ベトナム中部のリゾート都市ダナンで、「ダナン国際観光フェスティバル2025」が華やかに開幕しました。このフェスティバルは、アジア太平洋地域で最も注目される観光イベントの一つであり、パンデミック後の力強い回復を見せるベトナム観光の未来像を発信する重要なプラットフォームです。世界各国から観光業界の専門家や旅行者が集う本イベントから、ベトナムの最新旅行トレンドと国際的な観光戦略を読み解きます。
急成長するベトナム観光とダナンの中心的な役割
回復から成長へ:数字で見るベトナム観光
ベトナム政府観光総局によると、2023年にベトナムを訪れた外国人観光客数は約1260万人に達し、当初目標の800万人を大幅に上回りました。この勢いは2024年も続いており、年間目標を1800万人と設定。そして2025年には、パンデミック以前のピークを超える2000万人の大台を目指すという野心的な計画を掲げています。
この力強い成長を牽引する中心地の一つが、開催地であるダナンです。美しいビーチ、世界遺産の街ホイアンやミーソン遺跡へのアクセスの良さに加え、近年では国際会議や企業イベントを誘致するMICE(マイス)観光のハブとしても急速に発展。最新のインフラが整備された国際空港は、世界中からの旅行者を迎え入れる玄関口としての機能を強化し続けています。
フェスティバルが示すベトナム観光の現在地
今回のフェスティバルでは、今後のベトナム観光を方向づけるいくつかの重要なテーマが浮かび上がりました。
サステナブル・ツーリズムへのシフト
環境保護と地域文化の尊重を重視した「サステナブル・ツーリズム(持続可能な観光)」が最大のテーマとなっています。各ブースでは、プラスチックごみの削減に取り組むホテルの事例や、少数民族の村を訪ねるエコツーリズムのプログラムが紹介され、単なる観光地の消費ではない、責任ある旅の形が提案されています。
スマートツーリズムとDXの加速
観光体験の向上を目指すデジタルトランスフォーメーション(DX)も大きな注目を集めています。多言語対応の観光案内アプリ、AIを活用した旅行プランのパーソナライズ、キャッシュレス決済の普及など、より快適でシームレスな旅を実現するための最新技術が披露されました。これにより、旅行者はスマートフォン一つで情報収集から予約、決済までを完結できるようになります。
多様化する旅のスタイル:ウェルネスと体験型観光
健康と癒やしを求める「ウェルネス・ツーリズム」も新たなトレンドとして確立されつつあります。高級スパリゾートでのリトリートプログラムや、自然の中で行うヨガセッションなどが人気を集めています。また、ベトナム料理のクッキングクラスやランタン作りといった、現地の文化に深く触れる「体験型観光」への需要も高く、よりパーソナルで記憶に残る旅が求められていることがわかります。
ダナンから世界へ:ベトナム観光の国際戦略と未来予測
このフェスティバルは、ベトナムが単なる安価なデスティネーションから、高品質で多様な魅力を持つ国際的な観光大国へと飛躍するための明確な意志表示と言えます。
戦略的な国際連携と市場拡大
イベントにはアジア諸国だけでなく、ヨーロッパや北米からの出展も目立ち、新たな国際路線の誘致や共同プロモーションに関する活発な商談が行われています。特に、これまでアプローチが手薄だった市場への働きかけを強めることで、観光客の多様化と安定した誘客を目指す戦略が見て取れます。
旅行者にもたらされる恩恵と今後の展望
今後、ベトナムを訪れる旅行者は、より質の高いサービスと多様な選択肢を享受できるようになるでしょう。サステナビリティやDXへの投資は、長期的に見て観光地の魅力を維持し、旅行体験を向上させます。一方で、人気観光地におけるオーバーツーリズムという課題にも向き合う必要があり、今回のフェスティバルで議論された「持続可能な開発」がその解決の鍵となります。
「ダナン国際観光フェスティバル2025」は、ベトナムが観光産業の未来に向けて確かな一歩を踏み出したことを世界に示すイベントとなりました。進化し続けるベトナムの新たな魅力を発見しに、次の休暇のデスティネーションとして検討してみてはいかがでしょうか。









