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摩天楼だけじゃない香港へ。時が止まる客家集落「荔枝窩」で心呼吸する旅

香港と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、ヴィクトリア・ハーバーを彩る高層ビル群のきらめき、ネオンが眩しい旺角(モンコック)の雑踏、そして世界中の美食家を唸らせる広東料理の数々ではないでしょうか。僕自身、大陸横含の旅の途中で立ち寄る香港は、いつもエネルギッシュで刺激的な都市という印象でした。しかし、その香港の北東部、深圳との境界に近い新界(ニューテリトリー)の奥深くに、まるでタイムスリップしたかのような静寂に包まれた場所が存在することをご存知でしょうか。その名は「荔枝窩(ライチーウォー)」。300年以上の歴史を持つ客家の集落が、豊かな自然と共にひっそりと息づく秘境です。

今回は、都会の喧騒から逃れ、香港のもう一つの顔に触れることができる荔枝窩への旅をご紹介します。忘れ去られた村へのアクセス方法から、心癒される見どころ、そして旅を成功させるための具体的な準備まで、僕の体験を交えながら詳しく解説していきます。この記事を読めば、きっとあなたも「次の香港旅行は、ハイキングブーツを履いて出かけよう」と思っていただけるはずです。さあ、一緒に時が止まる村への扉を開けてみましょう。

香港の歴史に触れる旅をもっと楽しみたいなら、かつての混沌が美しい緑の空間へと生まれ変わった九龍寨城公園を訪れてみるのもおすすめです。

目次

忘れられた時間の谷、荔枝窩とは?

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荔枝窩は、香港の北東部に位置する船湾郊野公園(Plover Cove Country Park)の中にあり、印洲塘海岸公園(Yan Chau Tong Marine Park)を望む美しい入り江に静かに佇んでいます。その歴史は古く、17世紀に曾氏と黄氏という二つの客家(ハッカ)氏族によって築かれました。客家とは、もともと中国北部から戦乱を逃れて南へ移住してきた人々であり、独自の言語や文化、そして強い結束力を持つことで知られています。彼らは山岳地帯を切り開き、厳しい自然環境の中で工夫を凝らしながら暮らしを築いてきました。

荔枝窩は最盛期には1000人以上が暮らす新界でも有数の大村であったと言われています。村の名は、かつてこの地に多くのライチの木が植えられていたことに由来すると伝えられています。しかし、1960年代以降、香港の急速な都市化の波にのり、多くの村人がより良い就労や教育の機会を求めて市街地や海外へ移住しました。かつて子供たちの笑い声で賑わっていた村は次第に静寂に包まれ、やがては数世帯が残るだけの「ゴーストタウン」となってしまったのです。

ところが近年、荔枝窩は再び人々の関心を集めています。その背景には、手つかずの自然環境と、驚くほど良好に保存されている客家伝統の集落があります。村は香港ユネスコ・グローバル・ジオパークの一部に指定されており、地質学的、生態学的に非常に価値の高い地域となっています。さらに、香港大学や環境保護団体、そして村の子孫たちが協力しながら、村の再生プロジェクトが進められています。休耕地での稲作再開やエコツアーの開催など、新たな命が注がれつつあるのです。歴史と自然が織りなす穏やかな空間こそが、荔枝窩の最大の魅力と言えるでしょう。

秘境への扉を開く:荔枝窩へのアクセス完全ガイド

荔枝窩は、その孤立した立地条件から訪れるには多少の冒険心が求められます。車道が通じておらず、アクセス手段は主に「フェリー」か「ハイキング」の二択となります。どちらを選ぶかによって旅の雰囲気が大きく変わるため、ここで両方の方法を詳細にご案内します。自身の体力や時間と相談し、最適なルートをお選びください。

週末限定の特別な船旅:フェリーでのアクセス

最も手軽で一般的なルートは、馬料水(マーリウシュイ)にあるフェリー乗り場から出発するフェリーを利用する方法です。ただし、このフェリーは土日祝日のみの運航となるため、計画時には十分留意してください。

