世界的な人気を誇るリゾート地、インドネシア・バリ島が、外国人旅行者に対する入国要件の厳格化を検討していることが明らかになりました。バリ州政府は、「質の高い観光」の実現に向け、銀行口座の記録や詳細な旅程表の提出などを義務付ける法案を議会に提出する見通しです。
この動きは、バリ島が直面する課題への対策であり、今後のバリ旅行のあり方に大きな影響を与える可能性があります。本記事では、このニュースの背景と、旅行者にどのような影響が予測されるのかを詳しく解説します。
なぜ今、入国要件を厳格化するのか?
今回の法案検討の背景には、パンデミック後の観光客急増に伴い、顕在化したいくつかの問題があります。
背景1:深刻化する不法就労とマナー違反
観光ビザで入国しながら、ヨガのインストラクターやカメラマン、コンサルタントなどとして違法に就労する外国人が問題となっています。これは地元の雇用機会を奪うだけでなく、税収の面でも問題視されています。
実際に、インドネシア法務人権省のデータによると、2023年1月から5月までの間だけで132人の外国人が、ビザの不法滞在や規則違反などを理由にバリ島から強制送還されました。
また、ヘルメットを着用せずにバイクを運転する、神聖な寺院や樹木で不適切な写真を撮るといった観光客のマナー違反も後を絶たず、地域住民の反感や文化・自然環境への悪影響が懸念されています。
背景2:「質の高い観光」へのシフト
バリ州政府は、単に観光客の数を追うのではなく、地域経済や文化、環境に対してより良い貢献をする「質の高い観光客」を誘致する方針を掲げています。
パンデミックからの回復は目覚ましく、2023年にバリ島を訪れた外国人観光客は約520万人に達し、パンデミック前の2019年(約630万人)に迫る水準まで回復しました。しかし、この急回復がオーバーツーリズムの問題を再燃させ、交通渋滞やゴミ問題などを深刻化させている側面もあります。
今回の入国要件厳格化は、こうした問題に対処し、観光地のブランドイメージを向上させ、持続可能な観光地としての未来を築くための重要な一歩と位置づけられています。
具体的に何が求められるようになるのか?
報道によると、検討されている主な新要件は以下の通りです。
- 銀行口座の記録の提示
滞在中に十分な資金を持っていることを証明するために、銀行口座の残高証明などが求められる可能性があります。これにより、不法就労を目的とした入国を防ぐ狙いがあります。
- 往復航空券の提示
出国予定があることを明確にするための要件です。これは不法滞在を防止する目的で、これまでも多くの国で実質的に確認されていましたが、より厳格に適用される可能性があります。
- 詳細な旅程表の提出
滞在中の宿泊先や訪問予定地などを具体的に記した旅程表の提出が求められる見込みです。観光目的の入国であることを明確にし、行動を把握しやすくする意図があると考えられます。
旅行者への影響と今後の展望
もしこの法案が可決・施行された場合、バリ島への旅行者には以下のような影響が考えられます。
準備のハードルが上がる可能性
これまで比較的気軽に訪れることができたバリ島ですが、今後は事前の書類準備がより重要になります。特に、予算を抑えて旅をするバックパッカーや、現地で滞在先を決めながら旅をするスタイルの旅行者にとっては、大きなハードルとなるかもしれません。
一部の旅行者層の変化
入国要件が厳しくなることで、一部の旅行者がバリ島を避け、タイやベトナムといった近隣の観光地を選ぶ可能性も指摘されています。長期的には、バリ州政府が目指すように、経済的に余裕のある層や、明確な目的を持った旅行者が中心となる可能性があります。
観光地の環境改善への期待
一方で、この政策が成功すれば、マナー違反やトラブルが減少し、より安全で快適な旅行環境が実現するかもしれません。交通渋滞やゴミ問題が緩和され、静かで美しいバリ島の魅力が保たれることにつながると期待されています。
今後の動向に注目を
現時点では、この計画はまだ「法案提出の見込み」の段階であり、議会での審議を経て可決される必要があります。具体的な要件の内容や施行時期については、今後の公式発表を待つ必要があります。
simvoyageでは、引き続きバリ島の最新情報をお届けしていきます。バリ島への旅行を計画されている方は、インドネシア大使館や航空会社の発表など、最新の公式情報を必ず確認するようにしてください。

