ベトナムのLCC(格安航空会社)ベトジェットエアは、九州の玄関口である福岡と、ベトナム最大の都市ホーチミンを結ぶ直行便を、2024年3月11日から期間減便することを発表しました。
現在毎日運航されているこの人気路線が週4往復体制となることで、旅行者への影響も予想されます。今回の決定の背景には、単なる需要の変動だけではなく、航空業界全体が直面する構造的な課題も垣間見えます。本記事では、減便の詳細とともに、その背景と今後の見通しについて詳しく解説します。
2024年3月11日から週4往復体制へ
今回の路線計画見直しの具体的な内容と、影響を受ける予約客への対応について確認しておきましょう。
減便の概要
ベトジェットエアの福岡〜ホーチミン線は、以下の通り運航便数が変更されます。
- 対象期間: 2024年3月11日から2024年10月23日まで
- 変更前: 毎日1往復(週7往復)
- 変更後: 週4往復(火・木・土・日曜のみ運航)
これにより、期間中の月・水・金曜のフライトが運休となります。毎日運航から週4往復へと、供給座席数は約4割減少することになります。
影響を受ける予約客への対応
ベトジェットエアは、すでに運休対象便を予約している乗客に対し、以下のいずれかの対応を行うとしています。
- 減便対象便の前後の72時間以内に出発するフライトへの無償変更
- 経由便を含めた代替ルートの提案
- 航空券代金の払い戻し
対象となる方は、航空会社からの連絡を確認し、早めに手続きを進めることをお勧めします。
なぜ減便?背景にある2つの要因
航空会社は減便の理由を「需要の変動に対応するため」としていますが、その背景には複数の要因が複雑に絡み合っていると考えられます。
公式発表に見る「需要の変動」
ベトナムから日本へのインバウンド需要は、コロナ禍後も非常に好調です。日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2023年の訪日ベトナム人数は過去最高となる57万3900人を記録し、コロナ禍前の2019年と比較しても15.9%増となりました。
一方で、日本からベトナムへのアウトバウンド需要は、急激な円安の影響で伸び悩んでいる側面があります。海外旅行費用が割高になることで、日本人旅行者の回復ペースがインバウンドに追いついていない状況です。この日本行き(インバウンド)とベトナム行き(アウトバウンド)の需要の不均衡が、路線全体の収益性に影響を与え、今回の便数見直しにつながった可能性があります。
水面下で進む「機材不足」の可能性
もう一つの大きな要因として、航空業界全体を揺るがしている機材問題が挙げられます。
現在、世界中の航空会社で、エアバスA320neoシリーズなどに搭載されているプラット・アンド・ホイットニー社製のエンジン(PW1100G-JM)に製造上の問題が見つかり、大規模なリコールと点検作業が行われています。
ベトジェットエアも、このエンジンの影響を受ける主力機材「エアバスA321neo」を多数保有しています。点検のために長期間運航から外れる機材が相次いでおり、世界中のLCCが稼働機材の減少に直面しています。この機材繰りの問題が、需要が比較的低い曜日や路線の便数を調整せざるを得ない状況を生み出している、という見方が有力です。
今後の影響と旅行者が知っておくべきこと
今回の減便は、旅行者や今後の航空ネットワークにどのような影響を与えるのでしょうか。
旅行者への直接的な影響
まず、福岡からホーチミンへの直行便の選択肢が大幅に減少し、利便性が低下します。特に、週末と絡めて旅行を計画しやすい金曜出発や月曜帰国といったプランが立てにくくなるため、旅行日程の調整が必要になるでしょう。
また、供給座席数が減少することで、需要が高い時期には航空券の価格が上昇する可能性も考えられます。これまでLCCならではの安価な価格でベトナム旅行を楽しんでいた利用者にとっては、今後の価格動向を注視する必要があります。
福岡〜ベトナム間の航空ネットワークの未来
今回の措置はあくまで「期間減便」であり、恒久的なものではありません。今後の需要回復や、航空会社の機材問題が解消されれば、再びデイリー運航に戻る可能性は十分にあります。
一方で、今回の減便により、同路線を運航するベトナム航空などの競合他社にとってはビジネスチャンスとなります。ベトジェットエアが運休する曜日の需要を取り込むことで、今後の路線全体の勢力図に変化が生まれるかもしれません。
今回のベトジェットエアの決定は、円安や世界的な機材問題といった複合的な要因が絡んだ結果と言えるでしょう。影響を受ける旅行者は、自身の予約状況を再確認し、必要に応じて代替案を検討することが求められます。活発な交流が続く日本とベトナムを結ぶ空の便が、再び活気を取り戻す日を期待し、今後の動向を見守っていきましょう。

