サワディーカップ。タイの熱気と知性に魅了された皆さま、こんにちは。ライターの勇気です。私はかつてカナダでのワーキングホリデーを経験し、そこで異文化の中でゼロから生活を立ち上げる難しさと楽しさを肌で感じてきました。現在は、その経験を糧にアジアの教育・生活情報の発信に力を入れています。カナダでは自由な気風の中で過ごしましたが、次なるステージとしてタイの教育事情を深掘りした際、その中心に君臨するチュラロンコン大学の存在感には圧倒されました。タイの最高学府、いわゆる「タイの東大」と呼ばれるこの大学は、単なる学び舎以上の誇りと伝統、そして未来への熱望に満ちています。今回は、日本からこの名門校を目指す方々のために、私のカナダでの失敗談も交えつつ、受験から入学、現地生活に至るまでの道のりを、どこよりも詳しく解説していきます。まずは、この大学がどのような場所にあり、どのような空気感を纏っているのか、その中心地を確認してみましょう。
タイでの学生生活を充実させるためには、現地のルールを事前に把握しておくことも大切です。例えば、タイの喫煙ルールを理解しておけば、思わぬトラブルを避けることができるでしょう。
東南アジア屈指の知の殿堂:チュラロンコン大学とは

チュラロンコン大学は、1917年にラーマ6世によって創立され、タイで最も長い歴史を持つ国立大学です。タイ王室とのつながりが深く、その名称はラーマ5世(チュラロンコン大王)にちなんで名付けられています。この大学は単なる教育機関にとどまらず、タイ社会のエリート層を次々と輩出する象徴的な存在です。私がカナダで知り合ったタイ人の友人も、「チュラ出身であること」が国内で非常に高い信頼と尊敬を集めると熱く語っていました。大学のシンボルカラーはピンクで、これはラーマ5世の誕生日にちなんだ色であるため、キャンパス内の至る所で目にすることができます。学生たちはこの伝統に誇りを持ち、学業だけでなく社会貢献や文化の継承にも熱心に取り組んでいます。日本の東京大学に近い地位ですが、学内の雰囲気は非常に活気にあふれ、バンコクのビジネス街サイアムに隣接しているため、常に新しいトレンドと伝統が融合しています。世界大学ランキングでも東南アジアのトップクラスに位置しており、その学問の質は確かなものです。
留学生のための国際プログラム「CU-i」を徹底解剖
タイ語が流暢でなくても、チュラロンコン大学で学ぶチャンスは大きく広がっています。その代表例が「Chulalongkorn University International Programs」、略して「CU-i」です。このプログラムはすべての授業が英語で行われ、世界中から優秀な学生を引き寄せることを目的としています。日本から正式に留学を希望する場合、多くはこの国際プログラムの学部を受験することになるでしょう。以下のような魅力的な学部が用意されています。
・BBA(経営学部):国際ビジネスに特化し、チュラの中でも難関かつ人気の高い学部です。 ・EBA(経済学部):英語で経済学を深く学び、国際機関や金融業界でのキャリア形成に適しています。 ・BALAC(言語文化学部):文化や文学、コミュニケーションを多角的に学び、創造的な思考力を養成します。 ・ISE(工学部):最先端のエンジニアリング技術を英語で学び、世界水準の技術者を目指します。 ・COMM ARTS(コミュニケーション芸術学部):メディアやPRに特化し、タイのエンターテインメント業界と強いつながりを持っています。 ・INDA(建築デザイン国際プログラム):デザイン志向の建築教育を英語で実施し、国際的なデザイナーの育成に力を入れています。
これらのプログラムは、タイの学生にとっても非常に競争が激しい門戸です。以前カナダでワーキングホリデーをしていた際、多国籍の大学生活に驚かされましたが、チュラの国際プログラムも負けていません。タイのエリート層に加え、近隣諸国や欧米からの留学生も多数集まり、高いレベルで互いに切磋琢磨できる環境が整っています。
日本からの受験プロセス:完全ステップバイステップ

