ヨーロッパへの旅行を計画している方に、非常に重要なニュースです。2024年秋以降、シェンゲン協定域内の空港や国境で、新しい出入国管理システムが導入されることにより、入国審査に大幅な遅延が発生する可能性が指摘されています。航空業界からは「大混乱」を懸念する声が上がっており、旅行者は十分な注意と準備が必要です。
新しい国境管理システム「EES」とは?
この混乱の中心にあるのが、EUが導入を予定している「エントリー・エグジット・システム(EES)」です。
EESの目的と仕組み
EESは、日本からの旅行者を含む、EU非加盟国の国民がシェンゲン協定域に出入りする際の情報を電子的に記録・管理するための新しいシステムです。これまで行われてきたパスポートへのスタンプ押印を廃止し、セキュリティを強化すると同時に、国境管理を近代化することを目的としています。
このシステムでは、シェンゲン協定域に初めて入国する際、旅行者は専用のキオスク端末で以下の生体認証情報を登録する必要があります。
- 顔写真のスキャン
- 指紋のスキャン(4本指)
一度登録すれば、データは3年間有効となります。しかし、問題はこの「初回登録」に時間がかかることです。
なぜ「大混乱」が予測されるのか?
航空業界や空港当局は、EESの導入が円滑に進まない可能性を強く懸念しています。
深刻な遅延の予測
欧州の航空会社団体「Airlines for Europe (A4E)」や国際空港評議会(ACI)などの業界団体は、現在の計画のままEESが導入された場合、出入国審査にかかる時間が大幅に増加すると予測しています。
- 平均遅延時間の増加: 出国審査にかかる時間は、現行システムと比較して平均で50%から100%増加する可能性があると試算されています。
- ピーク時の混乱: 繁忙期やピーク時間帯には、待ち時間が3時間から4時間を超える「大混乱」に陥る恐れがあると警告されています。
この遅延は、1人あたりの手続きに数分余計にかかるだけでも、何百人、何千人もの旅行者が列を作る空港では致命的な影響を及ぼします。
インフラと準備の不足
多くの空港では、EESに必要なキオスク端末を設置するための物理的なスペースが不足しています。また、システムの運用に携わる国境警備隊員や空港スタッフへのトレーニングが不十分であることも懸念されています。特に、イギリスとフランスを結ぶユーロスターの駅やフェリー乗り場など、車や鉄道で国境を越える場所では、インフラ不足がより深刻な問題となる可能性があります。
今後の見通しと旅行者がすべき準備
EESはいつから始まる?
EESの導入は当初の予定から何度も延期されていますが、現時点では2024年10月6日からの開始が予定されています。ただし、さらなる延期の可能性も残されています。
旅行者が今からできること
2024年秋以降にヨーロッパへの渡航を計画している方は、以下の点に注意してください。
- 時間に十分な余裕を持つ: 空港にはフライトの3時間前、あるいはそれ以上に早く到着することを検討してください。特に、シェンゲン協定域外から域内へ最初に入る空港(例:パリ、フランクフルト、アムステルダムなど)では注意が必要です。
- 最新情報を常に確認する: 航空会社や利用する空港のウェブサイトで、EESに関する最新情報をこまめにチェックしましょう。
- 事前登録アプリの活用: EUは、渡航前にスマートフォンアプリで個人情報の一部を事前登録できる仕組みを開発中です。このアプリが利用可能になれば、空港での手続きを短縮できる可能性があります。リリース情報を注視し、活用することをおすすめします。
- ETIASとの違いを理解する: EESとしばしば混同されるのが「ETIAS(欧州渡航情報認証制度)」です。ETIASは2025年半ばに導入予定の電子渡航認証システムで、EESとは別の制度です。両方の制度が旅行者に影響を与えることになるため、違いを理解しておくことが重要です。
EESの導入は、長期的にはヨーロッパの安全性を高めるものですが、導入初期の移行期間においては、旅行者に大きな影響が及ぶ可能性があります。simvoyageでは、今後もこの問題に関する最新情報をお届けしていきます。賢く準備をして、スムーズなヨーロッパ旅行を実現しましょう。

