タイの首都バンコクの主要な玄関口であるスワンナプーム国際空港（BKK）で、断続的な大雨により多数のフライトに遅延が発生しています。この影響は日本とバンコクを結ぶ便にも及んでおり、夏休みシーズンを利用して現地へ渡航予定の方、また現地から帰国予定の方は最新の運航情報に注意が必要です。
現状：30便以上が遅延、空港機能に一時的な支障
現地からの報道によると、この激しい雨の影響で、スワンナプーム国際空港を発着する少なくとも30便に遅延が生じました。原因は、視界不良による離着陸の制限や、雷を伴う豪雨による地上作業の安全確保のための一時的な中断とみられています。
スワンナプーム国際空港は東南アジアを代表するハブ空港であり、世界中からの旅行者が乗り継ぎで利用します。そのため、今回の遅延はバンコクを最終目的地とする乗客だけでなく、ここで他の便に乗り換える予定だった多くの旅行者の足にも影響を与えています。
背景：東南アジア特有の「雨季」がもたらすリスク
今回の遅延の直接的な原因は天候ですが、その背景にはタイの気候的特徴があります。タイは現在、モンスーンの影響を受ける「雨季」（例年5月〜10月頃）の最盛期を迎えています。
この時期の特徴は、「スコール」と呼ばれる突発的で非常に激しい雨が降ることです。航空機の運航において、このような豪雨は深刻な影響を及ぼします。
- 地上作業の停止: 雷を伴う雨の場合、乗客の安全と地上職員の安全を確保するため、給油、手荷物の積み下ろし、機内食の搬入といった屋外での作業がすべて中断されます。これにより、出発準備が大幅に遅れることになります。
- 離着陸への影響: 強い雨は視界を著しく悪化させます。また、滑走路に大量の雨水が溜まると、航空機が着陸する際にタイヤと路面の間に水膜ができてスリップする「ハイドロプレーニング現象」のリスクが高まります。安全な離着陸が保証できないと判断された場合、航空機は上空で待機するか、近隣の空港へ目的地を変更することもあります。
予測される未来と旅行者が取るべき対策
今後の影響予測
天候が回復した後も、遅延の影響はしばらく続くと予測されます。一つの便の遅延が、その機材を使用する後続便や、乗務員の勤務スケジュールに連鎖的に影響を及ぼす「玉突き遅延」が発生する可能性があるためです。また、遅延便を待つ乗客で空港内の混雑が続くことも考えられます。
気候変動の影響で、近年は世界的に異常気象の頻度と激しさが増しています。今後も雨季の間は、今回のような突発的な豪雨によるフライトの混乱が起こりうることを念頭に置く必要があります。
旅行者へのアドバイス
タイへの渡航を予定している方、または現在滞在中の方は、以下の点に注意してください。
- 運航情報のこまめな確認: ご利用予定の航空会社の公式サイトや公式アプリ、スワンナプーム国際空港のウェブサイトなどで、フライトの運航状況をリアルタイムで確認することが最も重要です。
- 余裕を持ったスケジュール: 雨季にタイへ渡航する際は、フライト遅延の可能性を考慮し、乗り継ぎ時間や現地でのスケジュールに十分な余裕を持たせることをお勧めします。特に、帰国便の当日に重要な予定を入れるのは避けた方が賢明です。
- 海外旅行保険の確認: 万が一のフライト遅延や欠航に備え、ご自身が加入している海外旅行保険の補償内容を確認しておきましょう。「航空機遅延費用補償」が付帯していれば、遅延によって発生した宿泊費や食事代などが補償される場合があります。
スワンナプーム国際空港は、コロナ禍以前の2019年には年間約6,540万人の旅客が利用したアジアの重要拠点です。今回の事態は、自然現象がいかに現代のグローバルな交通網に大きな影響を与えるかを改めて示しています。旅行者の皆様は、安全を第一に、冷静な情報収集と対応を心がけてください。