日本にいながらチュラロンコン大学の受験をするのは、一見すると難易度が高いように思えますが、手順をきちんと踏めば決して不可能ではありません。カナダでの部屋探し同様、海外での手続きは「正確な情報」と「迅速な対応」が重要です。まずは、一般的な出願の流れを確認してみましょう。
・情報収集と出願時期の確認:チュラロンコン大学の出願は年に数回実施されますが、主な募集期間は例年12月から1月にかけての第1期(Early Round)、および2月から3月にかけての第2期(Admission Round)です。学部によって若干異なることがあるため、必ず志望学部の公式ウェブサイトをチェックしてください。 ・オンラインアカウントの登録:大学の公式ポータルサイトや学部ごとの出願システムにてアカウントを開設します。ここで全ての提出書類をアップロードします。 ・提出書類の準備:高校の成績証明書(英文)、卒業見込み証明書(英文)、パスポートのコピー、そして何より重要な「標準テストのスコア」を用意しましょう。 ・検定料の支払い:クレジットカード等で出願料を支払う必要があります。支払いを忘れると出願が受理されませんので注意が必要です。 ・面接(インタビュー):書類審査を通過した場合、面接が求められることがあります。多くはオンライン(Zoom等)で実施されますが、学部によっては現地での実施を求められることも稀にあります。現状、オンライン面接が主流となっています。
私の経験から言うと、海外の大学事務局は日本の感覚に比べて返信が遅かったり、案内が曖昧だったりすることがあります。疑問点がある場合は、早めにメールで問い合わせるなど積極的に対応する「プッシュする姿勢」が必要です。待っているだけでは問題は解決しません。
合否を分ける重要スコア:英語と学力試験の対策
チュラロンコン大学の国際プログラム入試において、最も際立っている特徴は「試験スコア重視の選考方式」である点です。日本の一般入試のような大学独自の筆記試験は実施されず、世界共通のテストスコアによって足切りや選考が行われます。主に求められるスコアは以下の通りです。
・英語能力証明:IELTS(アイエルツ)またはTOEFL iBTのスコアが必須です。学部によって異なりますが、IELTSでは最低6.0〜6.5、難関学部では7.0以上のスコアが求められます。かつてカナダにいた際、日常会話には自信がありましたが、アカデミックなスコアを獲得するためには専門的な対策が必要であることを痛感しました。 ・学力証明(数学・適性試験):SAT(アメリカの大学進学適性試験)のスコアが広く認められています。特に「Math」セクションの得点が非常に重要視されます。学部によってはACTやCU-AAT(チュラロンコン大学独自の適性試験)も利用可能です。 ・特定科目の試験:工学部(ISE)など一部の学部では、SAT Subject Test(現在は廃止傾向にあり、代替となる試験に注意が必要)、AP(Advanced Placement)、IB(国際バカロレア)のスコア提出が求められる場合があります。
これらのスコアは、出願締め切りまでに公式のスコアレポートが大学側に届いていなければなりません。テストセンターからの送付には時間がかかるため、出願の1ヶ月前までには受験を完了し、送付手続きを済ませておくことが鉄則です。「ぎりぎりで間に合えばいい」という甘い考えは、海外の大学入試においては致命的な失敗を招く恐れがあります。
入学準備チェックリスト:何を持っていくべきか

合格通知を受け取り入学を決めたら、次に渡航準備に取りかかります。私がカナダに向かった際は、荷物を詰め込みすぎてしまい、実際には半分以上使わなかったという苦い経験があります。そこで、タイでの学生生活に本当に必要なものをリストアップしました。
・学術書類の原本:オンラインで提出した成績証明書や卒業証明書の原本は、現地での登録時に必ず求められます。厳封されたものを複数用意しておくと安心です。 ・パスポートおよびビザ関連書類:学生ビザ(EDビザ)申請に必要な書類一式。大学から送られてくる入学許可証(Acceptance Letter)は非常に重要で、命の次に大切に扱いましょう。 ・制服の準備:チュラロンコン大学には制服があります。基本的には現地で購入しますが、白い襟付きシャツや黒のスラックス・スカートは日本から数着持っていくと、到着したばかりの数日間を乗り切るのに役立ちます。ボタンやベルト、ネクタイといったアクセサリー類は大学内のショップで購入する必要があります。 ・パソコン:高性能のノートパソコンは必須です。レポート作成やプレゼン準備、オンライン授業などで毎日使用します。タイでも購入可能ですが、日本語キーボードに慣れている場合は日本で新調していくのがおすすめです。 ・常備薬:タイの薬は成分が強いことが多く、普段使い慣れた解熱鎮痛剤や胃腸薬、絆創膏などは多めに持参することをおすすめします。 ・証明写真:ビザ更新や学内手続きで予想以上に大量の証明写真が必要になります。背景が青や白など指定される場合が多いため、データを持参するか現地で安価に撮影するのがよいでしょう。
キャンパスでのルール:制服からマナーまで
チュラロンコン大学には、日本人にとっては驚くほど独特なルールや文化が根付いています。これらを無視すると教職員から注意を受けたり、試験の受験が認められなかったりすることがあるため、事前に理解しておくことが非常に重要です。
・制服の厳守:最も大切なルールの一つが制服の着用です。男子学生は白いシャツに黒または紺のスラックスを着用し、女子学生は白いシャツに紺または黒のスカートを身につけます。さらに、大学指定のボタンやピン、ベルト、ネクタイも必ず装着します。カナダの自由なキャンパスファッションとは大きく異なりますが、この制服こそがチュラロンコン生の誇りとされています。試験や正式な式典時には、より厳格な正装が求められます。 ・目上の人への敬意:タイは階層意識が非常に強い社会です。教授や年長の学生に対しては、手を合わせて挨拶をする「ワイ」の礼儀を忘れず、言葉遣いも丁寧にすることが必要です。 ・王室への敬意:大学の設立に王室が関わっていることから、学内で行われる王室関連の式典や、夕方に流れる国歌には最敬礼の姿勢を示すべきです。不敬な態度は絶対に避けましょう。 ・キャンパス内の禁止事項:建物内部での飲食が制限されている場所が多く存在します。また、公共の場での過度な親密な行動も、タイの伝統的な価値観から好ましくないとされています。
これらのルールを守ることは、現地のコミュニティに受け入れられるための第一歩です。自由気ままなワーキングホリデー生活とは異なり、節度を持った学生生活が求められます。
チュラロンコン大学での学生生活と費用

