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    ベルリン空港、ドローンで一時閉鎖 航空安全への新たな脅威が浮き彫りに

    ドイツの首都ベルリンの空の玄関口、ベルリン・ブランデンブルク空港(BER)で、現地時間2025年5月28日の夜、空港敷地内でドローンが目撃されたことにより、約2時間にわたり航空機の運航が全面的に停止する事態となりました。この事件は、旅行者に大きな影響を与えただけでなく、現代の空港が直面する新たなセキュリティ上の脅威を改めて浮き彫りにしました。

    目次

    2時間にわたる混乱、30便以上に影響

    空港当局の発表によると、最初のドローン目撃情報は午後7時半頃に報告されました。安全確保のため、空港は直ちに滑走路を閉鎖し、全ての離着陸を停止する措置を取りました。

    この影響で、着陸予定だった便はライプツィヒなど近隣の空港への目的地変更(ダイバート)を余儀なくされ、出発を待っていた便は大幅な遅延が発生しました。運航が再開されたのは午後9時過ぎで、この約2時間の中断により、合計で30便以上のフライトと多くの乗客が影響を受けたと報告されています。

    連邦警察はヘリコプターを出動させて空港周辺を捜索しましたが、ドローン本体や操縦者を発見することはできませんでした。

    なぜドローンはこれほど大きな脅威なのか

    一機のドローンが、なぜ主要な国際空港の機能を完全に麻痺させることができるのでしょうか。その背景には、航空安全に対する深刻なリスクが存在します。

    航空機との衝突リスク

    ドローンが航空機のエンジンに吸い込まれた場合、エンジンが停止し、墜落につながる可能性があります。また、翼や尾翼、コックピットの窓に衝突すれば、機体の制御に深刻なダメージを与える恐れがあります。特に、航空機が低速・低空で飛行する離着陸時は最も脆弱であり、空港周辺でのドローン飛行は極めて危険です。

    ドイツでは法律により、空港の敷地から1.5キロメートル以内でのドローン飛行は固く禁じられています。しかし、悪意を持った操縦や、規制を知らないことによる過失が後を絶たないのが現状です。

    世界で頻発する同様の事件

    空港がドローンによって閉鎖される事件は、これが初めてではありません。記憶に新しいのは、2018年12月に英国のロンドン・ガトウィック空港で発生した事件です。この時は、断続的なドローンの目撃により空港が約36時間にわたって閉鎖され、約1,000便が欠航・遅延、約14万人の旅行者に影響が及ぶという大混乱に陥りました。

    これらの事件は、ドローンがテロや妨害行為のツールとして悪用される可能性も示唆しており、各国で対策が急務となっています。

    予測される未来と旅行者への影響

    今回のベルリン空港での事件を受け、空港のセキュリティ対策は新たな段階に進むことが予測されます。

    空港の対策強化と技術革新

    将来的には、レーダーや音響センサー、電波探知などを組み合わせた高度な「ドローン検知システム」の導入が世界中の空港で標準となるでしょう。さらに、検知したドローンを無力化するための「カウンタードローン技術」も進化が期待されます。これには、ドローンの通信を妨害するジャミング装置や、物理的に捕獲するネットランチャーなどが含まれます。

    規制と罰則の強化

    各国政府は、ドローンの登録義務化や、操縦者のライセンス制度の導入をさらに進める可能性があります。また、空港周辺などの飛行禁止区域でドローンを飛行させた者に対する罰則(高額な罰金や懲役刑)は、より一層厳しくなることが予想されます。

    旅行者が注意すべきこと

    私たち旅行者にとって、ドローンによるフライトの遅延や欠航は、今後も起こりうるリスクとして認識しておく必要があります。旅行の際は、出発前に航空会社のウェブサイトやアプリで運航状況をこまめに確認することが重要です。また、予期せぬ遅延や空港での待機に備え、旅行保険の内容を確認しておくことも賢明な対策と言えるでしょう。

    今回の事件は、技術の進化がもたらす利便性の裏に潜む新たなリスクを象徴しています。空の安全を守るため、空港、政府、そして技術開発企業が一体となった包括的な対策が、これまで以上に求められています。

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    この記事を書いたトラベルライター

    SimVoyage編集部は、世界を旅しながら現地の暮らしや食文化を体感し、スマホひとつで快適に旅する術を研究する旅のプロ集団です。今が旬の情報から穴場スポットまで、読者の「次の一歩」を後押しするリアルで役立つ記事をお届けします。

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