどちらかが利用可能です。現金の場合、お釣りは出ないので事前に小銭を用意しておくと安心です。降車時は車内の赤いボタンを押して運転手に伝えます。バス停の案内は広東語と英語で行われますが、不安な方はスマホの地図アプリで現在地を確認しながら利用すると安心です。

タクシーやUberを利用する場合

グループでの移動や荷物が多い際には、タクシーや配車アプリのUberが便利です。目的地まで直通で行けるため、時間と体力を節約できます。

  • 目的地の伝え方: 運転手には広東語で「九龍寨城公園(ガウロンシンジェイコンユン)」と伝えるのが確実です。発音が難しい場合は、スマートフォンの地図画面や紙に「九龍寨城公園」と書いて見せる方法も有効です。英語の「Kowloon Walled City Park」でも通じることが多いです。
  • 料金の目安: 尖沙咀からの場合、交通状況によりますが約60〜80香港ドルが相場です。ただし、トンネル通行料など追加料金が発生することもあります。
  • 注意点: 朝夕の通勤ラッシュ時は道路が非常に混雑し、予想以上に時間がかかることがあるため、時間に余裕を持って行動することをおすすめします。

公園を120%楽しむ!必見の見どころ徹底解説

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広大な公園内には、歴史の跡と美しい自然が見事に調和した見どころが多く点在しています。ゆったりと時間をかけて散策し、この地特有の雰囲気を肌で感じてみてください。ここでは、特におすすめのスポットを巡るモデルコースの形でご案内いたします。

衙府(がふ)- 九龍城砦の歴史的中心建造物

公園散策の出発点として最初に訪れたいのが「衙府」です。これは、九龍城砦時代から唯一現存する清朝時代の歴史的建造物で、元は役所として建てられ、その後は老人ホームとしても利用されるなど、城砦の変遷を静かに見守ってきました。

この建物は、典型的な清朝南方の建築様式である三進三間(3棟が連なる構造)を特徴としており、美しい瓦屋根や繊細な木彫り装飾が際立っています。内部に足を踏み入れると、外の喧騒とは異なるひんやりとした空気が漂い、まるで別世界にいるかのようです。現在は九龍城砦の歴史を伝える展示スペースとなっており、貴重な写真パネルや城砦の断面を再現した精巧な模型、当時使われていた生活用品などが展示されています。

特に注目すべきは、城砦内を忠実に再現した模型です。迷路のように入り組んだ通路や密集した住居、屋上に張り巡らされたテレビアンテナなど、当時の生活の息吹が感じられるほどリアルに作られています。写真パネルには、城砦で暮らしていた歯科医や製麺所の様子、そして子どもたちの笑顔など、ここで営まれていた日常の一端が映し出されています。まずはこの場所で城砦の歴史をじっくり学び、イメージを膨らませてから散策を始めると、それぞれの景色がより深い意味を持って感じられるでしょう。

南門の遺跡 – 城砦の入口を偲ぶ場所

衙府のすぐ近くには、公園の整備中に行われた発掘調査で明らかになった城砦の南門遺跡が保存されています。敷石や排水溝、また城壁の基礎部分が今も鮮明に残っており、ここがかつて堅牢な城砦の入口だったことを物語っています。

とりわけ目を引くのは、門の上部に掲げられていた「九龍寨城」と刻まれた花崗岩製の石額です。風雨にさらされながらも、力強い文字がはっきりと読み取れます。その隣には、「南門」と刻まれた別の石額も並んでいます。これは南門が取り壊される直前にイギリス軍によって持ち去られたものの、後に返還されたという経緯を持ち、この土地の複雑な歴史を象徴する品となっています。

遺跡の周囲を歩きながら、かつてどれほど多くの人々がこの門を行き来し、門の内側でどのような暮らしが繰り広げられていたのかを思い描いてみてください。歴史の重みを強く感じられる、公園内でも特に重要な史跡の一つです。

八景 – 江南様式庭園の美を集めた絶景ポイント

九龍寨城公園は歴史的価値だけでなく、中国伝統の江南様式を取り入れた美しい庭園としても高く評価されています。園内には「八景」と呼ばれる8つの見どころが設けられ、それぞれ異なる趣をもつ美しい景観が楽しめます。時間をかけて八景を巡るのも、この公園の大きな魅力の一つです。