チケット購入と乗船までの流れ

  • 運航日: 土曜日、日曜日、および祝日
  • 乗り場: 馬料水三號梯台(Ma Liu Shui Landing No. 3)
  • 出航時間: 午前9時(馬料水 発)
  • 帰路時間: 午後3時30分(荔枝窩 発)
  • 所要時間: 約1時間30分
  • 料金: 片道60香港ドル、往復90香港ドル(2024年時点、変更の可能性あり)

手順の概要 フェリーのチケットは乗り場で当日購入も可能ですが、席数に限りがあるため特に晴れた週末は満席となることが多いです。公共交通が少ない地域を訪れる際は事前予約が鉄則であり、翠華船務(Tsui Wah Ferry Service)の公式サイトからオンライン予約・購入を強く推奨します。予約すれば、乗船できないリスクを避けられます。

馬料水フェリーピアへのアクセスは、MTR東鉄線「大学駅」が最寄駅で、B出口から徒歩約15分です。場所がややわかりにくいため、余裕を持って向かいましょう。乗り場に着いたらオンライン予約済みの場合はQRコードを提示し、当日券利用時は列に並んで購入します。船は小型なので、早めに乗り込んで窓側の席を確保することをおすすめします。船上からは香港の離島や印洲塘の美しい海岸線を一望できます。

フェリー利用時の注意点

  • 運航は1日1往復のみ: 乗り遅れは許されず、帰りの午後3時30分発を逃すと、ハイキングで数時間かけて脱出するしかなくなります。時間厳守を心がけましょう。
  • 天候による運休: 台風や悪天候時は欠航の可能性があります。出発前には必ず運航会社の公式サイトで最新情報を確認してください。
  • 船酔い対策: 船は外海に出るため揺れがあることがあります。船酔いが不安な方は、事前に酔い止め薬を服用することをおすすめします。

大自然を全身で体感:ハイキングでのアクセス

体力に自信があり、より深く香港の自然を満喫したい方にはハイキングでのアクセスがおすすめです。いくつかルートがありますが、中でも烏蛟騰(ウーカウタン)を出発点とするコースが最も人気です。

烏蛟騰発ハイキングコース

  • スタート地点: 烏蛟騰(Wu Kau Tang)
  • 所要時間: 約2時間~2時間30分(片道)
  • 距離: 約5.5km
  • 難易度: 中級者向け。急な上り下りや石段も一部にあり。

行程の説明 まず、MTR東鉄線「大埔墟駅」まで行き、そこから緑色のミニバス20R系統に乗り換えて終点の「烏蛟騰」で降ります。このミニバスは運行本数が少ないため、事前に時刻表をよく確認してください。烏蛟騰のバス停がハイキングコースの出発点で、沿道には「荔枝窩」方面の標識も整備されていますが、念のためGoogleマップやTrailWatchなどのハイキング用地図アプリをダウンロードしておくと安心です。ルートは三椏村(Sam A Tsuen)を経由します。途中での補給ポイントはほとんどないため、水分や軽食は十分に用意してください。

このルートの魅力は、変化に富んだ景観です。緑豊かな森を抜けると視界が開け、眼下にはエメラルドグリーンの入り江が広がり、その向こうに中国大陸の山並みが見えます。鳥のさえずりや風の音に包まれて歩く時間は、都市の喧騒を忘れさせてくれる心身のリセットとなるでしょう。

ハイキングに際しての準備と注意点

  • 服装: ハイキングに適した装いが必須です。通気性の良い速乾素材のTシャツ、動きやすいズボン、そして足元は滑りにくく履き慣れたハイキングシューズを着用してください。サンダルやヒールの靴は厳禁です。
  • 携行品: 最低1.5リットルの水、ナッツやエナジーバーなどの軽食、帽子、サングラス、日焼け止め、虫よけスプレー、汗拭きタオル、簡単な応急処置キット(絆創膏など)、およびモバイルバッテリーは必ず携帯しましょう。
  • 天気の確認: 出発前に香港天文台のサイトやアプリで必ず天候チェックを。特に夏季は突然の雷雨があるため、不安定な天候時には無理をせず計画を延期する判断も重要です。
  • 単独行動は避ける: 可能な限り複数名で行動し、万一のトラブルに備えることを推奨します。

