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    欧州からの米国旅行に暗雲? ESTA申請料が大幅値上げ、観光への影響は

    欧州から米国への渡航を計画している旅行者にとって、見過ごせないニュースが報じられました。ビザ免除プログラム(VWP)を利用して米国に入国する際に必要な電子渡航認証システム「ESTA」の申請料が、この9月末にほぼ倍増される見込みです。この突然の値上げは、パンデミックからの回復を目指す米国の観光業にどのような影響を与えるのでしょうか。本記事では、この値上げの背景と予測される未来について詳しく解説します。

    目次

    ESTA申請料、9月末から大幅値上げへ

    報道された値上げの詳細

    ユーロニュースの報道によると、現在21ドルのESTA申請料が、9月末をもってほぼ倍の価格に引き上げられるとのことです。この変更は、ビザなしで最大90日間の滞在が可能なビザ免除プログラム参加国の国民に直接的な影響を与えます。対象国には、日本や韓国のほか、イギリス、ドイツ、フランスといった欧州の主要国が含まれています。

    ESTAの申請料が値上げされるのは、これが初めてではありません。2022年5月にも、それまでの14ドルから現在の21ドルへと50%の大幅な引き上げが実施されました。今回の値上げが実現すれば、わずか数年で申請費用は当初の3倍近くに跳ね上がることになります。

    値上げの背景にあるもの

    観光促進と国境警備の財源確保

    ESTA申請料は、単なる手数料ではありません。その収益は、主に2つの目的のために使われています。一つは、米国の観光促進を目的とした政府系機関「ブランドUSA(Brand USA)」の活動資金です。そしてもう一つは、米国税関・国境警備局(CBP)がESTAシステムを運営・維持するための費用です。

    今回の値上げの背景には、近年の世界的なインフレによる運営コストの増加や、国境警備体制の強化に必要な財源を確保する狙いがあるとみられています。特に、システムのセキュリティ維持や機能向上には継続的な投資が必要であり、その費用を申請者に転嫁する形となったと考えられます。

    予測される影響と今後の見通し

    旅行者の負担増と心理的ハードル

    この値上げが最も直接的に影響するのは、言うまでもなく旅行者です。特に、家族で米国旅行を計画している場合、その負担は決して小さくありません。例えば、4人家族の場合、申請料の合計は現在の84ドルから、倍増となれば160ドル以上になる計算です。

    航空券代や宿泊費、現地の物価高騰に加えて、このESTA申請料の値上げは、旅行者の心理的なハードルを高める要因となり得ます。特に、複数の渡航先を比較検討している旅行者にとって、米国以外の国を選択する後押しになる可能性は否定できません。

    回復基調にある米国観光業への打撃

    米国にとって、欧州からの観光客は極めて重要な存在です。米国商務省国家旅行観光局(NTTO)のデータによると、2023年にはパンデミックからの回復が進み、英国から約380万人、ドイツから約160万人、フランスから約130万人が米国を訪れました。彼らがもたらす経済効果は計り知れません。

    しかし、今回の値上げは、この回復基調に水を差す可能性があります。ただでさえ、欧州からの旅行者は強いドル相場によって米国旅行の割高感に直面しています。そこにESTA申請料の大幅な値上げが加わることで、旅行需要が冷え込み、カナダや中南米といった競合する観光地に旅行者が流れる事態も懸念されます。

    長期的な視点

    ESTA申請料は2年間有効であり、一度支払えばその期間中は何度も渡米できるため、短期的に旅行者数が激減するとは考えにくいかもしれません。しかし、インフレや燃油サーチャージの高騰など、旅行コストを押し上げる他の要因と相まって、米国の観光地としての魅力や競争力を長期的に損なうリスクをはらんでいます。

    旅行業界からは、今回の値上げが観光客の回復を妨げるとして懸念の声が上がっており、今後の米国政府の動向が注視されます。これから米国への渡航を計画している方は、値上げが実施される前に、早めにESTAの申請を済ませておくことをお勧めします。

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    この記事を書いたトラベルライター

    SimVoyage編集部は、世界を旅しながら現地の暮らしや食文化を体感し、スマホひとつで快適に旅する術を研究する旅のプロ集団です。今が旬の情報から穴場スポットまで、読者の「次の一歩」を後押しするリアルで役立つ記事をお届けします。

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