  • 衙府緬懷 (The Yamen): 八景の中心となるのは先に紹介した歴史的建造物「衙府」そのものです。歴史を偲ぶ場所として重要です。
  • 南門懷古 (The Old South Gate): こちらは前述の「南門遺跡」を指し、過去を懐かしむ気持ちが込められています。
  • 八徑異趣 (The Eight Floral Walks): 放射状に伸びる8本の小径には、それぞれ季節を象徴する花木が植えられています。春はツツジ、夏はハス、秋はキンモクセイ、冬はツバキなど、訪れる季節ごとに異なる花の表情が楽しめる心和む小径です。
  • 四季同馨 (The Garden of Chinese Zodiac): 十二支をモチーフにした白石彫刻が並ぶ庭園。愛らしい動物たちの彫刻は子どもたちに特に人気が高く、自分の干支を探して記念撮影するのが定番です。周囲には四季折々の花々が咲き誇り、華やかな雰囲気が広がっています。
  • 生肖倩影 (The Chess Garden): 地面に描かれた巨大な中国将棋の盤が特徴的な広場で、ベンチに腰かけながら庭園の景色をじっくり楽しめる場所です。盤面を背景に写真を撮るのも楽しいですね。
  • 棋壇比弈 (Mountain View Pavilion): 公園北側の小高い丘の上に建てられた東屋で、ここからは園全体を見渡せます。特に雨上がりのしっとりとした庭園風景は格別で、緑豊かな木々の向こうには香港の象徴・ライオンロックの山並みも望めます。
  • 龍津石橋 (The Dragon Wall): 元々九龍城砦近くにあった「龍津碼頭(龍津埠頭)」の歴史を記念し造られた壁で、美しい龍の彫刻が施されています。力強い龍の姿が迫力満点です。
  • 歸璧半亭 (The Kuixing Pavilion and the Guibi Rock): 美しい屋根を持つ小さな東屋と、その隣に配置された「完璧帰趙」の故事に由来する貴重な岩「歸璧石」からなるスポット。学問の神を祀り、静かで落ち着いた雰囲気が漂っています。

隠れた名所とフォトジェニックスポット

八景に加えて、公園内にはカメラを向けずにはいられない美しいスポットも数多く点在します。例えば、龍津石橋付近にある滝は涼やかな水音を響かせ、涼感あふれる雰囲気を作り出しています。その滝の下の池では、色とりどりの鯉が優雅に泳ぐ様子を観察できます。また、公園内に点在する太湖石(たいこせき)と呼ばれる複雑な形状の奇岩は、その芸術的な姿自体が見どころです。光と影が織りなす竹林の小径や、季節の花が彩る藤棚の下などもあり、自分だけのお気に入りの場所を見つける楽しみも散策の醍醐味となっています。

訪問前に知っておきたい!公園の基本情報と注意事項

九龍寨城公園を快適に楽しむために、事前に知っておくと役立つ基本情報やルールをまとめました。準備をしっかり整えて、安全に散策を満喫しましょう。

営業時間および入場料

  • 開園時間: 公園エリアは毎日午前6時30分から午後11時まで開放されています。早朝の散歩から夜の涼しい時間帯まで、幅広い時間に訪れることが可能です。ただし、歴史資料を展示している衙府の展示室は午前10時から午後6時までの開館で、毎週水曜日は休館となるためご注意ください。
  • 入場料: 多くの見どころがあり歴史的な価値も高い場所ですが、入場は無料です。予約なども不要で、誰でも気軽に立ち寄れます。最新の公式情報は、香港政府 康楽及文化事務署の公式サイトでご確認ください。