荔枝窩で過ごす、心洗われる時間:必見スポット巡り

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長い道のりを経て荔枝窩にたどり着くと、まるで時が止まったかのような穏やかで懐かしい風景が広がっています。小さな村ながら見どころは豊富で、ゆっくりと時間をかけてその魅力をじっくり味わいたい場所です。

村を守る風水林の神秘

村の背後に広がる森は単なる緑地ではなく、「風水林」と呼ばれています。これは客家の先祖たちが風水思想に基づいて意図的に残し育ててきたもので、台風の強風を防ぎ、水源を保ち、村に幸運をもたらす聖なる存在として大切にされてきました。荔枝窩の風水林は香港で最も古く保存状態も極めて良好で、100種類以上の植物が自然に育つ「天然の植物園」として知られています。

一歩足を踏み入れると、ひんやりとした空気に包まれ、巨大なガジュマルの木々が空を覆い尽くします。樹齢百年を超える古木も珍しくなく、その力強さには思わず圧倒されます。特に名高いのは「絞殺しの木」と呼ばれる白花魚藤(White Flower Derris)で、他の木に蔓を巻きつけてやがて締め上げるその姿は、自然の力強さと厳しさを同時に物語っています。この神聖な森を散策する際は、植物を傷つけたり持ち帰ったりせず、敬意をもって歩くことが求められます。

時代を刻む客家家屋の群れ

荔枝窩の集落は、200軒以上の客家家屋が整然と並んで形成されています。青みがかったレンガと土壁で造られ、伝統的な瓦屋根が特徴的です。全ての家が同じ方向を向いて列をなしているその配置は、防御を念頭に置いたとも言われ、一族の強い結束を象徴しているように感じられます。

現在は無人の家も多いものの、一部は週末にカフェや資料館として開放されています。壁に残る色あせた書や絵は、かつてここで営まれていた人々の暮らしを物語っています。特に玄関上部に描かれた壁画は、縁起の良い動植物や故事に由来する絵が描かれ、家族の繁栄を願う人々の思いが伝わってきます。静かな路地を歩きながら、それぞれの家の表情をじっくり眺めていると、まるで村人たちの息遣いが聞こえてくるかのような錯覚に陥るでしょう。

村人の信仰の拠り所:協天宮と鶴山寺

村の中には、信仰を集める重要な二つの寺院があります。一つが「協天宮」で、商売繁盛や武勇の神・関羽(関帝)を祀っています。もう一つは「鶴山寺」で、観音菩薩が祀られている場所です。これらの寺院はかつて村の学校としての役割も果たし、村人たちは航海の安全や豊作、健康を祈願していました。現在も地域の人々によって大切に維持されており、線香の香りが静かに漂っています。旅の無事を願い、静かに手を合わせてみるのも良いでしょう。

豊かな生態系を誇るマングローブと自然歩道

村の目の前には穏やかな入り江が広がり、その岸辺には貴重なマングローブ林が息づいています。荔枝窩自然步道(Lai Chi Wo Nature Trail)を歩けば、この豊かな生態系を間近に体験することができます。干潮時にはシオマネキやトビハゼなどの特徴的な生き物たちが泥地で活動する姿も観察できるでしょう。マングローブは海の生物の産卵場所や隠れ家となるだけでなく、津波や高潮から陸地を守る「緑の防波堤」として重要な役割を果たしています。都会の香港ではなかなか見られない生命力あふれる自然の姿に心を打たれることでしょう。この自然歩道の詳細は香港ジオパークの公式サイトでも紹介されており、地質学的見どころについても学べます。

荔枝窩を120%楽しむための実践ガイド

荔枝窩での滞在時間は、おそらく数時間程度となるでしょう。その限られた時間をより充実させるために、食事や楽しめるアクティビティに関して事前に知っておきたいポイントをまとめました。

