MENU

IATA年次総会、空の旅の未来を左右するSAF(持続可能な航空燃料)の供給拡大が最大の焦点に

この記事の内容 約2分で読めます

航空業界は2050年ネットゼロ目標達成に向け、CO2排出量の約65%削減を担うSAF(持続可能な航空燃料)の普及を最重要課題

先日、アラブ首長国連邦のドバイで開催された国際航空運送協会(IATA)の年次総会では、世界の航空業界が直面する最も重要な課題の一つ、すなわち「脱炭素化」について熱心な議論が交わされました。特に、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにするという野心的な目標達成の鍵を握る「SAF(持続可能な航空燃料)」の普及が、最大のテーマとなりました。

目次

深刻な供給不足と高コストという現実

航空業界が掲げる「2050年ネットゼロ」目標。その達成シナリオにおいて、実に約65%ものCO2排出量削減を担うと期待されているのがSAFです。しかし、その期待とは裏腹に、現状は非常に厳しいものがあります。

IATAによると、2023年のSAF生産量は前年の2倍に増加したものの、それでも世界の航空燃料需要全体のわずか0.53%に過ぎません。これは、需要に対して供給が全く追いついていないことを示しています。

さらに大きな障壁となっているのがコストです。SAFの価格は、従来のジェット燃料の2倍から5倍と非常に高価です。このコストが、航空会社による本格的な導入をためらわせる大きな要因となっています。需要はあるものの、高すぎる価格と絶対的な量の不足が、普及への道を険しいものにしているのです。

なぜ今、SAFが不可欠なのか

航空業界の脱炭素化は、他の産業に比べて技術的なハードルが非常に高いとされています。電気飛行機や水素燃料飛行機などの次世代技術も開発が進められていますが、長距離国際線などで広く実用化されるには、まだ多くの時間が必要です。

その点、SAFは廃食油や植物、都市ごみなどを原料として製造され、既存の航空機のエンジンや給油インフラをそのまま利用できるという大きな利点があります。ライフサイクル全体で見た場合、従来の燃料に比べてCO2排出量を最大で約80%も削減できるとされており、現時点で最も現実的かつ効果的な解決策と位置づけられています。

今回のIATA総会では、航空各社から各国政府に対し、SAFの生産拡大を後押しする一貫した政策支援を求める声が相次ぎました。生産施設への投資を促すインセンティブなど、官民一体となった取り組みが不可欠であるとの認識が共有されました。

私たちの旅行への影響と今後の展望

SAFの普及は、航空業界だけの問題ではありません。私たちの未来の旅行にも直接的な影響を及ぼす可能性があります。

航空券価格への影響

最も考えられる影響は、航空券価格へのコスト転嫁です。高価なSAFの導入が進めば、そのコストの一部が運賃に反映されることは避けられないでしょう。すでに一部の欧米の航空会社では、乗客が任意でSAFの費用を負担できるオプションを導入する動きも出ています。将来的には、環境負荷を価格に含める「サステナビリティ・チャージ」のようなものが一般的になるかもしれません。

「環境にやさしいフライト」という新たな選択肢

一方で、環境意識の高い旅行者にとっては、航空会社を選ぶ上での新たな基準が生まれることになります。どの航空会社が積極的にSAFを導入しているか、その比率はどれくらいか、といった情報が、旅行先の決定と同じくらい重要になる時代が来るかもしれません。航空会社のサステナビリティへの取り組みが、企業のブランド価値を左右する重要な要素となるでしょう。

SAFの本格的な普及には、生産技術の革新によるコスト削減と、世界的な供給網の構築という大きな課題が残されています。しかし、今回のIATA総会での議論は、航空業界が気候変動対策に本気で取り組む姿勢を改めて示したものと言えます。私たちがこれからも安心して空の旅を楽しむために、SAFをめぐる今後の動向から目が離せません。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いたトラベルライター

SimVoyage編集部は、世界を旅しながら現地の暮らしや食文化を体感し、スマホひとつで快適に旅する術を研究する旅のプロ集団です。今が旬の情報から穴場スポットまで、読者の「次の一歩」を後押しするリアルで役立つ記事をお届けします。

目次