公園の利用ルールとマナー

訪れるすべての人が快適に過ごせるよう、いくつかのルールとマナーがあります。訪問前に必ず目を通しておきましょう。

  • 禁止事項: 公園内でのドローン飛行は禁止されています。また、火気の使用、例えばバーベキューなども認められていません。美しい自然や歴史的遺産を保護するため、植物の採取や施設の破損は禁止です。喫煙は指定の喫煙エリア内のみ可能です。
  • 服装について: 特別な服装規定はありません。カジュアルな服装で問題ありませんが、公園内は広大で、全ての見どころを巡るには相応の距離を歩くことになります。必ず歩き慣れたスニーカーなどの歩きやすい靴を履いてお出かけください。特に5月~9月頃の香港は蒸し暑く強い日差しがあるため、帽子、サングラス、日焼け止めなどの熱中症対策をお忘れなく。
  • マナー: 公園は地元の高齢者が太極拳を行ったり、静かに読書を楽しんだりする憩いの場でもあります。大声で騒いだり走り回ったりせず、落ち着いた環境の中で静かに散策しましょう。

準備すべき持ち物リスト – より快適に過ごすために

公園散策を快適にするために役立つ持ち物をまとめました。参考にしてください。

  • 必携アイテム:
  • カメラ・スマートフォン: 美しい景観や歴史的展示を写真に収めたい方に必須です。
  • 歩きやすい靴: 何度も言及しますが、最も重要なポイントです。
  • 飲み物: 公園内には自動販売機がありますが数は多くありません。特に夏場は熱中症予防のため、あらかじめ水やお茶のペットボトルを用意しておくことを強くおすすめします。
  • あると便利なもの:
  • 虫よけスプレー: 豊かな緑の中にあるため、特に夏季は蚊が発生します。肌の露出が多い場合は虫よけ対策が安心です。
  • 汗拭きタオル: 湿度の高い香港では少し歩くだけで汗をかきやすいので便利です。
  • モバイルバッテリー: 写真撮影や地図アプリ利用でスマートフォンのバッテリー消耗をサポートします。
  • オクトパスカード: バス利用や自動販売機での飲み物購入に便利です。
  • 小銭: 自動販売機や万が一バスで現金支払いが必要な場合に役立ちます。

公園内設備について

  • トイレ: 複数の場所に清潔な公衆トイレが設置されています。案内表示に従ってご利用ください。
  • 自動販売機: 衙府の近辺や複数の休憩スペース付近に設置されています。
  • 休憩スペース: 屋根付きの東屋やベンチが園内各所に用意されているので、疲れたら適宜休憩を取りながら散策してください。
  • バリアフリー: 主要通路はスロープが整備されており、車いすの利用も可能です。ただ、一部に階段があるエリアが存在します。

もっと深く楽しむ!九龍寨城公園周辺の歩き方

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九龍寨城公園の散策を終えた後も、楽しみはまだまだ続きます。この公園が位置する九龍城(カオルーンシティ)エリアは、昔ながらの香港の風情が色濃く残る魅力的な街並みが広がっています。ぜひ足を延ばして、地元ならではの香港の雰囲気を体感してみてください。

九龍城(カオルーンシティ)エリアで味わうグルメ

九龍城は、香港有数のグルメスポットとして知られています。特に注目されるのが「タイ料理」です。かつてこの地域には多くのタイ移住者が暮らしていたことから、本格的なタイ料理店が多く集まり、「リトル・タイランド」と呼ばれるほどです。スパイシーなトムヤムクン、濃厚なグリーンカレー、さっぱりとしたパパイヤサラダなど、本場の味を手頃な価格で楽しむことができます。公園の散策で少しお腹がすいた際には、ぜひ訪れてみてください。

また、タイ料理だけでなく、昔ながらの香港式食堂「茶餐廳(チャーチャンテン)」も多数存在しています。香港スタイルのミルクティーやパイナップルパン、ローストミートを乗せたご飯など、庶民の味を満喫できます。さらに夜になると、伝統的な香港のスイーツ「糖水(トンソイ)」の専門店が賑わいを見せます。温かいおしるこや冷たいマンゴープリンなど、散策の疲れを癒す優しい甘さのデザートを味わうのもおすすめです。

歴史を感じる周辺の名所

九龍城エリアには、公園以外にも歴史を感じられるスポットがいくつかあります。

  • 宋皇臺(Sung Wong Toi): MTRの駅名の由来にもなっている歴史的な岩です。元々は巨大な岩でしたが、啓徳空港の拡張工事により一部が削られ、現在は公園内に移されています。南宋の最後の皇帝が元の軍勢から逃れてここに滞在したという伝説があり、香港の歴史において重要な場所です。
  • 侯王廟(Hau Wong Temple): 1730年に建てられた香港の法定古蹟に指定されている由緒ある寺院です。精緻な建築装飾や貴重な歴史的資料が数多く残されており、静謐で厳かな空気に包まれています。九龍寨城公園からも徒歩圏内なので、一緒に訪れることで地域の歴史をより深く理解できます。