地元の味を楽しむ:伝統的な客家料理を堪能しよう

荔枝窩を訪れた際は、ぜひ伝統的な客家料理を味わってみてください。村内には、主に週末を中心に営業している小規模な食堂や売店(士多)がいくつか点在しています。大きく派手なレストランではありませんが、素朴で温かみのある地元の味わいが評判です。

  • おすすめの料理: 特に「鶏粥」や「客家炆豬肉(豚の角煮)」はぜひ注文したい逸品です。また「茶粿(チャーグオ)」と呼ばれるよもぎ入りの草餅のようなお菓子も人気で、甘い餡入りのタイプなど種類も豊富。ハイキングで疲れた体に優しい甘みが染み渡ります。
  • お店の情報: 村には「有記士多(Yau Kee Store)」や「福利茶室(Fook Lee Tea House)」など数軒のお店があります。ただし営業は基本的に、フェリーが運航している週末や祝日のみとなるため、平日に訪れる場合は閉まっていることが多いです。平日ハイキングの際は必ず自分で十分な食料を持参してください。
  • 支払いについて: 村内ではクレジットカードや電子マネーは使えません。食事やお土産を購入する際は、必ず十分な香港ドルの現金を用意しましょう。

大地の歴史を感じる:ジオパークの見どころ

荔枝窩周辺は、香港ユネスコ・グローバル・ジオパークの「新界東北堆積岩地域」に属しており、約4億年前から1億4,000万年前にかけて形成された堆積岩が特徴的なエリアです。海岸沿いを歩くと、赤みを帯びた独特の岩石を見ることができます。これは「赤色層」と称され、鉄分が酸化して赤くなったシルト岩や砂岩です。この地層は当時の乾燥した気候を示す貴重な証拠とされています。地質学に興味のある方は、岩の層や色、形状を観察することで、地球の長い歴史の一端に触れ、旅をより深く味わえます。

旅を万全に楽しむために:持ち物とルールの確認

快適かつ安全に荔枝窩を訪れるために、最後に準備物や注意点を再確認しましょう。長期の旅行でも一日程度の小さな旅でも、事前の準備が重要であることに変わりはありません。

持ち物リスト

  • 必携アイテム:
  • 十分な飲み物(特に夏季は1.5〜2リットル以上を推奨)
  • 軽食や行動食(エネルギーバー、ナッツ、おにぎりなど)
  • 現金(できれば小銭も多めに用意)
  • スマートフォンと予備のモバイルバッテリー
  • 日焼け止め、帽子、サングラス
  • 虫よけスプレー
  • 小さなゴミ袋(出たゴミは必ず持ち帰るため)
  • 応急処置キット(絆創膏や消毒液など)
  • フェリー利用時は予約確認書(電子表示または印刷)
  • あると便利なもの:
  • カメラ
  • 双眼鏡(バードウォッチングに便利)
  • 汗拭きシートやタオル
  • レインウェア(急な天候変化に備えて)
  • 地図(紙媒体またはオフライン利用可能なアプリ)

荔枝窩でのマナーとルール

荔枝窩は観光地であると同時に、今も人々の生活が息づく場所であり、貴重な自然が守られている地域です。訪れる際は以下のマナーを守り、敬意を持って行動しましょう。

  • 住民への配慮: 住居や私有地には無断で入らないようにしましょう。住民の方に会った際は、広東語の「早晨(ジョウサン)」と言って笑顔で挨拶するとお互いに気持ちよく交流できます。
  • 自然環境の保護: 動植物の採取は禁止されています。岩に落書きをしたり、地形を傷つける行為も避けてください。
  • ゴミは必ず持ち帰る: 村内にはゴミ箱がほとんどありません。自分が出したごみはすべて持ち帰ることが基本ルールです。
  • 静かな行動を心がける: 静けさを保つことで、村の落ち着いた雰囲気を壊さないようにしましょう。
  • ドローンの使用について: 多くの郊野公園(カントリーパーク)ではドローンの飛行が制限されています。利用前に漁農自然護理署(AFCD)の公式サイトなどで最新の規則を確認し、無許可での使用は控えましょう。

もしもの時のために:トラブルシューティング

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旅にはトラブルがつきものです。特に荔枝窩のような人里離れた場所では、事前の準備が欠かせません。考えられるトラブルとその対策をあらかじめ知っておきましょう。

帰りのフェリーに遅刻してしまった!

