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2026年、世界のビジネストラベルに迫る3つの課題:「コスト」「ビザ」「安全性」が未来の鍵に

世界的なビジネストラベル協会(GBTA)が発表した最新の調査レポートは、2年後のビジネス渡航の未来に横たわる重要な課題を浮き彫りにしました。世界中のビジネストラベル専門家が最も懸念しているのは、「費用の手頃さ」「ビザ取得の容易さ」、そして「従業員の安全性」です。これらの課題は、企業が出張を計画し、従業員を海外へ送り出す上で、新たな戦略を必要とすることを示唆しています。

目次

専門家が指摘する3大懸念事項

今回の調査で明らかになった2026年のビジネストラベルにおける懸念事項は、今後の企業活動や出張者の体験に大きな影響を与える可能性があります。

最も大きな壁は「コスト」

調査対象者の70%が「旅行費用の手頃さ」を最大の懸念として挙げており、この傾向は特に米国を拠点とする旅行バイヤー(企業の出張手配担当者など)の間で顕著で、その割合は76%に達します。

背景: パンデミック後の急速な旅行需要の回復に対し、航空業界や宿泊業界の供給体制が追いついていないことが、価格高騰の大きな要因です。加えて、世界的なインフレ、不安定な燃料価格、そして持続可能性(サステナビリティ)への対応コストなどが運賃や宿泊費に上乗せされ、企業が出張予算を圧迫する状況が続くと見られています。

手続きの煩雑化が進む「ビザ・出入国」

次に大きな懸念として、65%が「出入国許可やビザ取得の容易さ」を挙げました。この問題は、航空会社やホテルなどのサプライヤー側でより深刻に受け止められており、72%が高い関心を示しています。

背景: 各国でセキュリティ強化を目的とした入国管理制度の変更が相次いでいます。例えば、欧州では渡航認証システム「ETIAS」の導入が予定されており、これまでビザ免除で渡航できていた国籍の旅行者も、事前のオンライン申請と認証が必要となります。このような手続きの追加や複雑化は、急な出張の妨げとなり、計画段階での時間的・人的コストを増大させる要因となります。

重要性を増す「従業員の安全性」

56%が懸念事項とした「従業員の安全性」は、単に現地の治安問題だけを指すものではありません。地政学的リスクの高まり、気候変動に伴う自然災害の増加、そして従業員の心身の健康(ウェルビーイング)までを含む、より広範な概念へと進化しています。

背景: 企業には従業員に対する「安全配慮義務(デューティー・オブ・ケア)」が法的に求められており、その範囲は拡大し続けています。テロや紛争、感染症のパンデミックといった従来のリスクに加え、出張先でのメンタルヘルス不調や過労なども管理対象に含まれるようになり、企業はより高度なリスク管理体制の構築を迫られています。

予測される未来と私たちへの影響

この調査結果は、今後のビジネストラベルが大きな転換期にあることを示しています。

企業に求められる戦略的アプローチ

今後は、単なるコスト削減を目的とした出張制限ではなく、出張のROI(投資対効果)をより厳密に評価する動きが加速するでしょう。本当に必要な渡航を見極め、テクノロジーを活用してコストを可視化し、リスク管理ツールを導入することが不可欠となります。同時に、従業員の満足度と安全を確保するために、出張と休暇を組み合わせた「ブレジャー」のような柔軟な制度や、手厚いサポート体制の構築が、優秀な人材を確保する上でも重要になってきます。

出張者(旅行者)が備えるべきこと

私たち旅行者にとっても、これらの変化は無関係ではありません。出張の承認プロセスが以前より厳格化する可能性があります。渡航前には、訪問国の最新の入国要件やビザ情報を自ら確認し、余裕を持ったスケジュールで準備を進める必要があります。また、会社の安全ガイドラインを正しく理解し、緊急時の連絡手段や避難計画を把握しておくことが、自身の安全を守る上でこれまで以上に重要となるでしょう。

2026年に向けて、ビジネストラベルは「コスト効率の追求」と「従業員という人的資本の保護」という2つの大きなテーマの間で、新たなバランスを見つけることを迫られています。企業と旅行者の双方がこれらの変化に適応していくことが、グローバルなビジネスシーンで成功を収めるための鍵となりそうです。

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この記事を書いたトラベルライター

SimVoyage編集部は、世界を旅しながら現地の暮らしや食文化を体感し、スマホひとつで快適に旅する術を研究する旅のプロ集団です。今が旬の情報から穴場スポットまで、読者の「次の一歩」を後押しするリアルで役立つ記事をお届けします。

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