香川県・小豆島が、国連世界観光機関(UN Tourism)の「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」2023に選定された。
国連世界観光機関(UN Tourism)は、観光を通じて地域の持続可能な発展を推進する「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」2023に、日本の香川県・小豆島を選定しました。世界65カ国から270もの地域が応募する中、小豆島にある小豆島町と土庄町がそろって認定されるという、まさに快挙です。この選定は、小豆島が持つ独自の魅力と持続可能な観光への取り組みが、世界最高水準であると認められたことを意味します。なぜ今、小豆島が世界から注目されるのか。その背景と未来への影響を探ります。
世界が認めた「持続可能な観光」のモデル
「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」とは?
「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」は、単なる美しい観光地を選ぶ制度ではありません。人口1万5千人以下の地域を対象に、文化遺産や自然遺産の保全、経済的・社会的・環境的な持続可能性、観光開発と地域産業の連携など、9つの評価分野において厳格な審査が行われます。つまり、観光が地域社会を豊かにし、未来へと文化や自然を繋ぐ役割を果たしている地域に与えられる、世界的な栄誉なのです。
なぜ小豆島が選ばれたのか
小豆島が今回高く評価された背景には、伝統と革新が共存する独自の文化があります。
- 400年続く伝統産業と食文化
小豆島は、400年以上の歴史を誇る醤油や素麺づくり、そして日本におけるオリーブ栽培発祥の地として知られています。これらの伝統産業は、島の経済を支えるだけでなく、島の食文化や美しい景観そのものを形成しています。観光客は、醤油蔵が立ち並ぶ「醤(ひしお)の郷」を散策したり、オリーブ畑の美しい丘を訪れたりすることで、島の歴史と暮らしに深く触れることができます。
- 自然とアートが織りなす景観
潮の満ち引きで現れる砂の道「エンジェルロード」や、奇岩が連なる絶景で知られる「寒霞渓(かんかけい)」など、豊かな自然景観も小豆島の大きな魅力です。さらに、3年に一度開催される「瀬戸内国際芸術祭」の主要な舞台の一つでもあり、島の風景に溶け込むように設置された現代アート作品が、訪れる人々に新たな感動を与えています。
- 地域一体となった持続可能な取り組み
こうした自然、文化、アートを保護し、未来へ継承していくための地域一体となった取り組みが、今回の選定における決定打となりました。観光を一部の産業に留めず、醤油やオリーブといった第一次・二次産業と密接に連携させることで、地域経済全体を活性化させています。この「観光と地域生活の調和」こそ、UN Tourismが求める持続可能な村の姿そのものだったのです。
「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」選定がもたらす未来
この世界的な認定は、小豆島、そして日本の地方観光にどのような影響を与えるのでしょうか。
国際的な知名度の飛躍的向上
「国連お墨付き」の称号は、小豆島を世界的な旅行デスティネーションへと押し上げる強力なブランドとなります。これまで日本の旅先として東京・京都・大阪といったゴールデンルートが中心だったインバウンド観光客に対し、”知る人ぞ知る日本の宝”として小豆島が新たな選択肢となることは間違いありません。特に、サステナブル・ツーリズムや本物の文化体験を求める質の高い旅行者層からの注目が期待されます。
地方創生の新たなモデルケースへ
小豆島の成功は、同じように人口減少や高齢化に直面する日本の他の地方地域にとって、大きな希望となります。地域に根ざした文化や産業を大切に育て、それを観光という形で世界に発信することが、持続可能な地域発展に繋がることを証明しました。今後、小豆島をモデルケースとした観光開発が日本各地で進む可能性があります。
オーバーツーリズムを避けた質の高い観光へ
今回の選定は、単に観光客の数を増やすことを目的としていません。むしろ、地域の文化や環境を尊重し、地域住民の生活と共存する「質の高い観光」を促進するものです。小豆島を訪れる旅行者は、美しい景色を楽しむだけでなく、その背景にある島の歴史や人々の営みに思いを馳せる、より深く、意味のある旅を体験することになるでしょう。
今回の「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」選定は、小豆島が持つ普遍的な価値が世界に認められた証です。瀬戸内の穏やかな海に浮かぶこの美しい島が、これからどのように世界中の旅行者を魅了していくのか、その未来から目が離せません。

