2025年11月18日、ウズベキスタンの首都タシケントで開催された首脳会議(タシケントサミット)において、中央アジアと南コーカサスの国々が、経済、文化、観光分野における広域連携を強化する共同宣言を発表しました。この歴史的な合意は、ユーラシア大陸の心臓部における新たな協力関係の幕開けを意味し、国際旅行の未来にも大きな影響を与える可能性があります。
タシケントサミットで何が合意されたのか
今回のサミットには、中央アジア5カ国(カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン)と南コーカサス3カ国(ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャン)の首脳が集結。共同宣言では、以下の内容を柱とする地域協力の深化が盛り込まれました。
- 交通インフラの連結性向上: 域内の国境を越える高速鉄道や道路網の整備を共同で推進。特に、欧州とアジアを結ぶ新たな物流ルート「中間回廊」の機能を強化する。
- ビザ制度の調和と簡素化: 将来的な統一観光ビザの導入も視野に、旅行者が複数の国を周遊しやすくなるような制度改革を検討する。
- 共同観光プロモーション: シルクロードの歴史遺産やコーカサスの壮大な自然といった共通の観光資源を「広域観光ルート」として共同でPRし、世界中の旅行者を誘致する。サミットでは、今後5年間で域外からの観光客数を現状の1.5倍に増やすという具体的な目標も掲げられました。
- 経済・エネルギー協力の強化: 域内貿易の障壁を撤廃し、2030年までに貿易額を倍増させることを目指す。
連携強化の背景:なぜ今、この地域が結束するのか
この動きの背景には、近年の国際情勢の変化と、両地域が経済的な自立を模索している現実があります。ロシアや中国といった大国との関係に変化が生じる中、中央アジアと南コーカサスの国々は、相互の結びつきを強めることで地域全体の安定と発展を目指しています。
特に、アジアとヨーロッパを結ぶ「中間回廊(Trans-Caspian International Transport Route)」の重要性が高まっていることが大きな要因です。このルートはカスピ海を経由し、ロシアを迂回して物資やエネルギーを輸送できるため、地政学的な価値が急上昇しています。今回の連携強化は、この回廊を人や文化の交流ルートとしても活性化させる狙いがあります。
ウズベキスタンは2018年のビザ大幅緩和後、外国人観光客数が2倍以上に増加した実績があり、こうした成功体験を地域全体に広げようという機運も高まっています。
旅行者への影響:私たちの旅はこう変わる
この歴史的な連携強化は、私たち旅行者にとって数多くのメリットをもたらす可能性があります。
周遊旅行がより手軽で身近に
これまで国ごとに取得が必要だったビザが、将来的には共通化・簡素化されることで、中央アジアと南コーカサスを巡る周遊旅行のハードルが劇的に下がるでしょう。「シルクロードの古代都市とコーカサスのワイン産地を一度の旅行で訪れる」といった、夢のようなプランが現実的になります。
移動のストレスが軽減され、選択肢が広がる
国境をまたぐ高速鉄道やバス路線の新設・増便により、陸路での移動がよりスムーズになります。また、各国の航空会社が連携し、ハブ空港であるタシケントやバクー、トビリシなどを経由した乗り継ぎ便が増加することも期待されます。これにより、移動時間の短縮はもちろん、旅行費用の抑制にも繋がる可能性があります。
新たな魅力を持つ観光デスティネーションの誕生
両地域が協力して観光ルートを開発することで、これまで知られていなかった魅力的な場所が光を浴びることになります。例えば、「世界遺産を巡るシルクロード・エクスプレス」や「コーカサス3国縦断トレッキングルート」など、テーマ性のある壮大な旅が商品化されるかもしれません。文化交流も活発化し、各地で共同のフェスティバルやイベントが開催されることも考えられます。
今回のタシケントサミットでの合意は、まだ始まりに過ぎません。しかし、古代シルクロードの交差点であったこの地域が、再び世界中の人々を繋ぐハブとして生まれ変わろうとしています。simvoyageは、この新しいデスティネーションの今後の動向に注目していきます。