これは最も起こりやすく、かつ深刻なトラブルの一つです。午後3時30分発の最終便に乗り遅れた場合、その日はフェリーでの帰宅が不可能となります。代替手段は以下のようになります。

  • 選択肢1:ハイキングで烏蛟騰へ戻る

来たルートまたは別ルートで約2時間から2時間30分かけて烏蛟騰まで歩きます。そこで20Rのミニバスに乗り換え、大埔墟駅を目指します。ただし、ミニバスの最終便時刻もしっかり確認しておきましょう。日没後は道が非常に暗く危険なので、夕方の時間を考慮して早めに行動を開始することが重要です。

  • 選択肢2:ハイキングで鹿頸へ向かう

谷埔(Kuk Po)を通って鹿頸(Luk Keng)に向かうルートもあります。徒歩で約2時間30分から3時間ほど。鹿頸からは56KのミニバスでMTR粉嶺駅へアクセス可能です。このルートも時間との勝負になるため、注意が必要です。

どちらのルートも長い距離を歩く必要があります。そのため、こうした状況を避けるために、帰りのフェリーの時間を常に頭に入れ、少なくとも乗船予定時刻の20分前には乗り場に戻ることが大切です。

急な天候変化や体調不良への対応

ハイキング中に急な天候悪化が起こった場合、特に雷雨の際は、開けた場所を避けてできるだけ安全な場所へ早めに移動しましょう。無理に進むのは避け、天候回復を待つか、必要に応じて引き返す判断が求められます。携帯電話の電波は場所によって極端に弱くなることもあるため、緊急時は「999」へ連絡してください。また、万が一の怪我に備え、基本的な応急手当の方法を身につけておくことも推奨されます。熱中症の症状(めまいや吐き気など)を感じた際は、すぐに日陰で休み、水分と塩分をしっかり補給してください。

公式情報はこまめに確認しよう

旅の計画段階や出発直前には、必ず公式情報をチェックする習慣をつけましょう。

  • フェリーの運航情報: 翠華船務(Tsui Wah Ferry Service)の公式サイトで、最新の時刻表や運休情報、料金を確認しましょう。
  • ハイキングコースの状況: 香港政府観光局や漁農自然護理署(AFCD)のウェブサイトを活用し、コースが閉鎖されていないかなどの情報をチェック。
  • 天気の詳細: 香港天文台(Hong Kong Observatory)の公式アプリはリアルタイムの雨雲レーダーや警報が見られるため、ハイキングの必携ツールとしておすすめです。

旅の記憶をより深く刻むために

荔枝窩への旅は、ただ美しい景色を眺めるだけではない特別な体験をもたらします。それは、香港という都市が育んできた複雑な歴史や文化、そして人々と自然との関係を改めて考えるきっかけとなるでしょう。過疎化という厳しい現実に直面しながらも、自らのルーツと自然を守りつつ未来へと繋ごうとする人々の取り組みに触れることで、私たちの観光の意味合いさえも変わってくるかもしれません。

観光客として私たちにできることは決して多くはありません。しかし、地元の食堂で食事をし、ゴミを持ち帰り、静かに敬意をもって訪れるだけでも、この美しい村の保全活動にわずかながら貢献することができます。次に香港を訪れる際には、一日だけでも都会の喧騒を離れ、ハイキングシューズを履いてみてください。高層ビルの狭間では味わえない、穏やかで力強い香港の息吹が荔枝窩であなたを迎えるでしょう。私自身も、大陸横断の旅の途中であの静かな谷の空気を再び吸いに戻りたいと、心の底から願っています。

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この記事を書いたトラベルライター

元自動車整備士、今はロードトリップ愛好家!レンタカーでアメリカ横断しながら、絶景とBGMとキャンプ飯を楽しんでます。車と旅、どっちも好きな方はぜひチェックしてください!

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