バンコクの中心部に位置するキャンパスは、まさに「都会のオアシス」と呼べる場所です。緑あふれる敷地内には、最新設備を備えた図書館やスポーツ施設、さらに多彩な学食(カンティーナ)が充実しています。学生生活を具体的にイメージしやすくするため、費用面についても触れておきましょう。
・授業料:国際プログラムの授業料は学部によって異なりますが、年間でおよそ30万バーツから60万バーツ(約120万〜240万円)ほどです。タイの一般的なプログラムに比べると高めですが、英米の大学に比べるとかなりお手頃です。 ・生活費:大学近くのコンドミニアムや寮に住む場合、家賃の相場は月15,000バーツ〜25,000バーツ(約6万〜10万円)です。食費は学食なら一食50バーツ(約200円)程度で済みますが、サイアムの洒落たカフェに行くと、日本と同じかそれ以上の費用がかかります。 ・交通費:大学周辺はBTS(スカイトレイン)やMRT(地下鉄)が整備されていますが、学生は無料で利用できる「CUシャトルバス」という学内バスがあります。ピンク色のかわいらしいバスがキャンパス全体を網羅しており、移動に不便を感じることはありません。
私はカナダで生活費を稼ぐために必死にアルバイトをしていましたが、タイの学生ビザでは基本的に就労が禁止されています。しっかりとした資金計画を立てたうえで渡航することが、学業に集中するための絶対条件です。
トラブルへの備え:留学中に困ったときは
海外での生活にはトラブルがつきものです。特にチュラのような大きな組織では、手続きの不備やコミュニケーションの誤解が生じやすい傾向にあります。そうした状況に備え、適切な対応方法を知っておくことが重要です。
・書類の遅延や紛失:入学許可証が届かなかったり、ビザ関連の書類が不足したりすることはよく起こり得ます。このような場合は、すぐに大学の「Office of International Affairs (OIA)」に連絡を取りましょう。彼らは留学生の力強いサポートとなります。できれば直接オフィスを訪れて事情を説明するのが最も確実です。 ・健康トラブル:急な病気やケガが発生した際には、大学内にある「Chulalongkorn University Health Service Center」で学生は基本的な診察を無料で受けられます。より詳細な検査や治療が必要な場合は、隣接するチュラロンコン病院を利用することになります。 ・メンタルヘルス:慣れない異国の環境で学ぶことは大きなストレスとなることがあります。大学にはカウンセリングサービスも整っていますので、悩みを一人で抱え込まず、ぜひ相談してください。 ・ビザの更新忘れ:これは非常に深刻なトラブルの一つです。滞在期限を一日でも過ぎると罰金が科され、最悪の場合は強制送還のリスクもあります。必ずカレンダーに期限を記入し、少なくとも1ヶ月前には大学の国際事務局で更新手続きを始めましょう。
トラブルを完全に避けるのは難しいものの、事前に「どこに相談すべきか」を把握しておくだけで、心の余裕が大きく変わります。
夢を叶えるための最終ステップ

チュラロンコン大学への入学は、あなたの人生における重要な第一歩となるでしょう。合格を目指す過程では、終わりの見えない試験勉強や複雑な書類準備に心が折れそうになることもあるかもしれません。私自身もカナダでの初期の生活で、言葉が通じず手続きに苦労し、アパートのロビーで途方に暮れた経験が何度もありました。しかし、その困難を乗り越えた先には、予想もしなかった新たな世界と、生涯にわたる自信が待っています。
チュラでの学びは単なる知識の獲得に留まらず、タイの将来を担うリーダーたちと過ごす時間が、あなたの価値観を根本から揺るがし、アジアや世界を深く理解する視野を育ててくれるでしょう。ピンクの制服を纏い、バンコクの喧騒の中にある落ち着いたキャンパスを歩く自分の姿を思い描いてみてください。その夢は、正確な情報に基づいた確かな準備から始まります。準備はできましたか?タイのトップ大学があなたの挑戦を心待ちにしています。
公式情報は常に更新されるため、以下の公式サイトを定期的にご確認されることを強くお勧めします。
Chulalongkorn University Official Website Office of International Affairs and Global Network Royal Thai Embassy, Tokyo (Visa Information)

