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欧州航空大手3社、SAF共同購入で歴史的合意 – 未来のフライトはどう変わる?2030年目標15%への挑戦

欧州を代表する航空会社、エールフランスKLM、ルフトハンザグループ、そしてブリティッシュ・エアウェイズの親会社であるIAGが、航空業界の未来を大きく左右する歴史的な一歩を踏み出しました。3社は持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel: SAF)を共同で大規模に購入する契約を締結したと発表。2030年までに、各社が使用する燃料の15%をSAFに置き換えるという野心的な目標を掲げました。

この動きは、空の旅の環境負荷を低減するための決定的な取り組みであり、私たち旅行者の未来のフライトにも深く関わってきます。

目次

なぜ今、SAFの共同購入なのか? – 航空業界が直面する課題

航空業界は、世界のCO2排出量の約2〜3%を占めており、脱炭素化への圧力は年々高まっています。特に欧州連合(EU)では、「Fit for 55」という気候変動対策パッケージの一環として、航空会社に対するSAFの使用義務化(ReFuelEU Aviation規則)が進んでいます。この規則では、2025年に2%、2030年には6%のSAF混合が義務付けられており、今回の3社の目標「15%」は、この規制を大幅に上回る意欲的なものです。

しかし、SAFの普及には大きな壁がありました。

  • 高コスト: SAFの製造コストは、従来のジェット燃料の2倍から5倍以上と非常に高価です。
  • 供給不足: 世界的に見てもSAFの生産量はまだ少なく、航空業界全体の需要を満たすには程遠いのが現状です。

今回の歴史的な合意は、この2つの大きな課題を克服するための戦略的な一手です。欧州の巨大航空グループ3社が団結し、大規模な購入を保証することで「規模の経済」を働かせます。これにより、SAFメーカーは安定した需要を見込んで生産設備への投資を拡大でき、結果としてSAFの製造コストを引き下げ、安定供給へと繋げる狙いがあります。

合意の核心と航空業界へのインパクト

この共同購入契約は、単に燃料を一緒に買うというだけではありません。複数の大手SAFメーカーとの長期契約を含んでおり、航空業界と燃料生産者が一体となって脱炭素化へ進むという強いメッセージを発信しています。

この動きは、航空業界全体に大きな波及効果をもたらすでしょう。エールフランスKLM、ルフトハンザグループ、IAGは、今後他の航空会社にもこの枠組みへの参加を呼びかけていくとしています。業界全体でSAFの需要を創出し、市場を活性化させることで、SAFが特別な燃料ではなく、「当たり前の燃料」になる日を早める可能性があります。

旅行者への影響とこれからの空の旅

では、この動きは私たち旅行者にどのような影響を与えるのでしょうか。

航空券価格への影響

短期的には、高価なSAFの導入コストが航空券価格に一部転嫁される可能性があります。すでに一部の航空会社では、予約時に少額の「SAF料金」を追加するオプションを導入しています。しかし、今回の共同購入によるコスト削減努力は、長期的に見れば価格上昇を抑制する効果が期待されます。

サステナブルな旅行の選択肢拡大

環境への意識が高い旅行者にとって、航空会社のSAF導入率は、フライトを選ぶ際の重要な判断基準の一つになるでしょう。「どの航空会社がより環境に配慮しているか」という視点が、価格やサービスと並ぶ新たな価値基準となる未来が近づいています。

フライトの「罪悪感」の軽減

「フライトシェイム(飛び恥)」という言葉に象徴されるように、飛行機に乗ることへの環境的な罪悪感を感じる人も少なくありません。SAFの普及は、フライトあたりのCO2排出量を大幅に削減(最大80%削減可能とされる)するため、空の旅をより持続可能なものに変え、私たちが心置きなく世界を旅するための重要な鍵となります。

今回の合意は、航空業界が自らの力で未来を切り拓こうとする力強い意志の表れです。技術革新と国際的な協調が進むことで、環境への負荷を最小限に抑えた新しい空の旅が実現する日も、そう遠くないかもしれません。

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この記事を書いたトラベルライター

SimVoyage編集部は、世界を旅しながら現地の暮らしや食文化を体感し、スマホひとつで快適に旅する術を研究する旅のプロ集団です。今が旬の情報から穴場スポットまで、読者の「次の一歩」を後押しするリアルで役立つ記事をお届けします。

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