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    コロラド州観光、2024年の好調から一転、2025年は不透明な幕開けへ

    雄大なロッキー山脈と活気ある都市で知られる米国コロラド州。2024年は観光業にとって記録的な年となる見込みですが、2025年に向けてはその見通しに不確実性の影が差し始めています。本記事では、コロラド州の観光業が直面する現状と、今後の予測について背景情報と共に詳しく解説します。

    目次

    2024年の記録的な観光収入

    コロラド州観光局のデータによると、2024年の観光客による消費額は、前年の277億ドル(約4.4兆円)を上回るペースで推移しており、過去最高を記録する勢いです。パンデミック後の旅行需要の回復が続き、特にデンバーやボルダーといった都市部、そしてベイルやアスペンなどの主要な山岳リゾート地が多くの観光客を惹きつけました。

    この好調の背景には、パンデミック中に抑制されていた旅行意欲が爆発した「リベンジ旅行」のトレンドや、アウトドア志向の高まりがあります。国内外からの訪問者数がパンデミック前の水準を回復し、州内の観光関連の雇用も力強く回復しました。

    2025年に向けた不安定要素

    しかし、この好調な流れは2025年まで続くとは限らない、と専門家は警鐘を鳴らしています。いくつかの懸念材料が、来年の観光シーズンに影響を与える可能性を秘めています。

    経済的な不確実性と消費行動の変化

    最も大きな懸念は、世界的に続くインフレとそれに伴う個人の可処分所得の減少です。旅行調査会社Longwoods Internationalの最新レポートによると、米国の旅行者のうち34%が、経済的な懸念を理由に旅行計画をキャンセルまたは縮小したと回答しています。

    航空運賃、宿泊費、食費など、旅行にかかるあらゆるコストが上昇しており、消費者はより費用対効果の高い旅行を求める傾向にあります。これまで人気だった高価格帯のスキーリゾートや高級ホテルは、より手頃な選択肢との競争に直面する可能性があります。「贅沢な休暇」から「価値ある体験」へと、旅行者の優先順位が変化し始めているのです。

    気候変動がもたらすリスク

    コロラド州の観光業、特に冬のスキーリゾートは、気候に大きく依存しています。近年の暖冬傾向は、スキー場のオープン時期の遅れやシーズン期間の短縮を招き、収益に直接的な打撃を与えます。2023-24シーズンは比較的降雪に恵まれた地域もありましたが、気候変動による不安定な気象パターンは、長期的なリスクとして存在し続けています。

    また、夏には山火事のリスクが高まり、国立公園へのアクセス制限や大気質の悪化などを引き起こす可能性も指摘されています。これらの自然由来のリスクは、旅行者の計画を左右する重要な要因です。

    今後の予測と地域経済への影響

    専門家は、2025年のコロラド州の観光業は「調整期」に入ると予測しています。爆発的な需要の伸びは落ち着き、より持続的で安定した成長モデルへの移行が求められるでしょう。

    この変化は、観光業に大きく依存する地域の経済に直接的な影響を及ぼします。特に山岳リゾートタウンでは、観光収入の減少が地元の雇用や公共サービスに波及する可能性があります。

    この不確実な未来に対応するため、コロラド州の観光業界は新たな戦略を模索しています。

    • 価値の再定義: 単なる美しい景色だけでなく、文化体験、グルメ、ウェルネスなど、コロラドならではのユニークな価値を強調するプロモーションが強化されるでしょう。
    • オフシーズンの魅力向上: スキーやハイキングといった特定のシーズンに依存するのではなく、年間を通じて観光客を惹きつけるためのイベントやアクティビティの開発が進められています。
    • サステナビリティへの注力: 自然環境の保全を前面に打ち出し、環境意識の高い旅行者層にアピールする「サステナブル・ツーリズム」への取り組みも加速しています。

    2024年の成功を糧に、コロラド州の観光業は新たな挑戦の時を迎えています。経済や気候の不確実性を乗り越え、いかにして旅行者を惹きつけ続けることができるか。2025年は、その真価が問われる一年となりそうです。

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    この記事を書いたトラベルライター

    SimVoyage編集部は、世界を旅しながら現地の暮らしや食文化を体感し、スマホひとつで快適に旅する術を研究する旅のプロ集団です。今が旬の情報から穴場スポットまで、読者の「次の一歩」を後押しするリアルで役立つ記事をお届けします。

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