ショッピングならここで決まり!九龍城廣場(Kowloon City Plaza)

公園から徒歩ですぐの場所には、「九龍城廣場(カオルーンシティ・プラザ)」というショッピングモールがあります。このエリアは地元色が強いですが、ここでは涼しい空間の中でショッピングや食事が楽しめます。日系のスーパーマーケットやレストラン、ファッション店など多彩な店舗が揃っており、お土産選びや休憩にもぴったりのスポットです。

万が一の時に備える!トラブルシューティング

旅先ではトラブルがつきものですが、予め対処法を知っておくと安心して過ごせます。落ち着いて対応しましょう。

道に迷ったときの対処法

  • 案内図の確認: 公園の入口や主要な分岐点には園内マップが設置されています。まずは自分の現在地と目指す場所をしっかりと把握しましょう。
  • スタッフに質問: 公園内では制服を着た清掃員や警備員が巡回しています。困ったときは遠慮せず声をかけてみてください。広東語が話せなくても、スマホの地図や目的地の写真を見せれば、ジェスチャーなどで教えてくれるでしょう。「衙府(Yamen)」や「南門(South Gate)」など、主要スポットの英語名称を覚えておくと便利です。
  • 地図アプリの活用: スマートフォンのGoogle Mapsなどの地図アプリはGPSで現在地を特定できるため、とても役に立ちます。

体調不良時の対応

  • 無理をせず休む: 香港の夏は予想以上に体力を奪います。少しでも気分がすぐれないと感じたら、すぐに日陰や東屋で休憩し、こまめに水分補給を行いましょう。
  • 熱中症の兆候: めまい、頭痛、吐き気などは熱中症の初期症状です。症状が改善しない場合は無理せず涼しい場所に移動し、助けを求めてください。
  • 緊急時: 救急車が必要な場合は、香港の緊急連絡番号「999」に電話してください。オペレーターには英語で状況を伝えられます。

忘れ物や落とし物があった場合

公園内で忘れ物や落とし物に気づいたら、まずは公園の管理事務所に問い合わせましょう。オフィスは衙府の近くにあります。見つからない場合でも、念のため最寄りの警察署に届け出をすることをお勧めします。香港政府観光局の公式サイトにもトラブル対処情報が掲載されているので、ご参考ください。

九龍寨城公園 – 歴史の記憶を未来へ繋ぐ場所

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九龍寨城公園は単なる美しい庭園ではありません。ここはかつて世界で最も混沌とした場所の歴史を内に秘め、香港という都市が歩んできた激動の軌跡を静かに、しかし力強く語り継ぐ場所です。

かつて「魔窟」と呼ばれ、暗く湿った空が見えなかったこの地には、今では陽光が満ちあふれ、鳥のさえずりが響き渡ります。違法建築が密集していたその地面の下からは、数百年前の清朝時代の遺跡が顔をのぞかせています。この劇的な対比こそが、九龍寨城公園の最大の魅力と言えるでしょう。

この場所で過ごす時間は、多くの問いをあなたに投げかけるでしょう。都市とは何か、人間の生命力とは何か、そして歴史を記憶し未来へ伝えることにはどんな意味があるのか。ベンチに腰掛けて庭園の風景に思いを馳せるもよし、展示室で歴史の深淵に触れるもよし、美しい花々の写真を撮りながらゆったり散策するもよし。訪れる者の心に、それぞれ忘れがたい何かを刻み込む力が、この場所には宿っています。

香港を訪れた際には、ぜひ少し足を伸ばして、この歴史と癒やしが融合する唯一無二の公園を訪ねてみてください。あなたの香港の旅が、より深く、より豊かな体験になることを約束します。

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この記事を書いたトラベルライター

旅行代理店で数千人の旅をお手伝いしてきました!今はライターとして、初めての海外に挑戦する方に向けたわかりやすい旅ガイドを発信しています。

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