ヨーロッパへの旅行を計画している方に重要なニュースです。欧州連合(EU)は、非EU市民の出入国管理をデジタル化し、セキュリティを強化するための新しいシステム「エントリー・エグジット・システム(EES)」の導入を正式に進めています。この変更により、2026年以降、シェンゲン協定加盟国への入国手続きが大きく変わることになります。
この記事では、EESとは何か、いつから始まり、旅行者にどのような影響があるのかを、背景情報や今後の予測も交えて詳しく解説します。
EES(エントリー・エグジット・システム)とは?
EESは、これまでパスポートに押されていた出入国スタンプに代わる、電子的な出入国記録システムです。EU域外からの短期滞在者(日本人旅行者も含む)を対象に、氏名やパスポート情報に加え、指紋や顔画像といった生体認証情報を収集・記録します。
主な目的と仕組み
このシステムの主な目的は、シェンゲン協定域内の国境管理を近代化し、セキュリティを向上させることです。具体的には、以下の点が挙げられます。
- 出入国管理の自動化と効率化: 自動化ゲートの利用を促進し、国境での手続きを迅速化します。
- 不法滞在の防止: 誰がいつ域内に入り、いつ出国したかを正確に記録することで、滞在期間(あらゆる180日間のうち最大90日間)を超えた不法滞在者を特定しやすくなります。
- セキュリティの強化: 盗難・偽造パスポートの使用を防ぎ、テロ対策や重要犯罪の防止に貢献します。
旅行者は、初回入国時に空港などの国境で顔写真と指紋を登録する必要があります。一度登録すれば、データは3年間有効となります。
導入スケジュールと具体的な変更点
EESの導入は一度にではなく、段階的に行われます。現時点で発表されているスケジュールは以下の通りです。
- 2025年10月: 段階的な導入が開始されます。一部の国境からシステムが稼働し始め、データの収集が始まります。
- 2026年3月: シェンゲン協定加盟国の全ての対外国境で、生体認証情報のチェックが義務化されます。
- 2026年4月10日: 全ての機能を含んだ完全な運用が開始される予定です。
このスケジュールにより、2026年の春以降にヨーロッパへ渡航する方は、新しい手続きに対応する必要があります。
旅行者への影響と今後の予測
EESの導入は、私たち旅行者に直接的な影響を及ぼします。メリットと注意点の両方を理解しておくことが重要です。
予測されるメリット
長期的には、手続きの自動化により、入国審査の待ち時間が短縮される可能性があります。また、パスポートのページに出入国スタンプが押されなくなるため、頻繁に渡航する方にとっては、ページの残数を気にする必要がなくなるという利点もあります。
注意すべき点と初期の混乱
一方で、特に導入初期には注意が必要です。
- 初回登録の手間: 初めてEES対象国に入国する際は、生体認証情報の登録が必要となり、通常よりも手続きに時間がかかることが予想されます。特に、家族旅行など大人数での渡航の場合は、時間に余裕を持った計画が求められます。
- システムの混乱: 新しいシステムの導入初期には、技術的なトラブルや係員の不慣れによる混乱が発生する可能性があります。空港などでは、一時的に行列が長くなることも考えられます。
EESに続く「ETIAS」の導入
EESの導入と並行して、もう一つの重要なシステム「ETIAS(エティアス)」の導入も予定されています。ETIASは、ビザが免除されている国・地域(日本も含む)の渡航者が、渡航前にオンラインで申請し、渡航認証を取得することを義務付けるものです。アメリカのESTAやカナダのeTAに似たシステムと考えると分かりやすいでしょう。
- 導入予定時期: EESが安定稼働した後の2026年後半に導入される見込みです。
- 手続き: EESは「国境での入国手続き」に関するシステムですが、ETIASは「渡航前の事前申請」です。
つまり、今後のヨーロッパ旅行では、「出発前にETIASを申請・取得」し、「現地到着後にEESで生体認証登録・審査」という二段階の手続きが必要になります。
まとめ:ヨーロッパ旅行の準備が変わる
EESとETIASの導入により、ヨーロッパへの渡航手続きはより厳格でデジタル化されたものへと大きく変化します。特に、導入が間近に迫るEESについては、初回登録に時間がかかる可能性を念頭に置き、余裕を持った旅行計画を立てることが賢明です。
simvoyageでは、今後もEESおよびETIASに関する最新情報を追いかけ、旅行者の皆様に役立つ情報をお届けしていきます。渡航前には必ず、EUの公式サイトなどで最新の情報を確認するようにしてください。

